本プロジェクトは一橋大学商学部山下研究室の学生がゼミの研究の一環としてクラウドファンディングを行っています。
自己紹介
一橋大学商学部4年の野村優(のむら ゆう)と申します。大学の研究室では、「アート×マーケティング」の視点から、美術館の収益向上、ミュージアムショップにおける消費者行動について研究してきました。美術館のマーケティングに関心を持ったのはコロナ禍がきっかけです。ニュースで多くの美術館が財政面で苦しんでいることを知り、学生ながら何か改善策はないのかと考えるようになりました。こうした理由から、ミュージアムショップをテーマに、消費者の購買意欲を高める商品について研究しています。その一環として、本プロジェクトにて実際にアートTシャツを販売し、商品開発の過程やデザインが消費者に与える影響といった知見を美術館の収益向上に役立てたいと考えています。
美術館をもっと魅力的に
研究室では、美術館における現代の経営課題やマーケティング戦略について、先行研究やインタビューを通じて調査してきました。美術館には入館料収入の他、寄付収入、物販収入、補助金などの収入源があります。その中で、私は物販収入となるミュージアムショップ事業に着目し、現在卒論研究を行っております。

山下研究室の集合写真
多くの日本の美術館が財政難に直面しており、美術館を発展させていくためには収益を向上させることが不可欠です。株式会社みずほ総合研究所のレポートによると、2015年において、48.6%の美術館が「調査研究充てる予算がない」と回答しています。美術館は持続可能なビジネスモデルを模索する必要があり、その手段の一つとして私はミュージアムショップ事業により力を入れていくことが重要であると考えます。
ミュージアムショップの商品は、一般的に記念品として来館者に購入されることが多いです。また、特にアートが好きな層においては、美術館や作者を支援したいという応援消費の心理も購買の要因となっていると考えます。ミュージアムショップは現在、博物館や美術館の運営に欠かせない存在となっています。さらに、インターネットの普及によりオンラインショップが開設されるようになり、SNSが登場し商品のプロモーションが容易になったことで、収入源としてのミュージアムショップの役割は拡大していくと考えます。
作品と個人の対話の重要性
研究室の調査の一環で、美術館における経営改革で高い評価を得ている大原美術館への訪問の機会をいただきました。大原美術館は、日本で最初の西洋美術中心の私立美術館として長い伝統を持ちながら、パートナーシップの再構築や、地域貢献における積極的な取り組みを行うことで、収益構造改革を推進されています。2023年には理事長の大原あかねさんが、私立美術館における収益構造改革の成功例、及び自立経営の先例として文化庁長官より表彰を受けています。

訪問時の写真
我々の訪問時には、アートと個人の対話体験を実際に経験させていただき、教条的なアート教育とは一線を画した取り組みを幼稚園児から企業人へのプログラムにまで貫いておられることに感銘を受けました。当美術館においてごく自然に実践されている方法が、現代の先端的なアート志向の考え方に通じていることにも驚きました。美術作品に対する敬意を守りながら、新しい革新を推進することの難しさと、それに挑戦することの面白さを学びました。
アートTシャツを進化させたい!
先進的な美術館では、作品展示に関する革新や工夫が進んできているように思います。しかし、ミュージアムショップに関しては、まだまだ、作品と個人の対話を促すような革新的な取り組みが進んでいません。革新に際して、いかに美術作品に対する敬意を守れるかがポイントになると考えます。
ミュージアムショップについて研究した海外の学術論文では、伝統的な作品をモチーフに革新的なデザインを加える方法が検討されており、「商品が単純なレプリカから創造的で実用的な商品へとシフトしたことで若者の人気を集めたことが、最近の商品の成功を導いた」とされています。従来のミュージアムショップの商品よりも革新性の高い商品は、日本においても多くの消費者の関心を集めることができると考えています。作品への敬意を保ちながら、敬意を革新的な方法で表現するデザインを探求したいと考え、実際にアートTシャツを作ってみたいと思います。

デザインイメージ
アートTシャツは進化の可能性を秘めています。老若男女問わず使用でき、デザイン性を追求しやすいためです。また、受注生産やオンライン販売にも適しています。しかし、現状の美術館にはデザイン性を追求したアートTシャツの制作は、非常にハードルが高いといえます。革新性の高いアートTシャツ制作を通じて、美術作品と個人とが、鑑賞とは別の形での対話を生み出すという考えに共感していただける皆さんからご支援をいただきたいと思います。本プロジェクトは研究活動を目的に実施しており、利益創出を目指すものではございません。よって最終的に残った利益は、作品と個人の対話の大切さを教えて下さった公益財団法人大原芸術財団の「みんなのマイミュージアム基金」に寄付したいと思います。

デザインイメージ
リターンについて
「アートグッズにおける創造性」をテーマに制作したロングTシャツを8種類作成いたしました。肌寒い時期にもぴったりな厚手の素材となっており、気軽に着ることができます。

カラー:ブラック・ホワイト
サイズ:S/M/L/XL
厚み:6.6オンス

60〜70年代のアメリカンヴィンテージを思わせるバンドT風デザイン。天使と聖母の出会いを象徴する稲妻を大胆に描き、神秘的な雰囲気を現代風に仕上げています。袖部分には、絵画のモチーフをグラフィック化したデザインを施し、個性を際立たせた一枚です。
デザイン:Aoi
2.エル・グレコ 「受胎告知」 B

絵がぐにゃっと歪んでいます。元の絵の雰囲気をより強く想像できるのではないでしょうか?
デザイン:AYAO TAZAKI
3.モネ 「睡蓮」 A

「睡蓮」の優しい色彩を、抽象的な長方形モチーフで再現。重なる色が揺れる水面の光を思わせます。色鉛筆の柔らかな質感と手描き文字を組み合わせ、モネの世界観をモダンに表現しました。
デザイン:Aoi
4.モネ 「睡蓮」 B

水面に浮かぶ睡蓮たちは、丸い形に切り取られてシャツの袖に散らばっています。絵の見方を別角度で楽しめるデザインです。
デザイン:AYAO TAZAKI
5.カンディンスキー 「尖端」 A

幾何学的な形とバランスを生かし、絵画の一部を新しい構図でデザインしました。白と黒を基調にした配色が原作の魅力を引き立て、シンプルなスタイルにも合わせやすいクールな一枚です。
デザイン:Aoi
6.カンディンスキー 「尖端」 B

絵の特徴である様々な形、線が個々に踊るように配置されたデザインです。
デザイン:AYAO TAZAKI
7.ホドラー 「木を伐る人」 A

ホドラーの描く自然と人々の営みを、手描きの柔らかなタッチで再現。落ち着いた色合いと温かみのある配色で、親しみやすさを感じる仕上がりにしました。
デザイン:Aoi
8.ホドラー 「木を伐る人」 B

木こりの強い動き、縦に伸びる木、それらから生まれる大胆な構図と緊張感は、力を感じます。伸びやかな線で絵の持つ力をよりダイナミックに感じれるようなデザインです。
デザイン:AYAO TAZAKI
サイズ

サイズ感は一般的な日本規格です。カラーはブラックとホワイトの2種、厚さは6.6オンスです。
イメージ写真

172cm:L
山下裕子教授より
私のゼミでは、学生たちの興味のあるテーマを募り、マーケティングの最新の研究をレビューした上で、独自のテーマを設計実行し、卒業論文を執筆しています。昨年はミュージアム・マーケティングのチームが結成されました。
1980年代からの市場化の波の中で、美術館にもマーケティングを取り入れるべきだと、ミュージアム・マーケティングの教科書が書かれるようになりました。現在では美術館はマーケティングの最前線です。アートは国際的に見れば高成長している市場であり、ミュージアムは、その中でパーソナルな美的価値を作る上で非常に大きな役割を果たしています。日本でもファン層が多様化し、素晴らしいコンテンツが増えていますが、収益性という意味で大きな課題を抱えています。
世界の主要なミュージアムではミュージアムショップが収益の重要な柱となっており、創造性豊かな質の高い商品が展開されていますが、日本では、ミュージアムが自らの企画によるデザイン性の高い商品を扱う例は稀です。美術作品の保護と、デザインモチーフとしての利用のバランスを取ることは難しい問題ですし、独自企画のリソース不足という問題もあるでしょう。
チームメンバーである野村優さんは、伝統的なアートに革新を加えることで、パーソナルな価値の高い商品を創れないかと、本クラウドファンディングに挑戦することにしました。一橋大学MBA卒業生であり、クリエイティブチームAKANESASUを運営する高橋リョウさんが趣旨に賛同し、デザイン面のディレクションを引き受けて下さいました。伝統的な名画にデザインを施したTシャツに、「今っぽさ」「新鮮さ」「アート感」等の心の動きを感じられる方、ミュージアムショップがもっと自己革新に取り組んで欲しいという意図に共感される方、是非賛同をお願い致します。
スケジュール
2025年3月9日 クラウドファンディング終了
2025年3月下旬 リターン発送
寄付に関して
・寄付先:公益財団法人大原芸術財団
・寄付までのスケジュール:2025年3月9日プロジェクト終了後、同年5月9日に寄付を行う予定です。
・本プロジェクトは「購入型クラウドファンディング」であり、支援者様が寄付金控除を受けられるものではない点、お間違えないようお願いいたします。
最後に
ミュージアムショップ、そしてアートグッズにはまだまだ発展の余地があります。アートが商品になることで、今まで見る対象でしかできなかった作品を日常に取り込むが可能になり、作品と個人を結び新たな体験を生み出すことができます。このようなミュージアムグッズの持つ可能性を、自ら商品を作り明らかにしたいという思いで、このプロジェクトを進めてきました。どうか温かいご支援をよろしくお願いいたします。

最新の活動報告
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展示会を開催しました!
2025/03/05 18:003月2日(日)に一橋大学にてサンプルの展示会を開催しました。たくさんの方にご来場いただいたうえ、貴重な意見や応援のお声もいただき、大変励みになりました。心よりお礼申し上げます。ミュージアムショップ愛好家の大澤夏美さんにお越しいただきました!爽やかさが引き立ちます!ホドラーの『木を伐る人』は力強い表現ですが、ジャンパーとよく馴染みます。山下先生のお気に入りは「睡蓮B」だそうです。 もっと見る
展示会のお知らせ
2025/02/24 18:30クラウドファンディングで製作するアートTシャツのサンプルを一橋大学で展示いたします!日時:3月2日(日)13時~18時場所:一橋大学国立キャンパス 東本館1階コモンエリア【Agora】コモンエリアは三菱地所の協力により実現したソーシャル・データサイエンス学部の交流拠点です。普段は入ることのできない教室となっておりますので気軽にお立ち寄りください。 もっと見る




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