廃棄される「鹿革」を「藍染」で生まれ変わらせる
こんにちは。
ハンドメイド作家の「 kagaribi 」(カガリビ)です。
人間の都合で大量に廃棄されている「鹿革」を、伝統ある染色技術の「藍染」で商品に生まれ変わらせ、たくさんの方にお届けしたいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。
最初のスタートは2023年7月に行った、Kickstarterでのクラウドファンディング。
初めてでしたが、スタート初日に目標達成し、大変嬉しい結果となりました。
普段はHPやハンドメイドサイトでの販売、イベントにも出店しておりますが、さらに多くのお客様にお届けさせていただくために、今回クラウドファンディングにチャレンジすることになりました。
古くから日本人に馴染み深い「鹿」
日本で最も古い革に関する記述は『日本書紀』にまで遡り、日本列島が形づくられた後の集落跡からは獣皮・樹皮・藁編みの甲冑と想像されるものが出土しています。
日本鹿は日本在来の資源の一つであり、古代から信仰の対象となり日本人の心・技・匠を融合洗練させてきた歴史があるのです。1300年を超えるヒトとシカの関わりが、神鹿(しんろく)とあがめられ、シカが「霊獣」としての地位を獲得しています。
現代でも剣道や弓道など、日本古来の武道の道具に使われていますので、日本人に馴染み深い動物といえるのです。
害獣として処理され続けている「鹿」
そんな日本人に馴染み深い鹿革ですが、現代では鹿革の利用率は1%ほどしかなく、日本国内では年間60万頭もの鹿が“害獣”として処理され続けています。
その理由は畜産業が盛んになり、牛や豚の革が安く大量に手に入るようになったからです。また、捕獲した鹿の革を加工する仕組みができていないことも原因に挙げられます。
鹿は爆発的にその数を増やしており森林の環境破壊から生態系への影響、農作物への被害など各地で深刻な問題となっています。今よりも更に駆除頭数を増やさなければ抑制にならないとされています。鹿が増えた原因は諸説ありますが、決定的な原因というものは無く様々な要因が複雑に絡み合う事で今日の増加を招いています。
「鹿革」を生まれ変わらせたい
そんなふうに廃棄される「鹿革」を「藍染」で生まれ変わらせたい。
その想いがクラウドファンディングのきっかけでした。
是非この機会に、たくさんの方に応援していただきたく、今回はクッションをご用意しました。
そしてこのプロジェクトを通じて、「エシカル消費」を考えるきっかけにしていただけると嬉しいです。
1つ1つを手染めでお届け
藍染を施した革製品は世の中にたくさんありますが、kagaribiでは1つ1つ手染めをした「絞り染め」にこだわっています。
鹿革の特徴でもある柔らかさを生かし、牛革などの硬い革では表現できない「模様」をつけることで、世界に1つの「鹿革藍染絞りの革」ができあがりました。
同じような絞り方をしても、革の状態や藍の入り方、気候なども関係し、全く同じものを作ることはできないので、自分だけの「世界に1つのクッション」になります。
牛革などの硬い質感では絞り染めをすることができないので、この模様が出せるのは鹿革の柔らかさがあってのこと。
日本に昔からある文化を掛け合わせた「新たなレザー」です。
5種のデザインをご用意
藍染の魅力である「経年変化」
藍染の最大の魅力といえば、使い込むほどに変化する色合いにあると考えています。
経年変化によって出てくる風合いには同じものは一つもなく、使えば使うほど味や深みが増し、自分だけの藍色を育てることができるという点が、古くから日本人に愛されて来た理由の一つとも言えます。
「自分だけの色に育てる」という楽しみ方ができる藍染は、日本人の“物を大切に長く使う”という考え方にも合っているのかもしれません。
「レザーのカシミヤ」とも呼ばれる鹿革
鹿革はしっとりと柔らかい手触りをしています。
繊維が非常に細く、湿気を吸収する性質や通気性が良く蒸れにくい革であることから「レザーのカシミヤ」とも言われています。
また、鹿革は牛革・豚革といった革と比べ高い伸縮性を持っています。
牛革は野球のグローブなどに使われるのに対して、鹿革はメガネ拭きなどのクロスに使われるほど柔らかです。
水に濡れても変形しにくい
保湿力・吸水性が高く、水に濡れても変形しにくい性質があり、天候なども気にせずお使いいただけます。
鹿革はもともとの革自体に油分を多く含んでいるため、油分の補給が必要なくお手入れも簡単で、他の革と比べても風合いを保ちやすいというのも特徴の1つです。
その一例として、日本の正倉院に保管されている鹿革の足袋は、1000年の時を超えてなお、しなやかさを維持しているそうです。
牛革だと10年もお手入れをしないとバリバリに割れてきてしまうので、鹿革が持つ柔軟性のポテンシャルは相当に高いといえます。
丈夫で軽い
鹿革はその丈夫さゆえに、古くから日本において武具や祭礼の道具として使用されてきました。
奈良時代にできた東大寺正倉院には鹿革製の品があり、その中には1000年以上も前の品もあるほどです。それは朽ち果てているどころか、柔軟性を失わず、今なお鮮やかな輝きを見せ使用できる状態なのです。
現代においても、その丈夫さを買われて、鹿革は剣道の防具に使われています。
引張耐性も優れていて引き裂くような強い力がかかっても滅多に破れることはありません。
鹿革が「高価」な理由
鹿革と牛革を比較した際に1番最初に聞かれるのは「なぜ高価なのか」ということです。
同じ革ではありますが、そこには大きな差があります。
①野生の鹿だから
鹿は家畜ではなく、森の中を駆け回る野生の動物です。
鹿1頭捕獲するためにも、時間や労力、そして技術が必要なのです。
近年ではハンターの高齢化も進み、後継者不足も出てきており、日本における鹿革の確保は難しくなっています。
②鞣し(なめし)の技術
狩猟後は鹿を肉と皮に分ける解体作業行い、その後皮を「革」にするために「鞣し」の作業に入ります。
鹿革に限らず動物の皮は鞣すという加工作業が必ず行われますが、とくに鹿革は、他の動物の皮よりも難しい技術が必要となります。
それは鹿革が繊細で柔らかいからです。
加えて、鹿は肉や皮を処理できる施設が限られていて供給量が少ないため、鞣す作業の1枚の単価が高額になってしまうのです。
そういった鹿革の流通が確立されていないという点も、牛革よりも高価になってしまう原因でもあります。
③縫製の技術
柔らかくしなやかな鹿革は縫製が非常に難しいとされています。
その伸縮性と柔らかさから、鹿革は縫製時にガタガタになってしまうことも多く、真っ直ぐ裁縫するだけでも技術が必要不可欠です。
鹿革が持つ柔軟性だけでなく、保温性や通気性を失うことなくそのまま活かすため、縫製作業も経験と技術を兼ね備えた職人が携わっています。
④鹿革一頭分のサイズ
なにより鹿は牛よりも小さいという点です。
一頭から取れる革のサイズは約1/4になるため、貴重であるということが言えます。
①コンビカラークッション
藍染絞りを施した革と、そのままの白無垢革をコンビネーションしたクッションです。
革本来のテクスチャーをそのまま生かすため、穴や傷はそのままに、革の部位を生かしたラインでデザインをしています。
鹿革特有のしっとりとした柔らかい質感を是非お試しください。
<商品詳細>
サイズ:45cm×45cm(ファイスナー付)
表面:鹿革×藍染 生地
裏面:デニム生地(藍色)
中身:ポリエステル100%ヌードクッション
②パッチワーククッション < ネイビー・ホワイト >
鹿革に藍染を施した生地を、三角形でデザインしたクッションです。
ひとつひとつ手染めしている藍染の模様は、同じものはなく、世界に1つの絵柄が魅力です。
柔らかさとボリューム感を生かせるよう一枚ずつパッチワークで制作しています。
万華鏡のようにクールな印象がありながらも、鹿革の柔らかさに驚かれるでしょう。
<ネイビー>
パッチワークピースが100mmと50mmの2種。お好きな方をお選びください。
<商品詳細>
サイズ:45cm×45cm(ファイスナー付)
表面:鹿革×藍染 生地
裏面:デニム生地(藍色)
中身:ポリエステル100%ヌードクッション
<ホワイト>
パッチワークピースが100mmと50mmの2種。お好きな方をお選びください。
<商品詳細>
サイズ:45cm×45cm(ファイスナー付)
表面:鹿革×藍染 生地
裏面:デニム生地(白色)
中身:ポリエステル100%ヌードクッション
デザインについて
コンビカラークッションに限り、デザインをお選びいただけます。
※デザインはご購入いただいた方から順にお選びいただきますのでお待ちください。
柄をお選びいただくための別サイトを、順次メールにてお送りしますので期限までにお選びください。(詳細はこちらのプロジェクトページにて、随時お知らせいたします。)
期限までにお選びいただけなかった場合は、ランダムにてお送りさせていただきますのでご了承ください。
発送は2月上旬頃から随時発送とさせていただきます。
3月中には全ての商品の発送完了を予定しております。
※革の入荷状況等により、上記の日程は前後する可能性がございます。
※予定通りの発送を予定しておりますが、パンデミックの影響や配送状況により、遅れてしまう可能性もございます。
皮を捨てること無く、最後まで、余すことなく頂戴する
野生の皮の活用に取り組む、兵庫県たつの市の革を利用
kagaribiの商品では、日本一の革の産地・兵庫県たつの市の革を使用しています。
たつの市では、駆除された野生動物の皮を、環境負荷を極限にまで抑えたオリジナルのなめし製法により製品革として日本全国に流通させる取り組みを行っています。
野生獣の皮を捨てること無く、最後まで、余すことなく頂戴する。
そうすることで、本来の鹿の適正個体数を維持し、自然環境を守りつつ、持続可能な社会の実現を目指していくことができます。
それこそが「サスティナブル」と言われる所以なのです。
あくまで廃棄されるはずだった革を使用する
使用している鹿革は牧畜されている牛などとは違い日本の野山で育った野生の鹿を使用しています。
その為、生前に負った擦りキズやその治癒跡がありますが、あくまで食用・もしくは害獣として捕獲され廃棄されるはずだった革を使用することにこだわっています。
レザーは、「環境に悪い」「かわいそうだ」という声もありますが、このkagaribiのクラウドファンディングが、鹿革について考えてみるきっかけになれば嬉しいです。
様々な要因による鹿の増加
鹿は爆発的にその数を増やしており森林の環境破壊から生態系への影響、農作物への被害など各地で深刻な問題となっています。更に駆除頭数を増やさなければ抑制にならないとされています。鹿が増えた原因は諸説ありますが、決定的な原因というものは無く様々な要因が複雑に絡み合う事で今日の増加を招いています。
全ての要因は私達人間の利己的な経済活動による所だという事をまずは理解しなければいけません。
「 kagaribi 」は革を使用した商品を中心に、ハンドメイド作家として活動しています。
しかし、ここで避けては通れないのが環境問題です。
日本では野生シカの生息数が急増しており、1990年の40万頭から2015年には400万頭となり、わずか25年間で10倍に増加したことになります。
政府はこの個体数を2033年までに半減するという目標を掲げており、これは毎年60万頭のシカを狩猟する必要があることを意味しています。
害獣として駆除された鹿はどうなるのでしょうか?
実際、そのほとんどは廃棄物として山中に放置されたり、焼却されています。
野生のジビエとして食べられるのはわずか10%で、その鹿の皮もわずか1%しか使用されません。
だからこそ、kagaribiではこの鹿革を使った商品を作りたいと思っていました。
日本では古来より鹿を神聖視し、畏敬の念を抱いてきました。
鹿、猪、ウサギ、さらには熊など、大自然に生きる動物たちを山の恵みとして尊重し、大切にしてきた日本人の敬意や価値観を、今一度考えてほしいのです。
今回、このクラウドファンディングを通して、多くの方に「鹿革×藍染」の素晴らしさを知っていただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
1人でも多くの方にご支援・ご購入いただければ嬉しいです!
Q.1 鹿革のお手入れ方法は?
▶︎毎日のお手入れは、柔らかめのブラシなどでほこりを落とす程度で十分です。
表面に汚れがついた際はかたく絞った柔らかい布で水拭きし、通気の良い場所で陰干ししてください。鹿革は、油分を多く含んだ性質と超極細の繊維をもっていることから、お手入れの時に油分を補給する必要が少なく、非常に簡単にお手入れができます。
また、通気性が高く蒸れにくいため、雨に濡れても油分が失われません。
Q.2 質問があるのですがどこから問い合わせできますか?
▶︎creemaのショップ内、もしくはHPよりお気軽にお問い合わせください。
Q.3 別の商品も欲しいのですがどこから購入できますか?
▶︎creema、もしくはHPにて販売しております。ご検討ください。
商品について
・自然そのままの素材を使用しているため、生前についた傷などがございます。
・商品のサイズ、重量に関しては多少の誤差が生じる場合がございます。
・本プロジェクトページの閲覧環境により、写真と実際にお届けする商品の色、特に色合いが異なって見える場合がございます。
上記ご確認いただき、 予めご了承の上ご支援いただけますと幸いです。
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