かつて荷台の屋根がポリカーボネートでなく幌だった頃のお話。 幌の屋根は、雨や雪が降ると重みで撓みます。撓んだところに雨や雪が溜まっていきます。面積が大きいですから、溜まる量も相当なものです。 朝、車を動かすと、最初の一時停止のときに、溜まった水がザバーっとキャビンの上に降ってきます。そのとき、窓を開けていたりすると、車内に大量の水が落ちてきます。わかっていてもやってしまいます。開けた窓からドバーっとまるでコントみたいに水を被ってしまいます。 冬の朝はもっとすごいです。溜まった水は凍って大きな氷の板になっています。一時停止すると、その氷の板がゴツン、ゴンゴン、バサバサーっと雪崩のようになります。こうなると笑っていられません。危ないので、本来の一時停止の手前の安全なところで急ブレーキを踏んで、先に「雪崩」を起こしておきます。 これらの現象を防ぐには、幌に水が溜まらないようにするのが一番です。フレームの数を増やしたり、しっかり紐を張ったりするといいのですが、そこまでするのならいっそ幌をやめて硬い素材で屋根を作ったほうがすっきりします。重量、耐久性、コストの面でもそっちのほうが有利です。ゴムの紐で幌を張ると、ゴム紐がすぐに切れるので交換や修理がとても面倒です。それもまた、幌屋根を敬遠する理由のひとつです。 斯くして、屋根はポリカーボネートになり、朝の恒例行事もなくなりました。今でも、朝にザバーっと来ないと何か物足りないような気がします。根が関西人なので、体を張ったギャグを無意識にかまそうとしてしまうのかもしれません。水だけでなく最後にタライが落ちてくると満足できるのかも。






