
【和泉守兼定 拵え 下緒 復元模造制作】
11月11日(火)、東京・上野にあります「有職組紐 道明」を訪ね、
歳三愛刀・和泉守兼定の拵えに附属する下緒の復元模造について、制作の様子など拝見してまいりました。
有職組紐 道明は、1652年創業の歴史を誇る組紐の老舗。
飛鳥奈良時代より続く組紐の伝統技術を現在に伝えるべく、正倉院の組紐復元模型などの文化財復元事業に携われてもいらっしゃいます。
技法の研究活動とともに、現在でも組紐への裾野を広げるための組紐教室事業にも積極的に取り組んでおられます。
まさに、宮中装束から武具、現代では帯締めなど和装小物に至るまでの、日本の伝統的な組紐技法を過去から未来へとつなぐフラッグシップ的存在といえましょう。今回、道明さんは、土方歳三の佩刀「和泉守兼定」に結ばれていた下緒を、当時の素材・技法に忠実に再現する復元模造を手掛けてくださっています。
以前の原本調査の結果、下緒は「丸八つ組(まるやつぐみ)」という組み方にて組まれていることが判明。
さらに、素材には絹糸の中でも最高級の「極天糸(ごくてんいと)」が用いられています。
これは、現代の絹糸は機械化により、より多数の「撚り(より)」がかけられているが、幕末期は手で捻ることから撚りはあまりかかっていなかったことなどを理由としています。
また色味に関しても、150年以上を経て脱色が進んでいる状態や、草木染めが主流であった当時の技法から、染めに関しても「藍染め」を採用。原本の色の残っている奥部分の色味などより推測される歳三が手にした当時の色味を手染めにより再現。
より当時の再現に近づけるために素材や色なども吟味されています。
組紐は、一見すると細やかな工芸ですが、一本の下緒を完成させるまでには、熟練の手仕事と繊細な感覚の積み重ねが欠かせません。
糸を交差させる「組台」の上では、規則正しい動きの中に職人の呼吸と集中が宿り、
徐々に美しい丸組の姿が現れていきます。
かつて、道明さんのあった上野のいとう呉服店に奉公した経験もある歳三さん。少年時代にはお使いなどで道明さんのご近所をあちこち走り回っていたのではないでしょうか。
そのように考えますと、今回の「土方歳三つなぐプロジェクト」での組紐復元事業は、歳三さんがつないでくれた温かなご縁に導かれているようにも思えます。
今後も引き続き、各職人様の制作の様子などをご報告いたします。
引き続き、皆さまに見守っていただけますと幸いです。




