服部フェスとはどんなフェスですか?
今までそんな質問を受けることが何度もあったけど、私はずっと逃げている。
とある音楽フェスに似ていると色んな方に言われたが、自分自身そのフェスの存在を知ってはいるものの、出たことも無ければ行ったことも無いので、未だにピンとは来ていない。
しかしまぁ良い意味で言ってくれてるんだろう、という事でそのフェスを引き合いに出して「穏やかな『○の○○』みたいなものです!」なんて冗談めかして言っている。
『アイドルフェスでもバンドのフェスでもない、ゆるくて熱い闇鍋フェスティバル』は、どうだろうか?
しかし『闇鍋』という割にはちゃんとほっこり美味しいお鍋に仕上がっている自負はある。
『アイドルフェスでもバンドのフェスでもない、ゆるくて熱々おでんフェスティバル』
これじゃおでんを顔面に乗せられ「熱い!熱い!」と言うだけのお祭りになってしまう。
『アイドルフェスでもバンドのフェスでもない、服部の服部による服部の為のゆるくて熱い音楽フェス』
バチンとは決まらないけど、とりあえず70点ぐらいのこんな感じが今の私の限界である。
服部フェスも4回目となった。
4回目ともなれば慣れると思いきや、ハードルや期待はどんどん上がり、やらなきゃいけない新しい事が増えるばかりかそれに伴うプレッシャーが年々増しては重く伸し掛かってくる。
何故ならそれは、昨年も一昨年も服部フェスが成功したからだ。
何をもって成功と言えるかは分からない。
収支を見れば誰が見ても大赤字なのだから普通に考えたら完全に大失敗なイベントだ。
しかしあのお客さんたちの顔を見て私には失敗だとは思えなかった。
もちろんクラウドファンディングが無ければ、私は今ごろ借りてはいけない所にお金を借りまくっては、こんな売れてないアイドルなんて仕事はしていられなかったはず。
今年もそんな状況と背中合わせの中、覚悟を持ってイベント制作に取り組んでいる。
本当はクラファンなんかしなくても服部フェスができたらそれが1番いいので。
この1年、私は体調不良で半年ほど活動休止をしていた。
情けない話である。
辞めようかと何回も悩んだ。
しかしそれをいつも踏み止まらせてくれたのは、今までの服部フェスで先輩方が見せてくれた背中だ。
きっと先輩方にも何度も辞めようと悩んだ事があっただろう。
きっと先輩方にももう来なくなったお客さんが沢山いただろう。
きっと先輩方にも立ち直れないぐらいプライドがズタズタになった夜があっただろう。
きっと先輩方にもこんな人生に意味があるのかと自問自答したことがあっただろう。
しかしそれでも彼らは未だに音楽を続けている。
そして私はそんな彼らの背中を見て、またよろめきながらも前へ歩き出す。
アイドルの中ではかなりの年長者な私だが、先輩方にとっては「まきちゃんなんてまだまだ若いよ〜」なんて言われる可愛い後輩ちゃんだ。
音楽を続けたい。
自分にそう思わせてくれる服部フェスを私は手放したくないなと思う。
このフェスの見どころは出演者の妙だと思う。
お客さんは毎年そこに懸けて支援をしてくれる。
そんな幸せな事があるだろうか。
「お前のセンス良いよ」と言ってもらってるようなものだ。
学生時代に初めて友達の女の子が家に来た時に「かっこいいBGMをかけねば」と、筋肉少女帯の『レティクル座妄想』の再生ボタンを押してしまった、あの私がである。
不思議なことがあるものだ。
(ちなみにその女の子は目に涙を溜めて「用事を思い出した」と言って帰っていった。)
それでも毎度自分に落ち込むことは多い。
今回も全ての出演者が確定したのは2週間前。
タイムテーブルが公開できたのは1週間前だった。
そしてこのクラファンが公開されているのは何日前なんだ。
色んな大人の事情はあったにせよ、何度も主催としての自分を情けなく思った。
改めて、出演アーティストや服部フェスを楽しみにしてくれているお客さんや関係者の皆さま、情報が遅いことによって迷惑をかけてしまったり悲しい思いをしてしまった皆さま、本当に申し訳ございませんでした。
先ほど音楽を続けたいと偉そうなことを書いていたが音楽のことなんて本当はよくわかっていない。
この前レコーディングで「4小節前から流すよ」と言われたが、1小節がどれぐらいの長さか未だによくわかっていないので「OKでーす!」とか言いながら勘で歌った。
今年のオファーも個人的には例年に比べて結構頑張ったと思うが沢山の人に助けてもらった。
制作陣やくぴぽのスタッフやメンバーを始めとした仲間のお陰で何とかいつもギリギリ開催にこぎつけられている。
たぶんだけど、自分には素敵な人たちを惹きつける何かがあるんだと思う。
なんてラッキーなんだろう。
うれしいな。
あとはもう当日が来るのを待つだけ。
とまぁ、そんな訳は無くまだまだやらなきゃいけない事はいっぱいある。
恐らくここから徹夜の日々が続くんだろう。
まずはこのクラウドファンディングである。
今年は色んなお客さんのリクエストを募った。
特にリクエストの多かったのは他の出演者の何らかが欲しいという声。
そりゃそうである。
そもそも「くぴぽ」って誰やねん!って話なのである。
しかし今まで、勝手にやっている自分のフェスの赤字を補填する為だけに、そんな大それたことを弱小アイドルの私が他の出演者様に言える訳が無かったのだ。それはわかってほしい。。。
しかし今回は少しだけ言いやすそうなアーティストさんにならお願いしてみようかなと思う。
出演者を見てもわかる通り(見えないところも含めて)、それぐらい今年は例年以上にお金がかかっているということなのです。。。
フェスが終わったらまた追加で新たなリターンを出す予定なのであまり期待せずに楽しみにしててくださいね。
大先輩や大物アーティストにそんなこと頼むのは本当に勇気が要るんでそこはわかってくださいね(泣)
そしてクラウドファンディングの手数料が高いという意見もありました。
手数料の説明に関しては調べてもらえばわかると思いますがどこのプラットフォームを使っても大体結構な%を取られるというのがありつつも、それぞれ色んな特色があるので自分としては当時1番支援してもらったお金を有効的に使う為に、という事で選んだのですがあまり分かってもらえませんでした。
話せば分かってもらえた人もいたのですが、長時間話さないと分かってもらえないぐらいややこしい事だったので、今回はCAMPFIREさんのシステムが一昨年と変わったという事もあり、自分としてはここが色んなバランスを考えてベストだろうと決めました。
それでも高いですよね。
でも、あくまでリターンは支援のオマケなのでという気持ちもあったり、マジで無理しないでくださいね~という気持ちもあったり、いやいやかなりお得だと思うよ!みたいな気持ちにもなったり。
「支援してください!どうかよろしくお願いします!」って立場なのに自分でも金額も金額だから人によって価値観も違うし色んな意見もぶつけられてだんだん変な気持ちになってきちゃっては反省しちゃったりして。
この1年とんでもない金額を支援していただいたことで、1つ1つのリターンを返すのに1年かかってしまって(自分が休んでたり効率の悪いことしてたりもあったんだけど)、でも支援を受けるってそういうことで、労せずして大金がポンって入ってくるような簡単なことじゃないんですよ。
でも簡単じゃなくて良かった。大変で良かった。
だからこういう夢みたいな日が作れるんだっていう実感もちゃんと持てて、変に麻痺することなく今年も真摯にクラファンに取り組んでいけます。
クラファンが苦手な方は支援の気持ちでどこかのライブでチェキ1枚とかでも全然嬉しいです。
「服部フェス楽しかったよー!また来年行くねー」って言ってまた会えるだけでも嬉しいですし。
そういえば服部フェスがきっかけで他のアーティストのファンになったと言ってくれた人がチラホラいてあれは嬉しかったなー。それも支援の1つなのかも。違うか。まぁいいや。
あ、そうだ。当日は服部フェス2025公式Tシャツも販売してます。それもよかったら。
リターンのセンスもあまり無い私かもしれませんが、1つでも喜んでもらえるリターンがあれば良いな。
1人じゃくじけそうになるから、こうやってみんなと一緒にフェスを作るという部分に救われてます。
だって元はと言えば勝手に私がフェスをやって、それに支援してくれって、なんかもう何て言えばいいのか、みたいな。
だから仲間が欲しくて、こうやって同じ気持ちの仲間が増えていくのは嬉しいです。
本当にありがとうね。
別にフェスの主催なんてやりたくてやってる訳じゃなかった。
本当は色んなフェスに呼ばれるぐらい愛されるアーティストになりたかった。
何よりもただ、ステージで良いライブがしたいだけで。
それを多くの人に観てもらいたい。
そして自分(たち)を推してくれる人を増やしたい。
ただそれだけなのに。
いったい何の為にこのフェスを続けてるのかわからない。
めんどくさいことばっかりで嫌ならやめればいいだけなんだけど、なんかやめられなくて。
使命なんてそんな大それたもんじゃない。
「お前センスいいよ」
そんな風に誰かに何気ないひとことでもいいから自分の何かを認めてもらいたいが為に、こんな大がかりなイベントを全財産掛けてやっているのかもしれない。
なんて情けなくて見栄っ張りで恥ずかしくてかっこ悪い人間なんだろう。
毎年祭りが終わって誰も居ない真っ暗な広い客席をステージの照明が照らす。
それを見たら「また来年もやろう」と私はいつも無責任に思う。
何の取り柄も無ければみんなに愛される気配も無い私が褒めてもらえる数少ない機会が服部フェスだから。
またそんな大いなる勘違いを味わう為に私は音楽の魔力に取り憑かれて1年間ライブハウスで歌を歌う。
そしてその呪いはいつか私の心を何度も折っては、あの真っ暗な客席を照らすように数々の背中を映し出すだろう。
服部フェス2025のステージに立ってるあの背中たちを。
今年は先輩じゃなくて後輩かもしれない。
それがバンドじゃなくてアイドルかもしれない。
背中じゃなくて風になびいた髪の毛かもしれない。
とびっきりの笑顔かもしれない。
でもひょっとしたらそれは自分の背中になるかもしれない。
だってどの出演者よりも自分たちが1番良いライブをしたい。
あなたが新しい音楽に出会えますように。
わたしがあなたに笑ってもらえますように。
あなたがこの日だけはあのことを忘れられますように。
わたしがあなたの走馬灯の1つになりますように。
あなただけの音楽がそこにありますように。
わたしとあなただけしかわからない何かが生まれますように。
服部フェス2025が良い天気で迎えられますように。
服部真希(くぴぽ・服部フェス)
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