はじめに
はじめまして、長浜バイオ大学と岐阜大学の合同iGEMチーム「iGEM sci-net」です。本ページでは私たちが参加するパリで行われるiGEMという合成生物学の国際大会についての説明や、私たちの研究内容とクラウドファンディングを行う理由などについてご紹介します。
合成生物学について
合成生物学は生物DNAやタンパク質などの構成要素を組み替えたり、設計することで新たな機能を持つ生命を創出する学問です。遺伝子や細胞を工学的な手法で操作し生命の機能を改変することで幅広い分野に貢献することができます。特定の物質に反応したり、物質を産出するような微生物を生みだし、現代社会が直面する様々な社会問題への新たな解決策を提案することができます。
iGEMってなに?
iGEM(international Genetically Engineered Machine competition)とは、合成生物学を活用して社会課題の解決に挑む国際的な学生コンペティションです。2003年にMIT(マサチューセッツ工科大学)で始まり、現在では世界60以上の国・地域から400を超えるチームが参加し、パリで毎年開催されています。 高校生・大学生・大学院生の各部門があり、参加チームは自らテーマを設定して、DNAやタンパク質を「部品」として扱いながら、課題解決型のプロジェクトを設計・実施します。研究の成果は、発表会やWikiによるプレゼンテーションなどで評価され、実用性・社会的影響・学術的貢献を競います。iGEMは「合成生物学のロボコン」とも呼ばれ、医療・環境・エネルギー・食品など多様な分野への応用が期待されています。
iGEM sci-netとは
iGEM sci-netは、長浜バイオ大学、岐阜大学の合同チームです。各大学のメンバー が、それぞれの専門知識を活かしながら連携し、プロジェクトを進めています。また、PI(Principal Investigator)、2nd PI や複数のアドバイザーの大学の先生方が プロジェクトをサポートしています。これにより、専門的なアドバイスや研究の方向性を確認しながら、プロジェクトの進行を確実なものにしています。我々は実験室での研究活動を行う"Wet"、データ解析およびシミュレーションを行う"Dry"、社会的影響の調査・連携を行う"Human Plactice"、市民や学生への教育などを行う"Education"、情報発信を行う"wiki"の5つの部門に分かれ協力し活動しています。
図1.チームロゴ
バクテリアセルロースを利用した梱包材を作りたい!
iGEM sci-netのプロジェクトは「バクテリア由来のセルロースを活用した持続可能な食品梱包材」です。
私たち iGEM sci-net は、合成生物学の力を活用し、2 つの技術を組み合わせた新しい食品包装システムを開発しています。• 自然由来の「バクテリアセルロース(BC)」を使った生分解性の梱包材• 抗菌・鮮度可視化などの機能をもつスプレー型バイオ製品この 2 つを組み合わせることで、「環境性」「保存性」「安全性」を同時に実現する包装技術の開発を目標としています。
・製品の概要
【1】BC 梱包材:自然に還る、強くてやさしい包装BC は、微生物がつくる高純度のセルロースです。本製品ではこの BC を薄いフィルム状にし、青果物をしっかりと包みつつ、水分を保ち、傷みを防ぎます。使用後は自然分解され、土に還る環境配慮型素材です。BC 梱包材:自然に還る、強くてやさしい包装BC は、微生物がつくる高純度のセルロースです。本製品ではこの BC を薄いフィルム状にし、青果物をしっかりと包みつつ、水分を保ち、傷みを防ぎます。使用後は自然分解され、土に還る環境配慮型素材です。
【2】スプレー応用 バイオの力で「抗菌」と「見える化」:スプレーには、遺伝子工学で設計された有用菌が含まれており、以下のような機能を持ちます。• 抗菌機能:バクテリアが生成する nisin などの天然由来抗菌物質で、食品の腐敗菌を抑制• センサー機能:腐敗ガス(例:エチレン)などに反応して色が変わるセンサーを活用予定スプレーは直接梱包材や食品に噴霧。保存状況の“見える化”と安全性の強化が可能になります。
従来の食品梱包材は自然に還らないプラスチックが市場の大部分を占めていました。我々は持続可能な青果物梱包材の開発を通じて、食品ロスの削減と環境負荷の低減を目指しています。
図2.製品の機能イメージ
バクテリアセルロースと機能性スプレーを生み出す「合成生物学の力」
【1】BC はどうやってつくるのか?従来、BC は酢酸菌(例:Komagataeibacter xylinus)が自然に作り出す素材です。しかし、酢酸菌は取り扱いが難しく、大量生産や機能の追加には向いていません。そこで私たちは、BC を生産するための遺伝子群(セルロース合成オペロン)を酢酸菌から抽出し、それを扱いやすい大腸菌(Escherichia coli)に遺伝子導入することを考えています。これにより、設計可能・制御可能な大腸菌で BC を効率的に生産できるようになります。
【2】スプレーに“抗菌”と“センサー”機能を持たせるには?私たちは、BC とは別の専用大腸菌株に対して、2 つの異なる機能を付与する予定です。▶ 抗菌機能(ナイシンの生産)ナイシン(Nisin)は、グラム陽性菌に対して高い抗菌活性を持つ天然のバクテリオシンです。本来は乳酸菌(Lactococcus lactis)が生産する物質ですが、そのナイシン生合成遺伝子群を大腸菌に導入します。結果として、大腸菌がスプレー可能な抗菌物質を自ら生産できるようになります。▶ センサー機能(腐敗の可視化)食品の腐敗に伴って発生する特定のガス(例:エチレン)や pH の変化を検出するため、環境応答型プロモーター+色素生成遺伝子を組み込んだセンサー回路を構築する予定です。大腸菌が腐敗に反応して“色”を変えることで、目に見える劣化の兆候をユーザーに知らせます。
図3.製品イメージ
・活用シーン
・スーパー・市場の青果包装に:鮮度保持+見た目で安心感を提供。
・家庭用保存アイテムとして:簡単にスプレーするだけで劣化が可視化。
• 飲食店・直売所での食品ロス対策に:使いやすく、衛生的で廃棄を抑制。
図4.活用イメージ
活動状況
現在私たちは広報活動やiGEM関連のイベント参加、小学生や中学生を対象とした出張講義を行ってきました。また、プロジェクトについてもプロトコルを作成し、実実験ができるよう勧めている状況です。
・Japan meetupへの参加
Japan meetupは日本中のiGEMチームが集まって情報交換や親交を深めるイベントです。
図5.東京で行われたmeetupでの写真
・小中学生への出張講義
小学校や中学校へ行き、合成生物学に関する講義を行いました。 また、市民向けの体験型出張講義も今後行う予定です。
図6.中学校での出張講義の様子
・ミーティング
チーム全体で月に1回進捗報告のためのオフラインミーティングを行っています。また、各部署ごとのミーティングも不定期で開催し、プロジェクトが円滑に進められるよう努めています。
図7.岐阜でのミーティングの様子
図8.長浜でのミーティングの様子
クラウドファンディングに挑戦する理由
私たちは2025年度大会への出場を目指しています。大会の参加には資金面での問題が大きな壁になります。特に、約80万円の大会登録費や約40万円の大会参加費はただの学生団体である我々にとって見上げるのも苦しい壁になります。それに加え実験費用などを含む活動費も必要になり金銭的な問題を抱えています。これからのiGEMsci-netの活動には金銭的な問題の解決が大きな課題であります。
そこで我々の研究内容に興味を示してくださった方からご支援をいただきたいと考えクラウドファンディングに挑戦することになりました。
リターンについて
1,000円 ステッカー(5枚)+お礼メール
2,000円 缶バッジ(2個)+ステッカー(5枚)+お礼メール
3,500円 マグカップ+定期進捗報告メール+ステッカー(5枚)+お礼メール
5,000円 成果発表会招待+マグカップ+定期進捗報告メール+ステッカー(5枚)+お礼メール
10,000円 Tシャツ+成果発表会招待+マグカップ+定期進捗報告メール+缶バッジ(2個)+ステッカー(5枚)+お礼メール
15,000円 報告スライドに名前記載+Tシャツ+成果発表会招待+マグカップ+定期進捗報告メール+缶バッジ(2個)+ステッカー(5枚)+お礼メール
リターンの詳細
・ステッカーは下記デザイン(図9.、図10.)+チームロゴからランダムに5枚お届けします。
・缶バッジは下記デザイン(図11.)+チームロゴの2種類をお届けします。
図.9ステッカーデザイン
図10.ステッカーデザイン
図11.缶バッジデザイン
iGEMで必要な費用について
iGEMへの出場に際し
・チーム登録費約88万円
・大会出場費約48万円
・フランス(大会会場)への渡航費約175万円
・研究に用いる試薬や設備費
など学生だけで集めるには苦しい多大な費用が必要になります。そのため皆様からのご支援が必要不可欠になります。
スケジュール
2025年
1月 実験計画作成
4月 クラウドファンディングスタート
5月上旬 実験開始
5月中旬 クラウドファンディング終了
8月上旬 wikiページ作成
10月 iGEM大会出場
12月 リターン発送
最後に
私たちの包装システムは、単なる素材の置き換えではありません。「包む」ことそのものを再設計し、社会と環境にやさしい未来を実現する。私たち iGEM sci-net は、合成生物学と実社会をつなぐ研究を通じて、より良い生活と持続可能な社会に貢献していきたいと考えています。
皆さまの温かいご支援を、どうかよろしくお願いいたします。






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