
『コウノトリが飛ぶ島国で、この部屋で』は、札幌を舞台にした作品です。
自治体には、妊娠・出産、そして子育てを支える様々な支援制度がありますが、「札幌にはどんな制度があるんだろう?」「どんなところに課題があるのかな?」と調べてみても、いまひとつピンとこなくて…。
それなら直接、札幌市の方にお話を聞いてみよう!ということで、稽古が始まる前の2025年3月に、「札幌市子ども未来局 子育て支援部 子育て支援推進担当課」の方をお招きし、「子育て家庭の現状と子育て支援の必要性」についての出前講座を開いていただきました。
<出前講座の主な内容>
○子育て家庭の現状
○札幌市・子育て世帯を対象としたニーズ調査より
○子育て支援の必要性
○札幌市の相談機関や子育て支援サービスについて
ここで、私が特に印象的だったことを2つ、ご紹介させてください。
ひとつめ:子育ての主な担い手について
札幌市のニーズ調査の中で紹介されていた「子育ての主な担い手」の割合に、私は衝撃を受けました。
「父母ともに」…… 52.6%
「主に母親」…… 46.7%
「主に父親」…… 0.2%
これを見たとき、私は女性ということもあって、思わず「やっぱり女性の負担が多いんじゃん…!」と感じてしまいました。
個人的な経験ですが、ある会でこの舞台の話をしたときのこと。
「妊娠・出産・育児」をテーマにした作品をつくっていると話すと、ある男性が笑いながら少しふざけた様子で、「おれ妊娠も出産もできないけど、見に行っていいの?」と聞いてきたんです。私は、「当たり前じゃないですか!だって子どもの半分は男性の遺伝子ですよ!」と返したら、「確かに!」と笑ってくれました。その場は和やかになりましたが、私はそのやり取りの裏にある“子育てに対する男性の関わりの薄さ”や“意識のズレ”に、少し悲しさを覚えました。
ふたつめ:子育ての楽しさと大変さについて
同じく札幌市の調査で紹介されていた「子育ての楽しさ・大変さ」に関するデータも、とても印象的でした。
「どちらかといえば楽しさの方が多い」…… 32.9%
「楽しさの方が多い」…… 27.7%
「どちらかといえば大変さの方が多い」…… 8.7%
「大変さの方が多い」…… 2.3%
出前講座を受けるまでは、私は「子育て=大変」というイメージを持っている人が多いと思っていました。もちろん、大変なこともたくさんあると思いますが、それを上回る“楽しさ”を感じている人が多いということに驚きました。
SNSなどを見ていても、「子育ての大変さ」「苦労」「どうしたらいいか」についての発信はよく見かけますが、「子育ての楽しさ」「喜び」は、意識して探さないとあまり出会えないように感じます。
これはなぜなんだろう? どうしてこうなっているんだろう?
そんな疑問の中に、いまの社会のあり方や、解決のヒントが隠れているのかもしれません。
この出前講座で感じたこと、そして札幌の制度や現状については、きっと作品の中でもたくさん登場すると思います。
制度そのものだけでなく、それを「使う人たちの実情」まで描いていけたらと考えています。
皆さんの住んでいる地域には、どんな制度がありますか?
よかったら、ぜひ教えてください。




