プロジェクトの実行者について
私は大場六夫といいます。教育者として40年以上の経験を重ねる中で、横ならびの授業、そして発達に課題のある子どもに対する画一化された指導に対し、疑問を感じられるようになりました。その上で、子どもたちが個々に持つ「想像する力」が発揮されていない現実を目の当たりにして来ました。これから生きて行く子どもたちにとって何が正しい指導であり、支援なのかを考えた時、技術や知識だけでなく「想像的な思考」を育むことが重要だと考えるようになりました。これ考えとこれまでの経験を活かし、子どもたちの想像力を育むためのプロジェクトを立ち上げることにしました。
このプロジェクトで実現したいこと
子どもたちの「人としての成長」は、“想像する力”から始まる。
私はそう確信しています。
これからの時代を生きる子どもたちは、きっとさまざまな課題や困難に直面するでしょう。でも、想像力があれば、今、目の前にある現実を乗り越え、新しいアイデアや道を生み出していくことができます。
この「想像する力」は、ただ知識や技術を覚えるだけでは育ちません。自分の内側から感じ、考え、思い描いたことを表現する——そんな体験の中でこそ、自然と育まれていくのです。
だからこそ私は、絵を“上手に描く”ことを目指すのではなく、子どもたち一人ひとりの内にあるイメージや思いを引き出し、広げていく美術教育を大切にしています。
この秋、大阪にそうした想像力を育む新しい拠点をオープンします。
子どもたちが自由に心を動かし、自分だけの表現と出会える場所。そんな空間を通して、未来を切り拓く力を育てていきたいと願っています。
プロジェクト立ち上げの背景
私たちが生きる現代は、変化のスピードが非常に速く、子どもたちが将来直面する課題も多様化しています。従来の教育では十分に対応しきれない場面が増えている中で、想像力の重要性を改めて感じました。想像力は、未知への挑戦を可能にし、創造的な解決策を生み出す源です。このプロジェクトを通じて、子どもたちが持つ無限の可能性を引き出し、未来への自信を育むことを目指します。
これまでの活動と準備状況
これまで地域の教育プログラムや放課後等デイサービスやフリースクールに参加し、子どもたちと一緒に創造的なプロジェクトに取り組んできました。そうした活動を通じて、子どもたちの想像力を引き出すための効果的なアプローチを数多く学びました。現在は、教育を専門として(大学の教育学部講師)や作品展をはじめ、さまざまな活動などカリキュラム開発を進めており、より充実した学びの場を提供できるよう準備を進めています。
リターンについて
子どもたちの描いた作品でオリジナルグッズ(缶バッチ)を提供します。
スケジュール
9月 クラウドファンディング終了
10月上旬 広報開始
2025年10月 教室オープン
2025年12月 リターン発送
最後に
このプロジェクトは、これからの時代を生きる子どもたちにとって欠かせない「想像する力」を育むための大切な一歩です。皆様からのご支援は、子どもたちが困難を乗り越え、自らの可能性を切り拓く力となります。共に、希望に満ちた未来を築いていきましょう。温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。
最新の活動報告
もっと見る
廃材を活用した造形活動による美術教育導入の試み
2025/06/29 19:53抵抗感のある幼児へのアプローチとしての制作活動の意義1. はじめに美術教育の初期段階においては、一般的に描画活動が導入されることが多い。しかし、すべての子どもが初めから自由に絵を描くことに親しみを持てる訳ではない。特に、描くことに対して不安や抵抗を示す幼児にとっては、描画という手段が自己表現の障壁となることがある(小野, 2012)。本研究では、廃材を用いた造形活動を美術教育の導入部門として位置づけ、形あるモノづくりを通じて想像力や思考力を育み、描画活動へと自然に移行する可能性を検討する。2. 活動の概要と方法本活動は、これまで美術教育に馴染めない子どもを対象とした美術教育の導入段階として行った。使用する材料は、段ボール、紙筒、お菓子のパッケージなどの廃材である。子どもたちはこれらの素材を自由に選び、接着、切断、装飾といった工程を通じて、自身の思い描く「カタチ」を創造した。活動では以下の観点に注目した。•素材との関わりから生まれる発想の広がり。•組み合わせや構造を考える際の思考の深まり。•作品完成後の自己表現の満足感と次なる創作意欲へのつながり。3. 考察3.1 形あるものから入ることで広がる想像の世界幼児にとって、見たり触ったりできる具体的な素材は、抽象的な描画よりも親しみやすい傾向がある(高橋, 2018)。廃材を用いた活動では、子どもたちは「何に見えるか」「何が作れるか」といった問いを自然に立て、自らの経験や空想と結びつけて新たなイメージを生み出す。このプロセスは、想像の出発点として非常に有効である。3.2 思考のプロセスと構造的理解廃材を組み合わせるためには、素材の特性を理解し、構造的に安定する方法を考える必要がある。これにより、子どもたちは試行錯誤を通じて論理的思考力や問題解決力を働かせる場面が多く見られた(文部科学省, 2020)。3.3 美術への抵抗感を和らげる「ものづくり」からの導入描画に抵抗のある子どもにとって、形ある「作品」を生み出すことで得られる達成感は、自己肯定感や表現への自信を育てる土台となる。4. 結論廃材を用いた造形活動は、美術教育の導入部門として非常に有効であると考えられる。特に描画活動に抵抗を感じる子どもにとって、具体的な素材を通じて「作る」体験は、想像力と思考力を引き出し、美術活動全体への関心と意欲を高める契機となる。本取り組みは、今後の美術教育における導入方法の多様性を示唆するものであり、より広範な実践と検証が求められる。参考文献•小野啓子(2012)『子どもの表現活動とその支援』萌文書林•高橋伸子(2018)『遊びと造形の保育学』光生館•文部科学省(2020)『幼稚園教育要領解説』文部科学省 もっと見る
美術教育は、子どもにとって社会にとって必要不可欠です。
2025/06/17 21:49美術教育は、子どもにとって社会にとって必要不可欠です。美術教育による思考力・想像力の発育とそこから生まれる能力の拡散。1. はじめに現代社会においては、単なる知識の習得にとどまらず、自ら思考し、他者と協働しながら創造的に問題を解決する能力が重視されている。そのような背景の中で、美術教育は、知的発達や情緒的成長を支える教育的手段として再評価されている。特に幼児期から児童期における美術教育は、思考力と想像力の発育に寄与し、それが他の学問領域や社会的スキルへと拡散していく可能性を秘めている。本稿では、美術教育が子どもの思考力・想像力に与える影響を考察し、そこから波及する能力の多面的発展について論じる。2. 美術教育における思考力と想像力の定義。美術教育における「思考力」とは、観察・分析・構成・判断といった認知的プロセスを含むものであり、素材や技法に対する試行錯誤を通して養われる能力である。一方、「想像力」は、実際には存在しないものを心の中に思い描く力であり、感情や経験を基に新たなイメージを創出する創造的活動の根幹をなす。3. 美術教育の実践による認知発達への影響。研究によれば、造形活動を通じて子どもたちは空間認識力、因果関係の理解、問題解決能力といった認知的スキルを自然に身につけていく(Gardner, 1980)。例えば、一枚の絵を構成する過程では、「何をどこに描くか」「どの色を選ぶか」など、連続的な判断が求められる。また、制作中の失敗や偶然の結果を受け入れ、新たな表現へとつなげる柔軟性も涵養される。4. 想像力の育成と自己表現の深化。想像力の育成は、美術における最も根源的な営為である。子どもたちは、自己の内面にある物語や感情を可視化することで、自己理解を深め、他者との関係においても共感的理解を得る手段を獲得する。これは、いわゆる「非認知能力(non-cognitive skills)」の発展とも密接に関係している。想像力を媒介にした自己表現の過程は、情緒の安定、自己効力感の向上にも寄与する(Eisner, 2002)。5. 能力の拡散と多領域への波及効果。美術教育を通じて育まれた思考力・想像力は、美術の枠を超えて、他領域の学習や生活においても応用される。たとえば、STEM分野における創造的問題解決能力、言語表現における比喩的思考、対人関係における共感的理解力などが挙げられる。また、複数の選択肢を評価し、自分なりの解決策を導くプロセスは、意思決定能力やメタ認知の発達にもつながる。6. まとめ。美術教育は、単なる作品制作の場にとどまらず、子どもたちの思考と想像の発育を支える重要な教育実践である。そしてそれは、創造性や自己表現力といった能力を中核としながら、社会的・認知的・情緒的な多様な力へと拡散していく。今後の教育においては、美術教育を中核に据えた包括的な育成観が一層求められるだろう。参考文献•Gardner, H. (1980). Artful Scribbles: The Significance of Children’s Drawings. Basic Books.•Eisner, E. W. (2002). The Arts and the Creation of Mind. Yale University Press. もっと見る
子どもたちの美術教育
2025/06/15 20:05子どもたちの美術教育:思考の発達からなる心の教育とは子どもたちの美術教育は、単なる技術習得にとどまらず、内面的な心の育成や思考の発達に密接に関係している。近年、非認知能力(自己制御、共感性、創造性など)が子どもの将来的な幸福感や社会的成功に大きな影響を与えることが明らかにされ(Heckman, 2006)、美術を通じた教育実践は、その発達において重要な役割を果たすと考えられている。美術活動において、子どもは自分の感情や考えを形にし、他者と共有する経験を積む。このプロセスは、自己理解や他者理解を深める上で非常に有効であり、子どもの内面世界の拡張に寄与する(岡田, 2012)。また、創作における試行錯誤や問題解決の過程は、論理的思考と直感的判断のバランスを育む機会ともなる。心理学者ヴィゴツキー(Vygotsky, 1978)は、子どもの発達は社会的相互作用の中で行われると述べたが、美術の場もまた、子どもが他者と関わりながら思考を深める空間である。大人の適切な支援(スキャフォルディング)によって、子どもは自己表現を通じて、より高次の認知的・情緒的な発達を遂げる。さらに、美術教育では「正解がない」という前提のもと、子ども自身の価値判断や創造的選択が重視される。このような環境は、自己効力感(Bandura, 1997)や自己肯定感を育てるための土壌となる。結論として、美術教育は、思考の発達と心の教育を同時に促進する実践である。表現することそのものが、子どもの心を育て、他者と共に生きる力を養う道筋となる。今後も、芸術を介した教育の意義を再確認し、その理論的裏付けと実践の両面からさらなる発展が望まれる。参考文献Bandura, A. (1997). *Self-efficacy: The exercise of control*. New York: Freeman.Heckman, J. J. (2006). Skill formation and the economics of investing in disadvantaged children. *Science*, 312(5782), 1900–1902.Vygotsky, L. S. (1978). *Mind in society: The development of higher psychological processes*. Harvard University Press.岡田, 章. (2012).『子どもの表現と心の発達』. ミネルヴァ書房.3件以上 もっと見る





コメント
もっと見る