
映画で紹介した瞽女唄の現代語訳です。萱森直子先生が、劇中瞽女唄を監修してくれました。
【かわいがらんせ(門付け唄)】
千余かようても 会われぬ時は
ご門とびらにそりゃ文を書く
何度通っても愛しいあなたに会えない時は
あなたの家の門の扉に手紙を書きます
ご門とびらに文書くときは
硯水やらそりゃ涙やら
家の門の扉に手紙を書く時は
硯に入れて使う水か、涙かわからないほど涙が溢れます
解説)門付け唄とは、瞽女さんたちの演奏会開催を各家々に伝えるときの唄です。玄関前で唄い、人々はお米をお礼に瞽女さんに渡します。

【山椒太夫(さんしょうだゆう)】
もやいをすっぱと切り離し 腕に任せて漕ぎ出だす
二隻の船を繋いでいた網を切り離し、腕に任せて漕ぎ始める
舟は左右にわかれける みだいはハッと驚いて
二隻の舟は左右に分かれて行く 母・奥方はハッと驚いて
これのいかに舟おさどの あの兄弟の乗る船と
何が起きたのですか、船長どの。我が子達が乗るあの船と
わらわが乗りしこの舟と 一つ港につく舟が
私たちが乗るこの船と、一つの港に着くはずの船が
なぜに左右にわかれます あの舟これへ
なぜ左右に別れてしまうのでしょうか
あの船をこちらに来させて下さい!
この舟をあれへとはせらるる それでも末には舟おさどの
この船をあちらにいかせて下さい! と叫びます。
それでも最後は一緒になれるのですか?船長どの
何思いけんうばたけが うきなをふって涙を払い
どうしたわけか乳母のたけが、身を震わせ、涙を払って
申しおみだいさま 三代そうおんのご主人様と
申し上げます奥様3代に渡りご恩を受けてきたご主人様と
佐渡島へ買い取られ 朋輩の身となりて
佐渡島へ身を売られて、身分の低い私と同じ身分になってしまって
朝夕ご苦労ご難儀あそばすをみていまするもほうならず
朝も夜も苦労され、大変な思いをなさっているのを傍で拝見していることは、ご奉公になりません
長のおいとまたまわれと直江(なおえ)が肩を張ったと睨み
永遠のお別れをすることをお許し下さいませ と直江方向を強く睨んで
おんのれにっくき山岡太夫権当(ごんとう)め
「おのれ、憎き山岡太夫権当め」
よくも我々四人を騙しおって!
よくも我々四人を騙しおって!
女でこそあれ このうばたけが今にも思いしらせんと
たとえ女であろうとこの乳母たけが今にも思いしらせんと
はったとにらんだ有様は 身の毛もよだつばかりなり
強く睨むその姿は身の毛がよだつほど恐ろしい

【しげさ節】
夕べ夢見たなんと見た
ゆうべ夢を見ました どんな夢だったかというと
白い 白い野鼠が
白い白い野鼠が
黄金の大餅引くとみた
金色の大きな餅を引いていくのを見たよ
解説)瞽女さんは盲目でしたが、瞽女唄には、色彩表現が多くあります。瞽女さんがくる家には蚕がよく育つ。縁起が良いとされていました







