はじめに
「いま・わ・ぎんざ」展
100年前、銀座を歩き、人々の暮らしを観察し続けた学者・今和次郎。
今和次郎が提唱・実践した「考現学」から着想を得て、私たちは再び、現代の銀座を見つめ直します。
2025年9月、私たち早稲田大学社会科学部空間映像研究ゼミナールは、東京・銀座にて「考現学」の視点から現代の街と人々の様子を記録・分析したプロジェクトの展示会を開催します。
本企画は、1925年に今和次郎らが実施した「東京銀座街風俗記録」からちょうど100年の節目を迎えることを記念し、100年前の銀座と現代の銀座を比較するかたちで、街の変遷や人々の営みに光を当てるものです。
人々の目線から路地裏に貼られているステッカー、歩行者天国の人の流れや手にしたショッピングバッグまで、日常のなかにひそむ「都市の表情」を丁寧にすくい取り、「今」を記録し、伝えていきます。
この展示は、都市のあり方を再考する機会であると同時に、銀座で暮らし、働き、訪れるすべての人々と街とのつながりを再発見する場でもあります。どうか私たちの挑戦に、ご支援をお願いいたします。
会期:9月3日から9月7日
会場:Gallery WABI
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目11-5
時間:10:00~19:00 (最終日は16:30まで)
入場料:無料
主催:早稲田大学社会科学部空間映像研究ゼミナール
私たち(空間映像研究ゼミナール)について
はじめまして。私たちは、早稲田大学社会科学部 空間映像研究ゼミナールです。
本ゼミナールは、都市や生活空間を対象に、写真や映像といった表現手法を用いた調査研究を行っています。
2年生は「毎日写真」という活動に取り組み、日々10枚以上の写真を撮影・収集・分類することで、自分の興味や視点の向かう先を写真を通して探ります。
毎年多くの写真が集まります
3年生は「東京プロジェクト」と題し、東京を舞台とした共同研究を進め、4年生は卒業研究に向けた個別研究を行っています。
私たち15期生は現在4年生ですが、3年次から取り組んでいる「東京プロジェクト」を継続し、銀座をフィールドに調査を続けてきました。
コロナ禍により、ゼミの共同研究である東京プロジェクトは一時中断を余儀なくされました。しかし、私たちの代で再びこのプロジェクトを本格的に復活させ、銀座を舞台とした調査・展示に取り組んでいます。
2025年2月には、六本木AXISギャラリーで展示を開催し、多くの方々にご来場いただきました。
2月に六本木AXISギャラリーで展示を行った際の様子
銀座と深く関わる方々とお話しすることもできました
そして今、銀座での集大成となる展示に向けて、私たちは新たな挑戦に踏み出そうとしています。
「いま・わ・ぎんざ」展
私たちは、2025年9月3日から7日まで、銀座にあるギャラリーWABIにて展示会を開催します。この展示は、単なる作品発表ではなく、「現代の銀座を100年後に残す」という強い想いから生まれたプロジェクトです。
2025年2月、六本木で行った展示を通じて、銀座にゆかりのある方々から「ぜひこの展示を銀座の人たちに届けてほしい」と温かい言葉をいただきました。その言葉を受けて、私たちは今回の銀座での実現を決意しました。
私たち空間映像研究ゼミナールは、都市や生活空間を写真・映像・地図・データなど、さまざまな表現手法で記録・分析する活動を行っています。今回は、ショッピングバッグ、服装、視線の動き、ステッカー、たばこの吸い殻、カラーコーン、レシートなど――街に散らばる何気ない痕跡に注目し、それらを「考現学」の視点で丁寧に記録してきました。
これらの記録は、冊子の形としてもまとめます。この冊子は、展示を見た方々にとっても、遠方で足を運べない方々にとっても、銀座という都市の"今"を手に取れるかたちで残す試みです。今和次郎の『考現学』の装丁は大変特徴的でしたが、クラウドファンディングのリターン品としては、この冊子の特装版として、ハードカバーの装丁を施した冊子を準備いたします。
本展示は、銀座で働き、暮らす方々のお話を伺いたいのはもちろんのこと、その他にも、都市を研究する人、フィールドワークをする学生、自分の街を見つめ直したいすべての人へ“街を記録する”という行為の意味や面白さ、そして時代を超えて伝えていく意味を、少しでも多くの方と共有したいと考えています。
100年前、今和次郎が当時の銀座を克明に記録してくれたおかげで、私たちは「過去の街」を知り、「過去の人々」と向き合うことができます。ならば今、私たちが未来の誰かのために記録を残す番です。
展示・冊子の内容について
本展示および冊子では、私たちが2024年度から継続して調査してきた「現代の銀座」の姿を、多角的かつ考現学的な視点から記録・可視化しています。写真・映像・データ・地図など多様な手法を用いて、人々の暮らしや街の痕跡に焦点を当て、100年後にも残る「今」を描き出します。
1|ショッピングバッグの記録
銀座1丁目から8丁目を実際に歩き、すれ違う人々の手にあるショッピングバッグを一つひとつ記録しました。ブランドの傾向や、インバウンド(訪日観光客)と日本人の持ち物の違いなどから、銀座ならではの“買い物文化”の断片を抽出し、実物展示・グラフ・分析を通して考現学的に読み解きます。
2|服装の記録
通行人の服装を、曜日や時間帯、場所ごとに観察・分類。色や形、アイテム構成から、街に流れる季節感や文化の空気を、マネキン展示や図解で立体的に再現します。
3|歩行者の振る舞い
人は銀座のどこを歩き、何を見つめているのか。歩行者の歩く位置や視線の向きに注目し、動画を用いて記録・分析を行いました。今和次郎が残した銀座の歩行者観察と比較しながら、100年を経た「歩き方」の変化や共通点にも迫ります。
4|ステッカー・レシート・吸い殻・カラーコーンの調査
路上に現われては消える“モノ”は、現在の都市の姿のディテールです。道路付属物や建物に貼られたステッカー、路上に落ちている捨てられたレシート、喫煙所ではないところに集積しているタバコの吸い殻、そして銀座の路上を彩るカラーコーンを追いかけ、地図上に記述しました。
5|銀座にまつわるエッセイ
ゼミ生それぞれが、銀座での調査や体験をもとに綴ったエッセイも収録。都市と人との関係を内面から問い直す、個人的でありながら普遍的な視点をお楽しみいただけます。
※ここでご紹介しているのは展示・冊子内容の一部にすぎません。実際の展示・冊子では、さらに多様な視点と発見を詰め込んだコンテンツをご覧いただけます。
都市を見つめ、記録し、共有する。それが、100年前の考現学に応答しながら、今を生きる私たちが“銀座の今”に挑むかたちです。
リターンについて
ご支援いただいた皆さまには、9月の展示会で発表する内容を包括的にまとめた特製冊子を中心に、本プロジェクトならではのリターンをご用意しています。
たとえば──
調査・展示の記録を丁寧にまとめた冊子(特装版)
調査対象である「銀座の街」の視点をデザインに落とし込んだオリジナルTシャツ
空間映像研究ゼミナールオリジナルアクリルスタンド
ご支援者様として、冊子や会場展示にお名前をクレジット記載
など、プロジェクトの世界観を楽しみながら、実際に記録の一部を“持ち帰っていただける”ような内容を揃えています。
都市を見つめ、形に残すという私たちの挑戦を、ぜひリターンを通じて体感してください。



コース内容
①1000円コース
クレジット表記*・展示会アーカイブ動画・お礼のメール
②3000円コース
クレジット表記*・展示会アーカイブ動画・お礼のメール・オリジナルステッカー
③5000円コース
クラウドファンディング限定ハードカバー付きコンセプトブック・クレジット表記*・展示会アーカイブ動画・お礼のメール・オリジナルステッカー
④10000円コース
クラウドファンディング限定ハードカバー付きコンセプトブック・オリジナルアクリルスタンド・クレジット表記*・展示会アーカイブ動画・お礼のメール・オリジナルステッカー
⑤12000円コース
クラウドファンディング限定ハードカバー付きコンセプトブック・オリジナルTシャツ・クレジット表記*・展示会アーカイブ動画・お礼のメール・オリジナルステッカー
⑥15000円コース
クラウドファンディング限定ハードカバー付きコンセプトブック・オリジナルTシャツ・オリジナルアクリスタンド・クレジット表記*・展示会アーカイブ動画・お礼のメール・オリジナルステッカー
*会場内のクレジット表記は9月2日までにご支援いただいた方が対象です。冊子内に同封するクレジットにはご支援いただいたすべての方の名前を記載させていただきます。
※クレジットに関して、匿名希望の方は備考欄に「匿名希望」とご記載ください
使い道
今回、皆さまからご支援いただいた資金は、展示会の開催および記録冊子の制作にあたって、以下の費用に充てさせていただきます。
会場費(ギャラリーWABI 5日間):346,500円
冊子印刷費:約100,000円
リターン発送のための送料:20,800円
特に、調査研究の内容を冊子として残すことは、このプロジェクトの核でもあります。いただいたご支援は、未来に記録を届けるための大切な一助となります。
何卒ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
※より詳細な出費に関しては、リターン品とあわせて会計報告として共有させていただく予定です。
本プロジェクトの透明性を大切にしながら、責任を持って活用させていただきます。
スケジュール
簡単にではありますが、本プロジェクトのスケジュールをご紹介します。
9月3日~9月7日 Wabiにて展示会開催
9月7日 クラウドファンディング終了
9月中旬以降 リターン品順次発送開始
教員からの挨拶
空間映像研究ゼミナール教員の佐藤洋一です。
銀座で調査をすると決めた昨年の夏頃からゼミ生たちは銀座に通い始めました。今和次郎先生の100年前の「銀座風俗調査」の紹介をしたところ、思った以上に素直に共感が得られたことに驚きました。ゼミ生たちは、ある時は大人数で、ある時は単独で、街の中に入り込みました。そして、回を重ねるごとに、街の微細な表情を捉えることに面白さに目覚め始めました。その面白さに素直に従いながらさらに調査を重ね、今日に至ったことに驚いています。
私自身、今和次郎先生とは曽孫弟子のような間柄にあり、学生時代から折に触れて、今先生のお名前は耳にしてきました。また80年代の都市論・東京論の隆盛を背景に、考現学から路上観察学へと至る系譜には大きな影響を受けてきました。90年代半ばに建築学科の助手をやっていた頃、同窓会誌の企画で今和次郎先生のアルバムを紐解いて紹介する機会があり、今先生について深く知るきっかけになりました。街に身体一つで向かっていくこと、徹底して記録を取ること、それを魅力的にヴィジュアライズしていくことなど、深い共感と敬意を抱いてきました。そうした思いを学生たちが共有し、銀座の現在を記録する機会を作ることができたことを、教員として大変幸運なことだと感じています。
100年前の調査を下敷きにしつつも、街の様子も人の装いもあまりにも違いがあることは事実です。ものすごい人数の人波をかき分けながら行うゼミ生たちの行動はなかなか凄まじいものがあり、かなり試行錯誤をしながら、調査を進め、記録をして行きました。その過程では今先生たちは使わなかった写真や映像も多用しており、それは展示の内容にもふんだんに盛り込まれています。
「100年後にも参照されうる調査をしよう」というのがゼミ生たちの合言葉でしたが、そのためには形に残す必要があります。今回ゼミ生たちが、傍らで就職活動をしつつも、クラウドファンディングに挑んでいるのは、形に残すための手持ちの資金が足りないということです。ゼミ生たちも世代的には完全にデジタルネイティブですが、残すためには、最も時を超えてくれるメディアの形として、「本にするべきだ」という認識は全員一致でした。冊子に綴じ込みたいのは、現在の銀座を示す情報だけではなく、それが継続していく時間です。100年後に開かれるページを、みなさんとともに作りたいと思います。
本の形にするには、どうしても資金が必要であり、そのために御援助をお願いさせていただく次第です。もちろん100年後にも残るに足るような、内容と方法と形式を備えるためのハードルが高いことは皆自覚しています。さらにクラウドファンディングによる援助をお願いすることの責任感も感じています。
ゼミ生と教員とで一歩、大きな階段をよじ登る気持ちでおります。都市の現在を記録するという行為を通じて、色々なつながりを作り、さらに時を超えたつながりへと展開できればこれに勝るよろこびはありません。どうかこの挑戦を、皆さんにぜひ支えていただけたら幸いに存じます。
最後に
展示会は、私たちにとって、日々大学内で行っている研究や探究を社会へ開く、貴重な機会です。身近でありながら、日常の中ではあまり深く考えられない「都市」や「生活空間」を見つめる視点に対して、来場者の皆さまからいただく感想やご意見は、私たちにとって何よりの学びであり、大きな励みとなっています。
今回は、100年前の記録に応答するかたちで、“今の銀座”を冊子として100年後に残すという挑戦にも取り組みます。
都市を見つめ、記録し、共有するこのプロジェクトが、誰かの視点を広げ、新たな気づきのきっかけになることを願っています。
私たちの思いに共感していただけましたら、どうか温かいご支援をよろしくお願いいたします。
最新の活動報告
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【目標金額達成と展示会終了のお知らせ】
2025/09/09 09:00こんにちは。 「いま・わ・ぎんざ」プロジェクトチームです。この度、無事に5日間の展示を終えると同時に、クラウドファンディングでは目標金額を大きく上回るご支援をいただき、プロジェクトを締めくくることができました。ご支援くださった皆さまをはじめ、ご来場いただいたすべての方々に心よりお礼申し上げます。展示会では、銀座の内外からいらした多くの方々と直接お話しすることができ、私たち学生にとっても大きな学びと刺激の場となりました。今和次郎による調査から100周年を迎える今年に向けて、約1年前から調査を進めてまいりましたが、その過程でも多くの方々に支えていただき、このような形で締めくくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。今後、私たちは就職や大学院進学など、それぞれ異なる道へと進みますが、このプロジェクトを通じて得られた経験や繋がりは、必ず今後の糧になると確信しております。さて、銀座での展示を終えた私たちは、11月には早稲田祭、来年2月には浜町の好文画廊にて新たな展示を予定しております。お時間のある方はぜひご来場ください。詳細や最新の情報は、ゼミ公式インスタグラムにて随時発信してまいりますので、ぜひフォローをお願いいたします。公式インスタグラムはこちらまた、現在リターン品や報告書の準備を進めており、10月より順次発送を予定しております。お手元に届くまで、今しばらくお待ちいただければ幸いです。改めまして、本プロジェクトに関わってくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。早稲田大学社会科学部空間映像研究ゼミナール 4年 岩渕威秀 久保田晃充 大村千咲 古屋乃亜教員 佐藤洋一 もっと見る
【展示に向けて準備中】京都合宿にて
2025/08/27 09:00みなさんこんにちは!「いま・わ・ぎんざ展」プロジェクトチームです。8月19日〜22日、私たちはゼミの京都合宿に参加しました。現地在住の方々に街を案内していただいたり、発表を行ったりと、京都の魅力をたっぷり満喫することができました!合宿の合間には、展示に向けた準備作業にも取り組みました。冊子や返礼品の制作も着々と進んでいます!今回はその様子を、作業風景とあわせてお届けします!プロジェクトチーム作業風景引き続き準備を進めてまいりますので、応援のほどよろしくお願いいたします! もっと見る




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