はじめまして、「森のビュッフェ」プロジェクトの経緯についてご説明させていただきます。
私は10年間、週末になると地元の山に入り、荒れた森を再生するボランティアを続けてきました。そこで目の当たりにしたのは、痩せ細り、毛並みを失った野生動物たちの姿でした。
ある秋の日、山道で一体の子グマの亡骸を見つけました。骨と皮ばかりに痩せこけた体には、外傷一つありません。「この子は、お腹が空いて死んだんだ」。衝撃と同時に、どうしようもない無力感に襲われました。
このままではいけない。専門家や仲間と語り合う中で、「私たち人間にできることがあるはずだ」という想いが強まりました。私たちのチームは、私のような市民ボランティア、野生動物の生態を研究する学生さん、そして地元の猟師さんまで、多様なメンバーで構成されています。立場は違えど**「捕殺に頼らない、共存の道を探したい」**という想いは一つです。
このプロジェクトで実現したいこと
私たちは、「緊急対策」と「根本対策」の二段構えで、クマと人の悲しい衝突をゼロにすることを目指します。
【緊急対策】 森のビュッフェの設置まず、この窮地を乗り切るための緊急措置として、日本各地を回り人里から離れた奥山に、クマが安心して食料を得られる**「森のビュッフェ」**を設置します。これは単なる餌付けではありません。専門家の指導のもと、クマが人や人の食べ物に依存しないよう、場所・時期・方法を厳格に管理して行います。あなたの支援で集まったドングリやクルミが、飢えたクマの命をつなぎ、人里への出没を防ぐ防波堤になります。
【根本対策】 人とクマが共存できる環境づくり長期的には、クマが人里に頼らずとも生きていける環境を取り戻します。地域の方々と協力して、放置された果樹を収穫したり、クマの隠れ家となる藪を刈ったりする**「棲み分け活動」。そして、未来のクマたちのために、ドングリが実る広葉樹を植える「森の再生」**にも取り組みます。
プロジェクト立ち上げの背景
「クマが出た、怖い、駆除せよ」というニュースを見るたび、胸が痛みます。しかし、クマは本当に「悪者」なのでしょうか。
彼らの棲む森は、戦後の拡大造林でスギやヒノキばかりの「緑の砂漠」と化し、近年のナラ枯れが追い打ちをかけて、食べ物がほとんどない状態です。お腹を空かせた母親グマが、必死の思いで子どものために食べ物を探し、人里に迷い込んでしまう。それが、多くの悲劇の始まりです。
この問題の根っこは、私たち人間が森のバランスを崩してしまったことにあります。ならば、そのバランスを取り戻す努力をするのも、私たちの責任ではないでしょうか。「怖いから駆除」という対症療法ではなく、**「森が豊かになれば、クマは山から出てこない」**という根本原因にアプローチしたい。その想いが、このプロジェクトの原点です。
これまでの活動と準備状況
私たちはこの1年間、プロジェクト実現のために奔走してきました。
専門家との連携: クマ生態学専門家の監修のもと、クマの行動ルートを分析し、「森のビュッフェ」を設置すべきポイントを絞り込みました。また、自然の動物たちに余計なストレスをかけないような活動内容を計画しました。
地域との対話: 地元の町内会で説明会を5回実施。最初は「餌付けなんてとんでもない」と反対していた住民の方も、私たちの計画(棲み分けとのセット)を丁寧に説明するうちに、「それなら協力するよ」と、今では心強いパートナーになってくださいました。
『森のビュッフェ』メニューと提供方法のプラン
コンセプト:【クマ本来の食生活を再現する、安全で栄養価の高い自然食ビュッフェ】
目的:
緊急的な栄養補給: 特に冬眠前のエネルギー蓄積が必要な時期に、飢餓状態を防ぐ。
人里への誘引防止: 人里の果樹やゴミよりも魅力的な食料を山奥で提供し、出没を抑制する。
人への依存回避: 人間の食べ物の味を覚えさせず、野生の食性を維持させる。
1. ビュッフェの主食(メインディッシュ):【高カロリー堅果類】
クマが冬眠前に最も必要とするのは、脂肪を蓄えるための高カロリーな木の実です。
-
ドングリ類(クヌギ、コナラ、ミズナラなど):
特徴: クマの伝統的な主食。脂質と炭水化物が豊富で、冬眠前のエネルギー源として最適。
調達方法: クラウドファンディング、協力団体からの収集。
ポイント: カビや腐敗を防ぐため、よく乾燥させてから提供する。
-
クルミ(オニグルミなど):
特徴: ドングリ以上に脂質が豊富で、非常に栄養価が高い。硬い殻を割る行動は、クマの知的好奇心も満たす。
調達方法: 地域の農家から規格外品を安価で譲ってもらう、あるいは協力者から収集。
-
クリ:
特徴: 炭水化物が豊富で、クマの大好物。甘みがあり嗜好性が高い。
注意点: 糖分が多いため、与えすぎに注意し、他の堅果類と混ぜて提供する。
2. 旬の副菜(サイドディッシュ):【季節の自然果実】
堅果類が少ない時期や、栄養バランスを補うために提供します。
-
柿(渋柿・甘柿問わず):
特徴: クマを人里に引き寄せる最大の要因の一つ。これを山奥で提供することで、人里への執着を断つ効果が期待できる。
調達方法: 地域住民と協力し、放置された「なりっ放し」の柿を収穫して活用(棲み分け活動と連動)。
-
リンゴ、ナシなど:
特徴: 栄養価が高く、嗜好性も良い。
調達方法: 地元の農園から、傷がついたり形が不揃いな規格外品を安価で仕入れる。地域経済への貢献にも繋がる。
提供方法とルール(ビュッフェの運営方針)
-
【場所】安全な距離の確保:
人里や登山道から最低でも数キロ離れた、クマの生息域の中心部に設置する。
専門家がクマの痕跡(フン、足跡、爪痕など)から行動ルートを特定し、最適な場所を選定する。
-
【方法】自然に近い形で「撒く」:
餌箱や特定の容器に置くと、特定の強い個体が独占したり、人為的な物に慣れすぎたりする危険がある。
そのため、**ポイントを絞りつつ、地面の広範囲にあたかも自然に落ちているかのように撒いて提供します。**これにより、複数のクマが恩恵を受けやすく、探して食べるという本来の採食行動を促す。
-
【モニタリング】効果測定と安全管理:
ビュッフェ地点には自動撮影カメラ(トレイルカメラ)を設置し、どのくらいのクマが利用しているか、他の動物への影響はないかを常に監視する。
資金の使い道
-
地元雇用創出費(棲み分け・森づくり作業):125万円(25%)
内容: 放置柿の収穫、人里周辺の草刈り、植樹作業などを、地域の雇用希望者やボランティアの若者に有償で委託するための費用。クマ対策と地域活性化を両立させる、本プロジェクト最大の柱です。
アピールポイント: 「あなたの支援が、クマの命だけでなく、地域の仕事と未来も作ります!」
-
森のビュッフェ運営費(食料・運搬費):150万円(30%)
内容: ドングリ、クルミ、規格外果実などの購入費、道具費、および山奥への運搬費(車両費、燃料費)。安定した食料供給の基盤となります。
-
リターン製作・発送費:50万円(10%)
内容: テディベアの製作費、絵葉書の印刷費、梱包材、送料など。支援者への感謝を形にするための重要な経費です。
-
調査・広報・運営費:50万円(10%)
内容: 専門家による現地調査・指導への謝礼、効果測定用のトレイルカメラ購入費、通信費など。
クラウドファンディング手数料・システム手数料等:125万円(25%)
なお、本プロジェクトを利用して、プロジェクトオーナーと第三者(支援者を含む)との間の雇用関係を成立させることはございません。
また、プロジェクトオーナー以外の第三者(支援者を含む)が当事者となる雇用関係の成立をあっせんすることもございません。このことは、本プロジェクトのリターンについても同様です。
スケジュール
9月~10月: 本格的な活動の下準備期間 / 地域協力者との最終調整
11月下旬~12月: 第1回「森のビュッフェ」設置 / 棲み分け活動実施
2025年 1月: リターン発送開始
2025年 5月以降: 活動の継続と拡大、定期的なご報告
最後に
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
このプロジェクトは、単にクマを救うだけの活動ではありません。正常で豊かな森を取り戻すことは、私たちの水源を守り、土砂災害を防ぎ、美しい日本の自然を次世代に引き継ぐことにも繋がります。
クマは、森の豊かさを測る「バロメーター」です。彼らが安心して暮らせる森は、きっと、私たち人間にとっても豊かな未来をもたらしてくれるはずです。
できるかできないかではなく、誰かがやらなければ始まらない。どうか、この挑戦の最初の仲間になってください。あなたの温かいご支援を、心よりお待ちしております。






プロジェクト終了後、少しお時間をいただきましたが、本日は皆様にとても前向きなご報告がございます。 1. ご連絡と計画に時間を要した「ポジティブな理由」 今回のクラウドファンディングでは目標金額には届きませんでしたが、「飢えたクマを救いたい」という私たちの決意が揺らぐことはありませんでした。 この間、皆様からお預かりした大切な支援金に加え、「プロジェクト外での追加活動資金(自己資金等)」の調達に奔走しておりました。 当初の支援額のみで実施するよりも規模を拡大し、より確実な対策を行える予算を確保することができました。 この「増額された予算」に基づき、最も効果的にビュッフェを設置するための再編成(場所の選定、物資の配分計画の練り直し)に時間をかけておりました。 お待たせしてしまいましたが、その分、胸を張ってご報告できる体制が整いました。 2. 物資調達完了・すでに活動を開始しています! 再編成した計画に基づき、「森のビュッフェ」特別メニューの物資確保を完了しました。 そして、すでに福島県、滋賀県をはじめとする広域エリアにて、順次現地の調査と「森のビュッフェ」活動を開始しております。 3. 今後のリターンについて 現在進行中の活動の様子を撮影し、当初のお約束通り2025年12月中に皆様のお手元へ活動報告とリターン品をお届けいたします。 単なる「餌やり」ではなく、皆様の想いを乗せた「命をつなぐプロジェクト」として、現場で汗を流してまいります。 寒さが増してまいりましたが、熱い活動報告をお届けできるよう尽力します。 引き続き、応援をよろしくお願いいたします。