はじめまして。哲学クラウド 代表取締役の上館誠也です。
最初に「なぜ哲学で起業したのか」、私の原体験をご紹介いたします。
私が哲学に出会い、生き方が大きく変わった出発点のお話です。

私の出身は山口県下関市です。
少し皆さんを驚かせてしまうかもしれませんが、(旧)統一教会の信者のもとに生まれました。
そして私が生まれ育ったその環境では、一般的には明らかに「おかしい」ことも、当然、宗教内の教えや戒律であれば「疑問」を持つことは許されませんでした。「哲学」はそんな環境の中で自分らしく生きるための道標になったのです。
哲学との出会いを思い返すと小学3年生のときです。初めて好きな同級生ができた私は、その子と席替えで隣の席になれたことに、とてもうきうきしていました。
しかし当時、両親からは「異性と5m以内に近づいてはならない」としつけられ、幼心に自分の純粋な気持ちそのものを否定されたように感じていました。そこで初めて生みの親に強烈な違和感を抱くことになります。当時の私にとっては、あまりに生きづらく、幼心に人生に対して絶望を感じたことを肌身で覚えています。

そこで私を救ってくれたのが哲学だったのです。
当時の私は多くの違和感に答えを見つけようと、小学校の図書館に毎日通い詰め、蔵書を端から端まで読み漁るほど没頭しました。哲学との出会いはそんな読書体験を通じてでした。当然、専門書ではなく、歴史の漫画の本の一部だったと思います。デカルトの「我思うゆえに我あり」だったり、ニーチェの「神は死んだ」などの言葉が、絶対的な「正しさ」から一歩距離をとる勇気を私に与えてくれました。そして、歴史に触れる中で気づいたことがあります。それは時代や環境が変われば、「正しさ」は変わるということです。つまり、今の時代・この場所を生きる自分にとっての答えは自分自身で考える必要がある。言い換えると「自分で考えてもいい」と言う自由だったのです。
そう、私にとって哲学は「自分らしさ」を取り戻し、自由に生きるためのきっかけを与えてくれた学問であり恩人なのです。

※創業時にダイヤモンド・オンライン(旧:DIAMOND SIGNAL)さんに取り上げていただきました。詳しい背景が気になる方はぜひご覧下さい。
一方で、私は両親の生き方を否定しているわけではありません。むしろ愛情を注いで育てていただいたことに感謝しています。父や母にとって必要だった「旧統一教会のモノサシ」が、私には合わなかっただけです。
「自分らしさ」を取り戻した後は多くのチャレンジをすることができました。
立命館大学での学生時代には、英語を学ぶためにフィリピンへ語学留学。
留学先で出会った友人と共に、英単語学習アプリ「mikan」を立ち上げました。

大学を卒業した後はリンクアンドモチベーションやリクルートなどの組織人事コンサルティングを行う会社で働きました。そこでは、組織変革のコンサルティングや新規プロダクトの立ち上げなどのかけがえのない経験を積ませていただきました。
一方で仕事に向き合うなかで、1つの大きなことに気づきます。
それは当たり前を問い直すことができずに「自分らしさ」を抑圧され、生きづらさを感じている人がこの社会に大勢いるということです。
私が哲学によって「自分らしさ」を取り戻せたように、多くの人にもそのきっかけを提供したい。これが起業の出発点でした。


このプロジェクトが掲げている「未来のモノサシ」づくりとは何か?
それは「既存のモノサシ(≒評価基準)」のアップデートに他なりません。
ここからは未来の「教育のモノサシ」と「企業のモノサシ」をアップデートし、それらの挑戦を通してどのように社会の変革を実現することができるのか、私のビジョンと戦略をお伝えします!

文科省によると、小中学校では2000〜2002年度に「総合的な学習の時間」が全面実施され、高校では2022年度から「総合的な探究の時間」が本格導入されました。背景には、偏差値中心の教育が思考力や主体性(自分らしさ)を育みにくいという課題があります。

しかし現状の探究学習は多くの現場で「テーマありき・答えありき・やらされ感」が課題で形式的な活動にとどまっていることが多いです。それは本来の趣旨から離れているのではないでしょうか。
私たちは、「問い」や「対話」を基盤に、好奇心や自分らしさを育むことを促進する新しい教育指標「探究度」を提案します。

与えられた問いに対して解を出す力を測る「偏差値」ではなく、自ら問いを立てる力や考える力、自己省察などのレベルを定義して自分らしさを形づくるための「探究度」を設定。新たな指標に基づいて、偏差値のみにとらわれない学習・探究機会を設けられるようにし、教育を通して自分らしさを発揮する機会を増やします。

さらに社会を大きく変える挑戦は教育現場の変革だけでは終わりません。教育現場における「探究度」や探究度に基づいた探究学習、それらの取り組みによる成果を活かせるように、企業や社会の基準も同時に変えていく必要があります。
次に、「企業のモノサシ」をどのようにアップデートするのか、その方針をご説明します。
※参考:教育向け成果物のイメージ


これまで企業評価の中心だった財務指標は、売上高・利益率など短期的かつ数値化された経済的成果を測るには有効でした。

しかし、企業の組織文化、人材の潜在力、事業の文化的・社会的価値といった数字に表れにくい価値は、大きな可能性を秘めているにもかかわらず評価が難しいという限界があります。
この課題を補う形で、近年はESGに代表される「非財務指標」が広がり、環境・社会・ガバナンスなど持続可能性の観点での評価が進んでいます。
▼非財務指標で評価されている活動の例
・障害のある方が書いたアートをロゴやプロダクトデザインに活用し、新たな活躍の場を創出
・世界中の美術館と連携し文化財を無料でデジタル公開し、「文化アクセスの民主化」へ貢献

しかし現状は、計測しやすい領域から着手する傾向が強く、教育によって「自分らしさ」や探究心、多様な経験に基づく視点を育むことができたとしても、その価値が企業の中では見過ごされ続けるリスクがあります。
また、企業の中にすでに含まれている文化的価値の掘り起こしやその発展についても、現時点ではその価値を測定できないため、今後も本格的に着手できないことが予想されます。

私たちは、これまで培ってきた哲学をビジネスに活かす技術を活用して、こうした見えにくい価値を可視化し、企業評価の新たな軸として統合します。そして、事業の文化的価値や社会的価値などの「非財務指標」と「探究度」の関連を探索し、コンサルティングや対話型ワークショップを通じて指標や言語を社内に根付かせ、「測る」だけではなく「育てられる」状態をつくり、評価と学習のサイクルを回していきます。
※参考:企業向け成果物のイメージ

明治維新以降、日本は「富国強兵」を旗印に、国力と組織の成長を一律のモノサシで測る仕組みを整えてきました。現代ではそれが、教育の「偏差値」や企業の「財務指標」など形を変えて確かに日本を強くしてきたと思います。
一方である尺度による最適化や効率化は、それでは評価できない「自分らしさ」など「見えにくい価値」は取りこぼしてきたのではないでしょうか?
私たちは、教育に「探究度」を、企業にはさらに進化した「非財務指標」を据え、問いと対話、そして哲学が蓄積してきた約2500年の知のアーカイブを活用し、価値の定義そのものを磨き直します。

教育と企業、社会をつなぎ直し、一人ひとりの「らしさ」が活かされ、見えにくい価値も評価され豊かさになる〈富国共創〉へと「社会の変革」を目指します!
この〈富国共創〉とは、富を"競争に勝つ"ことで獲得するパラダイムから“共創により育む”パラダイムへのシフトです。多様な価値が可視化、評価され、交わり合うことで、新たな豊かさが生まれます。
そして、私はこの当たり前が基準ごと変わり、物事の見方をコペルニクス的に転回する変革のことをPX(フィロソフィカル・トランスフォーメーション)と呼びこれから社会実装を推進していきます!
※参考:富国共創のイメージ


私の個人的な挑戦は、いつしか多くの仲間が集うチームの挑戦へと変わりました。東京大学や上智大学に所属する哲学の専門性を持つ仲間と共に、この社会のアップデートに挑みます。

私たちが挑戦を続けるなかでわかってきたことは、人文系の博士人材を活かす場が日本には少ないということです。博士まで修了した彼らは、日本の未来にとって極めて重要なポテンシャルを持っています。それにも関わらず、豊かな才能を持っている人材が職につけず、無給でインターンをしたりアルバイトでなんとか生活を凌いでいる現状があります。

これは「ポスドク問題」とも呼ばれ文科省においても重要な問題として認識されていますが、私たちのチャレンジは彼らの活躍の場を広げる挑戦でもあるのです。
▼東京大学の博士課程に属しながら弊社でインターンをしている李さんのコメント


心強い仲間と共に目指すビジョンですが、夢物語で終わらせるつもりはありません。本気で抜本的な「社会の変革」を目指すなら5年や10年で達成は正直いって難しいでしょう。だからこそ私たちは地に足をつけて、100年間というスケールで、段階的にモノサシをつくり、社会実装していく計画(ロジックモデル)を描いています。

ここで詳細は割愛しますが、100年計画の骨格は博士・研究者の知を社会に接続し、モノサシそのものを更新します。左の資源(ヒト/モノ/カネ)を基盤に、研究・営利・非営利の活動を束ね、中央のアウトプットで「探究 度(教育)と非財務指標(企業)」を定義・測定・可視化します。その「測れる新常識」がアウトカム(初期→中期→長期)へ連鎖し、最終的「教育PX(偏差値→探究度)と企業PX(財務→非財務指標)」が合流して、富国共創という社会インパクトに至ります。

これまで、大手メーカーを中心した日本のエンタープライズ企業に、哲学を活用したご支援をしてまいりました。(弊社 事例noteページ)
事業活動や資金調達の取り組みを日経新聞に取り上げていただきました。(対象記事はこちら)

弊社の活動について「Fresh Faces 〜アタラシイヒト〜 BS朝日」に取材いただきました。(対象動画はこちら)
東京大学主催のシンポジウムに参加するなど、アカデミアと連携しながら活動しています。
株主の皆さまにもご期待いただき、社会課題を解決するインパクト投資もいただいております。(資金調達リリース)






<その他 注意事項>
本プロジェクトでは、申込管理・連絡・リターン実施のために、氏名・メールアドレス等の個人情報を取得します。利用目的は上記に限定し、法令に基づく場合を除き第三者提供は行いません。保管期間はリターン履行完了後6か月(会計記録は法令に基づき7年)とし、期限後は適切に削除します。開示・訂正・削除等のご請求はsupport@tetsugaku-cloud.jp(管理責任者:湯浅)までご連絡ください。
最新の活動報告
もっと見るご支援・応援いただきありがとうございました!
2025/10/06 09:55皆さまこの度は「未来のモノサシ」をつくる「哲学社会実装センター」設立プロジェクトにご支援・応援をいただき、誠にありがとうございました。今回、当初の目標金額1000万円には届きませんでしたが、第二ゴールとして設定した100万円に対しては125%となる125万5000円ものご支援を賜りました。何より、90名もの方々が「哲学を社会に実装する」という大きな目標に共感し、期待をお寄せくださったことが本当に嬉しく、この活動の意義を感じてくださる方がいることに勇気をいただきました。さて、哲学社会実装センターの活動はここからが本番です。まずは、ご支援いただいた皆さまに向けて、お選びいただいたリターンをお楽しみいただけるよう準備を進めてまいります。リターンの一つ一つが哲学の社会実装につながる活動となっておりますので、ぜひご参加いただき、仲間としてこの取り組みを体感していただければ幸いです。各種講座については来年1~3月を目処に受講いただける予定です。少し期間が空きますが、日程等の詳細は事前にご連絡させていただきます。引き続き、未来のモノサシづくりの活動を応援いだけますと幸いです!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。哲学クラウド もっと見る











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