ここは、子どもたちが夕暮れまでドリブルの音を響かせる場所。

僕のおじいちゃんが、僕が生まれる前に購入した、元々は「ぶどう畑」だった土地。
そこに誕生したバスケットコート、『グレープパークコート』です。

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グレープパークコート(以下、グレパー)、オーナーの小林拓一郎です。

普段は名古屋にあるラジオ局、ZIP-FMで昼の番組『get ready』を担当し、また、Bリーグ『シーホース三河』のホームコートMCもしております。
そして、このグレパーは、「子どもたちが自由にバスケットを楽しめる場所」として、僕の地元である豊川の地に誕生して、5年の月日が経ちました。
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ポートランドに憧れて始めたことが、いまポートランドの人たちに憧れられている
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僕は、大学時代、留学をしていたんですが、その思い出の地をリスナーさんたちと一緒に巡る『Love It, Portland-Oregon』ツアーというものを毎年開催しています。

その旅先で、グレパーの存在を伝えると、現地ポートランドの人たちが本当に驚くんです。
「え、それってマジでやってるの?」
「自費でフルコート作って、無料開放してるの?で、カフェまで隣接してるの?」
「そんな奇跡、アメリカじゃあり得ないよ。絶対に荒れる。」
そして、
「このコートのことをもっと教えてくれ」と目を輝かせて詳しく聞いてきます。
あの時、はっきりと感じました。かつて僕が憧れたポートランドに、今度は“僕たちがやっていること”が憧れられている。
この場所は、そんな奇跡のような循環のなかで、着実に意味を深めています。

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なぜ、僕はポートランドに憧れたのか。
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僕が大学時代を過ごしたのはオレゴン州。
実際に大学があったのはポートランドから車で2時間ほど南に行ったところにあるコバリスという街ですが、4年生の時にはインターンシップでポートランドに毎日通っていました。
僕はそのポートランドという街にどんどん惹かれていきました。
“Keep Portland Weird”

「変なままでいい」
こんな言葉が街の標語にもなっています。
言葉通り、ポートランドには、「普通」や「正解」にしばられない人たちがたくさんいます。
タイプライターで文章を書く人。
カーペットの柄を愛しすぎて、靴下やユニフォームにしてしまう。
市外局番「503」を祝うお祭りを、5月3日に本気で楽しむ人たち。
何より驚いたのは、地元の本屋や飲食店を守るために、大手チェーンの進出に市民が立ち上がったこと。

「ここには、自分たちの大切な場所がある」、と。
ポートランドは街全体が“サードプレイス”のような場所でした。

家でも職場でもない、もうひとつの“自分でいられる場所”。
変わっていてもいい。
ローカルを心から愛して、
自分の“好き”に、胸を張っていい。
ポートランドは、そんなことを教えてくれた街でした。

だから僕は今、日本でそんな場所を作りたくて、グレパーを仲間と一緒に育てています。
あの空気のようなものを、少しでもこの場所に吹かせたくて。
「自分の好きに、ちゃんと向き合っていいんだ」と思えたんです。
さらに、
その考え方が、僕の中に深く根付いていきました。
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『ファーマシーコーヒーラボ』から始まった、「街のハブづくり」
そしていま、グレパーの中へ。
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2019年、名古屋市中区千代田で『Pharmacy Coffee Lab』を始めました。

グレパーを始める1年前です。
グレパーで担いたかった「街のハブ」をつくりたい、その"実験場(ラボ)"として始めました。
カフェという場所には、世代や職業を超えて、いろんな人が集まります。
その場所で、コーヒーをきっかけに会話が生まれたり、アートや音楽、ファッション、スポーツといったカルチャーが自然と交差するような空間を育てていきたかったんです。
そして、そんな“街のハブ”であるカフェのとなりに、子どもたちが自由に遊べるバスケットコートがあったら──。
そんな未来を思い描きながら、2020年、豊川の地にカフェ併設のバスケットコート、『グレープパークコート』をつくりました。

(その時のカフェの名前は『グレープパークコーヒーショップ』)
そして2024年4月、名古屋のファーマシーは6年間の役目を終え、いったん幕を下ろしました。

でもそれは「終わり」ではなく、「循環」のはじまり。
2025年6月、ファーマシーはグレパーのすぐ隣で再始動。
かつて“街のハブ”を目指して始まったこのカフェは、今度は“子どもたちと地域のハブ”として、豊川で新たな一歩を踏み出しました。

名古屋で育んできたカルチャーと人のつながりをそのままに、バスケとコーヒーが共存するこの場所で、また新しい物語が始まっています。

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「文化とエンタメの実験室」としての店づくり
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再オープンに向けて、店内の模様替えも進めました。
ただ配置を変えたのではなく、“どう在りたいか”を考え抜いた上でのアップデートです。
名古屋でやっていた時からあった「薬局文庫」という名前の、貸し出し・返却不要の本棚を設置

壁の展示スペースを地域の表現者に開放

撮影スポットとなる「COFFEE」の大きな看板

アパレルラックにはファーマシーのグッズと『Leather G』のアイテム


「アート展示」「トークセッション」「音楽ライブ」などなど、今後もこの場所で再始動予定です。
ここは“カフェ”であり、“実験室”でもある。
いつも通りの日常に、ほんの少しの非日常を
「子どもたちが自由に使えるバスケットコート」横のカフェは、大人のためのそんな“遊びの余白”を、コーヒーの香りと一緒にお届けしていきます。

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"IWANNAPLAYBASKETBALL CUP”という革命
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2024年秋、グレパーで初のバスケ大会を開催しました。
名前は、“iwannaplaybasketball cup”。

当日は秋晴れ。
朝から晩まで、僕はほとんどトイレにも行けず、飲まず食わずでMCし続けました(笑)
でも、選手たちの真剣な姿や、観客の熱気に包まれて、ただただ夢中で声を出し続けていたんです。
この大会では、店内からの実況という新しい試みにも挑戦。
コートサイドではなく、あえて一歩引いた視点から。

解説には元プロ選手を招き、コーヒー片手に観る「バスケ観戦の新しい形」を生み出しました。
「あのスクリーン、効いてましたね」
「逆サイドからのカッティングがディフェンスを引きつけてました」
そんな、濃密な実況解説を、Instagramライブでリアルタイム配信、そして、アーカイブ化。
参加された選手の皆さんにとっても、自分のプレーを“解説付き”で振り返れる特別な体験になったと思います。
こんな大会、きっと他にない。
そして何より、「こんな大会なら、僕が観客として行きたい」と本気で思えるものでした。
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それでも、維持は簡単ではありません
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グレパーは、子どもたちが自由に、思いっきり、思い思いの時間を過ごせるように、これからもバスケットコートを無料開放していきます。

だからこそ、環境の維持・補修には継続的な支援が必要です。
雨風で傷むフェンス、ゴール・コートの補修、リングネットの交換、掲示物の更新…

これらも誰かが“ちゃんと手をかけないと”持続していけません。
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これからのグレパーへ
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この1年で、僕たちはまた一歩、前に進めたと思います。
ポートランドの人々が「行ってみたい」と言ってくれるような場所に。
子どもたちが目を輝かせてボールを追いかける風景を、当たり前のように守れる場所に。
ファーマシーが新たに名古屋から移転し、僕たちらしいバスケット大会も開催することができました。
でも、まだまだ道半ばです。
グレパーは「完成した場所」ではなく、これからも進化し続ける“余白のある場所”です。

僕はファーマシーの店内から子どもたちが楽しそうにバスケットをやる姿を見るのがなんとも好きな時間です。
どうか、今年も。
この挑戦に、一緒に参加してください!

管理人の大内舞(マイマイ)からのメッセージ

こんにちは、グレパー管理人の大内舞です!
グレパーがオープンしてもう5年が経ちました。
いつもグレパーを気にかけてくださる皆さま、ありがとうございます。
あっという間の出来事で「5年」と聞いてもあまり実感が湧かないのですが、実感できる時がいつもグレパーに来てくれている子供たちと喋っている時です。
オープン当時に小学生だった子が中学生・高校生になりあっという間に背を抜かされたり、かつての彼らがそうだったように自分たちより年下の子と一緒にバスケを楽しんでいたりするのを見かけるたび、子供たちにとっての5年の大切さを感じます。
そして、そんな大切な時間をグレパーで過ごしてくれている事を本当に嬉しく思います。
マスターのお話でポートランドの話題が出ましたが、私も今までに何度かポートランドに行っていて、「Keep Portland Weird」の標語の通り自分たちの好きなことに全力で楽しんでいる街の人達が大好きです。
グレパーで子供たちが部活動でもスクールでもなく、ただ純粋にバスケを楽しんでいるのを見るとポートランドのようにこれからも「それぞれが好きな事を認め合える場所」であり続けたいなと思います。
皆さま、この場所を守っていくためにどうぞご協力お願いいたします!





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