
このプロジェクトは、単なる「伝統行事の復活」ではありません。
原発事故と長い避難生活を経て再び人が戻り始めた今の飯舘村で、「自然への信仰」や「人と自然が共に生きるとはどういうことか」という、私たちの根本にある問いを見つめ直し、現代にふさわしい、新たなかたちの“祭り”をつくっていきます。
かつての祭りを知る住民の記憶や語りを受け継ぎながら、その精神やにぎわいを、これからの世代につなげていけるように、来年・再来年と継続できる形で“更新”していくことを目指す。それは、文化の再興にとどまらず、地域の経済や暮らしにも力を与える取り組みです。
ぜひ、ご一読いただけますと幸いです。

山津見神社は震災前、オオカミ信仰で知られており、東北全土に崇敬者を抱え、3日間の例大祭では寒い冬場にも関わらず2-3万人の参拝者が集まる神社でした。
拝殿に設置された約250枚の狼の天井絵は、飯舘村の重要な文化財の一つとしても知られています。

原発事故に起因する避難指示により、例大祭は小規模化され、更に2013年4月1日、神社の拝殿が火災にあい、狼の天井絵と共に焼失してしまいました。2016年には焼失した天井絵の修復プロジェクトが、東京藝術大学保存修復日本画科の協力とNPO法人ふくしま再生の会、和歌山大学の加藤久美教授とサイモン・ワーン特任教授により実施され、拝殿が再建されました。

今日に至るまで例大祭は小規模化されたまま、地域の人々の記憶の中にある三日三晩続く祭りの光景は徐々に薄れ、全国から来ていた崇敬者たちの足も長らく遠のいています。
しかし今年1月、地域の老人会の新年会で「祭りの茶屋と屋台を復活させたい」と帰村した地域住民の声が上がりました。その一声をきっかけに現在、昔の祭りの光景を知る帰村民と移住者、村外からのサポーターが例大祭の大々的な再興に取り組み始めています。

震災から14年、飯舘村の自然信仰を改めて見つめ直し、今の飯舘村に関わる様々な人々と共に賑わいを取り戻していくプロジェクトに、皆さんもぜひ参加していただきたいと思っています。

福島県飯舘村は自然と共生しながら、山の恵みを授かり地を耕す、日本一美しい村連合にも加盟する豊かな里山です。
歴史の折々に大飢饉や災害などに見舞われながらも、その度にかつての村民たちは里山の自然と丁寧に向き合い、復興を遂げてきました。昔の人々は神社の例大祭を通じて、自然への畏怖や感謝、祈りを体現し、その中で多くの参拝客と地域の人々の賑わいを作ってきたのです。

そして2011年3月、福島第一原発事故に起因する避難指示の影響で、人々は一度この里山を離れ、数年間の避難生活を強いられました。
しかし、村内から人がいなくなった間も、神社は飯舘村の里山と人とを繋ぐ場としてそこに開かれ続けてきました。
そして今、またこの地で自然と共に生きようと帰ってきた人々がいます。
これからの例大祭を通じて、この土地でもう一度、自然への信仰と共生の在り方を現代に捉え直し、かつての祭りを知る住民の記憶や語りを受け継ぎながら、今の山津見神社例大祭のかたちを再編していきたいと考えています。
現代における自然への信仰とは何なのか。
原発事故を経た今の飯舘村で、かつての賑わいを取り戻しながら、未来にも繋がる自然との向き合い方を再考していきたい。そんな思いと共にプロジェクトを進めています。

虎捕山








飯舘村佐須にある山津見神社は、山の神・大山津見(おおやまつみ)を祀る古社で、平安後期の永承6年(1051年)に創建されたと伝わります。別名は「虎捕山津見神社」。
社名が示すように、ここでは山そのものが神の依り代とされ、自然と人とを繋ぐ境界地点として鎮座してきました。
神社の背後にそびえる虎捕山には、いくつもの巨岩が連なります。拝殿から山道を辿り、約650メートル登ると奥宮本殿へ。山頂からは村の風景が一望でき、いまも人々の祈りと自然の大きな循環が感じられる場所です。

虎捕山山頂からの景色
境内で参拝者を迎えるのは、狛犬ではなく白狼像です。
オオカミは「大神(おおかみ)」に通じ、日本各地で山の神の使いとして信仰されてきました。
畑を荒らす獣を追い払い、暮らしを守る存在として、村人にとっては心強い守り神。
とりわけ白い狼は神聖な存在とされ、ここでは雄と雌が並び立ち、訪れる人を静かに見守っています。
千年近い時を経ても、山とともに暮らし、その恵みに感謝する心は変わりません。
山津見神社は、そんな飯舘の人々の信仰が脈々と息づく、今もなお大切に守られ続ける場所です。

境内の白狼像

山津見神社パンフレットより

山津見神社には、一つの伝説が伝わっています。
今は昔、永承6年(1051年)の頃、この地に橘墨虎という男がいました。
体が大きく不思議な力を持ち、霊山に拠点を構えて勢力を広げ、やがて朝廷の命にも従わなくなったといいます。
都から派遣された源頼義は討伐に挑みましたが、墨虎は山に潜み、なかなか捕らえることができません。
ある夜、頼義の夢に山の神が現れ「白い狼の足跡を辿れ」と告げました。
家臣がその跡を追うと、岩穴に潜む墨虎を発見。
刃を投じて討ち取り、頼義は神託に感謝して祠を建てた──これが山津見神社の始まりとされています。
ただし、墨虎は単なる「凶賊」ではなく、安倍氏の陣営に属する武将だった可能性や、土着の民と共に戦った存在だったという説もあります。勝者の記録と、地域に残る祀り。そのどちらもが、この物語の一部です。
同時に私たちは、この伝承の中に「山と人との関係」も反映されていると感じています。
白狼は神の使いであると同時に、山に生きる存在の感覚を象徴しています。
人の歴史の影に消えた声や、自然に宿る気配──墨虎伝説は、それらが重なり合って残された物語なのかもしれません。

伝説の白狼と橘墨虎が隠れたとされる「虎捕洞」

おすすめリターン その①
【20名限定!】12月7日(日)開催!飯舘村を巡るツアー
例大祭が3日間終了した翌日に実施するツアーにご参加いただけます。
例大祭の会場となる山津見神社と神社奥之院がある虎取山に語り継がれる白狼伝説を中心に、震災と原子力発電所事故を経て、これから自然と人がどのような関係で暮らしを作るべきなのかを一緒に考える例大祭限定のオリジナルツアーとなります。
ツアーの案内役は株式会社MARBLiNGの矢野 淳が務めます。詳細・注意事項はリターンの詳細からご確認ください。

おすすめリターン その②
例大祭2025オリジナルグッズセット
全てのグッズをまとめたリターンとなります。ロングTシャツ、トートバッグ、手ぬぐいはポスターデザインのパターンを採用し、2種類ご用意いたしました。それぞれ別々にご購入いただくより、お買い得です。それぞれ50セット限定となっております。


おすすめリターン その③
例大祭2025オリジナル御朱印帳
表紙を2025年例大祭オリジナルのデザインを施した御朱印帳を準備いたしました。デザインは飯舘村に関わっているアーティストが独自にデザインしたものになります。(デザインは制作中のため完成次第、活動報告にてお知らせします。)
ぜひ、お参りされた時に山津見神社の御朱印を記帳していただき、福島県内外の寺社を巡る際にご活用ください。



このたび、山津見神社例大祭実行委員会の皆様が中心となり、 震災後もその灯火を絶やさず粛々と執り行われてまいりました 伝統の祭事 「山御講(やまおこう)」 において、 地域住民が主体となる「茶屋」 を再興される運びとなりました。
この取り組みには、地域の皆様をはじめ、 多くの方々が心を寄せ、力を尽くしてくださっています。 その温かいご協力と連帯の想いに、心から感謝申し上げます。
このプロジェクトは、単なる催しではなく、 人と人、そして神と地域を結び直す——祈りと再生の象徴であります。
山津見神社は、この地に根づく信仰とともに歩み、 長きにわたり地域の皆様の祈りの場として大切に守られてまいりました。 震災や火災を乗り越え、地域の皆様が自らの手で伝統を受け継ぎ、 新たな文脈で未来へとつなごうとされるその志に、 心からの敬意と感謝を申し上げます。
「茶屋」の復活は、かつての賑わいを取り戻すだけでなく、 次の世代へ文化と信仰を継承する尊い一歩です。 どうか多くの皆様がこの志に共感し、 温かいご支援をお寄せくださいますようお願い申し上げます。

山津見神社例大祭実行委員会 会長の阿部 猛です。
この度は、例大祭復活に向けた当クラウドファンディングのページをご覧いただき、ありがとうございます。
今回の例大祭復活は山津見神社周辺の佐須(さす)地区だけでなく、飯舘村、そして近隣町村にとっても大きな意味を持つものになると感じています。
これまで、原子力発電所事故による避難、火災による拝殿消失など多くの苦難がありましたが、地区住民、飯舘村の皆さんの復興に向けたご尽力と飯舘村の外から関わってくださっている皆さんのご協力のおかげでここまで来れたと感じております。本当にありがとうございます。
度重なる応援とご支援のお願いになり恐縮ですが何卒、例大祭の復活に向けたご支援・ご協力賜れますと幸いです。
そして、ぜひ12月4日、5日、6日と行われる例大祭にお越しいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
山津見神社例大祭実行委員会
会長 阿部 猛
事務局長 田尾 陽一
実行委員会一同

実行委員会の様子
最新の活動報告
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ご支援いただきありがとうございました!明日より例大祭が始まります。
2025/12/03 21:07クラウドファンディング終了から3日が経ちました。お礼が遅くなってしまい、申し訳ございません。改めまして、この度は山津見神社例大祭の復活に向けたクラウドファンディングをご支援、応援いただきまして誠にありがとうございました。最終的に、267人の方々に総額4,286,000円のご支援いただきました。これほどの応援をいただき、本当に感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。上記の金額よりクラウドファンディングの手数料を差し引いた金額を、例大祭の運営・準備費用とリターンの準備費用として活用させていただきます。リターンについては例大祭が終わり次第、順次発送準備を進めます。到着が予定より遅れる場合、事前にメールにてご連絡いたしますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。それでは明日より始まる例大祭に向けて、例大祭前、最後の報告となります。飲食について今回、山津見神社のある佐須地区の皆さんが運営する茅葺屋根の屋台だけでなく、震災前にあったお祭りの屋台の風景も復活します。下記、出店者さんのご紹介になります。佐須地区のお母さんたちが作る郷土料理。こちらではうどんなどお母さんお手製の料理が食べられます。地域のガヤガヤ感も含めぜひお楽しみください。参道脇にお祭りならではの屋台が立ち並びます。また地域の店舗等から出店いただけることになりました。店舗等から出店いただく皆様については、詳細を例大祭公式のInstagramにてお知らせしております。ぜひ、そちらをご確認ください!https://www.instagram.com/reitaisai_yamatumi_iitate/例大祭スケジュール改めまして、スケジュールですが、ご祈祷は朝8時から、茶屋・屋台は9:00からとなっております。各日終了時間が違いますので、時間確認の上お越しください。終了時間については目安となっており、お客様の来場者数によって多少前後する場合がございます。あらかじめご了承ください。また、明日より一気に冷え込み氷点下近い気温になることが予想されております。防寒対策はなるべくしておりますが、野外であることも含め、十分に暖かい格好でお越しください。それでは、例大祭で皆様にお会いできることを楽しみにしております! もっと見る
【20時より】Instagramにてライブ配信を行います
2025/11/30 19:51クラウドファンディング最終日となりました。20時よりインスタグラムでのライブ配信にて今回の演劇の制作・演出を行っていただいている野宮有姫さんより応援配信を実施していただけることになりました。https://www.instagram.com/y.nomiya/もし、お時間ありましたら、ご覧いただけますと幸いです。 もっと見る
【残り1日】ワークショップも屋台も準備がすすんでます!
2025/11/29 20:08例大祭前最後の土日となりました。現場では装飾や駐車場のライン引きなど最後の準備が進んでいます。そんな、お祭り準備の様子を福島放送さんに取材いただいた動画がYahooニュースも掲載いただきました。ありがとうございます!ぜひ御覧ください。https://news.yahoo.co.jp/articles/3f25f0e6817753601ce6fe15eec5b4b201d604ba?fbclid=IwY2xjawOXq05leHRuA2FlbQIxMQBzcnRjBmFwcF9pZBAyMjIwMzkxNzg4MjAwODkyAAEe7ekSBkB8caKqgMwd41Pe6zL7Cp4RZRikecZdZlqlH8mwGFskANwni6pF1W8_aem_3QJGgkbeQL36vTM9giXWfw本日参道に並ぶ提灯もすべて並び、よりお祭りムードが出てきました。さて、今回の例大祭には、佐須の住民だけでなく、飯舘村内外の多くの方に出店頂く予定となっておりますので、少しご紹介させていただきます。今日はワークショップブースの紹介をさせていただきます。オオカミ伝説の伝承が残る虎捕山山津見神社。今回、参拝していただいた皆さんにもオオカミになりきっていただこうと運営側で準備したワークショップが狼面の絵付けワークショップになります。ぜひ皆さんにもお祭りではお面をつけて練り歩いたり、写真を取ってもらいたいです。さらに、先日お知らせしたオオカミベンチの作者である、鴻池朋子さん作の指人形の展示も行います。指人形たちがもしかしたら何かを語りだすのか、楽しみにしていただけると嬉しいです。さらには小高でクリエイティブスペース兼デザイン事務所を運営されている粒粒(つぶつぶ)さんには、スタンプを使ったオリジナル縁起物づくりワークショップを行っていただきます。粒粒さんInstagram: https://www.instagram.com/tubutubu_odaka/あと6日(土)のみ出店いただくのが、2019年よりずっと飯舘村に関わっていただいている東大むら塾さんの縄もじりワークショップHP:https://todai-murajuku.com/in%e9%a3%af%e8%88%98%e6%9d%91ワークショップとは別に、小高より飲食の出店として「酒づくりをもっと自由に」という思いのもとクラフトサケを作っているhaccoba(ハッコーバ)さんHP:https://haccoba.com/Instagram:https://www.instagram.com/haccoba/南相馬市小高の地域おこし協力隊として着任されたバンドマンさんであり、これからハンバーガー屋をつくられるサルトリーヌの橋本恭佑さん橋本さんInstagram:https://www.instagram.com/hassy_emptykraft/サルトリーヌInstagram:https://www.instagram.com/sarutorinu_official/の予定となっております。明日はクラウドファンディング最終日となります!明日は、参道を彩る飲食の屋台ブースのご紹介をお届けします。残り1日。クラウドファンディングは目標に対して74%241人の方々に応援いただき、372万1000円をお預かりしました。本当にありがとうございます!原発被災地である飯舘村で13年ぶりの全日開催となるこのお祭りが、被災地全体を、福島県を元気づけられるようなお祭りにできるように運営委員会としても、頑張って当日まで準備を進めていきます。最後まで応援をよろしくお願いいたします。 もっと見る





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