学生×職人が生み出す「東京曲げわっぱ」
こんにちは!
東京都八王子市で「木工房三澤」を営む木工作家の三澤正孝です。
今回、母校・拓殖大学デザイン学科の学生たちと共に開発した「東京曲げわっぱ」をご紹介させていただきます。

これまでにない「東京発」の曲げわっぱ
東京曲げわっぱは、多摩産ヒノキ100%を使用した曲げわっぱです。
従来の秋田杉を使った曲げわっぱとは異なり、樹齢50〜60年の若いヒノキを活用することで、豊かな香りと防臭・防虫効果があります。

学生デザイン×職人技術の融合
拓殖大学デザイン学科の学生が考案した新デザインを用いて、一つひとつ手作りで製作しています。

現代の暮らしに寄り添う機能性
東京曲げわっぱは、ガラス塗装を施すことで家庭で洗浄しやすく設計されています。
中性洗剤で洗え、食事用としてはもちろん、インテリア用品としても活用いただけます。

一つの製品を完成させるのに1ヶ月〜1ヶ月半の時間をかけ、手作業で丁寧に仕上げています。
既にふるさと納税返礼品として認定
この東京曲げわっぱは、既に八王子市のふるさと納税返礼品として採択されており、その価値を認められています。
多摩の森に眠る宝を発掘したい
私が生まれ育った高尾や恩方、多摩エリアの森で、今、深刻な問題が起きています。
戦後、住宅需要を支えるために植えられた多摩のヒノキ林。 樹齢50〜60年を迎えた今、十分な手入れがされずに森が荒れ果てているのです。
戦後植林材が抱える課題
戦時中、東京の首都圏エリアでは軍事産業が盛んでした。 戦後復興期に入ると、住宅需要を満たすため関東平野に大量の木が植えられました。
しかし現在、これらのヒノキ林は「使われない木」となってしまっています。

地元の木を使ったものづくりで森を元気にしたい
「地元の木を使ったものづくりで森を元気にしたい」 この想いで「東京曲げわっぱ」を作っています。
木を使うことで森を健康に保つ。この循環を取り戻すことが、私たちの使命だと考えています。

祖父との思い出が教えてくれたこと
私の家系は宮大工の流れをくむ家系です。
祖父の若い頃の職業は宮大工で、その現場を見たこともありました。

幼い頃、自宅の1階は駐車場と祖父の道具置き場になっていました。
そこで見たノコギリ・鉋・鑿、そして祖父が木を大切に扱う姿が、今の私の原点です。

不思議なことに、祖父から「危ないからやめなさい」と言われたことがありませんでした。
幼いころから木の香りや道具の音に囲まれ、自然とものづくりの世界に親しんでいったのです。
祖父も多摩産材を使っていました。その前の代も同様だと聞いています。
なので私も不思議と、多摩産材を継承するために生まれてきた気がします。
この土地の木を、この土地の人が使う。 当たり前だった循環が失われつつある今だからこそ、その価値を取り戻したいのです。
母校への恩返しから始まった産学連携
2016年に「木工房三澤」を設立してから、ずっと心に温めていた想いがありました。
それは「いつか母校にものづくりを通じて恩返しがしたい」ということです。

「東京曲げわっぱ」が、拓殖大学工学部デザイン学科とともに作成されることになったきっかけは昨年4月の八王子市のイベントでした。
職員の先生方と久しぶりに再会し、「曲げわっぱ」の話をしたところ、協業の話が持ち上がったのです。
その数ヶ月後、工学部デザイン学科に赴任された宮木健二准教授をご紹介いただきました。 先生もヒノキを加工されており、私たちの相性は抜群でした。
学生たちとの共創プロジェクト
宮木准教授の「デザインプロジェクト演習」で、学生たちが曲げわっぱのデザインに取り組むことになりました。
5つの候補の中から、私が選ばせていただいたのが酒井優理子さんと齋賀琢巳さんの作品です。

酒井さんの「TU-A」は高尾山や多摩地域の動植物をモチーフに、四季の豊かさを表現。
齋賀さんの「TU-B」は花札をベースに、高尾・恩方エリアの特徴をデザインに落とし込みました。
既存の曲げわっぱとの違い
従来の曲げわっぱは樹齢100年以上の秋田杉や檜葉を使用します。
一方、東京曲げわっぱは樹齢50〜60年の多摩産ヒノキを使用しています。

若い木材だからこそ、ヒノキの成分が強く、香りも豊かです。
防臭・防虫効果も高く、現代の暮らしに適した特性を持っています。
東京独自の文化的背景
実は、東京には今まで曲げわっぱの文化がありませんでした。 だからこそ、東京らしい新しい曲げわっぱを提案できるのです。

八王子は「桑都」と呼ばれるほど繊維業が盛んでした。
その代表的な「型染め」技術を曲げわっぱと融合させ、伝統と革新を融合した作品を生み出しています。
機能性も、抜群です
従来の曲げわっぱは主に食事用でしたが、東京曲げわっぱはガラス塗装を施すことで家庭で洗浄しやすくなっています。

中性洗剤で洗えて、インテリア用品としても使用できます。
職人の技が生み出す唯一無二の品質
一つの東京曲げわっぱを完成させるには、1ヶ月から1ヶ月半の時間をかけています。

まず、薄さ3mmまでカンナで削り、1週間水につけて十分に水分を吸収させます。
その後、アルミホイルで包んでアイロンの熱と蒸気で曲げる作業を行い、2〜3週間かけてじっくりと乾燥させます。
ヒノキが記憶する美しい曲線
曲げる前の準備作業で、木の細胞内にあるリグニンやセルロースの構造を変化させます。 十分な乾燥期間を経ることで、美しい曲線を記憶してくれるのです。

夏場は2〜3日で乾燥が進みますが、冬場は1週間ほどかかります。 季節の変化に合わせて製作リズムを調整し、最高品質を追求しています。
既にふるさと納税返礼品として認められた価値
2025年7月15日、拓殖大学で嬉しいニュースが発表されました。
学生がデザインした「東京曲げわっぱ Inspired by Takao」シリーズが、八王子市のふるさと納税返礼品に採択されたのです。
学生たちの感動の声
酒井優理子さん:「初めに商品を誰に届けたいかを考え、コンセプトをしっかり決めようと『四季』を選んだ。商品化されて驚くとともに、とてもうれしい」
齋賀琢巳さん:「自分が作ったものが人の手に渡ることが信じられない。貴重な経験になった」

また、宮木健二准教授からは「学生たちに、制作物を提出して終わるのではなく市場に出るという経験をさせていただいた」とのお言葉をいただきました。
お客様からの温かい声
東京曲げわっぱは、八日町にある「まちの駅八王子CHITOSEYA」で展示販売されており、多くの方にご愛用いただいています。

60代女性:「来客時にお客様にお菓子を出す容器として使用しています。お客様が喜んでくれています」
50代女性:「花見や特別な日に使用しています。型染めのデザインが美しくて、外でのお弁当時間が華やかになります」
70代女性:「自宅でお櫃として使用しています。ヒノキの香りが良く、朝炊いたお米が夜でも美味しく食べられます」
メディア掲載
◉公式ユーチューブチャンネル:木工房 三澤
◉公式Instagram:m.misawa2016
◉その他、メディア掲載
・東京新聞:「接着剤のようになりたい」木工職人・三澤正孝さん(40)祖父への思い=八王子市<ひと ゆめ みらい>
・タウンニュース八王子版:拓殖大学×木工房三澤 曲げわっぱ 学生がデザイン ふるさと納税の返礼品に
・マイプレ八王子版:木工房三澤×拓殖大学。東京曲げわっぱコラボシリーズ第3弾!!
リターンのご紹介
| 東京曲げわっぱ〜Inspired by 桑都〜 CTU-C | 34,100円 |
| 東京曲げわっぱ〜Inspired by 桑都〜 CTU-D | 34,100円 |
| 東京曲げわっぱ〜Inspired by 桑都〜 CTU-E | 34,100円 |
※蓋と本体には継続的な使用ができるよう隙間があります。
このページをご覧の皆様へ
過去のことを考えるのが伝統工芸品だと思われがちですが、私たちはヒノキで作る新しい「近代工芸品」を目指しています。

伝統の中にも革新をどんどん入れていき、自立した産業にしていきたい。 そんな想いで取り組んでいます。
将来的には海外展開も視野に入れています。
世界の人が多摩産材のものを使う未来があるといいな、と思います。

このページをご覧になる子育て世代の皆様、多摩産材を知っていただき、育てているお子様にもぜひ伝えてください。
この土地の木が、どんな想いで育てられ、どんな手によって美しい工芸品になるのか。
その物語を次の世代に残していきたいのです。

木工房三澤は「木が生きてきた証を大切に残し、木の持つ強さも優しさも温かさも、すべてを丁寧にお届けしたい」と考えています。
多摩地域で森を想う人の手仕事をつなぎ、森を守り木を巡らせる橋渡しができる工房でありたいと思っています。
皆様のご支援により、学生たちに夢と希望を、そして多摩の森に新たな生命を吹き込むことができます。
どうぞご支援のほど、よろしくお願いいたします。
木工房三澤
三澤 正孝
協力:拓殖大学




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