
ご覧いただきありがとうございます。北海道大学大学院農学研究院で教員を務めさせていただいている、内田義崇(うちだよしたか)と申します。
このクラウドファンディングでは、北海道大学農学部の学生を対象として、ニュージーランドで酪農、ワイン、環境、持続性などを学ぶショートホームステイプログラムへのご支援をお願いしています。このプログラムは、私が8年近く留学していたニュージーランド・リンカーン大学にて行われ、特に海外に行ったことのない学生を対象として「世界を知る最初のステップ」になるための手作り感あふれる内容になっています。
2025年に実施された同プログラムから
若いときに海外に出ていろいろな経験をすることは視野を広げ、将来を描くために非常に重要です。一方で、10年以上大学で教員を務めていて感じているのは、海外に行ってみたいけれど、渡航費や滞在費の高騰であきらめていたり、コロナ禍などでチャンスを逃してしまい、その後一歩が踏み出せなくなってしまったりしている学生がとても多いということです。そんな学生が海外でのプログラムに参加するための支援をしたい、という熱意で今回クラファンを行うことにしました。

夏休みや冬休みに、学生向けに行われる海外ホームステイや英語学習プログラムは沢山ありますが、このプログラムは「農業」に特化している点で他とは大きく違います。
私は、日本の農業の未来を担う若者を一人でも多く育てたいと考えています。そのために農学部で教員をやっています。でも、一生懸命授業をやって、これから100億人時代が来ることや、食料生産が需要に追い抜かれてしまう可能性があることを一生懸命話したとしても、やはり学生はピンときていないな、と感じることがあります。カリキュラムも決して「現場」を重視したものにはなっておらず、一度も農場を見たことの無い学生が毎年沢山「農学部卒」として社会に出ているのが現状です。
日本は美しい自然が沢山ありますが、一方で食料の大半を輸入しており、海外の見たこともない、聞いたこともない場所で生産された食品を毎日食べているわけです。自分の生活が世界課題と言われる土の劣化や農業に由来する温暖化ガス排出に関連している、、、そんなこともなかなか「リアル」に感じさせることができない、と悩ましく思っています。
ニュージーランドは世界でも類を見ない農業輸出国です。「クリーン&グリーン」を国全体の農業のキャッチフレーズにして、効率よく農業生産を行いながら温暖化ガス排出量など環境負荷を厳しく抑制しています。また、農業を担う若者も多く、大学の研究と現場のニーズが合致しており、大学内で生産者向けのセミナーやワークショップが活発に行われています。そのような環境に短い間でも身を置くことで、日本の食料生産について考える、そして世界規模課題との繋がりについて理解できる、そんな若者が一人でも増えることを期待してプログラムを実施します。

本プログラムは2014年にスタートし、2月(ニュージーランドの夏休み)に二週間ほどかけて実施されてきています。今回、2026年2月に予定しているプログラムでなんと9回目になります。
今回渡航する学生は北海道大学農学部の2年生6名です。そのうち半分は海外経験が全く無い学生達です。
学生たちはニュージーランド・クライストチャーチ空港に到着した後、それぞれのホームステイ先家族と会い、ホームステイ先からリンカーン大学にバスなどで通うことになります。リンカーン大学では、現地の教員と私が考えた特別なプログラムが実施されます。英語学校で農業について学んだり、大学付属の酪農場で生産者向け勉強会に参加したり、近年急成長しているワイン生産とサステナビリティの関連性に関する授業を受けたりします。
実際に「現場」を見せることを意識しているので、座学は最低限にして、それよりも実際のフィールドに足を運んで、そこで働いている人、研究をしている人に話をしてもらうことを意識しています。
酪農家グループがリンカーン大学に集まる勉強会に参加している様子。内容は難しくても、大学と社会のつながりを知るとても良い機会となります。
大学のワイン学科でワインと土壌、環境について学ぶ様子。テイスティングもしています。
リンカーンには、大学以外にも農業に関連した研究所や企業が集まっています。例えば牧草に関する研究では、牛の糞尿を効率よく吸収して環境に漏らさないような品種の開発が進んでいます。酪農・農業大国であるニュージーランドでしか学べないこと、を意識しながら、学生の反応や希望も見ながら毎年オーダーメードのような形でプログラムを作っています。
牧草の品種改良を行っている様子を見学している様子
また、プログラムの最後には日本とニュージーランドの農業について比較をし、それを発表するグループワークも行います。例えば、酪農に関しては、農場あたりの牛の数はニュージーランドが日本よりもだいぶ多いことがわかります。それはどうしてなのか、それは良いことなのか? そんなことを現地の学生や教員の助けを借りながら勉強し、このプログラムの最後には英語で調べたことを発表します。英語でのプレゼン発表は初めて、という学生たちが多いので、とても緊張している様子が毎年伝わってくるのですが、最後まで努力をして、練習をして、写真のようにたくさんのオーディエンスの前で立派に発表することができます。
グループワークで現地の学生に意見を聞きながら発表を準備する様子
現地最終日に行うプレゼンテーション
このように、英語だけを学ぶのではなく、「農業」を大きなテーマにしながら自由度の高い学習を提供できるのがこのプログラムの特徴です!

今回渡航する学生のうち、初めて海外に行く学生たちに意気込みを聞いてみました。
農学部2年・山本滉大くん
「私はこれまで海外経験がなく、正直なところ不安もあります。しかしそれ以上に、ニュージーランドという世界有数の酪農・農業先進国で、実際の現場を体験できるこの貴重な機会を逃したくないという思いから、 今回の参加を決意しました。現地の農業や文化に触れ、視野を広げることで、今後の学びをより深めるとともに、将来、農業を通じて環境問題や食糧問題に向き合うためのヒントを得たいと考えています。(山本くん)」
農学部2年・鈴木仁菜さん
「大学生のうちに色々な経験をしたいと思い、以前から海外留学に興味がありました。長期の留学は自信がありませんが、短期間で学科の先生と仲間と一緒に行けて、語学も農学も学べるこのプログラムは、まさに自分のやりたいことが詰まっていると感じ、応募しました。この留学でニュージーランドの農業と農学に触れ、自分の視野を広げたいと考えています。そして、この留学での経験を今後の大学での勉強や研究に活かし、外国人とも議論ができる研究者になるという、自分の将来の夢の実現に繋げていきたいです。(鈴木さん)」
私(内田)も、初海外の学生を引率するのは毎年のこととはいえ緊張します。今までもいろいろなハプニングがありましたが、なんとかこれまでやってこれています。今回も何事もないといいのですが、とにかく楽しんで自由に学んでほしいです。

ご支援いただいた資金は、渡航費の一部として使用させていただきます。プログラムの実施日は2026年2月5日~二週間を予定しています。また、北海道大学国際本部から一部の渡航費支援を得ているので、このクラウドファンディングでは「60万円」を目標とし、リターン費用を差し引いた上で6名の参加者に均等に配分したいと考えています。クラウドファンディング後に資金が不足している場合でも均等に割り学生に還元します。
リターンに関しては複数ご用意しました。ニュージーランドからのお土産が付いたコースもありますので是非よろしくお願いします。また、ご希望があればご支援者のSNSやウェブサイトをご紹介させていただくことも可能です! さらに、ニュージーランドでの学生による最終発表会の配信にもご招待したいと考えています(録画についても閲覧が可能とします)。そして、このプログラムは毎年行われますので、可能であれば末永くお付き合いいただき、継続的に御恩をお返しできればと考えております。
★2,000円コース★
最終発表会(オンライン)にご招待いたします。またSNS等でご支援者様のご紹介をします(希望者のみ)。
★5,000円コース★
最終発表会(オンライン)にご招待し、学生からのお礼状を送付いたします。またSNS等でご支援者様のご紹介をします(希望者のみ)。
★10,000円コース★
5,000円コースの内容に加えてNZで買ったお菓子やバターなどのお土産をリターン致します。
★20,000円コース★
5,000円コースの内容に加えて、NZ産ワインを一本リターン致します!
★100,000円コース★
5,000円コースの内容に加えて、NZ産ワインを六本リターン致します!
※20歳未満の者による飲酒は法令で禁止されています。20歳未満の方はお酒を含むリターンを選択できません。

このプログラムに過去参加した学生の多くは、その経験を生かした仕事、活動、研究をしています。そんな方々の一部から応援メッセージをいただいています。
東北大学助教 濱本 亨さま(2014年に参加)
「まだ研究者になるとは思っても居なかったころ、むしろ将来のことなどほとんど何も考えていなかったころ、採用されたばかりの内田先生に誘われ本プログラムに参加しました。大学での学術研究を現場に活かすということの大切さ、一方で難しさに関しては、この仕事をするようになった今よく考えますが、リンカーン大学ではその理想形が垣間見れた気がします。海外経験の少ないまっさらな学部生がこのプログラムに参加することでいろいろな気づきがあると思います。応援しています。」
アーティスト 岡 碧幸さま(2017年に参加)
「日本国内にいても勉強や研究はできますし、国外の方と関わりを持つことも可能です。ですが実際に国外に身を置いてみると、単なる知識に還元されない経験と情報を得ることができます。学部生のうちに本プログラムに参加することは、環境・農業・食糧を軸としながらも、卒業後の進路の幅を大きく広げてくれると思います。」
農学部4年 中田 明里さま(2023年に参加)
「本プログラムに参加して食糧供給に関する国際的な視点を養ったことは、日本の食卓を支える北海道の地で農学を研究するにあたり、その意義の理解に大いに役立ちました。内田先生ならではの、研究者繋がりの現地での人脈があってこそ出来た経験が沢山あったと感じています。日本の未来のために私に何かできることは、と模索するきっかけにもなりました。そのような若者がさらに増えることを一学生としても願っています。」

若い世代が海外に出る一歩を踏み出すために、是非ご支援をお願いします。若さというのはすさまじい力で、二週間のプログラムであっても、このプログラムを通じて英語力を飛躍的に伸ばしたり、ある一つの分野にとても興味が湧いたりする学生が毎年居ます。その力を大きく伸ばして、自分の好きなことや得意なことを活かしてほしいと心から思って、このプログラムを実施しているのです。是非よろしくお願いします。
今回でこのプログラムに関するクラウドファンディングは二回目となりました。いつも北海道大学の教育をサポートしてくださりありがとうございます。読んでいただきありがとうございました。
最新の活動報告
もっと見る11月のミーティングを行いました!
2025/11/13 14:07こんにちは!活動報告をご覧いただきありがとうございます!今月も参加者全員でミーティングを行いました!ちなみにですが、今回の写真は訪問予定のリンカーン大学の牧場にあるロータリーパーラーです!自動で牛が回りながら搾乳を行う仕組みで日本では珍しい設備です。現地で実際に見学できるのを学生たちも楽しみにしています!そんなニュージーランドの学びに向けて、今回のミーティングでは「ニュージーランドの農業について興味を持ったことを調べ、共有する」というテーマで、各自がリサーチした内容を発表しました。酪農に関心を持つ学生が多く、環境問題への取り組みや後継者不足への対応など、日本との違いを通して学べる点について意見交換がありました。ワインに興味を持った学生は、急成長を遂げたニュージーランドのワイン産業を調べ、北海道のワインづくりにもマーケティングやブランド化の面で生かせるのではないかと発表してくれました。また、スマート農業をテーマにした学生は、移民による人口増加が進むニュージーランドでは、スマート農業の位置づけや目的が日本と異なるのではないか、そして日本の少子高齢化に対する解決策として、スマート農業をどう活用できるかについて考察していました。それぞれの興味や視点からニュージーランドの農業を調べることで、現地での学びへの期待がさらに高まったミーティングとなりました。次回のミーティングでは現地での発表グループごとに現地での発表内容の構想や現地で調査したいテーマについて話し合う予定です。今後とも応援よろしくお願いいたします! もっと見る
ビザの申請が完了しました!
2025/10/09 15:45夏休みが明け、久しぶりに学生たちが集まりました。今回のミーティングでは全員でビザの申請を行いました!海外が初めての学生も多く、緊張とワクワクの瞬間でした。ビザの申請では、手続きに不備があると当日入国できない可能性もあるため、一つ一つ確認しながら慎重に進めました。無事に全員分のビザが発行され、ひと安心です!支援してくださっている皆さまのおかげで、こうして留学に向けた準備を進めることができています。引き続き、準備の様子をお届けしていきます。いつも温かい応援を本当にありがとうございます。 もっと見る




コメント
もっと見る