0 プロジェクト概要とテーマ
「視線だけで描いた絵から、物語が生まれる。世界にひとつの絵本を創りたい」
EyeMot(アイモット)という視線入力システムを使うことで、重度障がい児の子どもたちが“視線だけで”絵を描けるようになりました。今回制作する絵本は、その絵を起点に物語がつむがれていく作品です。
タイトルは 『きみのえがくせかい』。
絵本にはQRコードが付き、朗読動画・テーマソングも楽しめます。
【この絵本に込めたテーマ】
「親と子は、魂でつながっている」
言葉では伝えられないこと。動かせない手では表現できないこと。でも、子どもには確かな「想い」があり、親にはその想いを感じ取ろうとする「愛」がある。視線で描かれたアートは、まるで“魂の声”のように、その子の想いを映し出します。「親子のつながり」をテーマにしたこの絵本は、一枚の絵を通じて、家族の記憶や願いが紡がれていく物語です。
【お母さんたちが語った言葉】
「この子は、この子のままで完璧です」
取材で印象的だったのは、お二人のお母さんが共通して語ったこの言葉でした。子どもへの無条件の愛。存在そのものを肯定する力強い気持ち。制作中、何度も涙が込み上げてきたのは“当たり前のようで忘れがちな、大切なこと”を子どもたちとお母さんが思い出させてくれたからでした。
1 「木になる絵本屋さん」の活動
(1)誰かの人生をヒントにした物語
「木になる果実は人生の物語」
どこかの誰かの人生から絵本を創作しております絵本作家の園木まさと申します。
人生は色々です。全く同じ顔の人なんて、どこにもいないのと同じように、誰一人として、同じ人生を歩む人はいません。でも、誰かの人生は、どこかの誰かの人生のヒントになるかもしれません。「木になる絵本屋さん」の絵本の多くは、どこかの誰かの人生をヒントにしています。どこかの誰かの似顔絵を描くように、どこかの誰かの人生をモチーフにして、ストーリーをデザインしています。モチーフになった人は、物語のどこかに登場することもありますし、物語の中に出てくるセリフや言葉は、その人の土地の言葉だったり、その人が人生の中で受け取った言葉だったりします。そして、読者の方が望めば、モチーフになった誰かとリアルな世界で巡り合うことだってできます。絵本の世界とリアルな世界の橋渡しを通じて、どこかの誰かの人生のヒントになるような物語を創っていきたいと思っています。これまで8作品を世に送り出しており、今回第9作品目の制作となります。
その他、木になる絵本屋さんの活動については、ホームページをご参照頂ければ幸いです。

(2)大きな木を育てるように...
絵本には、絵が必要です。作者である私自身は、絵を描くのが下手です。「上手に絵を描くこと」は、人生の中で諦めたことのひとつです。でも、私の周りには、絵を描くのが上手な人がいました。できないことは、誰かにお願いすることにして、色々な人たちと絵本づくりをすることにしました。「木になる絵本屋さん」の創作活動には、色々な人に関わって頂いています。プロのデザイナー、印刷会社、別の本業をしながら趣味として絵を描いていた人、子育てをしながら絵を描いている人など…色々です。大きな木を育てるように、色々な人が関わって、色々な個性が活かされて、果実が実る。「木になる絵本屋さん」の創作活動が、そうした色々な人の個性を活かす場になればと願っています。
これまで様々な人たちと協力しながら作品作りをしてきましたが、今回は重度障がいを抱えた子たちとコラボレーションして作品作りに挑戦することとしました。

2 プロジェクトの経緯
(1)プロジェクト始動のきっかけ
作者の私は、上記のとおり、絵を描くことは人生の中で諦めたことのひとつです。絵本を制作するにあたって、常日頃から「絵描き」を探しておりました。そうしたところ、知人を介して「重度障がいをもった子たちが視線入力で絵を描くことのできるEyeMot(アイモット)というシステムがあるから、その子たちの絵を絵本にできないか」という話を持ち掛けられました。
「木になる絵本屋さん」の活動が、そうした障害を持った子たちの役に立てるのであれば嬉しいと思い、プロジェクトに取り掛かろうと思ったのですが……今までの作品作りとは、根本的な違いがありました。
(2)これまでの作品との違い
これまでの作品作りは、おおよそ次の流れで制作していました。
①誰かの人生譚や考えていることをヒアリングし、そこから物語を創る
②絵描きに絵を描いてもらう
③朗読動画やテーマソングを創る
要するに、作者である私が誰かの人生等をヒントに物語を創り、その世界観に合った絵を描いて頂いていたのです。しかし、視線入力で絵を描けると言っても、写実的な絵であったり、細かい描写を描くことは技術的にまだまだ不可能でした。「物語」が先にあって、その物語に合わせた「絵」を描くというのは、どうやらできそうもありません。その子たちの描く絵は「模様」に近いものであり、どうやったら絵本になるのか、当初は全くイメージが湧かず、しばらくは話を進められる自信がありませんでした。
(3)重度障がい児たちとそれを支える人たちとの出会い
当初は全くイメージが湧かない状態でしたが、何かきっかけがつかめるかもしれないと思い、この話を持ち掛けてくれた重症心身障がい児・医療的ケア児を受け入れているデイサービス施設「リブライフ」を訪れることとしました。そこで代表理事の髙串優紀さん、そして視線入力システム「EyeMot(アイモット)」の生みの親である伊藤史人先生とお話することができました。
「重度障がいを持つ子たちは、医学的には何も見えないし聞こえていないとされることもある。でも、現場で接している人からすると、この子たちは聞いているし、見えているし、何より、この子たちには自分の想いや意志をはっきり持っている。ただ、身体的な障がいがあって、それを表現できていないだけ。EyeMotというシステムは、この子たちが自分の意志を表現し、自分の『できる』を実現するためのツールなんです」
EyeMotで描かれる「模様」のような「絵」。確かに細かい表現ができるわけではないけれど、そこに「意志」や「想い」が表現されている。よく考えれば、私のような作家が物語や文章を生み出すことと同じく、「絵を描くこと」も自己実現の手段のひとつです。それは、上手に絵が描ける人でも、そうでない人でも一緒なはずです。障がいの有無に関わりなく、そこに確かな「その子の意志」が込められていることに気が付きました。
そういえば、人間必ずしも何かを想像してから絵を描くばかりではありません。雲を見て「あの雲何かに似てるよね」と想像するように、そこにある何かから何かを想像することもできるのが人間の想像力(イマジネーション)です。
「もしかしたら、こちらが思う何かを描いてもらうのではなく、そこに描かれたものから私たちが想像することで物語を紡ぐことができるかもしれない」
発想の転換をすることで、何となく実現へのイメージが湧いてきました。

(4)表現したいテーマ
私は、これまで誰かの人生や物事に対する考え方をヒアリングし、その中からテーマを見つけて、それを物語の肝にして創作活動をしていました。今回、おふたりから話を聴いて、発想のヒントを得るとともに、何となく物語に込めたいテーマも見えてきました。それは「親子の繋がり」です。
色々な理由で、自分の手足を動かしたり、話したりすることができない子たち。でも、その子たちは確かな意志や想いを抱いているし、その子たちの親は、それを理解し、感じ取りたいと願っているのです。生まれたばかりの赤ん坊が「泣き声」というひとつの手段で自分を表現し、「泣き声」ひとつで何を望んでいるのか理解しようとするように、EyeMotで描かれる絵を通じて親子が互いに歩み寄って互いを理解しようとしている。それがこのツールを通じて行われていることなのだとわかり「親子の繋がり」をテーマとした物語のイメージも何となく湧いてきました。
(5)母親たちの力強い言葉
物語のイメージをより具現化できるよう、実際にEyeMotを利用して絵を描いているという子たちに会ってみることとしました。AYUMUくんとてらさわまいさんです。ふたりとも年齢は10代ですが、重度障がいを抱えており、ほとんど寝たきりで過ごしています。ふたりのお母さんからお話をうかがったところ、共通のことをおっしゃっていました。
「この子は、この子のままで完璧です」
「この子は、この子のままでかわいいです」
障がいを抱えた子たちを育てるのはさぞ大変であろうし、色々な苦労話をされるのかと思っていました。もちろん、そういった苦労がないはずはありません。でも、そういった苦労は、もうとうの昔に乗り越えてしまっているように感じました。そんな苦労話よりも、子どもたちへの深い愛情、そして、生まれてきてくれたことへの感謝を言葉にされていました。子どもたちへの無条件の深い愛。お母さんたちの言葉には、親の子への「無償の愛」がそのまま現れていました。
自分たちのことを翻ってみると、子どもが普通に話せたり、勉強したりスポーツしたりという当たり前のことができると、ついつい親は子どもに期待してしまいます。その勝手な期待が、子どもの本当の姿を隠してしまったり、本来の子どもの個性を摘み取ってしまったりしていることは少なくないように思います。お母さんたちの言葉を聴き、そして、子どもたちと接している中、自分でもなぜだかわからなかったのですが、涙が止まらなくなってしまうことがありました。
「あなたは、自分の子どもを愛せていますか?」
ついつい忘れてしまいがちな根本的なこと。本質的なこと。お母さんたちの言葉は、それを思い起こさせてくれました。そして、そう思うとともに、私が感じたこの部分を、このプロジェクトと物語を通じて表現し、多くの人に伝えたいと思いました。


(6)絵本制作へ
こうして、絵本に織り込みたいテーマや想いが見えてきました。この子たちの絵を活かしつつ、これらのテーマを織り込む。難しいところもありましたが「描かれた絵を通じて親子が魂で語り合う」という世界観で物語を構成しました。物語は、まるで美術館に展示されている絵画を見るようにして進みます。一枚の絵に秘められた、家族の想い出を一緒に感じて頂きたいと思っています。
詳しくは、ぜひ完成した絵本をご覧頂けたら嬉しいです。

3 制作関係者のご紹介
本作は、絵本にQRコードを付けており、QRコードから朗読動画を視聴できる仕様としております。朗読動画にはテーマソングもあり、絵、音楽、朗読をお楽しみ頂けます。制作に関わって頂いた方をご紹介いたします。
(1)絵描き
AYUMU
Eye Painter(アイペインター)。重度肢体不自由。9歳でEyeMOTと出会ってから「視線アートは、アイデア次第で無限大∞」という信条を体現しています。今回のプロジェクトでは、EyeMotを利用して、物語のキーとなる絵を描いてくれています。
本人からの一言!
「目で見る力とほんの少し動く足の指を使って色々なことを楽しんでいます。考えることは大得意!ぼくのアートが素敵な絵本になって、嬉しいです!」

てらさわまい
Aicardi-goutieres症候群という難病をもって生を受け、1歳まで「早期に亡くなるかも」と告げられていましたが、今日まで元気に暮らしており、オシャレや可愛いものが大好きな女の子です。今回のプロジェクトでは、AYUMUくんと同じく、物語のキーとなる絵を描いてくれています。私と初対面のときは少々照れていたのかもしれませんが、EyeMotを使い、頑張って絵を描いてくれました!

(2)ミュージシャン
ふりこりこ
マルチアーティスト。弾き語りライブ・楽曲制作・絵画制作・SNS発信などを展開しています。独自の世界観で、日常にそっと寄り添う作品づくりを目指しています。本作では、テーマソング、朗読中の背景音楽制作を担当して頂くだけでなく、挿絵も描いて頂きました!現役女子高生!

YouTubeチャンネルもやってます!!
(3)作中文字
玉 照
児童クラブの先生。絵本朗読のボランティアを続ける中、物語が持つ温かさや言葉の力を実感する。書道師範として文字を大切にする心を学びました。本作では、作中文字を担当し「皆さんの心に温かい光を灯しますように」と一文字一文字に心を込めて頂きました!
三宅 夏鈴
絵描きの娘として感性を磨き、書道やピアノも習う小学生。鍵盤と戯れ、音の楽しさに包まれる日々が表現の源。本作で初めて絵本の文字制作に携わって頂きました。
本人からの一言!
「文字と心のこもった言葉たちが、この絵本を手に取るすべての人の心に深く響くように」
(4)朗読
risapi
九州の某テレビ局の関係でCMナレーション等のお仕事をされています。今回は、絵本の朗読という形で携わって頂きました。
橋本ハンナ
キッズミュージカルに所属して、日々演技に歌に磨きをかけている女の子です。今回、声優に初挑戦!緊張しながらも精一杯頑張って頂きました!初挑戦の様子をYouTubeにも上げておりますので、よかったらご視聴下さい!

4 現在の準備状況
絵本の内容はおおよそ完成しております。現在動画編集及びリターン用のグッズ制作中です。
5 リターンについて
ご支援につきましては、絵本「きみのえがくせかい」の制作費(絵本印刷費、関連グッズ制作費等)、広告費、商品郵送費、クラウドファンディング手数料に充てさせて頂きます。
(1)絵本
タイトル 「きみのえがくせかい」
EyeMotを用いて描かれた絵が用いられた絵本です。大きさはA5サイズで、見開きでA4サイズとなります。ページ数はあとがきや作者紹介等まで入れて32ページです。絵本にQRコードが付されており、読み込むことで朗読動画及びテーマソングを視聴できます。
(2)クラウドファンディング限定グッズ
絵本はクラウドファンディング後、数か月経過した後にAmazonでも販売予定ですが、その他グッズはいずれもクラウドファンディング限定グッズです。これを機会にお手にして頂ければ幸いです。
①ポストカード5枚
②クリアファイル(A4サイズ)
③キーホルダー
④パズル(A4サイズ、100ピース前後)

※リターン商品は制作前のため、本ページの画像はAIで生成したイメージです。 実際のリターン商品と はデザイン・質感・サイズ感などが一部異なる場合があります。 あらかじめご了承のうえご支援ください。
6 スケジュール
令和7年11月 クラウドファンディングスタート
12月 動画制作&リターングッズ制作
令和8年 1月 絵本の印刷
2月 クラウドファンディング終了
3月 順次リターン発送
7 最後に
障がいの有無に関わらず、「絵を描くこと」は自分を表現する大切な手段です。視線だけで描かれたアートには、その子の意志、想い、そして魂が宿っています。この絵本が、子どもたちの世界と、親子のつながりの美しさをたくさんの方に届けられることを願っています。どうか、あなたの力を貸してください。物語の続きを共に紡いでいただければ幸いです。
また、これを機会に、あの子たちの可能性と個性に気が付いて、光を照らしてくれる誰かが現れることも切に願っております。





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