原発事故からリスタートした町の復興のシンボル
『大熊町立 学び舎ゆめの森』
そこで学ぶ子供たちに、いま私たちが届けたいもの。

自己紹介と想い

はじめまして。Misfits株式会社 ファウンダーの大森寛之といいます。
まずは軽く自己紹介を。
私は福岡出身です。
福岡の地元の高校を1年でさっさと退学してしまい、やれることもやりたいことも特になかったので、学業や社会から逃げるように17歳で商売という道に入り、41歳になるこれまで一度もちゃんとした会社に就職したことがないという人間です。
なので「どこどこの学校の出身」とか「どこどこで働いていた」という自己紹介が一切ありません。これでは何者かよく分からず、自己紹介になりませんね。すみません。
もうちょっと自己紹介すると、ここ最近は3歳になった愛娘にとにかく夢中です。気が強い娘なのでお互いに意地を張ってよく喧嘩していますが、本当は心から可愛いです。
あと、2年前に始めたMisfits株式会社の教育事業に心から夢中です。
そんな私にはいま、人生を懸けて成し遂げたいことというのがあります。
それはMisfits株式会社のビジョンでもある『誰ひとり“自分”を諦めない社会の実現』です。
なぜ、私がこういう想いを持っているのか?
このページでは、そんな話を簡単にさせて頂きたいと思います。
このクラウドファンディングは、単に「子供向けにアートイベントをやりたいんだ!寄付してくれ!」というものではありません。
かつて、社会で決められた”正解”や”常識”というものにうまく適応することが出来ず、社会に対しても自分に対しても、無力感そして絶望に陥っていた私が、過去の自分のような子供や若者を生み出したくない、という祈りのような挑戦です。
まずは、いまのこの日本の社会が私の目にはどう見えているのか?を共有させてください。

世界に先駆けて蔓延する日本の病
【1】「正解」を求める国で、失われたもの
かつて私が感じていた無力感や絶望というのは、過去の私だけのものではありません。
むしろ今の日本社会全体が静かに蝕まれている“病”だと感じています。
ある調査によると、「自分の力で社会を変えられると思うか」という問いに、 インドの若者は83%が「YES」と答えたのに対し、日本はたったの18%。 仕事への熱意に至っては、145カ国中最下位という結果です。


なぜ、この国はこんなにも無力感に覆われてしまったのでしょうか?
私はその原因を、長い時間をかけてゆっくりと蔓延していった「主体性の欠如」 にあると考えています。
私たちは物心ついた時から、「正解を探す」訓練を受けてきました。 テストで良い点を取ること、先生の言うことを聞くこと、波風を立てずに周りに合わせること。
それが「正しい」とされる社会の中で、私たちはいつの間にか人間が本来持っておくべき主体性というものを失ってしまったのではないでしょうか。
「〜しなければならない」という、見えない義務に縛られ、自分の人生の決定権を自ら手放してしまっている。気づかないほど自然に自分の感情を押し殺し、主体的に生きるという感覚を失っている。
これは、これからの社会が抱える大きな問題だと考えています。

【2】アートは、「主体性」を取り戻すための最高の訓練だ
では、どうすれば自分の人生を取り戻せるのか?
それは「自分の選択で、人生は変えられる」という成功体験を、一つでも多く積むことです。
主体的に生きる人間は、ストレス耐性が高く、生産性も、学習効率も、爆発的に向上することが、科学的にも証明されています。
自分の人生のハンドルを自分で握っているという感覚が、人間のポテンシャルを最大限に引き出すのです。
そして、アートこそが、この「主体性」を取り戻すための、最も安全で、最も楽しい訓練の場だと、私は確信しています。
なぜなら、アートには「正解」がないからです。
誰かに評価されるためでも、報酬や罰のためでもない。ただ、自分の中から湧き上がる
「描きたい!創りたい!」という衝動に従って、自由に自分を表現する。
そこでは誰もが自分の世界の創造主であり、主人公です。
正解がないものだからこそ、誰かからの評価を恐れることなく何度でも楽しみながら挑戦できる。
そのプロセスを通じて人は、「自分は自分のままでいい」という揺るぎない感覚を掴むことができると考えているのです。
だからこそ私は、この主体性を育むための活動というものをもっと社会全体に拡げていく挑戦をしていくことにしました。
しかし、いざこの挑戦を進めようとしたとき、ある人からこんなことを言われたんです。
「主体的な人間はそもそも主体的。主体的でない人間を主体的にすることは不可能に近い。」
その声を聞いたとき、私は強い悔しさを感じました。
なぜなら、それはかつて私自身が突きつけられた“あきらめ”と同じものだったからです。
マサヤ・イチさんとGAG生
【3】「人は変わらない」という常識を、私たちが壊す
その悔しさは、単なる感情で出たものではありません。 それは社会の奥深くに根づく「人は変わらない」という常識への反発でした。
起業してからこれまで、私は多くの先輩経営者の方々からこう言われてきました。
「君がやっていることは事業じゃなくて、ただの趣味だ。
もし本気で何かを成したいなら、仲間のレベルをもっと上げないと無理だ。
ダメな人はダメ、優秀な人は優秀。
そういう人間を切れないのは経営者失格だ。
それは事業ではなく、ただの趣味だよ。」
こうしたアドバイスを受け取るたびに、私は深い疑問を感じてきました。
本当に人は変わらないのだろうか?
まだ開花していない人の可能性を信じることは、ただの理想論なのだろうか?
私はこの問いと、20年以上向き合い続けてきました。そして今、はっきりと言えます。
人は確実に変われるのだと。
たとえ主体的でなかった人でも、 「ダメだ」と烙印を押された人でも、 優秀ではないと言われた人でも たったひとつのきっかけで、人は大きく変わることができるのです。
その確信の根拠のひとつは、自分自身が大きく変わったこと。
そして、自分だけでなく、社会から期待されていなかった仲間たちが、自らの可能性に気づき、挑戦し、周りの経営者が羨むほどの優秀な人材に変化していく姿を何度も何度も目にしてきたことも、大きな自信に繋がっています。
私はこの20年以上をかけて検証し、いまではこのように確信しています。
人は変わらないのではなく、まだ“変わるきっかけ”に出会っていないだけだ。
どんな人であれ、たったひとつのきっかけで主体的な人生を取り戻し、自分の可能性を大きく開くことは可能です。
この活動は、その真実を世の中に証明していく挑戦です。

大熊町とのご縁と、これまで続けてきた歩み
きっかけは、福島に実家のあるメンバーでした。
その紹介で『学び舎ゆめの森』を初めて訪れて以来の3年間、Misfitsのメンバーはほぼ毎月大熊町に通い続けています。
ワーケーションで滞在したり、教育に関する会議に参加したり、子どもたちとの合同イベントを行ったり、先生方とも交流会をしたり。
原発事故という大きな喪失を乗り越え、前を向いて教育を軸に未来を創ろうとする町の方々のエネルギー。子どもたちの屈託のない笑顔。
この場所から、新しい未来を創造する。
この町の物語と、子供たちの自由なアート表現が掛け合わさった時、そこに生まれるものは、単なる思い出を越えた、未来への大きな希望になる。
そう確信し、まずはこの小さなイベントから始めることにしました。

イベント概要:
- 日時: 2025年11月23日 13:00〜16:00
- 場所: 福島県大熊町 学び舎ゆめの森アリーナ
- 対象: 大熊町近隣の子どもたちとその保護者
- 内容: マサヤ・イチさんとGAGの方々と一緒に創作するアート体験ワークショップ
ゆめの森とは?
2022年4月に開校した「ゆめの森」は、0〜15歳までの子どもたちが共に学び合う場所です。
子どもたち一人ひとりの「好き」と「なぜ?」を出発点にした探究型の学びを大切にしています。
ゆめの森が掲げるビジョンは、
「わたし」を大事にし、「あなた」を大事にし、みんなで未来を紡ぎ出す。
これは、私たちMisfitsが大切にしている想いと深く重なります。
生徒数98名のこの小さな学び舎は、大熊町にとって復興の象徴になっています。


想像してみてください。
「これ、本当に描いていいの?」と不安そうにしていた子どもが、だんだんと夢中になって、最後には「もっとやりたい!」と目を輝かせている姿を。
私たちは、このイベントが、子どもたちにとって一生消えない「希望の原体験」となると信じています。
今回のゆめの森アート体験で実現したいこと
私たちが目指すのは、今回ゆめの森で行いたいのは単なるアート教室ではありません。
子どもたちが、正解のない世界で自由に表現し、「自分は自分でいいんだ」と心から思える瞬間をつくることが目的です。
その瞬間を生み出すために、素晴らしいアーティストにお声がけし講師になっていただくことが決まりました。

講師の紹介
今回のイベントは、世界で活躍するグラフィックアーティストマサヤ・イチさんとともに開催します。
イチさんは、ロンドンのCentral Saint Martinsに留学し、「ANIMAREAL」で国際的に高い評価を受けているアーティストです。トランスフォーマーやゾイドの公式アート、東京ゲームショウのクリエイティブ統括、2025年には大阪・関西万博メインステージへの招聘など、アーティストとしてもデザイナーとしても常に日本のトップを走り続けています。
世界で活躍するプロのアーティストが、子どもたちと同じ目線で一緒に創作する。
子どもたちの「これ、描いていいの?」という不安を、「いいよ!もっとやってみよう!」と後押しすることで、 夢中になる楽しさに変えていく。そんな本物のアート体験を届けたいと考えています。
また、イチさんは今回、自身が主宰するアーティストコミュニティ「GAG (Graphic Artist Guild)」の仲間たちにも、参加を呼びかけてくださいました。
GAGは、最先端のグラフィックデザインの技術と共に、アートを学び、自分らしさを表現し創造性の高いグラフィックアーティストを育成するコミュニティです。
「創造性を通し、まだ見ぬ才能が輝く世界を」というビジョンを掲げ、未経験からでもプロとして活躍する人材を多く育てています。
さんだけでなく、彼らも今回リターンとして数々の素晴らしいアート作品をご提供してくださいました。
GAGの方々、本当にありがとうございます。

私には、一つの信念があります。
これまで様々な教育事業を立ち上げる中で、私は気づきました。
どんな人でも、ちゃんと向き合えば、可能性を広げられると。
一人ひとりが持つ可能性を信じて、みんなで一緒にやれば、奇跡は起こせるんです。
Misfitsの発案 × プロのアーティストの力が合わさって実現する、初めての取り組みです。
メッセージ
この挑戦に、心強い仲間たちがメッセージを寄せてくれました。

マサヤ・イチ様(アーティスト / GAG主宰)
このたび大熊町立 学び舎 ゆめの森でワークショップを行えることを、とても嬉しく思っています。
「誰一人自分を諦めない社会」は、共にワークショップを行うMisfits株式会社のビジョンでもあります。震災を乗り越え、新しい学びの場として生まれたこの学校で子どもたちと一緒に創作できることは、その想いと深くつながっていると感じています。
また、今回のワークショップでは、私が運営するアートスクール「Graphic Artist Guild(GAG)」の生徒たちが、学ぶ側から教える側に立ちます。自分が得た学びを誰かに伝えることは、成長の大きな一歩ですし、子どもたちにとってもより身近に“創造することの楽しさ”を感じてもらえるきっかけになると信じています。
アートには未来を描く力があります。この体験が、子どもたち一人ひとりが自分を諦めずに歩んでいく勇気につながれば、これほど嬉しいことはありません。

佐藤由弘 様(福島県大熊町教育委員会教育長)
東日本大震災と原子力発電所事故から14年。大熊町は、復興に向けて日々歩み続けております。令和5年4月に、認定こども園と義務教育学校が一体となった「学び舎ゆめの森」が12年ぶりに大熊町に帰町し、再開しました。震災直後7名まで減った園児児童生徒数も、現在98名まで増えました。
学び舎ゆめの森には、大熊インキュベーションセンターに入居している起業家たちが集ってくださり、様々な形で子どもたちの学びにも携わっていただいています。Misfits株式会社は、その筆頭です。
この度、学び舎ゆめの森でアートワークショップを開催していただけることとなり、大熊町での子どもたちの豊かな学びの環境が、また大きく広がることが期待され、大変ありがたい限りです。厚く感謝申し上げます。
最後に

Misfitsは、『誰ひとり“自分”を諦めない社会の実現』というビジョンを掲げ、2年前に50人の仲間と共に立ち上がりました。
エドテック領域で“学び”をテーマに事業を展開していますが、Misfitsには高学歴や華やかな経歴を持つメンバーはほとんどいません。むしろ、どちらかといえば勉強が苦手だったり、社会の中で“ノンエリート”と見なされてきたメンバーが集まっています。
私自身、10代の頃は何をやってもうまくいかず「自分には何もない」と思い込んでいました。
それでも、自分の可能性を信じてくれる人との出会いや、多くの学びや、小さな成功体験が重なっていく中で、少しずつ世界の見え方が変わっていきました。
人はもともと特別だから輝くのではなく、何かきっかけに出会うことさえ出来れば、変わり始める。
その実感がやがて私の中で確信に変わっていったのです。
Misfitsは、そんな確信から生まれました。
かつて社会から期待されていなかった人たちが、いまでは自分の本来持っていた可能性を大きく開き、多くの人の人生を変える側にまわっている。それぞれが自分の“欠け”や“挫折”をそのまま力に変え、学び続けながら成長している。
だからこそ、私は信じています。
人は、変われる。
Misfitsという組織そのものが、その証明となるひとつのアート作品です。
この変化の連鎖を社会全体に広げていくことこそが、Misfitsの活動の本質であり、私たちがこのテーマで挑戦し続けていきたい理由なのです。
その活動の一環として今回は、大熊町学び舎「ゆめの森」小さなアートイベントの開催に挑戦します。
このイベントは、子どもたちが「自分の色で世界を塗り替えていいんだ」と感じられる場をつくります。
その舞台に選んだのは、福島県・大熊町。
かつて多くを失ったこの町で、子どもたちの手によって“新しい色”が生まれる瞬間をつくりたい。
もし、私たちのやろうとしていることに何か感じるものが少しでもあれば、僕らの仲間になっていただけたら嬉しいです。一緒に社会を変えていきましょう。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

Misfits株式会社 Founder 大森 寛之




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