
■「花畑広場」の過去と、今と、これから
熊本市は「歩いて楽しい、居心地のいいまちなか」を目指し、ウォーカブル推進都市として、熊本駅〜花畑広場〜熊本城を中心に広場や道路空間の再構成を進めています。その象徴が、熊本城と市街地をつなぐ「花畑広場」です。
< 熊本市中心部地図・花畑広場 >
花畑広場は、江戸期には藩主の邸宅「花畑屋敷」が置かれた格式ある場所で、参勤交代の送迎場としても機能しました。明治以降は練兵場や市街地として発展し、市民のハレの場として親しまれ、昭和期には花畑公園として整備されました。
かつて藩主の屋敷と庭園があったこの場所は、現在、「熊本城と庭つづき『まちの大広間』」というコンセプトのもとに整備され、市民ワークショップを経て、イベントや休息のための多目的な空間として生まれ変わりました。
オープン当時、整備プロセス・市民協働性などが評価され、「MIPIM Asia Awards 2022」、「第1回 まちなか広場賞」、「グッドデザイン賞」「土木学会デザイン賞 最優秀賞」などを受賞し話題を集めました。

しかし、実際の運用が始まると、イベント時を除き、人が立ち止まることの少ない「通り抜ける広場」になっている現状も見えてきました。
今、求められているのは、まちに暮らす人が日常の中で自然に立ち寄り、座って過ごせる関係をもう一度つくり直すことです。
その新しい一歩として、今回初めて市民とともにイスをつくるワークショップを開催します。
携わった人たちの思いが宿るイスが花畑広場に並び、通りがかった人がふと腰を下ろす。そんな小さな行為が、「歩いて、座って、滞在するまち」を少しずつ育てていく。まちが人に寄り添い、人がまちをもっと好きになる。そんなきっかけをつくっていきたい。
私たちは、その思いを「イスづくり」というかたちで、少しずつかたちにしていきます。
■ 椅子づくりワークショップリーダーの挨拶
皆さん、はじめまして!
市民の皆さんと一緒にイスを作るワークショップ「みんなのくつろぎ工房 〜“イス”づくり編〜」のプログラムリーダーを務めます、熊本大学大学院 修士2年の若松雄希です!
私は、学生団体「広間るSeason2」で、花畑広場を中心に、市民の皆さんが公共空間に
触れるきっかけをつくる活動に取り組んでいます。約2年間の活動を通じて、次の問いに出会いました。
“公共空間は本当にみんなの場所なのだろうか?”
多くの人は「公共空間=みんなの場所」というイメージを持っていると思います。
しかし、通行以外での利用が少ない公共空間もしばしば見受けられます。
その背景には、①座る場所が少ない、②過ごす人が少ない、③モノが売れない・パフォーマンスをしても見てもらえない、といったネガティブなサイクルが潜んでいるように感じます。
みんなが使わない公共空間は、もはや“みんなの場所”とは言えないのではないでしょうか?
このワークショップが、公共空間を本当の意味で“私たちの居場所”として取り戻す、最初の一歩となることを楽しみにしています!
■ プログラム実施内容
今回のイスづくりワークショップは、九州を拠点とする若手建築家たちを迎え、市民とともに “ 広場でくつろぐ風景 ” をかたちにするプロジェクトです。
デザインは建築家たちが考案し、製作には建築家・学生・市民が協働して参加します。
熊本県では、建築を通して地域文化を育むことを目的に「くまもとアートポリス」を推進してきました。この取り組みは、建築家の個性と地域資源を生かしながら “ 熊本らしい空間文化 ” を育てていくものです。
本プロジェクトもその理念に沿って、次の世代の建築家がまちの現場で表現できる機会を生み出す試みとして企画しました。
素材には熊本県産材を用い、地元の森林資源や職人技術を活かすことで、環境にも配慮した地産地消のものづくりを目指します。
それぞれが異なる視点から “ 広場でくつろぐ ” という行為を再解釈し、熊本の風景に新たなかたちを提案します。
■ 起用する建築家の紹介
今回のイスづくりをともに進めるのは、熊本や福岡を拠点に活躍する次世代の建築家たちです。
公共空間やまちの風景に新しい視点を持ち込みながら、“ くつろぐ ” という行為を通して人とまちの関係を見つめ直します。
彼らは、「通り抜ける広場」を課題に、“ 立ち止まり、座り、過ごす ” ためのかたちを構想中です。
デザインはクラウドファンディング期間中に少しずつ進み、「活動報告」でスケッチや模型、試作の様子などを随時公開し、市民や支援者の皆さんとともにそのプロセスを共有していきます。
完成形を見せるだけでなく、思考の過程をひらきながら、まちの未来を一緒に想像していく――この “ デザインのプロセスを共有すること ” こそが、このプロジェクトの核です。
完成までの時間を、どうぞ一緒に見守ってください。
< 起用する建築家(敬称略)>
【HP】NOBUHIKO SAWA ARCHITECTSOfA
【HP】farm
【HP】aki(architects)
■ 当日のプログラム
日時: 2026年2月28日(土)11:00〜17:00
場所: 熊本駅白川口駅前広場(アミュひろば)
今回のイスづくりワークショップは、熊本駅前広場で開催されるイベントの中心プログラムとして実施されます。
駅前という「まちの入り口」でつくられたイスは、後日、熊本市中心部の花畑広場に設置され、まちなかに “ くつろぐ風景 ” を届けます。
「つくる」場所と「使う」場所を分けることで、熊本のまちなかを行き来する人々が、まち全体をひとつの大きな広場として感じられるように――そんな想いを込めた構成です。
当日は、まちなかに “ くつろぐ風景 ” を生み出すこの試みを軸に、“ 滞在・創造・対話・観察 ” をテーマとした4つのプログラムを展開します。
<イベントプログラム>
① イスづくりワークショップ【創造】
ワークショップ形式で来場者が関わりながら、実際に使用できるイス・ベンチを製作します。
建築家や職人、学生のサポートを受けながら、参加者は部品を組み立てたり、色を塗ったりとそれぞれの手で製作に関わります。完成したイスは後日、花畑広場などの公共空間に常設されます。
② ミニチュアチェアアート制作【観察】
来場者が1/10スケールのミニチュアチェアを自由に制作しながら、“ 座る・くつろぐ ” という行為の多様なかたちを可視化するアートプロジェクト。
スタッフや建築学⽣がサポートし、来場者は粘土や布、針金など身近な素材を使って小さなイスをデザインします。建築家がデザインしたイスへのインスピレーションを通して、“ 自分にとっての居心地の良さ ” を考えるきっかけをつくります。
③ ラジオ放送【対話】
会場全体をひとつの「放送局」に見立て、広場について考えるコーナー、プログラムの紹介、ゲストインタビューをラジオ風に実況。
パーソナリティとゲストがリアルタイムで声を届け、会場の空気や人の動きを “ 耳で感じる ” プログラムです。
④ その他【滞在】
レジャーシートやブランケット、本、ランチボックスなど、“ くつろぐための道具 ” を自由に使える滞在スペース。
訪れた人が思い思いに過ごす様子を観察し、広場での時間の使い方や滞在のかたちを探る実験的なエリアです。この場で得られたデータや気づきは、今後の花畑広場の活用にも活かされます。
*
この日の広場に生まれる “くつろぐ風景 ” は、みんなでつくる熊本の新しいかたちです。
どうかあなたも、そのはじまりに立ち会ってください。
■ 資金の使い道
今回のクラウドファンディングでは、イスづくりワークショップの実施費用を中心にご支援を募ります。
このワークショップでは、熊本・福岡の若手建築家がデザインしたイスを、2026年2月28日(土)に熊本駅前広場で開催するイベントで、市民や学生、職人とともに制作します。
完成したイスは、後日、花畑広場などの公共空間に常設される予定です。
【支援金目標額】 90万円
【主な使用内訳(予定)】
・イスの設計・試作費、制作にかかる材料費(熊本県産材の購入・加工費)
・ワークショップ運営費(工具・安全備品・保険料・会場設営など)
・サポートスタッフへの謝礼
・記録・展示・アーカイブ制作費(コンセプトボード・ZINE制作など)
・クラウドファンディング手数料
※不足分は、自己資金で補填します。
これらの費用は、ワークショップを単なる一日限りのイベントではなく、花畑広場につながる “ まちなかの実験 ” として継続させるための基盤となります。
イスをつくることは、まちの風景を更新すること。
そのプロセスを市民とともに進めていくために、どうか皆さんの力を貸してください。
■ リターン(ご支援へのお礼)
このプロジェクトでは、ご支援いただいた皆さまに、金額に応じて製作への参加や記録物、広場でのかたちとして残るお礼をご用意しています。
いずれのコースも、単なる返礼ではなく、「熊本のまちなかに “ くつろぐ風景 ” を一緒につくる仲間」として関わっていただくためのものです。
■ プロジェクトに込めた想い
熊本のまちなかでは、広場や道路の整備が進み、歩くこと・滞在することを楽しむ風景が少しずつ広がっています。
けれども、「人が安心してくつろげる場所」は、まだ十分ではありません。
私たちは、このプロジェクトを通して、まちを「使う」だけでなく「つくる」側へと一歩踏み出すきっかけを生み出したいと考えています。一脚のイスをつくることは、単なる木工ではなく、まちの時間や関係をつくり直す行為です。
誰かが座り、語り、また次の誰かへと引き継がれていく――そんな風景が熊本のまちなかに根づいていくことを願っています。
このイスづくりは、熊本のまちがもつ創造の力を信じるプロジェクトです。
若手建築家の挑戦、県産材の活用、市民との協働。
そのすべてをひとつの “ くつろぐ風景 ” に込めながら、熊本らしいウォーカブルの未来を描いていきます。
あなたの支援が、この一歩をともに踏み出す力になります。
どうか、一緒に “ くまもとの広場に、みんなのイスを。 “
■ チーム紹介
私たち「KUMAMOTO HIROBA PROJECT(クマモト ヒロバ プロジェクト)」は、熊本市が実施する広場活用推進プログラム「くまもと広場二スト」をきっかけに集まった、大学生と社会人で構成されるチームです。
花畑広場や熊本駅前広場など、熊本のまちなかを舞台に、「使う」だけでなく「つくる」公共空間のあり方を実践的に探っています。
今回のプロジェクトでは、建築家や地域のプレイヤーと協働しながら、まちなかに “ くつろぐ風景 ” を生み出すことを目指しています。
まちに関わる立場も世代も異なる私たちが、それぞれの視点から熊本の未来の広場を考え、かたちにしていく――。
この活動そのものが、広場を通じた新しい市民協働の実験です。
◯ 総括プロジェクトリーダー

◯ 椅子作りワークショップ プログラムリーダー

◯ チームメンバー





今後は活動報告を通じて、制作の舞台裏やまちの変化を発信していきます。
“ くつろぐ風景 ” のその先に、熊本のまちがどのように育っていくのか。
私たちの歩みを、ぜひ一緒に見届けてください。
■スケジュール
2025年 12月31日 クラウドファンディング終了
2026年 2月上〜中旬 リターン発送
2026年 2月28日 イベント開催
最新の活動報告
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くまもと広場ニスト 全体会議
2025/11/17 16:44先日、2月28日のイベントに向けて、広場ニストのメンバー全員が集まり、全体会議を行いました。写真の通り、各プロジェクトごとに分かれて、当日の動きや役割、準備物などを細かくチェックしながら話し合っています。「どうすれば広場がもっと楽しくなるか」「事故がなく、安全にイベントを進めるには」そんなアイデアが飛び交い、会議室の空気はまさに“文化祭前”のような熱量でした。気が付けば、イベントまであと3ヶ月ちょっと。(意外に直ぐだ!)今回生まれた議論や工夫を、2月28日の広場にしっかり届けます。引き続き応援をよろしくお願いいたします。 もっと見る




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