「洗う」から始まる物語――クリーニング屋が見つめてきた服たちの“もう一つの人生”を姫路からつなぐ。
VANKURI(ヴァンクリ)/クリーニング ばんくり
姫路で小さなクリーニング店を営んできた私たちが、ある日気づきました。
毎日触れる大量の服たちには、「まだ着られる」声が隠れていると。
汚れやほつれの裏にある記憶や暮らしをそっときれいにして、次の誰かに託したい
──その想いから生まれたのが、クリーニング屋の目で選ぶ古着屋「VANKURI(ヴァンクリ)」です。

第一章:蒸気の向こう側で見てきたもの
朝、店のドアを開けると、温かい蒸気と洗剤のやわらかな匂いが迎えてくれる。
ハンガーにかかったシャツやワンピースが、まるで一日を終えた旅人のように静かに揺れている。私たちはその一枚一枚に触れ、汚れを確かめ、縫い目を見つめ、素材の表情を読む。
長年の経験でわかるのは、服の傷みと人の暮らしは重なっているということです。
ある日、若いお母さんが古くなった子どものセーターを持ってきて言いました。
「これ、祖母が編んでくれたものなんです。穴があって……。でも捨てられなくて」。
私たちはその穴を繕い、優しく洗い、ボタンを付け直しました。
受け取ったときの彼女の目には、ただのクリーニング以上の何かが映っていました──それは記憶が救われた瞬間でした。
私たちの仕事は「汚れを落とす」だけではなく、時間が刻んだものを大切にすることでもある。
だからこそ、服をただ流通させる古着屋ではなく、「きちんと手をかけられた安心できる古着」を届けたいと思いました。
第二章:一見、結びつかないはずの“クリーニング”と“古着”の深い繋がり
クリーニングと古着は、表面的には別の世界に見えるかもしれません。
片や“新しさ”や“清潔さ”を求められ、片や“味”や“履歴”を評価される。けれど私たちが長年見てきたのは、その境界線が溶け合う瞬間です。
クリーニングの現場では、まだ着られるのに処分されていく服と幾度も出会います。ほつれ、日焼け、ボタンの欠損──小さな手当ひとつで、十分に次の人がまた大切にできる服がたくさんある。
さらに私たちには、素材の知識や汚れの落とし方、そして何が直せるか見極める“目”があります。これは古着を選び、次の人に安心して提供するための最高の武器です。
VANKURIは、クリーニングという“復活の技術”と、古着が持つ“物語”をつなぐ場所。
ここでは一着がただ安く売られるのではなく、手間と愛情が注がれて、新しい物語として生まれ変わります。

第三章:服に宿る「人の時間」を次へ繋ぐということ
服は記憶を運ぶ箱です。
初めて着た日の高揚。
誰かからもらったときの照れくささ。
繰り返し着て体になじんだ感触。
──それらは汚れや縫い目に刻まれて、見えない痕跡となって残ります。
私たちはその痕跡を汚れとして排除するのではなく、
尊重しながらも「清潔で心地よく」次に託せるよう整えます。
例えば、古着を求めて来店した大学生が言いました。
「ここで買ったジャケットを着て、初めて彼女と出かけたんです」。
そんなふうに、次の誰かの大切な瞬間を一緒に作ることができる
――それが私たちの何よりの喜びです。

第四章:「古着を愛するあなたへ」
そして、もうひとつ。
私たちが心から伝えたいのは――いまも古着を愛し、日常の中に古着があるあなたへ。
VANKURIは、そんな“本物の古着好き”の方にも、きっと楽しんでもらえる場所です。
なぜなら私たちは、服の一点一点に「前の持ち主の時間」が息づいていることを知っているから。
そして、次に着る人がまた自分の時間を重ねていく。
その循環こそが、古着の最大の魅力だと信じています。
VANKURIの店内には、ブランドや年代だけでなく、
「どんな素材で、どんな手入れをすれば、この服が一番輝くのか」までをスタッフが語れる服たちが並んでいます。
タグの数や価格よりも、“この服をどれだけ大切に扱ったか”にこだわりたい。
クリーニング屋だからこそできるケアと整えで、古着を“清潔さも誇りもある一着”として届けています。
古着が好きで、その背景や物語までも愛してくれる人たちへ。
VANKURIはあなたの“次のお気に入りの場所”になれるよう、服を見せるだけでなく、語れる古着屋でありたいと思っています。
第五章:「もう一度、古着を好きになれる場所を」
かつて、古着は“個性の象徴”でした。
学生のころ、古着屋でお気に入りの一着を見つけた日のワクワクを、今でも覚えている人は多いと思います。けれど、いつの間にか社会の中で「古着=汚れている」「中古=人のものだった」というイメージが強まり、家族やパートナーから「古着はちょっと…」と敬遠されて、いつしか買わなくなった──そんな方も少なくありません。
私たちVANKURIは、そうした人にもう一度、古着の魅力を思い出してもらいたいんです。
クリーニングの技術で“きれい”に生まれ変わった服なら、古着に抵抗がある人にも安心して手に取ってもらえる。そして、「これ、本当に古着なの?」と驚いてもらえるような品質にしたい。
服は、誰かの暮らしを受け継ぐ“物語のバトン”。
それを敬遠するのではなく、次に大切にできる人へと丁寧につないでいく。
VANKURIは、古着が持つ自由さと温もりを、もう一度、誰もが楽しめるようにしたいと願っています。

第六章:姫路から始める、小さな循環の輪
「もう、クリーニング屋を閉めようか…」
景気の悪化と“クリーニング離れ”で、いくつもの店舗を手放しました。
そんなある日、ふと入った古着屋で目にしたのは、“シミの残ったまま”並べられた服たち。
「俺なら、もっときれいにできるのに。」
その瞬間、胸の奥に火がつきました。
“洗う”ことを仕事にしてきた自分だからこそできることがある。
それが「クリーニング屋がする古着屋」という、新しい挑戦の始まりでした。
私たちの願いは大きくはありません。
姫路の街角で、服が循環し、誰かの思い出が生き続け、不要になったものが資源としてまた誰かの宝物になる——そんな自然な循環を作ることです。
地域の人が気軽に立ち寄れる場所、手入れの仕方を学べる場所、そして古着を通じて世代を超えた会話が生まれる場所にしたい。
環境負荷の低減、そして「物を大切にする文化」を次の世代につなげる。
これがVANKURIが描く未来です。

〈資金の使い道(抜粋)〉
・古着の仕入れ資金
・広告宣伝費(一人でも多くの方に知ってもらうために)
VANKURIでは、もっとたくさんの“きれいな古着”を並べたいのですが、
仕入れにはかなりの費用がかかり、今の資金だけでは限界があります。
今回のクラファンでは、その古着の仕入れ資金へのご支援をお願いしたいです。
VANKURIを一緒に育てていただけると嬉しいです。
最後に — あなたの支援が、服の物語をつなぎます。
もしこのプロジェクトに共感してくださるなら、どうか力を貸してください。
金額の大小に関わらず、一人ひとりの応援が、VANKURIの一歩になります。
あなたが大切にしてきた服にも、新しい人生を与える可能性がきっとあります。
私たちはその橋渡しを、誠実に、丁寧に行います。
1号店の片隅で始めた小さな販売コーナーは、今年4月、2号店でもスタート。
少しずつですが、確実に輪が広がっています。
服の命を、もう一度。
姫路の小さな店から始まる、あたたかい循環にご参加ください。
—— クリーニング ばんくり & VANKURI スタッフ一同





コメント
もっと見る