
はじめまして。 長崎県五島市福江島の玉之浦という地域で「椿焼き」という五島特産の和菓子を販売する傍ら、小さな民宿を営んでいる橋口しめ子と申します。
昭和30年生まれ、今年で71歳を迎えました。
(PCやスマートフォンの操作は不慣れのため、仲間に助けを借りて作成しています)
今回、五島市玉之浦に「たびの宿」を作るため、クラウドファンディングに挑戦することにいたしました。
長崎県の離島である五島市の福江島は、東シナ海に面した西方に位置しており、「玉之浦」はそこから更に車で一時間西に進んだ、日本の最西端にあります。
映画『悪人』のロケ地として有名な大瀬埼灯台にほど近く、民家のすぐ横に海が広がる静かで美しい漁師町。
ここに暮らす人たちは、無意識に潮の満ち引きや季節で変化する風の向きを理解しています。
華やかな店はないけれど、潮汐と自分の呼吸がぴったり重なり合う、とても豊かな場所です。

私は玉之浦で生まれ育ちましたが、就職や子育てのため、長い間島を離れて暮らしていました。そして数十年ぶりに故郷へ戻ってきました。
久しぶりに訪れた玉之浦は、私の記憶とは大きく変わっていました。
かつて活気にあふれていた港には船の姿が少なくなり、町からは店も消えていたのです。
それもそのはず、私が暮らしていた昭和40年代。
5,000人もいた玉之浦の人口は、約1,000人にまで減っていました。

しかし、変わらないものもあります。
玉之浦を包み込むように面した海は、あの頃と同じように静かで美しいままでした。
そして何より、島の皆さんが昔のように、私を「しめちゃん」と呼んで迎え入れてくれたのです。
私はいま、「たびの宿」という小さな宿を玉之浦に作りたいと考えています。
玉之浦では高齢化が進み、これまであった民泊も減少している一方で、五島市は映画やドラマの舞台となった影響もあり、観光に来る方は年々増えています。
その結果、
「泊まりたいけれど宿がない」という理由でしぶしぶ日帰りする方もいらっしゃるようです。
これまでは、宿不足で困っているというお話を聞いた時には、自宅を開放して無料で泊めておりました。
その中で気づいたのは、この町に来る人たちの多くが 「観光してはしゃぎたい」というより
「何かを抱え、癒やしを求めてここに辿り着いている」ということでした。
私はそのたびに、皆さんといろんなお話をしてきました。 といっても、カウンセラーのように特別な資格を持っているわけではありません。
でも、ただ話を聞いて、一緒に海を眺めて、今の気持ちを言葉にしていくうちに、
ぽろっと涙をこぼす人が何人もいました。
それを見て、
「この町には、こわばった心をほぐす力があるのかもしれない」
と感じるようになったのです。


●余命宣告を受けた女性の「最後のたび」
ある時、玉之浦の海辺を歩いていると、ぐったりとうつむく女性がいました。
どうしたのかと話を聞いたところ
「先日、余命宣告を受けました。それで、生きているうちにめちゃくちゃに暴れてやろうと思って、ここへ飛んできたんです」
そうおっしゃる口ぶりは元気そうであるものの、身体に力が入らない様子で、大丈夫だろうか... と思わずにはいられませんでした。
それでも、ゆっくり歩きながら話していると、突然ぽろぽろと涙をこぼされ
「こんなに心が楽になったのは久しぶりです」
と笑みを浮かべてくださったのです。
数カ月後、女性のご家族から一通のお手紙が。
「母は玉之浦のことを何度も思い出しておりました」
「最後に行けて本当に良かったと話していました」
その手紙を読み、私も泣きました。

●悩みを連れ去る玉之浦の海
日本の最西端にある静かなこの町には、深刻そうな顔でいらっしゃる方もよく見かけます。
ある時、若い女性がひとりで来られたことがありました。
一緒に海を見ながら話す中で、ふと引き潮と満ち潮の話をしました。
「今は引き潮だから、ここで思いを全部吐き出して、あなたの悩みを海に持っていってもらおう」
「満ち潮のときは、嬉しいことや、欲しいもの、自分が叶えたいことを海に投げかけて、波に運んできてもらおう」
それが、心に残ったようです。
後日、彼女から手紙が届きました。
「しめちゃんの言葉が、私の人生の道標になりました。 あの言葉があれば、私はどこでも生きていける気がします」
玉之浦の海は、悲しみを流し、願いを受け取ってくれるような存在です。
そして、たった一度海辺で交わした言葉が誰かの生き方を支えることがあるのだと気づきました。
これらの出来事が、玉之浦には人を癒す力があると確信するきっかけとなりました。


私は、特別なことは何もできません。
料理も昔ながらの簡単なものですし、ご用意できる宿も豪華なものではありません。
けれど、この島には、この町には、 「心のしんどさを、そっとほどく力」があるのだと思います。
うちに泊まりに来たお客様と海沿いを散歩したり、集落の方へ歩いていくと、島のおじいちゃんおばあちゃんが「どっから来たと? 」と声をかけてくださいます。
そこから世間話が始まり、
「芋が煮えとるけん食べていかんね」
「今日は魚があるじゃろ、持って帰らんね」
と、初めて会ったお客様にも当たり前のように温かくしてくださいます。
その優しさに、お客様はびっくりしながらも、 いつの間にか家に上がってる。
そんな不思議であたたかい時間が、玉之浦では普通に起こります。
わたしはそれを見るたびに、
「あぁ、この島は心のふるさとだ」 と感じるのです。

これらの経験や、民泊数が激減していると役所の方から相談を受けたことをきっかけに、2025年5月に民泊申請を行い、修学旅行生の受け入れをはじめました。
東京や大阪など都市部から来る子どもたちは、玉之浦のすべてが新鮮に感じるようです。
やったことがないという磯遊びや釣りを経験させたり、田舎の夜遊びと称して天の川を見に連れて行ったり。
そのたびに、目を輝かせながら喜ぶ姿を見て、やってよかったと胸を撫で下ろしました。
夕飯の後片付けを一緒にしながら「私、将来はしめちゃんみたいな大人になりたい」と言ってくれた時には、涙がこぼれそうになりました。
子どもたちにとっても、玉之浦で得られる経験は特別なものです。
だからこそ、きちんと水回りを整えた上で、玉之浦を訪れた人たちを本格的に受け入れていきたいと思うようになりました。
そうと決めたら早いほうがいい。
もう71歳ですので、悠長に構えている暇はありません。
早速、知り合いの大工さんに見積もりを作ってもらいました。
特に古くなっている水回り…お風呂、トイレ、台所シンクだけでも、せめて綺麗にしてあげたい。
これが最低限、と言われて手渡された見積書を見て愕然としました。
あわせて、約400万円。
老後のためにと貯めていたお金を全て出しても、どうしても100万円足りません。
年金暮らしの私では、融資を受けることもできません。
それでも、快適な環境を提供したいと思い、すでに工事に取り掛かってもらっています。



【資金の内訳】
トイレ 140万円
お風呂 130万円
台所 120万円
電気工事 20万円
大工費用 54万円
補助金 -127万円
合計 283万円

最低限の設備になるよう大工さんと相談もしましたが、どうしても100万円ほど足りません。
「それでも諦めたくない」と思い、周りの仲間たちに相談したところ、クラウドファンディングという方法があることを教えていただきました。
携帯さえ充分に使えず、お客様とのやり取りを手紙で続けているような私です。
当然、これまでクラウドファンディングというものを知りませんでした。
どんなものか、何を準備すればいいのか、一から教わっていきました。その中で、70歳を超えてクラウドファンディングというのは、とても達成が難しいということも知りました。
クラウドファンディングは、インターネット上のサービスを使い、多くの人にお願いすることが達成にとって重要なのだそうですが、私がお願いできる人は、私と同じようにインターネットが分からない同年代が多いのです。
しかし、どうしても私は、この町に宿を作りたい。
それは、「玉之浦に来て心がほぐれる人を、一人でも増やしたい」という強い思いがあるから。
そして 「しめ子さんの宿は残さんばいかん」と背中を押してくれる人たちがいるから。
とはいえ、大きな金額を集めるのは難しいと思っています。
ですから、目標金額は達成しやすいように60万円に下げて挑戦します。
それでも難しいかもしれません。でも、こんなにも応援してくださる方がいるのだから、やるしかない。
仲間に背中を押され、楽しみになってきている最近です。
そして、このクラウドファンディングをきっかけに、水回りの資金集めだけではなく、実際に玉之浦地区に訪れる人を増やし、町の島民とみなさんが交流する機会を少しでも作りたいのです。
それが、私が愛する玉之浦への恩返しにもなると思っています。

わたしの願いはただひとつ。
ここに来てくれた方が、 「また帰ってきたい!」
そう思ってくれる場所をこれからも守り、残していきたい。
玉之浦の人の優しさと、この島で生まれる「家族のようなつながり」を、どうか未来に繋げたい。
そのために、皆様の力をお借りさせてください。

誰にでも、抱えきれないほどの悩みや、乗り越えるか不安になるほどの逆境に直面することがあるかと思います。
そんな時は、ぜひ、五島列島・玉之浦に遊びに来てください。
一緒に海を見ながら、お話を聞かせてください。
そして、この町の人々の暮らしや温かさに触れ、少しでも心を軽くしてください。
玉之浦には、その力があります。
あなたの心に、そっと寄り添わせてください。
そして、あなたの支援が、この町に訪れた誰かの心も救います。
私ひとりでは叶えられません。
けれど、皆さんのお力があれば、この場所を未来へ繋げることができます。
どうかそのためのあたたかいご協力を、お願いいたします。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
⚫︎最後に、橋口しめ子さんからのコメント

たびの宿オーナー 橋口しめ子














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