スリランカを直撃し、広い範囲で洪水や土砂崩れなどの被害をもたらしたサイクロン「ディトワ」。現地当局の発表によると、12月3日の時点で死者数は479名にのぼり、行方不明者350名、1,289棟の家屋が全壊規模で被災(浸水などの一部被害は44,556棟)していることが報告されています。災害発生から6日が経っても一部地域は水没したままで、多くの道路が寸断。空路やボートなどでしかアクセスできない孤立した集落などもあり、被害の全容はまだ明らかになっていません。ピースウィンズは、発災直後から現地駐在員が被災状況の調査を進めながら一部物資支援も開始。日本からも、海外人道支援チームの調整員、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の医師と看護師、調整員で編成された緊急支援チームを派遣。現地スタッフとも合流し、初動調査も含めた支援活動を行っています。避難したくても避難できない今回の豪雨により、島内でもっとも大きな流域面積を誇るマハウェリ川が氾濫し、広い地域で洪水被害が発生。農地などはほぼ壊滅状態で、家だけでなく、多くの人が生活の基盤をも失いました。比較的土地が平な河口付近のエリアでは、冠水は激しいものの避難して命を守った方が多い一方で、Badulla(バデゥーラ)やKandy(キャンディ)などの山間部では、大規模な土砂崩れが多発的に発生。同地域では斜面に建てられた家が点在していたことも要因となり、多くの方が犠牲になってしまいました。また、貧困層が多い地域では、家が浸水して生活は困難な状態でも、浸水した家で生活する方もいます。農作物が被害に遭い、唯一残された財産で生き残った家畜までも手放してしまっては、生きていけない、という声も多く聞かれました。「誰かが来てくれたことが嬉しいんだ」笑顔を届けた“小さな支援”食料を中心に、各地から支援物資は集まりつつありますが、支援が十分に行き届かない場所や被災者もいます。ピースウィンズの緊急支援チームは、こうした大きな支援からこぼれてしまった被災者を救うために、関係各所と密に連絡をとり情報を収集しながら、孤立した集落も含めてできるだけ多くの地域をまわり、必要な支援を本当に必要とする人びとに届けています。そうした活動のなかで、ある村で浸水した家から道路に家財を持ち出し、子どもたちと笑いながら歌をうたい、踊っているご家族に出会いました。そのなかのある女性がピースウィンズのスタッフを見つけると、まだ膝下くらいまで浸水している家に招き入れ、あきらめた顔でこう話してくれました。「知り合いの家に避難していたけれど、道路が通れるようになったと聞いて戻ってきたの。でもこのとおり、全部が水浸しよ、、、」それでも笑いながら「掃除を手伝ってくれる?」と、すぐに笑顔に戻ったといいます。子どもたちも母親の後ろに隠れながら、少しはにかんだ顔でスタッフをみています。これだけの被害を受けているのに、なぜこんなにも笑顔でいられるのかと疑問に感じていたところ、現地の移動をサポートしてくれているドライバーがこう教えてくれたといいます「孤立していた場所に誰かが来てくれたことが嬉しいんだ」日に日に状況も変わり、一度訪れた地域でも翌日にはまた異なるニーズや課題が表面化することもあります。限られた滞在時間のなかでできる限り多くの地域をまわり、支援からこぼれてしまう被災者が出ないようなきめ細かい支援活動を続けていきます。
スリランカ の付いた活動報告
スリランカに上陸したサイクロンが、大規模な洪水・土砂崩れによる被害を引き起こしています。スリランカ当局によると、12月1日朝の時点で355人が死亡、366人が行方不明となり、被災者は115万人超に上っているといいます(DMC|Situation Report on 2025.12.01 at 09.00 a.m)。ピースウィンズはこの甚大な被害の発生を受けて、緊急支援チームの派遣を決定。先遣隊として看護師1名、調整員1名が12月1日に日本を発ち、空路で現地に向かっています。サイクロンの上陸から数日、広がり続ける被害洪水による浸水で、ゴムボートで移動する人びと11月末、東南アジアを襲った複数のサイクロンによって各地に被害が出ています。スリランカを襲ったサイクロン「ディトワ」は、11月27日にスリランカに上陸したあと、数日にわたって豪雨や暴風をもたらしました。サイクロンが去った後も、ダムの決壊による洪水の発生や土砂崩れなどで、被害は拡大し続けています。スリランカのディサーナーヤカ大統領は、11月28日付で国家非常事態を宣言。日本やインド、米国、モルディブ、中国、オーストラリア、パキスタンなど、各国が緊急援助の提供を発表しました。被害状況を把握し、1人でも多くに支援をピースウィンズの現地スタッフは、行政の担当者などを通じて被害状況や被災者についての情報収集を続けています。サイクロン被害を受けて陸の孤島となった地域には空軍が食糧などを運んでいるものの燃料が届かず枯渇。また、現在水やココナッツ、野菜などが不足するなかで、買い占めが起こっているという情報もあります。スリランカはピースウィンズにとって、内戦が終結した2009年から拠点を置き、支援を続けている縁の深い国です。内戦によって荒廃してしまった農業インフラの整備、有機農業の促進などによる農産物の高付加価値化など、主に農業を通じた生計向上支援を行ってきました。現地スタッフの家も水没現地の事情に精通するスリランカのスタッフと、日本から合流する緊急支援のスペシャリストが1つのチームとなり、困難の只中にあるスリランカの人びとを1人でも多く救えるよう、最善を尽くします。皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。




