「黄色いメロン」を食べたことがあるでしょうか
メロンといえば青い果皮に白いネットの張ったものを思い浮かべると思います。日本で広く普及しているメロンはそういった、青い状態で収穫することを前提としたものです。これは流通の都合で、消費者の手に渡ったところで食べごろを迎える必要があったからです。黄色くなるまで熟させると、店舗に並ぶころには食べごろを逃してしまうのです。
しかし、最近になって黄色くなってから収穫し、長い間食べごろを保てるものが生まれました。これの何が良いのか。まずは味です。これまでよりも深く熟させるため、より糖度の高い果実が提供できます。また、食べごろの明確さも特徴です。黄色くなってから収穫するため、獲った瞬間から食べごろなのです。そして、その食べごろの状態が長く続くよう改良されているため、流通に乗せられるようになりました。
これまで黄色いメロンといえば、熟しすぎの烙印を押されてきました。収穫の適期を逃したメロンだと。しかしこれからは、黄色いメロン=おいしいメロンとなります。追熟の必要のない、買ったその日に食べられる、味の濃いメロン。それがこれからの黄色いメロンです。
超高糖度のメロンを
今のところ黄色いメロンはあまり流通していません。そこで、私はこのおいしいメロンをいち早く取り入れて天草に普及させることで、新たな特産品とすることを目指すことにしました。もちろん、ただおいしいメロンを作ったところで、それほどのインパクトはありません。十分なインパクトを得るために、私は「糖度20超のメロン」を目標とします。
現在この糖度に並ぶメロンといえるのは「キングダムメロン」という商品です。一般的なメロンは糖度が14前後ですが、これは最高糖度20を誇るメロンで、海外セレブから注文がくるような品質です。生産量は非常に少なく、価格も5万円を超えるほど高価です。
私はこの「糖度20」という水準を安定して超える生産方法を確立したいと考えています。それを成してこそ、新たなメロンブランドの誕生になると。この新たなメロンブランドの誕生と、天草内での生産の普及によって、世界の需要に応えられるようになり、おいしいメロンの産地として天草の名が世界に知れ渡るのです。
「糖度20超え」をいかに達成するか
技術について全てを公開するわけにはいきませんが、誰でも分かるけれども経済的に実行できていないことについて説明したいと思います。それは、「畑を広く使う」ということです。一般に高糖度メロン栽培といえば立体栽培で、株から株までの距離が50cmほどになっています。これを100cmと倍の面積を利用するのです。
なぜ広く使うことで糖度を高められるのでしょうか。それは一株当たりの葉の量が増えるからです。作物というのは葉の最適な密度というものが決まっています。ということは、狭く植えれば一株当たりの葉の量が少なくなり、広く植えれば増えることになります。葉の量が増えれば、光合成量が増えることになるので、その分糖度も上がるということです。もちろん、当農園でも一株一果、つまり一つの株に一つの果実を成らせる栽培法を採ります。
「おいしい」を届けるために
「黄色いメロンがおいしいのは分かった。高品質なメロンが作れそうなのも分かった。でも、取れた瞬間から食べごろなんでしょう。どうやってその状態を維持するの?」
こんなことを思った人もいるでしょう。もちろん、その対策も考えています。これには鮮度保持剤を利用します。鮮度保持剤とは果実から発生するエチレンガスを吸着する資材で、果実周辺のエチレンガス濃度を下げることで鮮度を維持しようというものです。
果実はエチレンというホルモンの働きによって熟していきますが、このエチレンは揮発します。空気中のエチレンガスが濃くなると、成熟する働きが強化されてしまい、熟しすぎる可能性があります。完熟した果実では、輸送中の成熟は「熟しすぎ」な状態につながるため、このエチレン吸着剤を用いて濃度の上昇を押さえます。当プロジェクトのメロンも同じように、エチレン吸着剤を用いて熟しすぎを防ぎ、おいしい状態でお届けします。
特別を作るフルーツ
糖度20超えのメロンをどのように楽しめば良いか? 究極的には個々人にゆだねられるものですが、ここでは楽しみ方のアイデアを紹介します。
まず、日常のプレゼントです。メロンを誰かに送るとなったら、記念日やお中元の贈り物というように、なにかプレゼントをするイベントが付き物ではないでしょうか。もちろんそれも重要なやり取りですが、何もない日に送るのも乙なもの。そういう時期でもないのに「良いものを見つけたから、プレゼントします」と贈り物をする。「良いものはあなたとシェアしたい」という特別なメッセージを受け取った相手は、あなたからの親愛の情を強く実感できるでしょう。
次に、自分で楽しむことです。前述したキングダムメロンは世界のセレブが楽しむ特別なメロンです。当プロジェクトはそれと同等かそれ以上の品質を誇るメロンを作ること。このメロンを味わい、セレブな気分に浸る。そういった特別な体験をすることもできるでしょう。
ほかにも、誕生日や結婚記念日でのプレゼントにするのはもちろん、いつも勉強を頑張っている子どもへのご褒美や、同僚たちとのパーティ、朝食や食後のデザート、お菓子作りの材料など、様々な楽しみ方があると思います。どの場面でも、ただのメロンを使うよりも特別な時間になることは間違いないでしょう。そういった特別な時間を楽しみたいときに、ぜひご利用ください。
これまでとこれから
これまで私は主にきゅうりを栽培していました。これは単に研修先がきゅうりを栽培しているところだったからですが、就農のシステム的に他を栽培するという選択肢は見えなくなっていたとも言えます。きゅうり栽培では長期間安定して収穫することが大切で、要求される技術水準が非常に高いものです。その難しいきゅうり栽培をして、では経営的な広がりがあるかを考えると、その広がりは限定的です。農業のトレンドとして直接販売を増やすというものがありますが、どれだけ販路を広げたとしても、価格競争の相手は安価なきゅうりとなります。販売の努力をしてもそれに見合った成果が期待できない状況なのです。
これは何もきゅうりに限った話ではありません。基本的に食料は市場にあふれています。これは食料が生命維持に必須なためです。生命維持に必須であるということは、供給が需要を常に上回っていなければならないということを意味します。でなければ餓死者がでるからです。このような状況において、食料生産者である農家は所得を上げるのが非常に難しいといえます。販路を開くとしても、そもそも競合が安すぎる。生産量を増やしても、供給過多の市場に供給を増やすことになるため、値段が大きく下がる。プラスを得ようとしてたくさん働いたとしても、予想されるリターンが少なすぎるのです。
この境遇で農家ができることは「栽培にかかる時間を減らす」か「大きな利益の見込める商品を開発する」かでしょう。そこで私は、様々な品目・品種について情報収集し、試験的に栽培しました。結果的に「栽培にかかる時間を減らす」については非常に厳しいという結論になりました。現在の栽培技術や出荷体系はすでに高度に効率化されていたわけです。したがって、残るは「大きな利益の見込める商品を開発する」という選択肢になります。
大きな利益を目指すならそもそも高値で取引されている品目に注目するのが筋だろうと思い、フルーツについてさらに調べました。現状もっとも利益率の高そうなフルーツはブドウ、特にシャインマスカットでしたが、果樹は導入が難しすぎるため選択肢から排除しました。果樹ではないフルーツといえば、メロン・スイカ・イチゴあたりに限定されます。これらのうち未開拓な特徴を持った品種があるのがメロンでした。
前述したとおり「黄色いメロン」は味が良く、食べごろが明確という特徴があります。「色が違うだけでは差別化として弱すぎるが、味と食べごろについては十分な差別化になる。特に食べごろの明確さについては既存のメロンの弱点が克服されるため、強い特徴になり得る」そう考え、私はこの「黄色いメロン」を活かすことにしました。
ただ、「味が良くて食べごろが明確な黄色いメロン」ではすぐに埋もれてしまうだろうとも思いました。それを宣伝し続ける体力も一農家にはありません。だからこそ、今回のプロジェクトなのです。「糖度20超のメロン」という特徴は非常に希少です。その希少なメロンを安定して生産できるようになり、天草をその産地にする。そうすれば、私はもちろん天草の農家らも、天草という地域も豊かになる。全員で宣伝を続けて、全員で需要に応える。そうすれば持続可能な稼げる農業を全員で実現できる。そのための一歩目が本プロジェクトです。
本プロジェクトでの主目的は「栽培方法の確立」ですが、これは1年で達成できるものではありません。再現性を確保するためにこれには3年ほどの取り組みを考えています。まずは私が成果を出し、その成果をもとに市の農業研究所に協力を仰ぎます。そうして栽培方法の確立に取り組みながら、販路の拡大にも取り組みます。このクラウドファンディングにも市場調査の面があります。
栽培方法が確立されれば、その栽培マニュアルと商標利用権とを商品とし、天草内に広めます。その時に、どれだけの費用が掛かり、どれだけの売り上げが見込めるのかを明らかにし、十分稼げることを示せるようになっておきたいです。また、広めるころには販売先を十分確保するために、商社との取引も考えています。天草内に十分広めるのには10年を目標とします。
資金はこう使います
今回のクラウドファンディングの主目的は「再現可能な栽培方法の確立」です。そのため、栽培中のメロンの状態を数値化するための器具が必要になります。また、糖度を計測するための器具も必要です。これらを購入することが、基本的な目的になります。したがって、
・非破壊糖度計
・硝酸イオンメーター
・カリウムイオンメーター
の3つに資金を利用します。糖度計については品質を明示するために必要で、各メーターは栽培に必要です。硝酸イオンメーターについては植物体内の窒素の濃さを測るもので、カリウムイオンメーターは文字通りカリウムの濃さを測るものです。栽培においてはこの窒素とカリウムの影響が非常に大きく、メロンでは生育ステージによってそれぞれの最適な濃さが違っています。観察によって状態を推測するよりも、数字にして状態を観測するほうが、確実な管理が狙えます。この確実な管理のために各イオンメーターが必要になります。
リターンについて
支援内容とリターンは次のようになります。【応援したい人へ、お礼のメッセージ】、【メロン1玉】、【応援+メロン1玉】の3つです。本プロジェクトの目的が「栽培法の確立」であり、またメロン栽培初年となりますので、品質を保証することはできません。従って、将来的には1玉30,000円を目指していますが、本年は1玉10,000円での提供といたします。
「超高糖度メロンで天草を強くする」
本プロジェクトは、これまでよりも深く熟させることのできるメロンの品種を用いて糖度20を超えるメロンの栽培法を確立させることを目的としています。これが達成されたのち、天草内にその栽培法と商標利用権の販売を通じて普及させ、天草を世界に名だたるメロン王国にするという壮大な終着点を設定しています。なぜこれほどまで壮大でなければならないのか。それは農業の悲痛な構造のためです。
メロンは職人的な技術が必要なため後継者がいなくなってきていると言われています。これはメロンに限った話ではありません。どの作物であろうが、普通レベルの収入を確保するには職人的な技術が必要になります。そして、それだけの技術と災害に見舞われないことの2点が達成されてようやくまともな収入が得られるようになっています。この収入についても、労働時間が長いことや家族労働が十分経費に計上されていないことなどを考えると、安いと言わざるを得ないでしょう。これは農業が産業として遅れているからではありません。政治的に「食料品は常に需要を上回っていなければならない」という事情があるからです。
今のところ農業分野の生産と流通は高度に効率化されています。これはこれまでの農業界の努力によるものでしょう。しかし、農業が食料を扱っている以上市場はすでに供給過多であり、効率化で供給を増やしたところで、単価が下がり続けるだけです。供給を増やせば価格が下がるのはどの分野でも同じですが、何を作っても供給過多の市場に供給を増やす構造になっているのは農業に特有な事情でしょう。効率化するために投資をしなければやっていけなくなるが、投資をしたらしただけ単価が下がり、費用が回収しにくくなる。上振れのリスクは小さいのに、下振れのリスクは大きい。これが農業の構造です。
この悲痛な構造の中でどうすれば十分な収入を確保できるか。上振れのリスクをどうすれば増やせるか。その解答の一つになり得るのがこの「超高糖度メロン」です。このメロンは日本だけでなく世界にも売り出せる高価格商品となります。日本だけであれば、産地化を成し遂げても供給過多に陥って価格が下がるのを避けられませんが、世界で戦える商品であればそれを避けられます。ですので、今の終着点は「天草を産地化」ですが、需要が大きければその範囲は熊本→九州→西日本→日本というように変遷していくでしょう。
では、このメロンはどのような需要に応えられるのか。ひとつは「幸福を実感したい」という需要です。「おいしい」で連想される言葉が調査されたことがあります。このとき最も多かった言葉は「幸せ」です。おいしいフルーツの代表格であるメロンはこの「幸せ」を比較的手軽に感じるのに適した品目といえるでしょう。そのうえで最高品質ならば、感じられる「幸せ」も最高のものとなるでしょう。
他には「特別な人に喜んでもらいたい」という需要です。このプレゼントとしての需要ですが、こちらもやはり「おいしい→幸せ」という連想が役立つ需要です。仮に相手がこれを気に入らなくとも、メロンであれば処分が簡単なため、物が残るというネガティブな要素もありません。あと一歩仲良くなりたい人に送るも良し、すでに仲の良い人に送るも良し。送る相手を選ばない商品といえます。
また「みんなで楽しみたい」という需要です。パーティに利用するわけですが、楽しみ方にはバリエーションがあるでしょう。普通にわいわい楽しむときのお供にしたり、この新しいメロンが実際にどんな味なのかをみんなで確かめてみたり、自分たちのコミュニティが特別なメロンを手に入れられるほどリッチであることをアピールするなんてことにも使われ得るでしょう。
以上のように「超高糖度メロン」はより幸福度の高い体験を供給することのできる商品となります。もちろんその分価格は高くなります。同様に超高糖度であるキングダムメロンは1玉5万円を超えていますので、それに近い価格を考えています。ただこちらのキングダムメロンは糖度以外にも基準がありますが、本プロジェクトでは基準を糖度に絞るため、価格の面ではやや低く設定します。具体的には1玉3万円~4万円とします。この価格であれば他と比較したときに納得感があり、畑を広く使っても、収入の確保と余裕のある投資ができると考えています。
現在、天草の農業は地理的な要因もあって稼ぐのが難しい状況です。市街地から遠いため輸送費がかさみ、その輸送費は農家の負担となっています。天草という名前も基本的には歴史的なことと紐づけられ、商品の販売に繋がりません。商談をするにしても、やはり市街地から遠いことでスケジュールの確保が難しくなっています。この状況を打開するには何か強烈な特徴のある商品が必要ではないでしょうか。それが本プロジェクトの「超高糖度メロン」なのです。
まずはこのプロジェクトで「おいしいメロンといえば黄色いメロン、黄色いメロンといえば天草」という状況を作り出したいと思います。その後「黄色いメロンといえば天草」を「おいしいものなら天草」というふうに、すでにある天草の素晴らしい商品にも注目してもらえるようにするのが、私の野望です。そうして「おいしさの天草」を確立することで、天草を世界に名だたる「おいしい」の地域にしたいと思います。本プロジェクトはそのための第一歩です。
ぜひご支援ください。




コメント
もっと見る