注目のリターン


2017年8月に【『電人ファウスト×LAMPO』復刻計画】を立ち上げました。最初は、編集者として惚れ込んだ作品を復刻して、多くの漫画ファンに知ってもらうことが目的でした。幸いにして、多くの支援者の皆様のご助力を得られ、プロジェクトは成功しました。それで満足して終わるはずだったのに、いまだに続けているのは訳があります。
ひとつめは作家が新作に取り組み始めたからです。アシスタントをひとりも使わず、納得のいく作品作りをすれば、1冊分の原稿を描き上げるのに1年以上の時間がかかります。上山先生の前作『ティコの冒険』は執筆だけで3年の歳月が費やされました。残念ながら、出版社は、完成原稿を待ちつづける根気を持ち合わせていません。雑誌もネット配信も、締め切り厳守は当然の約束事になります。引退後に起業した「ひとり出版社」だから「待ち時間も楽しみのうち」として原稿の完成を気長に待つことができました。
ふたつめは、待っているのは編集者ばかりでないことに気付かされたからです。雑誌編集者時代と違って、クラウドファンディングでは、私より年季の入った「ファンの存在」を間近に感じます。作家が雑誌連載から遠ざかる空白期間が続くと、「待ってくれているファンがいるのか」「待たせた挙句にがっかりさせはしないか」といった不安の種は尽きません。孤独になりがちな執筆時のモチベーションを維持するためには、ファンの存在が不可欠なのです。復刻企画を後押ししてくれたファンとの出会いは、大きな収穫となりました。
出版不況の時代ですが、量産できなくても持続可能な作品創出の道を探りたいと思います。ひとり出版社ですから、マンパワーはありません。資金力もないから無茶もできません。定年後の隠居仕事ですから、とにかく遅いです。時間ばかりかかります。でもSmallでSlowだからこそ、Sustainableな道があると考えています。大手出版社は機動力や資金力が豊富でも、自由になんでもできるわけではないのです。


今回は上山徹郎先生の『隻眼獣ミツヨシ 完全版・第3巻』発刊がメインです。この作品は3巻まではメディアワークスで刊行され、その後、『ミツヨシ完結編』上下巻が、集英社から刊行されて完結した作品です。今回、完全版として全5巻での復刻ですが、3巻までの原稿が行方不明というアクシデントに見舞われました。そのため、今回発刊する3巻は、上山先生と知人から頂戴した美本をスキャニングして発刊します。印刷技術の進化に助けられ、テスト印刷した結果、品質の確認もでき、先生にもご賛同いただき、復刻まで漕ぎつけました。ネーム入稿から新たに作り直しますので、初出の単行本とは異なり、判型も雑誌サイズの大判となります。
プロジェクト途上でUBGOEから引越して、3巻からCAMPFIREで再開することになりました。既刊の1巻2巻をどうするか悩みました。この作品はクラウドファンド限定版として制作し、書店で発売していないため、ハードカバー版の制作には、初回生産時とほぼ同数の製造が求められます。かといって、中途の巻からご支援を期待するわけにもいきません。解決策として、新たにソフトカバー版を加え、1巻2巻も作り直すことにしました。3巻はハードカバー版とソフトカバー版の2種作ることになります。
もう一点、先生の描き下ろし新作『ティコの冒険』のソフトカバー版と、絵コンテと下絵を収録した『ティコの冒険Behind the Artwork』(初回生産と同じソフトカバー版)もメニューに加えました。プロジェクト終了後に買い損なったというお声を多く頂戴したためです。デジタル印刷は小ロット生産が可能なので、今後は品切れ重版未定という入手困難本がなくなると思います。製造単価が高いのが難点で、コミックスや文庫には普及してきませんでしたが、売り逃しや買い損ないがなくなることが注目され、最近は大手出版社でもデジタル印刷が使われ始めています。今回のソフトカバー版は、重版に変わる可能性を秘めています。
単発で終わる出版プロジェクトでない、作家と編集者とファンが繋がり、継続的な新作創出と支援の場の必要性を痛感しています。昔は、量販店チェーンや一般書店とはひと味違う、漫画専門店には、随分助けられました。取次任せの配本ではなく、専門店独特の品揃えで後押ししてくれました。しかし、出版不況下で、専門店はほぼ姿を消しました。専門店を支えた「常連さん」が量販店チェーンに移動した痕跡もないのは、残念でした。欲しいコンテンツを求めて大手ネット書店を利用していると予測していましたが、クラウドファンディングにも、「常連さんの遺伝子」が健在だとわかりました。作家限定、作品限定、期間限定のショップチャンネルとして、クラウドファンドの仕組みを活用できれば、面白い戦い方ができる気がしています。
今後もクラウドファンド限定販売は変わりません。今回、ソフトカバー版を並走させるメリットは小ロットでの追加生産ができることです。全5巻のプロジェクトだから可能になりました。ファンド終了後に参加できなかった方からのお問い合わせを受けることが再三ありましたが、ご不便をおかけする心配がなくなりました。豪華本の弱点となる「初回限定、在庫なし、重版未定」というのは、編集者として褒められた話ではありません。「ソフトカバー版の方が、読みやすいのでお好み」というご希望にも応えられます。小ロット生産可能なデジタル印刷とクラウドファンディングの組み合わせで、サスティナブルな出版が可能になることを期待しています。
あらかじめお断りしておきますが、後日、電子書籍化はする計画です。時間がかかりましたが、先日『電人ファウスト』『LAMPO』の日本語版と英語版の電子書籍の発売も始めました。Amazon(Kindle)、紀伊国屋書店、楽天Kobo、BookLive!、honto、Reader Store、auブックパス、Apple Books、理想書店の各電子書店で発売しています。国内書店でも英語版を同時発売、海外のAmazon(Kindle)とApple Booksでは日本語版も同時発売しています。機会があれば、試し読み機能を使ってお楽しみいただけると嬉しいです。作品未読の方にも、上山先生の作品の魅力はご理解いただけると思います。電子書籍化や翻訳版は、ぜひ成功させたいと思います。

私は『ヤングジャンプ』創刊から半世紀近い時を漫画編集者として過ごしました。青年漫画の勃興期に始まり、『ウルトラジャンプ』の創刊編集長就任が1995年(まさに出版界が絶頂のタイミング)でしたので、その後の長い冬の時代も現場で見続けてきました。
以前公開されたハリウッド映画『バトルエンジェル アリータ』の原作漫画『銃夢』の初代担当者だった私は、木城ゆきと先生の『銃夢 完全版』(全6巻)を企画しました。『AKIRA』みたいな本を作りたかったのです。この経験がきっかけとなり、豪華本作りの面白さに目覚めました。以来、諸星大二郎先生、星野之宣先生、ながやす巧先生、藤原カムイ先生、伊東岳彦先生、麻宮騎亜先生、萩原一至先生、中平正彦先生の豪華本を作り続けたことが、今の取り組みにつながっています。
不況知らずと言われた雑誌に昔日の面影はなくても、漫画のコンテンツの力は衰えを知りません。むしろ、世界に読者の輪は広がっています。アプリ配信、クラウドファンディング、デジタル印刷やオンデマンド印刷、むしろ選択肢は多くなっています。創り手や送り手が諦めずに、やりたいこと、できることをやり続ければ、チャンスはあると信じています。

3巻のスキャニングを行なっています。表紙イラストも完成し、デザイン進行中です。



◎『隻眼獣ミツヨシ 完全版』第3巻 6,600円(税込・送料込)
B5判 ハードカバー 上製本 総224P
元本『隻眼獣ミツヨシ』第3巻(メディアワークス版)22話〜32話収録
すべて新たに組版から作り直します。雑誌サイズの大判コミックスです。別カバーや帯はつきません。
印刷代、用紙代が値上がりしており、残念ながら、値上げしなければなりませんでした。申し訳ありません。
クラウドファンド限定販売です。書店での販売は行いません。
表紙イラストは描き下ろし。巻末に支援者さまのお名前を掲載します。匿名も可能です。

◎『隻眼獣ミツヨシ 完全版』第3巻 3,850円(税込・送料込)
B5判 ソフトカバー 並製本 総224P
クラウドファンド限定販売です。書店での販売は行いません。
表紙以外はハードカバー版・第3巻と同じ内容です。

◎『隻眼獣ミツヨシ 完全版』第1巻 3,850円(税込・送料込)
B5判 ソフトカバー 並製本 総216P
今回、初めてご支援いただく方のために、新たに作ることにしました。
クラウドファンド限定販売です。書店での販売は行いません。
表紙と巻末のサポーターリスト以外はハードカバー版・第1巻と同じ内容です。
サポーターリストは、今回の支援者さまのお名前を掲載します。匿名も可能です。

◎『隻眼獣ミツヨシ 完全版』第2巻 5,500円(税込・送料込)
B5判 ハードカバー 上製本 総200P 先着15部限定
前回プロジェクトの交換対応用に作った予備分の未出荷在庫品のため、輸送途中の事故等での交換対応ができません。ご了解いただける方のみ、お申し込みください。
新たにご支援いただいた方のお名前は、ご希望があれば第3巻のサポーターリストに掲載します。

◎『隻眼獣ミツヨシ 完全版』第2巻 3,850円(税込・送料込)
B5判 ソフトカバー 並製本 総200P
今回、初めてご支援いただく方のために、新たに作ることにしました。
クラウドファンド限定販売です。書店での販売は行いません。
表紙と巻末のサポーターリスト以外はハードカバー版・第2巻と同じ内容です。
サポーターリストは、今回の支援者さまのお名前を掲載します。匿名も可能です。

◎『ティコの冒険』 3,850円(税込・送料込)
B5判 ソフトカバー 並製本 総168P
上山先生の描き下ろし最新作。全5話収録。
今回、初めてご支援いただく方のために、新たに作ることにしました。
クラウドファンド限定販売です。書店での販売は行いません。
表紙、巻末のサポーターリスト以外はハードカバー版と同じ内容です。
サポーターリストは、今回の支援者さまのお名前を掲載します。匿名も可能です。

◎『ティコの冒険 Behind the Artwork』 3,850円(税込・送料込)
B5判 ソフトカバー 並製本 総226P
『ティコの冒険』の絵コンテと下絵を収録を全ページ収録。絵コンテ篇には、制作途中の別バージョンも掲載しました。ぜひ見比べてください。上山先生ご自身による解説記事も収録しています。上山先生は編集者とキャッチボールしながら執筆されるタイプではないので、とても興味深いものになっています。
サポーターリストは、今回の支援者さまのお名前を掲載します。匿名も可能です。


◎直筆サイン本手渡し会参加コース 5,500円(税込) 先着100名様
今回のプロジェクト対象の書籍7点すべてとなります。ご希望の本に直筆サインを書き入れる方式にします。
今回申し込まれた書籍のみが、サイン本の対象となります。複数タイトル、複数冊のお申し込みも可能です。本の持ち込みはお断りします。
7月19日(日)午後予定 会場は東京都内
参加申し込みされたご支援者様には、詳細を後日ご案内します。
参加のための旅費(交通費・宿泊費等)は、各自でご負担ください。
当日、都合が悪く欠席された方には、後日、サイン本を登録ご住所に郵送いたします。
悪天候や作者発病等のため、イベントの実施ができない場合は、日程を変更する可能性があります。

◎『隻眼獣ミツヨシ 完全版』第1巻〜第3巻 責了校正紙(pdf) 各巻 3,300円(税込)
3巻のセット価格ではありませんので、ご注意ください。
『隻眼獣ミツヨシ 完全版』の責了(校了を終了した状態)した本文全ページのPDFファイルをダウンロードしていただきます。表紙は含まれません。
後日、お申し込みされたご支援者様全員に一斉メールでお知らせするURLにアクセスいただき、指定されたパスワードを入力してダウンロードをお願いします。
PC、タブレット端末、スマホでもご利用可能です。データ容量が重くなりますのでご注意ください。
ダウンロード期間は2ヶ月間。5回までダウンロード可能です。
ダウンロードしたファイルには「電子透かし」、PDFセキュリティが施されています。著作権保護のため、印刷やコピーができません。ご不便をおかけしますが、何卒ご理解ください。
◎直筆サイン入り複製原画

『隻眼獣ミツヨシ 完全版』12種
『隻眼獣ミツヨシ 完全版』第1巻〜第3巻の表紙・口絵のカラーイラスト
直筆サイン入りのご希望のイラスト(天地270ミリ・左右190ミリ)+作品証明書
複製原画のみ・額装なし 各30,000円(税込・送料込)
アルミフレーム額・マット装済み 各40,000円(税込・送料込)
木製額・マット装済み 各50,000円(税込・送料込)
『ティコの冒険』2種
『ティコの冒険』表紙イラスト(天地320ミリ・左右460ミリ)+作品証明書
複製原画のみ・額装なし 各33,000円(税込・送料込)
アルミフレーム額・マット装済み 各44000円(税込・送料込)
木製額・マット装済み 各55,000円(税込・送料込)
『ティコの冒険』ハードカバー版ビンナップイラスト(天地260ミリ・左右340ミリ)+作品証明書
複製原画のみ・額装なし 各27,500円(税込・送料込)
アルミフレーム額・マット装済み 各38,500円(税込・送料込)
木製額・マット装済み 各49,500円(税込・送料込)
資金の使い道
印税、デザイン料、組版、印刷、製本、用紙等の本の製造費、複製原画の制作費、送料、梱包資材費、運営会社の手数料

5月30日 クラウドファンディング終了
4〜5月 入稿・校了
6月 印刷・製本/複製原画制作
7月 サイン本手渡会/複製原画サイン書き入れ
8月 本の出荷/複製原画出荷・額装
9月 複製原画出荷
※額装は、額装業者の作業状況により、遅延する可能性があります。
作品を取り巻く環境は、急激に変化しています。
リアル書店は、最盛期の3割に減っており、新刊書店ゼロの市町村も増える一方です。雑誌でなく、スマホで漫画が読まれる時代になりましたが、漫画の人気に衰えはありません。読者が、より便利なツールに乗り換えていくのは自然な変化です。その結果、作品の作り方も変わっていきます。たとえば、縦読みが普及すれば、見開きの表現は廃れていきます。見開きで描かれた大画面も無くなっていくと思います。ページをめくる行為がなくなると、引きの作り方も変わります。慣れ親しんだ漫画の技法も変わっていくと思います。
私は、とっくに引退していてもおかしくない爺ィ編集者ですし、作家も若くはありません。作家とワンチームでできることをやっていきます。雑誌からクラウドファンディングに起点を変え、量産から適量をめざし、デジタル印刷や電子出版を活用し、欲しい読者に作品を届け続けたいと思います。ファンの皆様と直に結びつくことが可能な時代になったことは素直に嬉しいです。
応援、よろしくお願いします。








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