2014/02/24 16:13
 『シュレーディンガーの猫』公演を成功させる会・郡山メンバーの平田さんが、ミーティングのために会津に訪問されたとのことでレポートを頂きました。え? シュレーディンガーの猫に出る2人が別のお芝居に出ていたのですか!?

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 『シュレ猫』の主役級二人が出演する『空をゆく人~飯沼貞吉外伝~』を会津若松で観てきました。前夜、大沼高校の演劇部顧問佐藤雅通先生と3月8日郡山『シュレ猫』公演のための打合せをして、その翌日あのエリとはるか役の増井さんと大竹さんの演技が見たくて、会津若松市の文化センターへ向かったのです。

 『空をゆく人~飯沼貞吉外伝~』は白虎隊の隊員で、飯盛山で自刃しようとしながら助かった人物を描いた劇でした。これを上演した会津若松のアマチュア劇団「ぴーひゃらら」は、初めて外部の人の演出を受けての劇であり、その作・演出をやったのが『シュレ猫』の佐藤雅通先生というわけです。
 『空をゆく人』の脚本づくりと演出の要請が来たのも『シュレ猫』の成功が大きかったようです。会津の観客にとっては、『シュレ猫』をやった佐藤先生のネームバリューもあり、22日、23日と雪の中をやってこられた人で会場は満員でした。

 先生の話では大竹さんと増井さんは「ちょい役ですが…」と言っていたのですが、なんの、大人を食ってしまう程の見事な演技でした。死にたがる飯沼貞吉を心配しながら、面倒をみている某家のお手伝いさんの役です。舞台は山口県(長州)の場面でしたが、山口の言葉のアクセント、表現にびっくりさせられました。

 増井さんは卒業後ダンス・歌を学ぶ学校、大竹さんは東京の有名な劇団へ入ることになっています。大竹さんには郡山公演の広報のためラジオ福島の取材を受けており、そのインタビューが夕方に流れたということなので、福島の方で聞いて頂けた方もいらっしゃると思います。インタビュアーのアナウンサーは「東京のプロの劇団員になるって、思いもよりませんでした。そんな実力をもっているんですね」とのこと。

 大竹さんの演技をみたらたいがいの人は目を見張ります。難しいはるか役を演じた大竹さんあればのオリジナル『シュレ猫』だったことがわかります。演技を支えている彼女の感性がまたいいのです。
 大熊町からの避難者がいる仮設住宅で『シュレーディンガーの猫』を演じたことがあるのですが、終演後、出演者が並んで頭を下げて観客に挨拶をした時、彼女はいつまでたっても顔を上げませんでした。いちばん最後にようやく上げた顔は涙だらけになっていました。あとで聞けば「被災者が何だか特別扱いされているようで、わたし、嫌だな」という台詞を声が震えてうまく言えなかった、と語ったのでした。たくさんの思いで胸をいっぱいにしながら生徒たちは演じてきました。そうして『シュレ猫』は育ってきた劇でした。

 3月8日の郡山公演では、浜通りから避難してきた人々に見てもらうことが目標の一つです。大沼高校の生徒たちに、彼らとできるだけ交流してもらいたいと思います。