
「こんなに着ていて疲れないジャケットは初めてです」
「着ていると、周りの人にいつも褒められるんです。」
お客様からこうしたお声をいただくたびに、私たちは確信します。
手縫いで仕立てた洋服が放つ魅力は、既製服やイージーオーダーでは決して再現できないと。
体に柔らかく馴染み、疲れない着心地、重さを感じさせない軽やかさ。
手仕事だからこそできる立体的で美しいシルエット。


これらはすべて、長年の経験と技術、研ぎ澄まされた感覚を持つ職人の手からしか生まれません。
本場イギリスやイタリアに負けない日本の繊細で丁寧なフルオーダースーツ。
今、その職人が日本から急速に消えつつあります。
70代・80代の職人がボリュームゾーンを占める一方で、若い世代にとって技術を学ぶ機会も場所も、かつてに比べて著しく減ってしまいました。
このままでは、日本が誇る手縫いスーツの文化は、私たちの世代で途絶えてしまいます。

それを防ぐために、65年以上に渡り、延べ1万着を超える服を仕立ててきた一人の職人と繊維工学の研究者が手を組み、日本が誇る文化を次の世代へ繋ぐ場所を立ち上げました。
Legacy Of Artisan -職人技術の伝承
私たちが立ち上げたTHE LOAは、「Legacy Of Artisan(職人技術の伝承)」を意味するブランドです。


見た目に美しく、着心地も良い。
その両立を真剣に追い求める、本質主義のテーラーです。
私たちが大切にしているのは、単に美しいスーツを作ることだけではありません。
「Artisan(職人技)」「Research(研究)」「Fashion(ファッション性)」の3つを軸に、手仕事の文化を守りながら、それを次の世代へと発展させていくことを使命としています。


代表・渡辺のプロフィール
はじめまして。私は、THE LOA代表の渡辺平祐と申します。信州大学で繊維工学の研究をし、修士号を取得。現在も同大学の博士課程で研究を続けながら、テーラーを経営しています。
私が初めてスーツと出会ったのは、成人式でした。
既製品のスーツを着て式に出席し、後から写真を見て気づいたのです。
「なんか、似合っていない」
「サイズが合っていない気がする」
「動くたびに、どこかが引っかかる気がする」
そんなもやもやした気持ちを抱いていました。

大柄で既成服が合わず、ツキじわというシワが出てしまいます。
工場と仕立て屋を回る旅
繊維の研究に没頭する中で、私はある危機感に直面していました。
「研究室でどれほど理論を突き詰めても、それを形にする『職人の手』が失われれば、真に価値のある製品・作品は生まれない。」
その危機感に突き動かされ、紡績工場、機織工場、縫製工場、街の仕立て屋さん——。
様々な現場を見学しながら、私は職人たちの話を聞いて回りました。
仕立て屋さんを訪問した際には、
「昔は縫製をしていたけれど、今はお直ししかしていない」
「後継者はいないし、育ててもいない。この店は自分の代で閉める」
と言われ、とても悲しさを感じました。
このお店に限らず、日本全国の街の仕立て屋さんは後継者がおらず、閉業するところも多い状況です。
そんな時、一人の職人と出会いました。
廣川輝雄氏、当時77歳。
来るものを拒まない究極の求道者
廣川輝雄氏 (82)
最初に会った時の印象は、「思っていた職人像と、全然違う」というものでした。
物腰が柔らかく、穏やか。
来るものを拒まない、大きな器。
もちろん、長年の経験が生み出す職人としての頑固さも垣間見えました。
でも、それは自分の技術への純粋な誠実さから来るものでした。

さらに驚いたのは、InstagramやFacebookを使いこなし、若い人たちとの交流を楽しんだり、刺激を受けたりしながら、新素材やパターン開発などに挑み続けていたことです。
「この人は、未来を向いている」
延べ1万着以上を縫製してきた経験と、培ってきた技術を土台にしながら、常にアップデートするスタンスに感動したのです。
研究者と職人の二つの魂が共鳴した
廣川氏と話を重ねるうちに、私は気づきました。
「この人も、研究者だ」
廣川氏は長年、こんな問いを自分に投げかけ続けてきました。
「この生地ならどう縫えばいい?」「この体型にはどのアプローチが合う?」
試して、失敗して、また試して——。
その姿勢は、私が大学でやってきた研究と全く同じでした。

繊維工学の研究者と、65年以上のキャリアを持つ職人。
二人の思考は、驚くほど似ていました。
「この人と組めば、業界を変えられる」
その確信から、私たちのプロジェクトは始まりました。
廣川氏プロフィール
1959年(15歳)
博多から上京。東京の早野洋服店にて住み込み修業を開始。
1968年〜1972年
銀座・英國屋に勤務、月に最大25着のジャケットを製作。
1973年〜2006年
銀座・壹番館に入社、工場長に就任しフォーマルウェアの製作を統括。1989年には 英国王室コレクションのための衣服を仕立て、壹番館の代表として渡英。(現・エディンバラ王立博物館所蔵)
2007年〜2016年
壹番館を退職後、ラルフ ローレン ジャパンにてスーパーバイザーを務める。高級既製服およびビスポークの仕立てを担当。
2016年〜現在
東京洋服アカデミーでの指導およびTHE LOAにてマスターテーラーを務める。



廣川氏の仕立てるフルオーダーを体験
廣川氏と意気投合し、一緒に事業をやっていこうと思った折、まずは廣川のフルオーダースーツを体験してみたいと思いました。
廣川氏が、「一着つくってあげるよ」と言ってくれたので、大学の卒業式用に作ってもらいました。
フルオーダーは通常、仮縫いや中縫いというフィッティングを複数回行います。

廣川氏は私にジャケットを着せたまま、静かに糸を解いて、体に合わせて布を動かし、ピンを打っていきます。
だんだん、自分の体に合っていくジャケットを見て、フィッティングの技術に驚きました。
ついに出来上がり。まずパンツを履いた瞬間に感動。そしてジャケットに袖を通してさらに感動。
スーツを着ているのに、なんのストレスもない、初めての感覚でした。

まさに廣川氏が目指す、見た目は美しく、羽が生えているかのような軽やかな着心地のスーツでした。
手仕事の魅力とは
「フルオーダーって何がいいの?イージーオーダーとどう違うの?」
という質問をよくいただきます。
一言で申し上げるのは非常に難しいですが、廣川氏と一緒に仕事をしていく中で感じた一番大きな違いのひとつは、
「あなたのために使う時間の総量」だと私は思います。
ハ刺しという工程
フルオーダーにおいては、たとえ採寸した数値が全く同じであっても、同じ型紙になることは、絶対にありえません。体型はお客様の人生を如実に表しており、人生が一人ひとり違うのですから、当然です。
背中のカーブはどれくらいにするか。腰の高さの違いはどれくらいか。お尻のお肉が片側だけ全然ないな。肩パッドは、これぐらい綿を抜いたほうがいいな。この表地なら、芯はどういうものを使おうか。ここはアイロンでこれくらい布を曲げないと、この凹凸には対応できないな。
あなたの体を、職人が直接見て、あなたにとってベストな型紙や縫製方法、使う資材に思考を巡らせる。仮縫いをして、その思考を修正しながら、究極を追い求めていく。
効率化という観点では省かれてしまう工程が、フルオーダーであればこだわりぬける。それは機械ではなく、手で作るからこそできることです。

なぜ、手で作ることが重要なのか?
それは、人間の体が丸いからです。そして、人間の体が動くからです。
平面の布を体に沿わせるよう、立体にしていくことは、パターンだけで実現が出来るわけではありません。手で持って、形を作りながら、体型の丸みを意識しながら…職人の目で捉えたお客様の体型を、その目と手をもって作り上げていく。
日用品の枠ではなく、芸術作品に近いかもしれません。

縫う機会が減って技術が育たない
1人の縫製職人が裁断から仕上げまでの全工程を1人で縫い上げる手法、「丸縫い」の職人が減っている背景には、いくつかの構造的な問題があります。
まず、手縫いでスーツを縫う着数そのものが減りました。
既成服やイージーオーダーなど工業化が進んだ結果、スーツの仕立ての分業化が進みました。工場で縫製する限り、効率化を目指すことは当然であり、一人の人が一つのパーツを縫い続ける方が効率をあげられます。そうなると、一人で丸々一着を仕立てられる機会が減り、それが可能な人はどんどん高齢化しています。
昔は半人前の状態であっても一着をまるごと縫わせてもらえる環境や機会が多くありました。
次々と着数をこなす中で、繰り返し手を動かして技術を磨けました。
しかし、現在では丸縫いで縫う機会、学べる場所が減ってしまっているのです。

職人の「感覚」的な技術を可視化することで後世に残す
THE LOAが取り組む第一の柱は、廣川氏が持つ65年分の技術を、記録・解析することです。
廣川氏と若手職人が議論する様子
手の動き、指にかかる圧力の分布、針の軌道、糸を引くテンション。
これまで「見て盗め」と言われてきた職人の感覚を、どうにか可視化できないか。
言葉で、数値で、映像で。今の技術で可能な限りの記録と解析を行いたいと考えています。
例えば、「生地が暴れる」という職人の言葉があります。
扱いにくい生地が縫製中に動いてしまう現象で、その対処は長年の経験から来る感覚的なものでした。
しかし職人が無意識のうちに生地に対して縫い方を変えている、その仕立てのアプローチを顕在化し、分析することができれば、次の世代がゼロから身につけるのではなく、「先人の経験」を土台として学べるようになります。
これは技術を「伝わるもの」から「学べるもの」へと変える、大きな転換です。
昔は着数を繰り返しこなすことで身につけていた技術を、着数が少ない今どう早く学んでいくかという課題に、私たちは貢献したいと考えています。
プロ野球の「ファーム」を縫製業界に
第二の柱は、職人育成ファームの設立です。
プロ野球における二軍・育成枠の仕組みをイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。
一軍の試合に出られなくても、給料を得ながら練習し、成長できる環境です。
私たちが目指すのは、縫製業界にこの仕組みを作ることです。
専門学校を卒業した人や、私たちが作る教材で学んだ人が育成ファームに入る。
そこでは、現役の職人が直接指導にあたります。
さらに重要なのは「教えることで学ぶ」という循環の仕組みです。
トップレベルのプロの監修の元、一人前が半人前を教え、一人前は一流から教わる。
早く技術を覚えるための仕組みを作ります。
この方法がうまくいけば、他の日本の伝統技術の継承にも横展開ができるのではないか、と思っています。

今回のクラウドファンディングは、このプロジェクトの第一歩です。
集まったご支援は、主に以下の用途に使わせていただきます。
・技術記録のための機材費・材料費
・育成教材の制作費・人件費
・スーツ製作費
・運営費用
※目標金額に到達しなかった場合も、いただいた資金を有効活用させていただき、次世代の職人に繋ぐための資金として大切に使用させていただきます。


今後も複数回にわたってクラウドファンディングに挑戦し、最終的には職人育成ファームの設立と、研究開発ができる環境の整備を目指していきます。

ここまで長きに渡り、私たちの思いをお読みいただきまして誠にありがとうございます。
ご支援してくださる皆様に、少しでも良いリターンをお届けできるように努めます。
以下がおすすめのリターンでございます。全てのリターンについては、リターン詳細の方にてご覧ください。

【若手職人応援オーダー】
今回のクラウドファンディングの目的は、技術の継承です。そこで、リターンといたしまして、熟練職人が厳しい目でチェックしながら若手職人が縫製するという「若手職人応援オーダー」をご用意いたしました。
もちろん、若手職人もきちんと縫製の専門学校を卒業し、スリーピースを一通り仕上げられるようになった上で、普段から縫製を行っております。
品質においては、熟練職人がお客様に出せる状態かどうかを厳しくチェックいたします。
縫い直しが発生し、時間がかかってしまうことや
フィッティングにおいても熟練職人と同席させていただくため、お客様に負担がかかることが考えられます。
上記を鑑み、普段THE LOAでご提供しているお値段から割引をさせていただきます。
クラウドファンディング限定の企画ですので、ぜひどうか、ご支援いただけますと幸いです。
・パンツ
通常価格:159,500円
59,500円OFF→CAMPFIRE限定:100,000円
・ジャケット
通常価格:283,800円
63,800円OFF→CAMPFIRE限定:220,000円
・2ピーススーツ
通常価格:423,500円
123,500OFF→CAMPFIRE限定:300,000円
【THE LOAのオーダーを体験したい方へ】
熟練職人によるTHE LOAのオーダーを体験したいという方向けに、お仕立て補助券もご用意しております。
3万円、5万円、15万円、40万円にてご用意しておりますので、フルオーダーの補助券としては勿論のこと、シャツのオーダーやイージーオーダーの補助券として使うなど、ご自由にお使いいただけます。
【THE LOAオリジナル小物やハンガーなどのグッズ】
・高級ウールのハギレをリメイクしたTHE LOAオリジナル小物(印鑑ケース/小銭入れ)
・ナイロンにウールの繊維を巻きつけた特殊な糸を使用して編み上げたオリジナルソックス
・オリジナルハンガー
などのグッズもご用意しております。



「技術は、一度途絶えたら永遠に失われる」
この言葉を、私は本気で信じています。
廣川氏が持つ技術は、65年という長い年月もの間、一流のテーラー界で第一線を走り続けてきたからこそ成し得ているものです。
しかし今、その技術を受け取れる次の世代が育っていない。
このまま何もしなければ、あと10年後、20年後——日本で本物の手縫いスーツを仕立てられる職人は、ほとんどいなくなっているかもしれません。
私たちは、そんな未来を作りたくはありません。
だからこそ、廣川氏の技術をデータで残し、若い職人が学べる環境を作り、手仕事の文化をこの国でずっと次世代に繋いでいく仕組みを作りたい。
それがTHE LOAの、このプロジェクトにかける願いです。
この挑戦に、どうかご支援をお願いいたします。
BESPOKE TAILOR THE LOA 代表 渡辺平祐
◉店舗情報
営業時間:10:00~19:00 水~日曜日
定休日:月・火曜日
◉住所
〒103-0011
東京都中央区日本橋大伝馬町11-12 ドメス日本橋大伝馬町ビル3F
公式HP:https://theloa.jp/
公式SNS:https://www.instagram.com/theloa_bespoke/





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