4月25日、山林火災発生から4日目。岩手県大槌町では、自衛隊や緊急援助隊、周辺地域から参集した消防隊による懸命な消火活動が続けられています。地上では総勢1,329名の消防員が消火にあたり、さらに自衛隊の大型ヘリコプター5機、中型ヘリコプター2機に加え、宮城県、秋田県、新潟県、栃木県、茨木県、横浜市の防災ヘリが空中から連続的に散水。大槌町一帯では、早朝から夕方までヘリコプターの音が途絶えることはなく、延焼が広がる不安の一方で、消防隊による懸命な活動が住民の希望と心の支えにもなっています。こうした緊迫した状況が続くなか、現地入りしたのち保健医療福祉調整本部に参画した空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の緊急支援メンバーは、ほかの支援団体と連携して新しく開設される避難所の環境調査と、要配慮者を確認する活動に従事しました。「もうちょっとたくさんだね、、、」4月22日の火災発生後、延焼が続くなか、行政は25日時点で1541世帯3,233名に避難指示を発令。町内7カ所に避難所が開設され、116世帯282名が避難しています。しばらくまとまった雨が降ることはなく、26日以降には風が強まる予報が出ていることから、延焼のさらなる加速も予想されています。こうした状況のなか、万が一緊急で避難しなければならなくなったときに、懸念されるのが要配慮者の把握です。この日、保健医療福祉調整本部に参画した各支援団体が手分けして避難所を訪問。空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の看護師2名も避難者の方一人ひとりに声をかけ、健康状態だけではなく、さまざまなことに丁寧に、ゆっくりと耳を傾けます。ある避難所で、以前、大きな地震があったときに家を離れ、その引っ越し先で2011年に津波被害に遭い、そして今回の山火事でまた、避難してきたというおばあさんは、今のやるせない胸中を話してくれました。「大きな地震があって引っ越したらそこで津波にあって。それで今回は山火事で、、、もうちょっとたくさんだね。こんな何度も、まずまいっちゃうね」こうした聞き取りの重要性について、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の宮内看護師はこう説明してくれました。「今日の保健医療福祉調整本部のミッションは要配慮者の確認ですが、その情報を聞き取るだけでなく、日常のことや今の心境、困りごとなど、いろいろな話を聞くことが大切です。そのなかに見えない課題や隠れたニーズがあるかもしれないですし、何より話を聞くことが不安を少しでも和らげることにつながることもあるからです」(宮内看護師)長期化も想定される避難生活。避難者の健康を守り、少しでも快適に過ごせるために何が必要で何ができるのか、その想いがこの“会話”には込められています。地域コミュニティの絆を尊重しつつ、命を守るために吉里吉里地区では、小学校の裏山近くまで延焼が広がる可能性が出てきたことから急遽、避難所を移動。特別養護老人ホームを利用されていた方を少し離れたホテルに緊急避難させるなど、火災現場が近く、緊張した状態が続いています。この地域住民の避難生活の拠り所となっているのが、強固な地域コミュニティです。吉里吉里地区は古くから地域住民の方々の結束が強く、そして深く、急遽開設された公民館の避難所には、周辺地区から49名の方が避難。食事は地域の婦人会が担い、自宅から食材を持ち寄って温かい料理をふるまっています。「みんなで助け合って生きてきたところだから、こういう大変なときこそ食材なんかはみんなで分け合ってね。今から家にある畑から収穫した大根をとってくるね」婦人会を率いる会長は笑いながらそう話して、小走りで車に向かい、自宅に戻っていきました。避難所となっている公民館の館長も周辺地域の方を快く受け入れ、特別養護老人ホームの方々を避難させるときは率先してバスなど手配し迅速に移動させるなど、地域の安全を守ってきました。こうした地域の、日常から築き上げられてきた結束によって、吉里吉里地区は守られています。しかし、現実では避難所から見える近くの山林からは煙が勢いよくあがるのが見え、同地区には避難指示が出され、25日夕方には消防が消火活動に集中できるように交通規制もひかれました。山林火災は、風向きや風速によって延焼範囲や速度が一気に変わる危険性があるため、こうした地域に対し、各所ですぐに避難するように注意喚起を促す動きや声もあがっています。地域の絆、意思を最大限尊重しつつ、命を守るために何をするべきで何ができるのか。空飛ぶ捜索医療団は保健医療福祉調整本部の支援活動に従事しながら、関係各所と情報共有を行い、誰ひとり取りこぼさない支援をめざして避難者をサポートしていきます。




