おむつコレクションの先に、見えた次のテーマ

STOMA Néo-ART Projectプロジェクトリーダーの矢野です。
2025年、私たちはおむつをファッションショーまで昇華させた「O-MU-TSU WORLD EXPO 2025(おむつコレクション)」を成功させました。「隠さなければならないもの」とされていたおむつを、ファッションとして世界の舞台に立たせる挑戦でした。多くの方が見ている舞台で、おむつが「装い」になった瞬間。会場が拍手で包まれたあの光景は、私の中で確かな手応えとして残っています。そして、その手応えの中で、私たちの中に次のテーマが明確に立ち上がってきました。
ストーマ。
私は外科医として、患者さんと最も近い距離で向き合い続けてきたテーマ。だからこそ、次はストーマのことを世界に発信したい。その思いが、O-MU-TSU WORLD EXPO後、大きくなっていきました。
あなたは「ストーマ」という言葉を知っていますか?

ストーマ(人工肛門・人工膀胱)は、生まれながら持つものではなく、病気や事故などをきっかけに、手術を受けて新たに作るものです。生きるため、そして安心して外出や食事を楽しむための、「選択」です。
病院の中では当たり前、社会では「いないこと」になっている
私は外科医として、これまで数えきれないほどのオストメイト(ストーマを持つ人)と向き合ってきました。手術の前から、術後の生活になじめるよう、患者さんの戸惑いに寄り添うのが私たちの仕事です。
病院の中では、オストメイトは当たり前の存在として受け入れられています。
けれど、一歩外に出ると、世界はまるで違って見えます。
オストメイトの方々は、私たちと同じ社会を生きる生活者です。
街を歩き、誰かと出会い、家族や恋人と食事を楽しむ。そんな当たり前の日常を送るために、人知れず不便と闘い、時には偏見とも闘いながら、生きているのです。
「見えない」から、「いない」ことにされる
服を着ているとオストメイトだとは分かりません。
だからこそ、すれ違う人々は、共に暮らしていることを忘れてしまう。自分の周りにはいないと思いこんでいるだけでなく、ストーマを見たこともないのに偏見を持ってしまっている人もいます。
しかし──病気や事故などをきっかけに、誰もが、ある日突然、当事者になり得る。
そして、偏見を持っていた人ほど、その「生きるための選択」を受け入れることに苦しみます。
これを当事者の自己責任と責めるのではなく、そのような偏見を持たせてしまった「社会を変えていくアプローチ」こそが必要だ。
私は次第にそう思うようになりました。
ストーマパウチを、「隠すもの」から「魅せるもの」へ

今回のプロジェクトでは、オシャレなストーマパウチを中心にデザインされた、オストメイトにしかできないトータルファッションを提案します。
西陣織や京友禅といった日本の伝統工芸と、現代ファッションの感性を融合させた衣装。
ストーマパウチもその一部としてデザインに織り込み、オストメイトのモデルたちが纏います。
これによって、オストメイトの生活や気持ちが豊かになること。
そして、社会全体がオストメイトを共に生きる仲間として再認識すること。これを実現したいのです。
このプロジェクトは、すべての人へのメッセージです
このプロジェクトの本質は、オストメイトに限ったものではありません。
【偏見を気にして、人目を避けるように生きているすべての人々】へ。
そして【未来の当事者であるすべての自分たち】へ向けられた、自分らしさを承認するための希望のメッセージです。
新しい身体で生きることを選択したオストメイトが、鼻歌まじりに服を選び、日常を謳歌できる世の中へ──。そして「誰もがオシャレを楽しめる世界へ」。
おむつの次は、パリで。世界の常識を変える舞台へ

次の舞台は、芸術の中心地と知られるパリです。
2026年10月6日、パリ16区に佇むポーランド科学アカデミー学術センター(Scientific Centre of the Polish Academy of Sciences in Paris)。
1919年のヴェルサイユ講和会議ではポーランド代表団の拠点となり、マリー・キュリーやマルセル・プルーストとも縁の深い、知と文化が積み重なった場所です。
科学と芸術、医療とファッション、東洋と西洋。異なるものが出会い、新しい価値が生まれてきた場所で、私たちもまた、これまで交わることのなかった二つの世界を重ねます。
「ストーマは、隠すもの」──この世界の常識を、パリから変えていきます。
医療×ファッション、二人で組みます

このプロジェクトリーダーは矢野 雷太。
そしてファッショントータルデザイナーは、平林 景。
2022年、パリコレクションで車椅子モデルのみのファッションショーを実現し、2025年には「おむつコレクション」を共に成功させてきた二人です。
医療の現場を知る矢野と、装いで人を肯定してきた平林。二人が組むからこそ、医療器具を"ファッション"の言語で語り直すことができる。これは、どちらか一人では決して成立しないプロジェクトです。
物語は、パリで終わらない──11月3日、東京・安田講堂へ

パリの舞台は、終わりではなく、始まりです。
2026年11月3日、東京大学・安田講堂で「STOMA Néo-ART Symposium」を開催します。
テーマは「差異をほどき、社会を編みなおす──パリから東京、そして未来へ」。
パリで生まれた小さな変化を、日本社会へ持ち帰り、議論し、根付かせる。そのための場です。
医療、ファッション、当事者研究、社会制度、そして排泄をめぐる公共空間のあり方
──立場の異なる専門家と当事者が一堂に会し、「見えない障害」をめぐって対話します。
[主催]
一般社団法人 日本福祉医療ファッション協会
(代表理事・平林 景/副代表理事・矢野 雷太 もセッション進行に参加)
[総合司会]
・平野 裕加里(有限会社LIBRA 代表/アナウンサー)
[登壇者(五十音順)]
・朝比奈 秋(医師、作家)
・石井 洋介(医師/元厚生労働省医系技官)
・エマ大辻ピックルス(医師/オストメイトモデル)
・田中 美咲(PROJECT SOLIT 代表/インクルーシブファッション)
・橋本 英樹(東京大学大学院医学系研究科 教授)
──ほか、各界より登壇者を予定しています。
クラウドファンディングのリターンには、このシンポジウムの特別席もご用意しています。
歴史が動く現場に、ぜひお立ち会いください。
調達資金の使途
皆さまからのご支援は、海外モデルの渡航・滞在費、伝統工芸職人への衣装制作費、会場運営費、撮影・記録制作費に充当させていただきます。すべてが、この歴史的な瞬間を実現し、世界に発信するために必要な投資です。
スケジュール
2026年 7月11日 クラウドファンディング開始
2026年 10月6日 STOMA Néo-ART パリ・ファッションショー
(Scientific Centre of the Polish Academy of Sciences in Paris)
2026年 11月3日 STOMA Néo-ART Symposium(東京大学・安田講堂)
最後に──あなたへ
オストメイトだからこそ輝ける、医療を受けた人だからこそ表現できる美しさが、私はあると信じています。このプロジェクトへの応援は、当事者の方々への支援であると同時に、あなた自身の「ありのままでいい」を肯定するための一票でもあります。おむつに続いて、次はストーマ。世界の常識を、私たちと一緒に変えてください。





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