ガイドヘルパー養成研修の受講後に、出てくる問いは、「資格は取った。で、どこで働けばいいのか?」です。そう言えば、「知的障害のある人の外出を支えるガイドヘルパー募集」って求人、あまり見かけないですよね。風雷社中のYouTubeチャンネルで配信している【福祉NPO教養番組:風雷トーク】で、庭野拓人と一緒に、ガイドヘルパーとして働く介護事業所をどう探し、どう選ぶのかを話しました。風雷社中の「ガイドヘルパーを増やしたい」って思いに繋がるか話なので、ここでも共有させてもらいます。◯まず、どうやって探すのか一番分かりやすいのは、やはりインターネットです。「知的障害 移動支援 ヘルパー募集」そんな言葉で検索すると、Indeedやジョブメドレーなどの求人サイトが出てきます。求人サイトは便利です。時給や勤務地、勤務時間などを比較するには、とても使いやすい。でも、ちょっと待って。それだけで決めるのは、まだ早い。求人サイトは、どうしても同じようなフォーマットの中に情報が入ります。その事業所が普段どんなことを考えているのか。どんな人が働いているのか。利用者さんとどんな関わりをしているのか。そこまでは、なかなか見えてきません。だから求人を見つけたら、その事業所自身のホームページやSNSも見てみる。更新されているか。自分たちの言葉で書いているか。実際の活動の様子が見えるか。それも、一つの手がかりになります。もちろん、ホームページが立派だから良い事業所だ、という単純な話ではありません。ただ、「自分たちが何をしているのかを外に伝えようとしているか」は、見ておいていいと思います。介護の仕事を辞めた理由を見ると、「職場の人間関係に問題があった」「勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があった」といった理由が上位に挙げられています。※つまり、時給だけ見ても分からない。「誰と、どんな考え方の事業所で働くのか」も、かなり大事なんです。自分の「こんな仕事をしたい」にマッチした事業所を探しましょう。◯求人を出していない事業所もある配信では、大田区が公開している移動支援事業所の一覧も見ました。こうした自治体の一覧には、求人サイトには出てこない事業所も載っています。人を募集していないように見えても、問い合わせたら、「ちょうど人を探していた」ということもあります。シャイなんですよ、介護事業所って。地域で働きたいなら、自宅の近くにある事業所へ直接問い合わせてみるのも一つの方法です。養成研修を受けた人なら、研修を実施した団体や講師に聞いてみるのもいい。実際、福祉の仕事は人からの紹介でつながることも少なくありません。◯時給だけでは分からない働く側からすれば、時給は大事です。高い方がいい。これは当然です。ただ、ガイドヘルパーの仕事には、時給の数字だけでは分からない部分があります。例えば、・記録を書く時間は勤務時間に入るのか・利用者さんの都合で急にキャンセルになったとき、どう扱われるのか・一日に複数の現場へ入る場合、現場間の交通費はどう精算されるのか・「この仕事は自分には難しい」と思ったとき、断ることができるのか・旅行や家庭の都合で休むことはできるのかこういうことです。求人票を読んだだけでは分からなければ、面接で聞けばいい。僕は、面接は事業所が働く人を選ぶためだけの場所ではないと思っています。当たり前ですが、働く側が、その事業所を知り、選ぶ場所でもあります。◯初めて働く人ほど、「現場を見せてくれるか」を聞いてほしい特に、これまでガイドヘルパーとして働いたことがない人には、働くことを決める前に、必ず一度、実際の現場を見せてもらってください。僕は、これはかなり大事なことだと思っています。どんな仕事なのか分からないまま、「採用します」「働きます」と決めてしまわない。まず、実際の仕事を見る。もちろん、ガイドヘルプは利用者さんの暮らしそのものです。誰でも勝手に見学していいわけではありません。でも、だからこそ大事なのは、事業所が利用者さんと「見学の人が来るけど、どうする?」という話ができているかだと思います。言葉で意思表示する人もいれば、別の方法で意思を伝える人もいます。その人に合ったやり方で説明して、嫌なら断れる。そのコミュニケーションが取れていることが前提です。そして、「まず見てみませんか」と言ってくれる事業所は、丁寧だと思います。採用された後も、初めて利用者さんと会うときはどうするのか。誰かが顔合わせに同行するのか。利用者さんの情報はどのように共有されるのか。一人で支援に入るまで、同行研修を何回くらいするのか。こういうことをちゃんと聞きましょう。むしろ、聞かれたことにちゃんと答えられる事業所であってほしいと思います。◯良いことだけを言わない事業所配信の後半で、Realistic Job Preview(リアリスティック・ジョブ・プレビュー/仕事の良い面だけでなく、大変な面や弱みも事前に伝える考え方)についても話しました。求人では、どうしても、「うちはこんなにいい会社です」と言いたくなります。でも、「ここはまだ弱いです」「こういうところは大変です」「働いている人から、こんな不満が出ています」そんなことまで言える事業所の方が、僕は誠実だと思います。良いところも悪いところも知った上で、「それでも、ここで働きたい」と思える。その方が、働き始めてからの「こんなはずじゃなかった」を減らせます。介護人材が足りないからこそ、とにかく採用するのではなく、合う人と出会い、長く働いてもらうことの方が大切なのではないでしょうか。◯養成研修は、資格を渡して終わりではない今回、改めて思ったことがあります。ガイドヘルパー養成研修は、資格を渡して終わりではありません。研修を受けた人が、「やってみようかな」と思い、自分に合う事業所を見つけ、実際に利用者さんの外出を支えるところまでつながっていく。そこまで含めて、人を育てるということなのだと思います。▼今回の風雷トーク介護事業所の探し方、選び方|ガイドヘルパーで働こう https://youtube.com/live/d3CFTzXDEaY風雷社中では今年度、ガイドヘルパー養成研修を3回実施します。さらに、これまで研修を続ける中で作ってきた書類や進行管理の仕組み、広報の方法などを、他の地域でも使える「ガイドヘルパー・スターターキット」としてまとめていく予定です。ガイドヘルパーが足りないのは、風雷社中だけの問題ではありません。研修を開く。働く人を増やす。そして、その人が安心して働き続けられる事業所につながっていく。資格を取った。その先をどうするか。そこまで考えて、ガイドヘルパーを増やしていきたいと思っています。※公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」。直前の介護関係の仕事を辞めた理由(複数回答)では、「職場の人間関係に問題があったため」24.7%、「勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があったため」17.6%などが挙げられています。https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R6_jittai_chousa_jigyousyo_honpen1.pdf



