
今回は、個展のタイトル「515号室で待っています。」について、少しお話ししたいと思います。
「515」という数字は、私の誕生日である5月15日からつけました。
今回の個展は、私がこれまで描いてきた世界や、これから描いていきたい世界をひとつの空間として表現するものでもあります。そんな自分の世界を表す場所の名前として、自分にとって一番身近な数字を使いたいと思い、「515」としました。
そして「号室」という言葉。
「ROOM」でも「部屋」でもなく、「号室」にしたのは、自分たちの生活に馴染みのある言葉にしたかったからです。
日本で暮らしていると、集合住宅などで当たり前のように目にする「○○号室」という呼び方。どこか生活の気配を感じるこの言葉を使うことで、誰かの部屋を訪ねるような、誰かの記憶を少しだけ覗くような感覚になる気がしました。
ただ、「515号室」は実際に存在する部屋ではありません。
私の中では、いろいろな人の記憶が保管されている、架空の場所のようなイメージです。
扉を開けたら、そこには部屋ではなく、昔遊んだ公園が広がっているかもしれない。昔一緒に暮らしていた誰かが、変わらない姿でそこにいるかもしれない。
懐かしい景色や人、匂いや空気。普段は忘れているのに、何かのきっかけで突然思い出すような記憶。
そんなものが、515号室にはたくさんしまわれています。
そして、その場所をつくっているのが私です。
私が絵を描き、515号室をつくって、そこに皆さんに遊びに来てもらう。
そんなイメージから、最後は「待っています。」という言葉にしました。
個展のタイトルは、最初から単語ではなく、ひとつの文章にしたいと思っていました。いくつか候補も考えましたが、一番最初に思いついた「515号室で待っています。」が、やっぱり一番しっくりきました。
10月、静岡PARCOに現れる「515号室」。
その扉の向こうに、皆さん自身の記憶と重なるものがひとつでもあったら嬉しいです。
515号室で、待っています。



