
編める人が、いなくなる前に。
1トンの藁、173人の手、90日。
仁王門の大わら草履、13年ぶりの掛け替えが始まります。
はじめに ── 住職からのご挨拶
はじめまして。広島県尾道市、真言宗醍醐派大本山 西國寺の住職・麻生裕雄と申します。
このたび、仁王門に掛けられております大わら草履を、13年ぶりに掛け替えることとなりました。
当山の山門・仁王門は、今からおよそ380年前、江戸時代はじめの慶安元年(1648)に建立されたと伝えられ、現在は広島県の重要文化財に指定をいただいております。この門には室町時代末期につくられた金剛力士像が安置されており、その健脚にあやかって、大わら草履が掛けられてまいりました。
山の斜面に諸堂が連なる西國寺境内/仁王門に安置される金剛力士像(室町時代末期)
尾道は、大変坂道の多いまちです。西國寺の境内も、山の斜面に沿って、坂道や石段とともに諸堂が建てられています。足腰が丈夫であることは、このまちに生きる人々にとって、何よりの願いでした。
坂と石段のまち・尾道。西國寺の境内からも、家並みと海が見下ろせます
「仁王さまの草履に触れると、足腰が丈夫になる」——そう言って、小さなわらじを掛けていかれる方を、私は何人も見てきました。マラソンの完走を願う方、手術を控えた方、山登りの無事を祈るご家族。この門は、まちじゅうの「歩けますように」を預かってまいりました。
健脚を願う参拝、節分会や火渡り神事──寺は今も、まちの人とともにあります
前回の掛け替えから13年。大わら草履は年中、雨風に打たれ、黒ずみや傷みが出てまいりました。この草履を、もう一度編み直したい。けれども今、これほど大きな草履を編める方は、この地域にほとんど残っておられません。
13年前の前回、初めて、職人さんにお任せするのではなく、市民の皆さまの手でこの草履は編み上げられました。今回もあらためて、尾道青年会議所の皆さんが中心となってボランティアを募り、まちの皆さんとともに、藁の一本から編み上げてまいります。その費用の一部を、クラウドファンディングという形で、広く皆さまにお力添えいただきたく、お願いを申し上げる次第です。

思えばこの仁王門は、江戸の昔からまちの人々の手で守られてきました。約300年前の元文5年(1740)には、尾道の豪商・泉屋新助が私財を投じてこの門を大修理した記録も残ります。広くご縁を結んでいただき、皆の力でお寺を支えていただく——それは、西國寺が千三百年、歩んでまいった道そのものです。


いま掛かっている草履は、13年前の2013年に編まれたもの。以来、雨風と潮風に耐えながら、参拝の方々が掛けてゆく無数の小わらじと願いを、受け止め続けてきました。
今年の11月、この一足は役目を終えます。捨てるのではありません。感謝の供養をして、送ります。その藁の一部は「先代の藁」として、支援者の皆さまの手元にもお分けします(後述)。
前回の掛け替え:役目を終えた先代を下ろし、送り出す(2013年12月)

今回も、職人さんにお任せするのではありません。藁の一本から、まちの皆さんの手で編みます。
藁:世羅町・農事組合法人とくいちさんの田んぼで育った藁、約1トン。8月末、刈り取りから始まります。
藁は刈り取りから。集めた藁を木槌で打ってやわらかくする(前回・2013年の記録)
師匠:向井利夫さん、田坂光宏さん。瀬戸田・雪渓寺「あしなが地蔵」の大わら草履を過去3度編み上げた、地域で数少ない技術の継承者です。おふたりの手の動きは高精細映像で記録し、次の世代への技術アーカイブとして残します。
縄をない、師匠の手ほどきを受ける。すべてはこの手仕事の積み重ね(2013年)
編み手:地域の青年有志73人と、公募の市民ボランティア100人。中学生からシニアまで、のべ173人。9月から11月まで、毎週水曜の夜、旧オノスイ倉庫(ベイタウン尾道)に藁の音が響きます。
数人がかりで進む本体の編み込み(2013年)
子どもたちも、学生ボランティアも。前回はまち総出の90日でした(2013年)

そしてこの90日の歩みは、このページの活動報告でその都度お伝えします。藁刈りの日、師匠の手の記憶、今週の編み手、半分できた日——完成までの物語を、支援者の皆さまと一緒に歩きます。11月21日の奉納式が、その結びです。
前回、編み上がった日の集合写真(2013年11月)

2026年11月21日(土)、掛け替え奉納式。新しい大わら草履が仁王門に上がります。
除幕のその瞬間、支援者の皆さまの願いを記した「小わらじ」も、新しい大草履とともに掛かります。このページでのご支援は、単なる購入ではなく「奉納」です。あなたの名前と願いが、次の十数年、仁王門から尾道を見守ります。
式には尾道市長はじめ来賓の臨席を予定し、支援者の皆さまの特別観覧席もご用意します。
前回の取付作業。新しい大草履は人の手で仁王門へ引き上げられました(2013年12月)
前回の奉納式、除幕の瞬間(2013年12月15日)
お金の話 ── 正直なお約束
目標金額:100万円(All-in方式)
掛け替えにかかる費用の一部を、広く皆さまにお力添えいただくものです。ご支援は、藁や縄などの材料、作業会の運営、取付と奉納式の費用に充てます。
・目標に届かなくても、掛け替えは必ず実施します。だからこそAll-in方式を選びました
・目標を超えた分は「次回掛け替え基金」として積み立てます。十数年後の次の代替わりに、今回の支援が残ります
・収支の概要は、活動報告にてできる限りご報告していきます
お礼の品 ── 3,000円の方も、10万円の方も「奉納者」に
ご支援くださった皆さまのお名前は、仏さまにご奉告いたします。また、クラウドファンディングの習わしにのっとり、わらじやお菓子など、心ばかりのお品に代えて御礼をさせていただきます。
















本プロジェクトは、社会課題に取り組む挑戦を支えるCAMPFIREのプログラム「CAMPFIRE for Social Good」を利用しています。お手続きの際、ご支援額に12%が上乗せされます(例:10,000円のご支援の場合、お支払い合計は11,200円)。その分、実行者側の手数料は0%となり、皆さまのご支援をより多く掛け替えに充てることができます。何とぞご理解のほど、お願い申し上げます。
※授与品はお志に対する御礼です。お礼の品はすべて2027年1月末までにお届けします。
まちの旗振り役 ── 尾道青年会議所
この製作事業の旗を振るのは、尾道青年会議所です。地域の20〜40歳の青年有志が、ボランティアとしてまちづくりや青少年育成に長年取り組んできた団体です。
前回の掛け替えを報じる2013年の新聞記事。青年会議所の提案に、児童も協力
13年前の前回の掛け替えも、青年会議所の提案から始まりました。前年秋の藁の集めから、試作、毎週の作業会の運営、そして奉納式まで。小学生から地域の師匠まで、多くの市民がひとつの草履に手を入れたあの90日は、いまもこのまちの語り草です。
今回もメンバーは全員、本業を持つ無償のボランティアです。藁の手配、会場の運営、市民ボランティア100人の募集と調整——表に立つのではなく、市民の手仕事を支える裏方に徹します。あるのは、「13年前に編んだ一足を、次の世代に手渡す」という約束だけです。
この挑戦を支える人たち
実行者:宗教法人 西國寺(住職・麻生裕雄)
製作・運営:尾道青年会議所(旗振り役)+地域の青年有志73名+市民ボランティア100名。青年会議所は、実は私(住職)もかつて理事長を務めた団体です。後輩たちが当山のためにひと肌脱いでくれることを、心強く思っています。
技術指導:向井利夫氏・田坂光宏氏/藁:農事組合法人とくいち(世羅町)
後援:尾道市・尾道市教育委員会(製作事業に対して)
スケジュール

2026年
8月末 藁の刈り取り(世羅町)
9月上旬 クラウドファンディング公開/製作開始
9〜11月 毎週水曜製作・活動報告の更新
11月中旬 旧草履の取り外しと感謝の供養「送る日」/新草履取付
11月21日(土) 掛け替え奉納式「迎える日」(予備日22日)/クラウドファンディング終了
12月 完成奉告法要(芳名奉告)
2027年1月末まで お礼の品お届け完了
最後に ── 藁一本分のお気持ちで
藁の草履は、いつか必ず古びます。
けれど、「まちのみんなで編んだ」という事実と、仏さまにご奉告したあなたのお名前は、古びません。次の掛け替えの日には、今回の映像と手順書と、173人の編み手の記憶が、また誰かを助けます。
どうか、お力をお貸しください。藁一本分のお気持ちで結構です。あなたの願いを、新しい一足に編み込ませてください。
11月21日、真新しい大わら草履が門に掛かるその日を、皆さまとともに迎えられますことを、心より願っております。
西國寺 住職 麻生裕雄







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