こんにちは。私たちは、東京・千駄ヶ谷にあります小さな出版社のなかの、「EARTH JOURNAL(アースジャーナル)」の編集部です。
私たちは「EARTH JOURNAL」という書籍を通して、持続可能な社会を目指した情報を発信しています。くだけた言い方をすると「地球環境にいいことを広めたい!」という思いで、本をつくっています。
このアースジャーナル、これまで皆様の協力の元、5冊を出版してきました。
EARTH JOURNAL最新号と東樹編集長。
今回、このクラウドファンディングを利用する目的は「アースジャーナルの6冊目をつくる」資金を募ることです。
アースジャーナルVol.6では、日本の農業を元気にするための「新しい農業のスタイル」を特集します。
その内容を詳しく紹介する前に、少しだけ、日本の農業の現状について触れさせてください。
農業人口の平均年齢は66歳。高齢化は進み、後継者候補である息子さんや娘さん=若者たちは、農業から離れつつあります。
もちろん、やりかたしだいで成功している農家さんや、新しく農業の世界に飛び込んで、がんばっている若者たちもいます。しかし、そうした人たちはごく一部。現実には、農業人口の減少と耕作放棄地の増加が続いています。
そして、実際に高齢の農家のかたに話を聞くと「うちの子には、農家なんてキツくて儲からない家業は継がずに、別の仕事に就いてほしい」とおっしゃるかたが多いのです。
この状況を解決する方法は、ただ1つ。
「日本の農業を元気にすること!」
もっと具体的に言うと
「農家が安定収入を得られること!」
これがポイントだと、私たちは考えています。
農業は、すばらしい仕事です。自然とともに生き、太陽と大地の恵みを受け取って、おいしい野菜や果物を育てる。
しかし、自然と共にあるからこそ、今年のような猛暑だったり、逆にある年は冷夏だったり、さらには台風が来たり……と農業は自然に大きく左右されるところがあり、なかなか収入が安定しません。
収入が安定しないために、農業経営を断念せざるをえない。そうやって農業から離れていく農家も少なくありません。
私たちの食文化・食生活を支えてくれている農家の皆さんのために、消費者として何ができるのか。
そんな想いとともに取材をするなかで出会ったのが、画期的な農業を実践する農家の方々でした。
それが・・・
ソーラー(Solar)とは、太陽のこと。シェアリング(Sharing)は「シェアする=分け合う」。
つまりソーラーシェアリングとは「太陽を分け合う」ということです。
農業では、太陽のエネルギーで光合成することで、作物が育ちます。その太陽のエネルギーを、人間に分けてもらうのです。
分けてもらったエネルギーは、人間が使うために、電力に変換します。そのために、太陽光発電を使います。
つまり「ソーラーシェアリング」とは、太陽のエネルギーを使って作物をつくりながら、同時に太陽光発電で電気もつくりだす、という新しい農業のスタイル。
農林水産省では、「営農型太陽光発電」と呼んで、導入の推進を行っています。
千葉県匝瑳市。荒れ地になってしまっていた耕作放棄地がソーラーシェアリングにより再生。
匝瑳メガソーラーシェアリングも元はこんな土地でした。
具体的にはこのように、農地の上の高いところに、作物の光合成の邪魔にならない程度に間隔を空けて、ソーラーパネルを設置します。
ソーラーシェアリングが画期的なのは、太陽光発電でつくった電気を電力会社に売ることで、副収入が得られるところです。
くもりや雨の日には発電量が落ちますが、1年を通してみれば、電気を売って得られる収入は、ほぼ安定します。その「安定した副収入」があれば、農家の経営もグッと楽になるのです。
稼げないという理由で、農家離れする若者も減るのではないでしょうか?
原発事故の影響を大きく受けた福島県南相馬市。「えこえね南相馬ソーラーヴィレッジ」では、売電収入とカボチャなどの栽培で農地維持を図っています。
生産者の方が自ら収入安定のために始める事例はもちろん、地域住民が中心となってソーラーシェアリング付きの市民農園を始める事例など、2017年5月時点で1054箇所、ソーラーシェアリングで農業を行う事例が生まれています。
ソーラーパネルで適度に直射日光が遮れることが、作物の成長に良い影響を与えているという報告もあります。
農林水産省も推進するしくみで、成功事例も生まれているため、本来ならもっと広がってもよいはずなのに、普及のスピードは速くありません。それには、いくつか理由があります。
メガソーラーなど太陽光発電について、マイナスイメージが広まってしまっています。
新しいものへの抵抗感。特に農業の社会では、新しいものに対して、二の足を踏むことが多くなりがちです。
上の2つの理由から、ソーラーシェアリングはまだあまり広まっていません。そのために情報が少なく、具体的にどういうものなのか、どういったメリットがあるのか、知られていません。
情報が少ないと、高齢の農家の方などに詳しいことを知ってもらう機会がなく、なかなか「新しいものアレルギー」が改善されず……という堂々巡りのままです。
では、ソーラーシェアリングの魅力を、全国の農家の皆さんに知ってもらうためには、どうすればいいのか。
あまり知られてはいませんが、もう既に日本各地で、ソーラーシェアリングで成功している先進的な農家の方々の事例がいくつも出てきています。そうした成功事例を集めて、教科書のように「ソーラーシェアリングというのは、こういうしくみで、農業経営に役立つ」ということがわかる本をつくります。
WEB上で紹介することもできますが、農家の多くは高齢なこともあり、まだ紙媒体の比重が高くなっています。農業専門の新聞「日本農業新聞」が、業界専門紙としては異例ともいえる33万部という発行部数を維持していることも、それを裏付けています。
農家の皆さんに新しい情報を広めるためには、紙媒体で、手にとって読める「本」というかたちにすることが必要なのです。
実は、私たちは「持続可能な社会(=地球環境にやさしいこと)」をテーマに、農業のフリーマガジンや、太陽光発電のフリーマガジンも定期刊行しています。
農業と太陽光発電、両方の専門誌をつくっている出版社は、日本で私たちだけ。
だからこそ、日本の農業の現状や、最新の情報など、わかることがあります。
そして、そんな私たちだからこそ、ソーラーシェアリングの本をつくらなければいけない。
そう強い使命を感じているのです。
私たちが刊行している農業や太陽光発電のフリーマガジンに関しては、農業なら農業、太陽光発電なら太陽光発電と、それぞれ別々ではありますが、理解が浸透しています。そのため、私たちの理念に賛同してくれている協力者や企業が一定数あり、そのサポートがあって制作できています。
しかし、ソーラーシェアリングに関しては、まだ理解が行き渡っておらず、協力者が少ないのが現状です。
そんななかでも昨年夏、多くの皆様のサポートをいただいて初のソーラーシェアリング誌となったVol.5を発行することができました。「本を見て休耕地にしていた農地でソーラーシェアリングを始めた」「地域での理解促進に活用している」などというお声をいただき、書店での在庫は完売に。
また、その頃から制度の更新や、新しいソーラーシェアリング製品の開発、そして多くのプレイヤーの登場など、色々と状況が変化してきています。
そこで今回、クラウドファンディングというかたちで、みなさんに支援をお願いすることにしました。
ご協力いただいた皆様には、微細ながら、下記をご提供できればと思っています。
※ツアーについて
日程:2018年12月末ごろ予定
場所:神奈川県小田原市予定(新宿発)
交通費:当社負担(新宿までの交通費は自己負担)
※誌面掲載について
公序良俗に反するものは掲載致しかねます。 内容によっては編集部判断でNGとなる可能性もございますので、ご了承ください。
毎日いただいている食事、その食卓から、日本の野菜や果物がなくなってしまうかもしれない。
そんな日本の農業のピンチを救う、画期的な新しい農業のしくみ「ソーラーシェアリング」。
私たちは、このソーラーシェアリングを広めるための、教科書となるような雑誌をつくります。
農業人口の減少を気にかけている方、日本全体の「食」に危機感を抱いている方、この文章を読んで何か感じるものがあった方。
ぜひ、ご賛同と応援を、よろしくお願いいたします。
そしてまた、ソーラーシェアリングについて、口コミなども含めて、広めていただければ嬉しいです。
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