ロシアのウクライナ侵攻が始まり、焼け落ちた「ムリーヤ」の映像を見た福地周子が『ゆめのつばさ』という物語を書きました。それを目にした坂元希美は、かなしいけれども希望ある未来を描くこの物語を絵本にしたいと企画を開始。旧知の版画家・高橋キョウシロウに作画を依頼しました。
An-225 ムリーヤ(ウクライナ語: Ан-225 Мрія)は、旧ソ連のアントノフ設計局(現・ウクライナのANTK アントーノウ社)が開発した、6発エンジンの大型輸送機で、夢という意味の名前です。大きな荷物やたいへん重い貨物を運送し、東日本大震災の救援物資を運んできたこともあります。
photo by Larske
ムリーヤに荷物を積み込むところ photo by Miroslav.vajdic
けれども、2022年にロシアがウクライナに侵攻したとき、アントノフ国際空港の戦闘でムリーヤは破壊されてしまいました。
2000年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に続いて、ウクライナが国連の常任理事であるロシアに攻撃されているというニュースに、恐怖に続いて無力感を覚えた福地はムリーヤの物語が絵本になればいいのに、とSNSに投稿しました。すると、小説家の村山早紀さんが福地の文章で読みたいと背中を押してくださったのです。
そのリクエストに応えて、一日で書き上げたのが『ゆめのつばさ』という短編です。
Photo by KCSA, Oleksii Samsonov
ムリーヤは、ウクライナ語で「夢」「理想」「願い」を表す言葉。この夢の翼に託された福地の夢を、高橋キョウシロウが絵で表現したのがこの絵本です。
ウクライナの人たちの「夢」、世界中の誰かの「夢」、そしてムリーヤの「夢」……。絵本『ゆめのつばさ ムリーヤの物語』をテイクオフしたい。坂元は古い友人が営む“ひとり出版社”の悠人書院に協力をもとめ、制作を開始しました。
大人から子どもまで、世界中の人たちに手に取っていただける絵本を目指して、作者・画家・編集者・出版社がチームとなって取り組んでいます。

福地 周子:原作者、文・担当。
〈こころの相談室ねこのて〉代表、公認心理師(登録番号5849)、臨床心理士(登録番号14927)。橿日会かしい心療クリニック勤務。著書に『心理支援のための書く技術 心理職必携!事例に学ぶ記録の書き方と実践(共著)』(翔泳社、2026)がある。
高橋 キョウシロウ:絵・担当。
着物デザイナーを経て2002年より版画を始める。日産・童話と絵本のグランプリ優秀賞、大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ池田満寿夫奨励賞、西会津国際芸術村公募展西会津町長賞、イルフビエンナーレ・日本童画大賞で武井武雄生誕記念賞、南島原市セミナリヨ現代版画展南島原文化協会賞などを受賞。自費出版の絵本『ビビ・デ・ダンス』がある。
福岡貴善:出版担当。
中央公論新社にて雑誌・書籍編集・営業として勤務。退職後にフリーランスのライター、エディターに。長野県松本市で書籍編集・販売/自費出版を扱う悠人書院を営む。著書に『叛逆少女小説・金子文子の生』『キモいおじさんの文学史①ドストエフスキー』(ともに悠人書院)など。
坂元希美:企画・編集・クラファン担当。
作家アシスタントや業界専門誌、紙を経て、フリーのライターとしておもにWebメディアで幅広く取材、執筆中。著書に『人はなぜ特攻に感動するのか(共著)』(光文社、2026)。

高騰している印刷代を支援していただくことで、〈印刷クオリティ〉も〈手に取りやすい価格〉も実現したいのです。絵本のほとんどがフルカラー印刷です。作画は版画家・髙橋キョウシロウによるコラージュで制作しており、カラー印刷の技術が確かな会社に印刷工程をお願いすることにしました。
しかし、昨今の世界情勢から印刷費用が高騰しています。2023年の見積もりでは1000部で100万円強でしたが、さらなる値上がりは確実です。作者や印刷会社に負担をかけないように事務作業の節約など工夫しつつ、一部2500円以下にしたい。

そこで、印刷代を支援していただくと同時に、リターンとして絵本を手に取ってもらいたいと考えて、プロジェクトを立ち上げました。

ああ、やっと自由になったのね。
たくさんの鉄の雨が降ってきて、閉じ込められたまま燃えていくのはつらいことでした。
燃えるものがすべて燃えつきた時、ぷしゅーっとため息をつくような音がしました。
ムリーヤ。
彼女の名前は、ムリーヤと言います。
ウクライナという国の言葉で、夢という意味です。
素敵な名前でしょ?
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ムリーヤという飛行機のことを、絵本であるかのような小さな物語にしたのは、2026年の春のこと。飛行機と空港を愛する小説家である村山早紀さんがTwitterで、「どこかの国で、ムリーヤの生涯の絵本が出ないかなあ」とおっしゃったのをきっかけに、絵本をイメージしながら書いてみました。
首都がいきなり空爆されているというニュース以降、ちっとも終わらない戦争がこんなにも長く続くなんて、あの時は予想もつきませんでした。その後も、ウクライナのみならず、ガザのジェノサイドやホルムズ海峡をめぐるイラン攻撃など、各地の「当たり前の日常」が壊され続けています。
そんな悲しみに包まれた時に、ファンタジーの力をもう一度取り戻すことを、村山さんは私に教えてくれました。たとえ、現実のどうしようもないようなつらさに飲み込まれそうな時にも、一粒の想像の種から夢や喜びや希望を思い出すきっかけを作ることができます。
このささやかな夢物語が、坂元さんの目に留まり、絵本にしようという話をいただいたときにはびっくりしました。キョウシロウさんが情感たっぷりで、想像を超える表現を見せてくれます。そして、福岡さんが本にしてくれることになりました。
この本が傷ついたひとや悲しむひとのこころに光と風を届けることを願っています。どなたの魂も平安でありますように。地には平和がおとずれますように。祈りを込めて。
福地 周子

作画の制作が大詰めです。すべての絵が出そろったところで印刷会社と打ち合わせをおこない、印刷料金が決定します。
高橋キョウシロウさん、コラージュの制作中
◎2026年8月中に原画の制作完了を目指します。
◎9月にはクラウドファンディングを開始。
◎印刷会社とミーティング、最終的な見積もりを出してもらいます。
◎11月中にクラウドファンディング終了。
◎12月上旬に印刷を完了して出版へ。
◎2027年1月から、リターンを発送いたします。

『ゆめのつばさ』へのメッセージ 井上義和さん(教育社会学者)
超大型長距離輸送機ムリーヤは崩壊直前の旧ソ連に生まれ、ウクライナを拠点に世界中で活躍してきました。本名An-225の「225」は当初の最大運搬能力225トンを表しています(その後250トン)。こんな飛行機はムリーヤの前にも後にも存在したことがありません。唯一無二の夢の輸送機でした。
しかし2022年2月25日のロシア軍の攻撃により、この数字は奇しくもムリーヤの退役の日付になりました。だから「225」はウクライナの誇りと悲しみの数字なのです。世界から愛されたムリーヤが戦争で死んだ。私は大変やるせない思いでいましたが、本書『ゆめのつばさ』がムリーヤに命を吹き込んでくれました。
超大型長距離輸送機ムリーヤは、戦闘で命を奪われた人びとはもちろん、戦車やミサイルで蹂躙された美しい自然や動物たちまでも一緒に乗せて飛び立ちます。でも、いったいどこに向けて? この先は読者に委ねられます。
ムリーヤは祖国ウクライナに必ず戻って来る。私はそう思いたい。ムリーヤが運ぶ無数の命をつないでウクライナは再び立ち上がる。その帰還の日付は2月25日。「225」は誇りと悲しみに加えて再起の数字になります。

なるべく絵本を手に取っていただけるように、絵本付きのリターンを各種用意しました。
絵本の中で使用された髙橋キョウシロウのコラージュ作品を使ったポストカード(2種)を、支援してくださった皆さまにお届けします。
ポストカードはこんなイメージ
その他には数量限定のオリジナル版画作品、絵本中の作品を原寸大でジークレー印刷(吹きつけによる高品質な印刷)したものなど、特別なリターンもご用意しております。
世界各地で戦争、紛争が続いています。その中で失われた人や生きもの、建築、芸術、文化……それらは、元に戻すことはできません。けれども、在りし日に思いを寄せ、喪ったかなしみを分かち、あたらしい明日をねがうことはできます。
絵本より(絵:高橋キョウシロウ)
ウクライナの〈世界でいちばん、大きくて、重たくて、立派な飛行機〉ムリーヤの絵本で、そんな願いを届けたいと思っています。ぜひ、ご支援よろしくお願いいたします。
2014年、ホストーメリ空港(アントノフ国際空港)に着陸するムリーヤ
(photo by Vasiliy Koba)





