
はじめまして。北日本工芸の北村と申します。

新潟県で伝統工芸品の仕入れ・販売・企画を行っています。
今回、人間国宝・三浦小平二先生が生涯をかけて守り続けた佐渡の工房「小平窯」を修繕し、リニューアルオープンさせるために、皆さんのお力をお借りしたいと思っています。
先生が亡くなって、今年で20年。
この節目に、眠り続けていた窯の扉をもう一度開けたい、それが、このプロジェクトです。

なぜ今、動き出したのか
三浦小平二先生が亡くなった後、先生が佐渡に構えた工房「小平窯」は、誰も手をつけられないまま時が止まっていました。

床はカビと湿気でぶよぶよになり、段ボールの下には黒カビが広がり、冬場の湿気でブレーカーが落ちる電気系統。先生がろくろを回し、土をこね、作品を生み出したあの場所が、長年、朽ちるままになっていたのです。
「このままにしてはいけない」と思い続けながらも、なかなか動けずにいました。
しかし先生の没後20年という節目が近づいてきた今、決断しました。
小平窯の火を、もう一度灯す。
北日本工芸は大正8年(1919年)創業。漆器の取り扱いから始まり、長い歴史の中で新潟県内外の伝統工芸品を扱ってきた会社です。
私は先代のもとで工芸品の営業を学び、各種小売店への飛び込み営業から百貨店の物産展出張まで、工芸品の価値を伝える仕事に携わりました。
その後リフォーム業を10年以上経験しましたが、先代が急逝し、事業を引き継ぐことになりました。
代表に就任して3年。この仕事を続ける理由はひとつです。
「伝統の火を、絶やしてはいけない」
この思いは、経営者向け月刊誌「マスターズ」(2024年6月号)の取材でも語らせていただきました。
無名異焼とは
「無名異(むみょうい)」とは、もともと漢方薬の名前です。佐渡の金山で採れる赤土が止血剤などの漢方として使われ、中国の中国の古い漢方文献にもその名が記されていました。
この土を焼き物に使い始めたのが無名異焼の始まりで、「無名異焼」という名称を与えたのは勝海舟だったといういわれもあります。
新潟県は、実は全国3位の伝統的工芸品指定品目数を誇ります。東京・京都に次ぐ、知られざる工芸大国。
その新潟を代表する焼き物のひとつが、この無名異焼です。
無名異焼には、他の焼き物にはない際立った2つの特徴があります。
① 陶器でありながら、磁器のような硬さ 通常の陶器は焼成時に約10%収縮しますが、無名異焼はなんと最大30%近く収縮します。
これほど凝縮されるため、土物でありながら磁器のような硬さを持ち、指で弾くと金属のような澄んだ音が響きます。割れにくく丈夫で、毎日使える器です。
② 発泡酒が、生ビールのように変わる 無名異焼のカップにビールを注ぐと、泡立ちがきめ細かくなります。クリーミーな泡がふわりと立ち、なかなか消えない。
「発泡酒が生ビールのように感じた」「水がまろやかになった」「コーヒーが美味しい」——そんな声をお客様から何度もいただいてきました。

▼【動画】無名異焼の泡立ちを見てください▼
左が通常のコップ、右が無名異焼のフリーカップ
同じビールを同じ量注いでも、泡立ちの違いは一目瞭然。
クリーミーな泡がなかなか消えないのが、無名異焼ならではの特徴です。
もともと漢方薬として使われていた特別な土が、液体にわずかな変化をもたらすのかもしれません。
このカップで飲む一杯を、ぜひ体験してみてください。


佐渡に生まれ、東京藝術大学教授にもなられ、生涯にわたって青磁と向き合い続けた陶芸家。
1997年、青磁の分野で初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
先生の作品は、中国官窯青磁の復刻にとどまらず、青磁に絵付けや彫刻的な施しをされ、その独創性や比類なき色合いから「三浦青磁」、「三浦ブルー」と国内外から高い評価を受けておりました。
又、先生の作品には無名異土が使われていることも特徴です。
官窯青磁の胎土が無名異土と同質と気付かれ、青磁が完成しました。
無名異土が無くては先生の青磁は完成しなかったわけです。
更に、世界中を旅された現地の風物をスケッチし、絵画的、彫刻的な施しで新たな青磁の境地を確立しました。
北日本工芸は先代の代から先生・ご家族と深いご縁があり、「遠方での管理を任せたい」という先生からの信頼もいただいてきました。
その先生の生家である工房が、小平窯です。

今回のプロジェクトで実現したいことは、大きく3つです。
① 作業場の修繕 カビと老朽化が進む作業場を清掃・修繕し、ろくろが回せる環境を整えます。
床の修繕、壁や天井の修繕、黒カビの除去、雨漏り箇所の補修、電気系統の整備(湿気によるブレーカー落ち対策)が主な内容です。
② 無名異焼の新作の制作・販売再開 三浦小平二先生が描いた絵を転写した絵付けを施したマグカップ・フリーカップ・パン皿など、日常使いできる器をこの窯から世に送り出します。
③ 小平窯リニューアルオープン(2026年9月25日) 20年の眠りから覚め、再び作品が生まれる場所として。
佐渡の伝統を次の世代へつなぐ、新たなスタートの日にします。











(掲載予定) 現在、佐渡市長をはじめ地元関係者・ゆかりの方々から応援メッセージを募集中です。

伝統工芸品の担い手は、全国で急速に減っています。
新潟県は指定品目数が全国3位でありながら、その数は今まさに減少の一途をたどっています。
小平窯も長い間、誰にも手をつけられないまま眠り続けていました。
しかし先生の作品は今も生きています。先生がこの窯で生み出した無名異焼は、今も多くの人の手に渡り、日々の暮らしに寄り添っています。
その火を、絶やしてはいけない。先生が亡くなって20年というこの節目に、窯の扉をもう一度開けたいと思っています。
一口の支援が、その扉を開く力になります。
どうか、一緒に佐渡の伝統をつなぎましょう。
北日本工芸株式会社 北村 勇人







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