《もし、身近な人が認知症になったら》
あなたは、どんなふうに関わりますか?
相手の言葉をどう受け止めたらいいのか。どんな声をかけたらいいのか。
分からず、戸惑うこともあるかもしれません。
でも、子どもの頃に一度でも、
「この人はどんな気持ちだろう?」「自分だったらどうするだろう?」
と考え、実際に体験したことがあったら。
認知症の人との関わり方は、少し変わるかもしれません。
私たちが取り組む「キッズ認知症教室」は、知識を覚えるだけの教室ではありません。
短いお芝居を観て、認知症の専門家から学び、子どもたち自身がお芝居の中に入って、自分で考えた関わり方を試してみます。
《はじめまして。演劇人であり、認知症の母を介護する娘です》
はじめまして。エブリモーメント合同会社の中原くれあです。
劇団THEATRE MOMENTS(シアターモーメンツ)を主宰し、国内外で公演する一方、10年以上にわたり子どもや高齢者との演劇ワークショップに取り組んできました。そして私自身、認知症の母を介護する娘でもあります。
宝塚歌劇団で演劇人としての活動を始め、その後、海外の演出家や演劇教育者たちから学びました。
人の気持ちを想像する大切さを演劇で伝えてきた私も、母との関わりには悩みました。
《母の認知症が、私に教えてくれたこと》
まさか、自分の母が認知症になるとは思っていませんでした。
ある日、母が泊まりに来た私の友人を指して「あの人に物を盗まれた」と言いました。私は「そんなことがあるはずがない」と説明しましたが、母は納得せず、最後は二人とも泣いてしまいました。
要介護4の母は、ひとりでは歩けません。トイレに付き添った数分後に、また「行きたい」と言う母に、「さっき行ったばかりでしょう」と繰り返す私。母の不安も、私の苦しさも、うまく伝わらず、言い争いになることもありました。
その後、認知症について学び、言葉を頭から否定するのではなく、母の気持ちを受け止めるよう心がけました。すると、二人で笑える時間が生まれたのです。
母が急に変わったのではありません。私の関わり方が変わったことで、二人の時間が変わりました。
この経験をきっかけに、認知症ケアにも演劇を生かせないかと学び、高齢者施設などで実践を重ねてきました。
《一人の介護の悩みから、3者の挑戦へ》
母の介護を通じて相談していた介護の専門家・青木信吾さんから、「認知症を考えるカフェ練馬」の仲田修三さんを紹介されました。仲田さんは「認知症のことを子どもたちに演劇で伝えられないだろうか」と考えているとのことでした。
演劇が持つ力を信じ、子どもたちとの表現活動や、高齢者施設での実践を重ねてきた私にとって、仲田さんの想いは、とても心に響くものでした。
演劇・介護・地域活動、それぞれの経験を持ち寄り、子どもたちが楽しみながら認知症を学べる教室をつくろう。こうして「キッズ認知症教室」が始まりました。
認知症のある人も、その家族も、地域の中で安心して暮らせる社会をつくりたい。それが、私たち3者に共通する願いです。
《「知っていたから、声をかけられた」ある日の出来事》
教室の準備中、認知症の専門家から、「パジャマ姿ではだしで歩く高齢者は困っている可能性がある」と教わりました。
ある日、車で移動していると、まさにパジャマ姿ではだしで歩いている高齢の方を見かけました。私は車を降り、安心してもらえるようにゆっくり声をかけ、警察への連絡を通じて無事に保護につなげることができました。
服装だけで認知症と判断できるわけではありません。それでも、学んでいなければ困っていることに気づかず、通り過ぎていたかもしれません。
知ることで気づき、行動が変わる。子どもたちにも届けたい学びです。
教室をつくるために学んだことが、思いがけず、私自身の行動を変えたのです。
だからこそ、この学びを、一人でも多くの子どもたちに届けたいと思っています。
《なぜ、演劇なのか?》
認知症の知識は大切です。でも、子どもたちには、知識以上に「心で感じること」、つまり、体験的な学びがより効果的ではないでしょうか?
演劇には、登場人物の気持ちを想像し、「自分だったらどうするだろう?」と考える力があります。
私たちが用いる「フォーラムシアター」は、子どもたち自身が劇に入り、登場人物への関わり方を試す演劇手法です。うまくいかなければ、別の方法を考え、もう一度挑戦できます。
英国のロンドン・メトロポリタン大学でも、認知症ケアの研修にフォーラムシアターを取り入れた実践が報告されています。
専門家による講義と演劇による体験を組み合わせ、子どもたちの心に残る学びを届けたいと考えています。
《見る、知る、そして劇の中へ!》
教室は3つのパートで進みます。
パート1|劇を観て、感じる
認知症のある人と周囲の人の気持ちがすれ違い、悲しい結末を迎える劇を観ます。
「どうすれば、この結末を変えられるかな?」と子どもたちの思考を促す導入です。

パート2|専門家から学び、ワークショップで試す
専門家から認知症について学び、俳優やファシリテーターと一緒に、少人数で相手の気持ちに寄り添う声のかけ方を試します。


パート3|同じ劇に入り、結末を変えてみる
最初と同じ劇をもう一度上演。でも、今度は見ているだけではありません。子どもたちが劇に入り、認知症の役の人に声をかけ、自分のアイデアを試します。うまくいかなければ、また考えて挑戦します。
一つの正解を教えるのではなく、目の前の人を見て、気持ちを想像し、自分にできることを考える。
その経験を子どもたちに届けたいのです。
《すでに始まっています。子どもたちの声》
2026年3月に平和台児童館で41名、9月には光が丘なかよし児童館で児童39名・保護者30名が参加しました。今後も児童館・小学校・学童クラブでの活動が決定しています。
子どもたちからは「もしそういう人がいたらやさしく声をかけてあげたいです」「お芝居が楽しかった」といった感想が寄せられました。
認知症という子どもたちにとって少し難しいテーマも、演劇を通すことで興味を持ち、楽しみながら考えるきっかけになっている可能性が見えてきました。


※アンケートは各回終了後の回答です。意識や行動の長期的な変化を証明するものではありませんが、子どもたちが何を感じ、考えたかを知る大切な手がかりです。
《 子どもたちの学びを、家庭から地域へ》
子どもたちが認知症のある人と触れ合う機会が少ない今。
だからこそ、子どもの頃から認知症について知ってほしい。
そして、認知症のある人を「特別な人」として遠ざけず、同じ地域で暮らす一人の人として感じてほしい。
この学びは、子どもたちが大人になったとき、認知症の方を含め、様々な人との関わり方を考える土台になるはずです。
さらに、教室での体験を子どもが家族に話せば、親世代にとっても認知症を考えるきっかけになるかもしれません。
《3つの専門性を生かして、子どもたちに届けます》
演劇・介護・地域活動、それぞれの専門性を持つ3団体が協力して実施しています。
■ THEATRE MOMENTS/エブリモーメント合同会社
演劇の力で、知識を体験へと変える。
せんがわ劇場演劇コンクール三冠、池袋演劇祭優秀賞など多数受賞。
海外でも10回以上の公演実績を持つ。
本事業では、プロの俳優による上演や、子どもたちが劇に介入するフォーラムシアター、ワークショップの企画・制作・実施を担当。子どもたちが安心して自分の考えを表現し、さまざまな関わり方を試せる場をつくっています。

■ 有限会社アオキトゥワン/青木信吾
介護現場の経験と専門知識を、子どもたちへ。
練馬区を中心に、地域密着型介護施設を運営。
介護現場で培った知識と経験を生かし、認知症について分かりやすく解説。認知症のある方の気持ちや実際の暮らしへの理解につなげています。
■ 認知症を考えるカフェ練馬/仲田修三
認知症になっても住み続けられる、やさしいまちづくりを。
医師や薬剤師、介護・福祉の専門職、地域住民などとともに、認知症への理解を広げる活動を行っています。
子どもたちの学びを家庭や地域へと広げ、認知症のある方とともに暮らせる地域づくりを目指しています。
■仲間たち
プロの俳優、福祉や演劇を学ぶ大学生、演劇を学ぶ市民の方々も参加し、それぞれの学びや経験を生かしながら、子どもたちの体験をサポートしています。
認知症について学び、役づくりや子どもたちへの関わり方を繰り返し稽古しています。
演劇、介護、地域活動。それぞれの専門性や経験を持ち寄るからこそ実現できる教室です。
《全国への第一歩。2026年の開催に130万円が必要です》
2026年は練馬区内5会場で無料開催を重ね、子どもたちの反応や専門家の助言を取り入れながら、全国で実施できるプログラムのひな型をつくっています。
子どもたち一人ひとりの体験を支えるため、ワークショップでは少人数の子どもに対し一人のファシリテーターを配置しています。出演者や認知症の専門家に加え、ファシリテーターの研修・稽古、脚本・演出・音響・舞台監督・企画制作など、多くの人材と費用が必要です。本事業はアーツカウンシル東京「芸術文化による社会支援助成」に採択されていますが、助成金だけでは必要な費用をすべてまかなうことができません。
そこで今回、今年度の開催に必要な130万円のご支援を募ります。
皆さまからのご支援は、主にファシリテーターや出演者・専門家・制作スタッフの人件費、プログラム開発、研修・稽古などに活用します。
今回の取り組みを、全国の子どもたちへこの体験を届けるための第一歩にしたいと考えています。
《支援金の使い道》
皆さまからいただいたご支援は、主に以下の活動に活用します。
◉「キッズ認知症教室」の企画・実施費
◉教材・広報物の制作費
◉リターンの制作・実施経費
◉今後の開催地域を広げるための活動費
子どもも、大人も、相手の気持ちを想像し、自分にできることを考える。
そんな一人ひとりの行動が、誰もが誰かの味方になれる社会をつくっていく。
皆さまのご支援で、その未来を一緒につくっていただけたら嬉しいです。
【ご一読ください:ご支援金額について】
本プロジェクトでは、皆さまからの大切なご支援を100%活動資金として活用するため、CAMPFIREの「for Social Good」を利用しています。
この仕組みでは、プロジェクト実行者の手数料負担がゼロになる代わりに、支援者の皆さまに「ご協力費(支援金額の12%+消費税)」をご負担いただきます。
このご協力費に加え、通常のCAMPFIREでも発生する「システム利用料」がかかります。
最終的なお支払い総額は、各リターンの詳細および決済画面にてご確認ください。
何卒ご理解いただけますと幸いです。
《最後に ― いつか、この教室がいらなくなる日へ》
私たちは、この取り組みを東京都内のほかの地域へ、そして少しずつ全国へと広げていきたいと考えています。
遠くない未来。
もしあなたが認知症になって、どうしようもなく困ったとしたら。
周りの人に「大丈夫ですか」と自然に声をかけてもらえる、寄り添ってもらえる社会で暮らしたいと思いませんか。
この支援は、誰かのためだけでなく、自分自身や大切な人が安心して暮らせる未来への投資でもあります
私たちの理想は、少し不思議です。
それは、いつかこの教室が必要なくなること。
子どもの頃から認知症について知ることが当たり前になり、困っている人がいたら、誰もが相手の気持ちを想像し、一緒に考えられる。
いつか、この教室が必要なくなる未来へ。その第一歩を、私たちと一緒につくってください。




