令和8年熊本地震。
私たちの日常が、一瞬で変わりました。
私たちは、令和8年熊本地震で震度6強を観測した熊本県八代市(やつしろし)で暮らしています。

地震から2ヵ月が経ちました。
いまなお避難所で生活されている方はもちろん、車中泊や在宅避難を続けている方も、長期にわたる余震や断水、不自由な生活の中で大きな不安や疲労を抱えています。また、「自分よりもっと大変な人がいるから」と支援を遠慮し、我慢を重ねている人も少なくありません。
それは、大人たちだけではありません。
子どもたちもまた、突然の日常の変化を経験しました。


発災から4日目。初めての週末。
道路は隆起し、橋を渡るのも一苦労。お店も開いていない。物流が滞り、ネットで注文した水も一向に届かない。ガソリンも十分に入れられない。大きな不安を抱えながら、私は毎日、食料や水を探し回っていました。
そんな中、2歳の娘に「何食べたい?」と聞きました。
帰ってきた答えは、
「あそぶとこいきたい」
でした。
その言葉を聞いた瞬間、私はハッとしました。
大人の私は「食べるもの」「水」「家の片付け」「生活をどうするか」「いつになったら自宅に戻れるのか」そんなことばかり考えていました。
でも2歳の娘が求めていたのは、
いつものように遊べる場所でした。
地震が起きても、子どもの「遊びたい」という気持ちはなくならない。
怖い思いをしても、生活が変わっても、子どもは子どもとして、今日を生きている。
そのことに気づかされた瞬間でした。
でも地震からまだ4日。
多くの人が避難し、食料や水を探し、その日の暮らしをどうするかで精一杯でした。
「あそび場」がない
当時、まわりを見渡してみても、子どもたちが地域や校区に関係なく自由に遊びに行ける場所はありませんでした。今でこそ、縁日やお祭りのような子どもたちを対象としたイベントも増えてきましたが、
あの頃は、
「こんな大変な状況で、子どもを遊ばせるイベントなんてしていいのだろうか」
そんな空気さえありました。
私自身も、そう思いました。
そう。
「もっと大変な人がいるから」。
私たちは、何度もそう思ってきました。
家が全壊した人がいる。避難生活を続けている人がいる。水も電気も戻らない地域がある。
「だから、これくらい我慢しなくちゃ」。
そうやって自分たちの気持ちを後回しにしてきた大人もたくさんいると思います。
今日食べるものがある。今日眠る場所がある。家族の命が無事だった。
「それだけでありがたい」と思わなきゃいけないような気がして、私たち大人も、「遊びたい」「出かけたい」「楽しみたい」……そんな気持ちを押し殺していたのかもしれません。
2歳の娘の「あそぶとこいきたい」は、
なんのわがままでもない、素直な言葉でした。
そして大人にとっても、「少しだけでいいから楽しい、笑顔になれる時間を過ごしたい」という気持ちは、決して不謹慎なことではなかったはずです。
それから2日後。
娘の「あそぶとこいきたい」が頭から離れなかった私に、
最初に手を差し伸べてくれた人がいました。
「子どもたちが遊べる場所がないんです」
そう相談した私に、以前から親交のあった子育て支援センターの先生が、「いいよ、いいよ!やろう!うち使って!」と声をかけてくださいました。なんと、お休みの日に子育て支援センターを開けて、場所を貸してくださることになったのです。
地震が起きたばかり。先生たちだって、ご自身の家やご家族のことを心配し、疲れていたはずです。それなのに、休日に子どもたちのために施設を開けてくれるとのお話が。
私は今でも思います。あの先生が「やろう」と言ってくれなかったら、この活動は始まっていませんでした。
「あそぶとこいきたい」から、3日後。
娘の言葉から3日後。
また思いがけない出来事がありました。
私は普段、ハンドメイドや生地を扱う仕事をしています。
そこでのお客様が、「八代のために、自分にも何かできることをしたい」と、ハンドメイドを通して寄付を募る活動を始めてくれたのです。私からお願いしたわけではありません。本当に、たまたまでした。
その方に、「実は私、子どもたちが遊べる場所をつくりたいと思っているんです」と話しました。すると、その想いに賛同し、「それなら、ハンドメイド品の売上を全部、そのあそび場のために寄付します」と言ってくださいました。
すると、想像もしなかったことが起こりました。その話を知ったほかのハンドメイド作家さんの中にも、「自分の売上も寄付したい」と言ってくださる方が現れました。そして、「当日の子どもたちのために、作品を送りたい」と、全国の作家さんから次々に連絡がきました。
気がつけば、
全国から1,000点を超えるハンドメイド作品が集まっていました。

地震からまだ間もない時期。
物流も通常通りではありませんでした。私の住む八代市では宅急便の受け取りもできず、私は作品を受け取ることさえできませんでした。
それでも、熊本市内に住むママが、私の代わりに荷物を受け取ってくれました。数えきれないほどの荷物を、毎日のようにひたすら受け取ってくれて、私の生活に負担のないよう、写真を撮ってInstagramのストーリーズでメンションをしてくれました。
私は写真を見て感動し、お礼をシェアする日々。受け取りボランティアはきっと、私たちの想像以上に大変だったと思います。それでもその方は、「こういうことをさせてもらえて嬉しい」と言ってくれました。
私は、その言葉を今でも忘れられません。
一人では、何もできなかった。
私は、子どもたちのために「あそび場を作りたい」と思っただけでした。
でも、その想いを誰かに話したことで、一人のママが動いてくれた。
その姿を見た別の作家さんが動いてくれた。
全国の作家さんが作品を送ってくれた。
そして、知らない場所で荷物を受け取ってくれる人まで現れた。
一人の「何かしたい」が、次の誰かの「私にもできるかも」につながっていきました。
そして、
たくさんの人の想いがつながって、『8246(やつしろ).あそび場』が生まれました。

だから私は、『8246.あそび場』を「私だけの活動」とは思っていません。
あの日、娘が「あそぶとこいきたい」と言ったこと。
たまたま私のもとに「八代のために何かしたい」という想いを持った人が現れたこと。
その想いに賛同してくれた作家さんたち。
全国から作品を届けてくれた人たち。
届いた荷物を受け取り続けてくれた一人のママ。
たくさんの「誰かのために何かしたい」がつながって、『8246.あそび場』は始まりました。

こうして始まった8246.あそび場は、
たくさんの方々のご協力をいただきながら、開催を重ねてきました。
子どもたちが夢中になって遊ぶ姿。
その姿を見て、ほっとした表情を見せる保護者の方。
我が子も、私も、皆さんと同じ気持ちでした。

そして、「開催してくれてありがとう」の声がたくさん届きました。
「子どもの笑顔を見てホッとした」
「子どもが楽しそうでよかった」
それだけでなく、
「やり場のない不満が募る日々の中、心が救われる思いがした」
「大人の私も楽しかった」
といった保護者の声もありました。
そうなのです。
『8246.あそび場』で笑っているのは、子どもだけではありません。
子どもを見守るお父さん、お母さんたちも、少しずつ笑顔になっていく。
「もっと大変な人がいるから」と我慢してきた大人たちが、この日だけは少しだけ肩の力を抜いて、子どもと一緒に笑う。そんな場所になっていました。
この様子を見て、私は「こんな場所をこれからも八代に残していきたい。この活動を続けたい」と強く思うようになりました。
『8246.あそび場』を支えてくれる仲間たち
そして、『8246.あそび場』には、もう一つ大切な存在がいます。
毎回、ボランティアで参加してくれるスタッフたちです。
全国から届いた駄菓子やおもちゃ、縁日のグッズ。
すべて、誰かが「被災地の子どもたちのために」と託してくれたものです。
スタッフのみんなは、それを本当に大切に扱ってくれています。
駄菓子は、一つひとつを大切に並べ、子どもたちに手渡し、
おもちゃは、イベント後はきちんと消毒し、次の開催まで大事に保管しています。
そして、私が一番ありがたいと思っているのは、
みんなが同じ方向を向いてくれていることです。
「自分が何かをしたい」ではなく、
「来場されるご家族に楽しんでもらいたい」。
そして「どうしたら安全に楽しく過ごせるか」を考え、
子どもたちや保護者と同じ視点に立ってくれています。
子どもたちが楽しそうにしていると、一緒に笑う。
困っている子がいたら、そっと手を差し伸べる。
保護者の方が安心して過ごせるように、自然に動いてくれる。
このような素敵な仲間がいるからこそ、
『8246.あそび場』を続けることができています。

『8246.あそび場』第1回、第2回では、
・子ども服マルシェ
・木のあそび場
・おもしろかー
・バルーンショー
・アロママッサージ、ワークショップ
・授乳/おむつ替えスペース完備
・支援物資配布
・絵本配布
・おもちゃ配布
・縁日
・炊き出し
・駄菓子号
・整体師によるリラクゼーション
・美容師によるヘアセット、カット
・写真撮影
・駄菓子コーナー
・ありがとうコーナー(いろんなありがとうを繋いでいく活動もしています)
このような内容で開催してきました。
これまでは、
私の経営する生地店のお客様やフォロワー様をはじめ、素敵な仲間たち、有志の皆様の、あたたかいご支援とご協力で開催することができました。
ただ、このまま続けていくのには限界があります。
これ以上、私の身近な皆さまのご支援・ご厚意に頼り続けるのは心苦しく、活動の継続のためには、新たな支援の輪を広げていく必要があると感じています。
そこで、クラウドファンディングを通じてご支援を募ることにしました。
いただいたご支援は、
・会場使用料、設営費(約3万円)
・飲み物や駄菓子等(約3万円)
・遊具、体験用資材等(約3万円)
・無料くじ引きの景品等 ※コンテンツは毎回変更(約3万円)
・炊き出しや無料配布の食材や容器代(約5万円)
・備品、消耗品 ※会場の掃除や虫駆除、消毒費、のぼり旗 他(約3万円〜会場による)
※いずれも1回の開催にかかる料金
および
・リターンの仕入れ費、梱包費、発送人件費、送料
などに充てさせていただきます。
これからも活動を続けていくために、皆さんのお力が必要です。
どうか、『8246.あそび場』のこれからを一緒につくってください。

『8246.あそび場』には、これまでにも全国から感謝しきれないほどのご支援をいただいてきました。
お菓子、遊具、景品、かき氷シロップなど、子どもたちのために届けてくださったその一つひとつを、私たちは心から大切に扱っています。
私たちは、
いただいたものは、ただ「無料で使えるもの」とは思っていません。
そこには、誰かが働いて得たお金があり、
誰かが時間を使って選び、
誰かが想いを込めて届けてくださったものだからです。
これまでいただいたご支援を大切にしてきたように、
今回のクラウドファンディングでいただくご支援も、
決して当たり前のものとは思いません。
皆様が私たちに託してくださったご支援は、
そのおひとつお一つの想いを大切に受け取り、
子どもたちの「笑顔になれる一日」のために、
責任を持って使わせていただきます。
リターンについて
私の生業である生地店としてお付き合いのあるハンドメイド作家様や子ども服店様、また、同じくこの地域で被災しながら懸命に再建されている事業者様にもご協力いただき、多彩なリターンをご用意しています。
これからのスケジュール
10月18日 ...『第6回 8246.あそび場』開催
11月3日 ...『第7回 8246.あそび場』開催
11月末 ...クラウドファンディング終了
12月中旬 ...『第8回 8246.あそび場 復興イベント@八代宮』開催
2027年1月末 ...リターン発送
2027年7月 ...『8246.あそび場 復興イベント@八代宮』開催
2027年1月以降は、『8246.あそび場』『こども食堂』を毎月開催し、地域に根差した活動として育てていきます。

地震から時間が経ち、少しずつ日常を取り戻しているように見えても、被災地のすべてが元に戻ったわけではありません。報道が少なくなり、世間の関心が薄れていく中でも、被災地の厳しい現実は続いています。
子どもたちが遊びに行っていた場所も、まだ以前のようには戻っていません。
だから私は、「これからも、子どもたちが思いきり遊べる場所をこの地域につくっていきたい」。そう思っています。
『8246.あそび場』を、一過性の支援で終わらせたくありません。
熊本はたびたび自然災害に見舞われてきました。
復興に時間がかかることもよく理解しています。
けわしく長い道のりであるからこそ、まずは地域の宝である子どもたちが笑顔でいることが、復興の大きな原動力になると信じています。

私はこの熊本県八代市で20年にわたり生地店を営んでいます。生地店も被災し、まだ仕事再開の見通しは立ちません。
ちなみに、10年の熊本地震でもテナントが被災し、多額の借金をして店舗を移転させた経緯があります。当時、『もっと大変な思いをしている人がいるから』という思いが強く、なかなか周囲に『助けて』が言えませんでした。
今回も同じです。『助けて』が言えず、我慢を重ねている人が大勢います。
特に、子どもたちやその保護者の心が気がかりです。
私も、5人の子どもを育ててきた母親として、『8246.あそび場』を通じて子どもたちや保護者の方々に寄り添い、励まし合えたらと思っています。
子どもたちが思いきり遊べる日常を。
私は人生の半分以上を、八代で子育てしてきました。
そしてこれからも、この地域で子どもたちの成長を見守っていきたいと思っています。
復興にはまだまだ時間がかかります。
だからこそ、子どもたちが思いきり遊び、笑える場所を、復興の先ではなく、今からつくっていきたい。
「ここで子育てしてきたよかった」
復興の途中でも、そう思える場所をつくらせてください。
皆さまからいただいたご支援は、責任をもって、子どもたちのために最大限に活用します。どうかお力を貸してください。






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