1.はじめに――世界の吃音を知る旅へ
あなたは、世界の吃音について知っていますか?
このページをご覧いただき、ありがとうございます。広島大学で言語学を専攻し、吃音を研究している古川翔琉(ふるかわ かける)です。私自身も吃音の当事者です。

私は2026年11月から約1年間、世界の吃音を知り、日本へ届ける世界一周に挑戦します。
世界各地の吃音当事者、支援者、言語聴覚士、研究者に会い、吃音コミュニティや自助グループ、学会を訪れます。
世界の言語では、吃音にどのような特徴があるのか。各国の人々は、吃音とどのように向き合っているのか。どのような支援や訓練が行われているのか。
最低100人、10団体を訪ね、世界で見つけた知識と「吃音とともにより良く生きるためのヒント」を日本へ持ち帰ります。
世界一周航空券は、プレゼンコンテストで最優秀賞を獲得し、すでに手にしています。しかし、この航空券を世界の吃音当事者や専門家との出会いにつなげるためには、皆さまの力が必要です。
「吃音の、吃音による、吃音のための世界一周」
この旅を通して、吃音者がより自分らしく生きられる未来への一歩をつくります。
2.吃音とは?――私が経験してきた困難
吃音は、話すときに言葉が滑らかに出にくくなる発話障がいです。
同じ音を繰り返す「連発」、音を引き伸ばす「伸発」、声がつまって出なくなる「難発」などがあります。症状は人によって異なり、時期や場面によっても変化します。
(出典:「企業向け吃音啓発リーフレット」-きつおん親子カフェ)
吃音の困難は、言葉につまることだけではありません。
私は大学生活の中で、
- ・自己紹介への不安から、サークルの新歓に参加できない
- ・食堂で、食べたいものを注文できない
- ・授業で答えが分かっていても、声が出ずに答えられない
- ・プレゼンテーション中に、まったく声が出なくなる
といった経験をしました。
特につらかったのは、吃音の症状がひどいとき、発表から逃れるために体調不良だと伝え、オンラインで録音した音声を流したことです。
当時の私には、「合理的配慮を受ける」という発想がありませんでした。他の人と同じように話さなければならないと思い、うまく話せないたびに自信を失っていました。
そんな私を変えるきっかけとなったのが、大学時代に経験したエジプト留学でした。
3.エジプト留学が「話すこと」を変えた
吃音に悩みながらも、私はずっと海外留学に憧れていました。
高校時代にベトナムを訪れ、日本とは異なる文化や価値観に触れたことで、「もっと知らない世界を見たい」と思うようになったからです。
しかし、留学に必要な英語を学ぶことは簡単ではありませんでした。オンライン英会話でも、吃音で声が出なくなることが何度もありました。それでも、未知の世界へ行きたいという思いを支えに、英語の勉強を続けました。
DMM英会話の戦歴
転機となったのは、広島大学へ交換留学に来ていたエジプト人のハニーとの出会いです。
ハニーは、とにかくよく話す人でした。私の英語が未熟でも、吃音で言葉につまっても、会話を続けてくれました。私も彼の英会話教室探しを手伝い、一緒にイベントや旅行へ行くなかで、国や言葉を越えて親友になりました。
そして彼に誘われ、私はエジプトへ5か月間、交換留学することを決めました。
エジプトでは、大学でも街中でも、見知らぬ人から毎日のように話しかけられました。お互いに流暢な英語を話せなくても、簡単な言葉や表情を使いながら、なんとか伝え合いました。
話すことを避けていた私が、気づけば毎日のように人と話し、笑い、一緒に過ごしていました。
吃音がなくなったわけではありません。それでも、「うまく話せるか」よりも「伝えようとすること」が大切なのだと気づきました。
話すことを恐れていた私は、エジプトで初めて、心から「人と話すことは楽しい」と思えるようになりました。
この経験が、帰国後に吃音を研究しようと決める原点になりました。
4.吃音研究への転向――世界一周航空券をつかむまで
エジプト留学を終えた私は、「なぜ、環境が変わると話すことへの恐怖が小さくなったのだろう」と考えるようになりました。
自分を苦しめてきた吃音を、今度は研究を通して理解したい。そう思い、専攻を環境学から言語学へ変え、吃音研究の道へ進みました。

その後、Instagramで「世界一周コンテストDREAM」を知りました。自分の夢をプレゼンし、最優秀賞者には世界一周航空券が贈られるコンテストです。
「世界一周をしながら、世界の言語と吃音を研究したい」
そう考えた私は、苦手だったプレゼンに挑戦しました。
しかし、3次審査では吃音が強く出てしまい、5分間の発表で伝えたかったことの半分も話せませんでした。
それでも、ここで諦めたくありませんでした。
緊張しても言葉につまっても、自分の思いを最後まで届けられるよう、繰り返し練習を重ねました。
そして最終審査当日。約300人を前に、自分の夢を最後まで伝え切り、最優秀賞を獲得しました。
こうして手にしたのが、oneworldの4大陸世界一周航空券です。
かつて、人前で声が出ず、発表を避けていた私が、吃音と向き合いながら世界一周への切符をつかみました。
次は、この航空券を使って世界へ行き、吃音について学び、日本へ届ける番です。
5.なぜ、世界の吃音を知りたいのか
吃音は、日本だけのものではありません。世界中の、さまざまな言語を話す人にあります。
しかし、使う言語や暮らす文化が違えば、吃音の現れ方や周囲の受け止め方も異なるのではないでしょうか。
例えば、
- ・言語によって、つまったり繰り返したりしやすい音は違うのか
- ・吃音を周囲に伝え、助けを求めることは受け入れられているのか
- ・学校や職場では、どのような配慮を受けられるのか
- ・当事者同士は、どのようにつながり、支え合っているのか
- ・どのような支援や訓練、研究が行われているのか
私は、こうした疑問への答えを知りたいと思っています。
インターネットや論文から学べることもあります。しかし、数字や文章だけでは、その国で暮らす吃音当事者の悩みや工夫、希望のすべてを知ることはできません。
だからこそ、私は世界へ行き、一人ひとりの声を直接聞きたいのです。
世界には、日本ではまだ知られていない支援方法や、吃音とともに自分らしく生きるためのヒントがあるかもしれません。反対に、日本の経験や研究が、世界の誰かの役に立つ可能性もあります。
この旅だけで、吃音のすべてを解明できるとは考えていません。
それでも、世界の吃音を知り、人と人、国と国をつなぐことは、吃音をより深く理解するための確かな一歩になると信じています。
6.世界一周で誰に会い、何を調べるのか
この世界一周では、最低100人、10団体との出会いを目標に、次の3つの活動を行います。
① 吃音当事者に会う
世界各地の吃音当事者に会い、日常生活で感じる困難や、吃音との向き合い方を聞きます。
学校、仕事、恋愛、人間関係など、吃音が人生にどのような影響を与えているのか。そして、自分らしく生きるためにどのような工夫をしているのか。一人ひとりの経験から学びます。
② 吃音コミュニティや自助グループに参加する
国際吃音連盟に加盟する団体を中心に、各国の吃音コミュニティや自助グループを訪問します。
どのような人が集まり、どのような活動を通して支え合っているのか。実際に参加し、日本の自助グループとの共通点や違いを確かめます。
すでに日本では、アメリカで吃音団体「SPACE」の活動に携わるLukeさんとAidenさんにお会いしました。この出会いも、世界の吃音コミュニティを訪ねたいと思うきっかけの一つになりました。

アメリカの吃音団体「SPACE」のホームページ。画像をタップするとホームページに飛べます。
③ 支援者・言語聴覚士・研究者から学ぶ
各地の支援者、言語聴覚士、研究者を訪ね、支援制度、訓練方法、最新の吃音研究について話を聞きます。
さらに、吃音や言語聴覚分野の学会へ参加し、研究と臨床の両方から世界の吃音を学びます。
人に会い、コミュニティを体験し、専門家から学ぶ。
インターネットで情報を集めるだけでは分からない、世界の吃音の「今」を、自分の目と耳で確かめてきます。
7.世界で得たものを、日本へどう還元するか
この旅の目的は、世界の吃音を知ることだけではありません。
世界で出会った人々の経験や、各地で学んだ支援方法・研究を日本へ届け、吃音に悩む人がより良く生きるための選択肢を増やすことが、本当のゴールです。
① 旅の途中から「世界の吃音レポート」を届ける
旅の期間中は、現地での出会いや学びを「世界の吃音レポート」にまとめ、定期的に発信します。
各国の当事者の経験、コミュニティの活動、支援方法、最新の研究などを、専門知識がない人にも伝わる言葉で紹介します。
② 帰国後、個別相談や講演で伝える
帰国後は、吃音に悩む方やその家族などを対象に、私自身の経験と世界で得た知見を生かした個別相談を行います。
また、学校、当事者団体、企業などで講演し、世界の吃音事情や、吃音とともに自分らしく生きるためのヒントを伝えます。
③ 世界で生まれた問いを、これからの研究につなげる
この旅で得た出会いや疑問を、旅だけで終わらせるつもりはありません。
将来は奨学金を得て海外大学院へ進学し、吃音研究を続けたいと考えています。世界で聞いた一人ひとりの声を、今後の研究へつなげ、吃音の解明に長期的に貢献していきます。
世界で学び、日本へ届け、研究へつなぐ。
この循環をつくることで、吃音者がより自分らしく生きられる未来への一歩にします。
8.世界一周のルートとスケジュール
旅の期間は、2026年11月から2027年9月までの約11か月間です。
国際吃音連盟に加盟する団体がある国を中心に、現地の当事者や専門家と連絡を取りながら訪問先を決めていきます。
どの地域でも、吃音当事者、支援者、言語聴覚士、研究者に会い、コミュニティや自助グループを訪ねることが活動の中心です。

訪問を検討している国々

ここに挙げたすべての国を訪れることが目的ではありません。訪問できる国の数よりも、一人ひとり、一つひとつの団体と向き合い、深く学ぶことを大切にします。
訪問先は、現地団体との調整、ビザ、交通事情、最新の安全情報を確認したうえで決定します。安全を最優先とし、渡航中止勧告などが出ている国には訪問せず、状況に応じてルートや訪問国を変更します。
9.目標金額とご支援の使い道
1st GOAL:110万円
この世界一周で使用する長距離航空券は、プレゼンコンテストの最優秀賞として、すでに獲得しています。
しかし、約11か月間、世界各地の吃音当事者や団体を訪ねるためには、現地での移動費、宿泊費、食費、ビザ代、保険料などが必要です。
そこで、第一目標を100万円としました。自己資金20~30万円と合わせて、最低100人、10団体を訪ねるための活動費に使用します。

※金額は現時点での概算です。為替、物価、訪問国、現地の安全状況などにより変更する場合があります。
宿泊には安価なホステルなどを利用し、食費や移動費もできる限り抑えます。それでも安全に関わる費用は削らず、無理のない方法で活動を続けます。
2nd GOAL:150万円
達成した場合は、各国の当事者や団体への訪問に加えて、ASHA ConventionやWSCO 2027 Congressをはじめとする複数の学会への参加を充実させます。
学会で最新の吃音研究や支援方法を学び、より多くの研究者や言語聴覚士とつながることで、日本へ届ける内容をさらに深めます。

- 目標金額に届かなかった場合について
- 本プロジェクトは、目標金額に届かなくても実施するAll-In方式です。
- 目標未達の場合も、すでに獲得している世界一周航空券と自己資金を使い、世界一周と吃音に関する活動を実施します。
- ご支援の状況によって訪問国数や学会参加数を調整する可能性はありますが、世界の吃音当事者や専門家に会い、その声を日本へ届けるという旅の目的は変わりません。
- 皆さまからいただいたご支援を、一つでも多くの出会いと学びにつなげ、大切に使わせていただきます。
10.リターンについて
ご支援くださる方の思いに合わせて、気軽な応援から世界の吃音を一緒に学ぶプラン、活動に参加するプラン、団体・法人向けのプランまで用意しました。
すべてのプランで、帰国後に開催するオンライン報告会へご参加いただけます。
2027年10月に実施予定です。詳細は1か月前までにメールでお知らせします。


一人ひとりに合った形で、この旅に参加していただけたら嬉しいです。
11.さいごに――共に吃音の未来を明るくしたい
かつての私は、吃音が出ることを恐れ、話すことから逃げていました。
しかし、エジプトで多くの人と出会い、吃音があっても人と話し、つながることはできると知りました。
今度は、世界中の吃音当事者や専門家に会い、それぞれの経験、支援、研究を日本へ届けたいと思っています。
この旅は、私一人の挑戦ではありません。
吃音について知りたい人。吃音に悩んでいる人。その家族や支援者。研究や臨床に携わる人。
多くの人と一緒につくることで、初めて意味のある旅になると考えています。
ご支援はもちろん、このプロジェクトを周囲の方へ伝えていただくことも、大きな力になります。
また、世界の吃音当事者、研究者、言語聴覚士、コミュニティ、自助グループをご存じでしたら、ぜひご紹介ください。その一つのつながりが、新しい出会いと学びにつながります。
吃音があることで、話したいことや挑戦したいことを諦めなくてもよい未来へ。
世界で得た一人ひとりの声を持ち帰り、吃音者がより自分らしく生きるための選択肢を増やしていきます。
「吃音の、吃音による、吃音のための世界一周」
この旅を、どうか一緒につくってください。
共に、吃音の未来を明るくしましょう。




コメント
もっと見る