地震と津波で多くのものが失われた石巻の人たちからまた一つ大事なものが失われてしまいます。
石巻中央商店街は江戸時代からある商店街で、そこに住む人々の中心的存在でした。その石巻中央商店街のいくつかのお店が、現在建設制限などのいくつかの理由で取り壊されようとしています。「ここでやり直したい」「この商店街を復興させたい」という商店街の人々、近隣の人々の願いが叶わないまま失われてしまいます。
このまま、商店街が跡形もなくなくなってしまうことで生じる人々の寂しさ、喪失感を少しでも和らげることは出来ないでしょうか。
そこで、美大生である私たちは石巻商店街で『思い絵プロジェクト』を実行することにしました。
『思い絵プロジェクト』とは、被災地の方々の手元に残しておきたい思い出や、失くして しまった写真の記憶をお話していただいたり、手紙などの形で伝えていただき、私たち美大生が絵としてよみがえらせるプロジェクトです。
これは、私たちが亘理町で思い絵プロジェクトを行った際に出会った一人の男性の思いを絵にしたものです。町づくりをコーディネートしていた彼に
是非アートの力で残して欲しい場所があると言われました。それは、山元町の沿岸部のとある風景。復興の象徴があるとすれば、津波で流されてもなおそこに残ったものなのではないかと彼は話してくれました。まわりの建物をすべてさらっていったあの大きな津波に打ち勝った、一本の木。この「遺産」が、そこに住む人々にとって復興の希望の種のなのでした。
現地の人たちは、震災後に残ったものをとても大事にしていらっしゃいます。ですから今回は、直接、石巻で思い絵プロジェクトを実行したいのです。商店街の皆さんから、この石巻中央商店街で過ごしてきた時間、様々な人との出会い、そして強い思いを聞き、それをアートの力で残し、すこしでも現地の皆様の未来へのパワーになったらと思います。
今回描いた思い絵は他の思い絵とともに海外の展覧会等でNPO 等の活動を支援するための
義援金の募集に役立てる予定です。今、私たちができる精一杯のことでお手伝いさせていただきたいと考えています。
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