▼このページを見ていただきありがとうございます。

親田高原のたまご屋さんの代表の絹田皓士と申します。今回はこのプロジェクトに興味を持っていただきありがとうございます。

私は、京都府出身で2011年3月に長野県に新規就農者として移住し、今年で9年目を迎えました。

「たまご屋さん」の名前通り、採卵養鶏が基軸として経営をしておりますが、他にも大豆と小麦の輪作栽培やこれらを原料にした天然醸造醤油、乾麺うどんの販売、天日ハザ掛け米、ナッツ類の栽培など小規模多品目の栽培・生産を行っています。
そして、3年前から放牧牛肉の生産・販売をしたいと思い、飼育を進めています。


▼目次

・このプロジェクトでやりたいこと
・放牧牛肉「極楽牛」の特徴
・なぜ放牧なのか?
・この放牧牛が意味すること

・これまでの活動
・資金の使い道
・リターンについて


▼放牧で牛を育て、そのこだわりのお肉の販売を生産者自らが行いたい!! 

このプロジェクトを簡単に言うと、「放牧飼育した牛のお肉を自ら販売したい」ということです。
ただ、「販売する」ことは最終的な出口で、一言では簡単に説明できない飼育や環境など背景のこともあります。どうぞ、最後までお読みいただければと思います。


なぜ、生産者自ら販売したいのか?

まず、一般的に生産者は牛を育て、大きくなった牛を農協などへ販売し、牛は屠畜され市場基準で肉質を評価され、取引されます。ここでの評価基準はどれだけきれいにサシ(肉に細かく入る脂肪・脂肪交雑)が入っているか、1頭からたくさんのお肉を取れるかということが評価基準になっています。(「5Aランク」など聞いたことがあるかもしれません。)

このため放牧飼育した牛たちを一般的な市場に出荷してしまうと、穀物を与えるわけではないのでサシ(脂肪交雑)が入らず、太ってもいないので肉の量も少ないため、肉牛の市場での評価としては「最低」ランクに位置付けされてしまいます。

しかし放牧飼育した牛たちはしっかり運動するためサシ(脂肪交雑)が入らず赤身中心のお肉となりますが、逆にサシ(脂)の味ではなく「肉」本来の味を味わうことができます。
そして現在の市場流通のしくみでは小規模な生産者(農家)が「放牧」や「グラスフェッド」という特徴を伝えることは難しいです。

そこで自らがこの牛肉を販売し、牛の飼育方法などのストーリーやお肉の品質、美味しさを伝えたいと思いました。
が、ここで問題があります。今まで私が生産していた卵、お米や麦、大豆などの農産物、加工品などと違い、お肉の販売には「食肉販売業」という保健所の許可が必要で、この許可のためには衛生的な建物と冷蔵庫などの設備(販売所)が必要になってきます。

今回、この販売所を建てることになりその支援をしていただけたらと思い、プロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトのポイントは「地域の資源を生かした飼育」を行い、その特徴を最大限に活かすために「生産者自ら販売」するということです。どういうこと?と思った方も多いと思います。
先は長いですが、どうぞ最後までお読みいただけると幸いです。。




▼グラスフェッドビーフ「下條極楽牛」の特徴

近隣地域で生産された飼料を100%与える
(デザートとしてリンゴやナシ、柿なども与えています。)

昼夜完全放牧を行ったグラスフェッドの赤身肉
赤身にも関わらず肉汁あふれるジューシーで柔らかいお肉
動物福祉(アニマルウェルフェア)に則った飼育
日本の耕作放棄地を活用し減らす
輸入飼料に頼らず、エネルギーコストを抑えて地域にあるもので循環できる


サシは入らず赤身中心です。

しかし、口に含むとジュワっと肉汁が溢れ、非常に柔らかく簡単に噛み切れます。


▼なぜ放牧なのか?「牛は草を肉や乳に変える生き物です。」

そもそものきっかけは私が大学生の時でした。
たまたま大学の現地実習で滞在した北海道の酪農家さんの言葉

「おい!なんで牛が偉いかわかるか?」
「牛はヒトが食えない草を人が食べれる肉や乳に変えることができるんだ」
「だから偉いんだ」

その時自分の中で衝撃を受けました。将来、この人のように酪農家になりたい!!そう思ったのです。
が、酪農をするには莫大な費用(借金)が必要で、当時はリーマンショックの金融危機もあり投資をしても回収できる見通しがたてられずに酪農家の道は諦め、動物を生かした循環型の経営として自然卵養鶏家として新規就農することとなりました。

そして牛に対するあこがれはあったものの、ニワトリ達と過ごしていたある日、近隣の市町村で行われた「山地を活用した放牧酪農について」の講演会に参加し

「ヒトが食べられない草を食べれる乳に変えられる牛は素晴らしい」
「やはり牛が飼いたい!!」


という思いが再燃してきました。
しかしながら、採卵養鶏が基軸にあるため「乳」の生産・販売は労力的な問題から現状不可能でした。

ですが、お肉ならできるんじゃないか??とりあえずできることからやってみよう!!
と、放牧を始めようと思いました。


そしてきっかけはもう一つあります。

この下條村が置かれている状況です。
どこの市町村でも言われていることですが、人口減少・農業の担い手不足。
そして耕作放棄地の増加です。今現在、ギリギリ耕作放棄地が増えることはないですが、現状を見ていると今後引退する人が一気に増加し5年経ったとき一体どうなるんだろうか?という状況です。

耕作放棄地にならなくてもその一歩手前の、作物は作らず草刈りだけはしているという畑もあります。
畑に手が入らないと一気に草が生え、数年で低木が育ち、10年ほどでうっそうとした林になってきます。

私が暮らしている敷地の隣にも耕作放棄地があり、この土地をどうにかできないのか?なにかうまく活用できる方法がないのか?と考えていました。

そんな時に先に紹介した講演を聞き、「放っておけば生えて困ってしまう草」と「草だけを食べていてもお肉に変えられる牛」の両者を合わせることでうまく解決の糸口を見つけられないか?と、村内の酪農家さんからオスの仔牛を分けてもらい牛の放牧をスタートさせました。



▼この放牧牛肉が意味すること

もう少し私の農業のコンセプトについて説明させてください。
まず、よく聞くありきたりな言葉かもしれませんが「持続可能」と「循環」です。

現在の畜産業界では、エサのほとんどを輸入に頼っており、為替や気候変動(異常気象)、世界情勢の悪化によって今後は現状と同じように輸入が続けられるかはわからない状況にあります。
この状況をどうにかしたくて、私が行っている採卵養鶏では国産飼料100%(ほぼ県内産飼料)での飼育を行っています。なるべく近隣の地域内でヒトやモノ、おカネが循環するような取り組みを目指しており、同様に牛の飼育でも国産飼料・県内産飼料で飼育していきたいと思っています。

話が前後しますが、牛は草だけ食べていても肉に変えて成長できる生き物です。
そして、この日本は温暖湿潤な気候で、野原を放っておけば森に還ってしまうような緑にとっては成長しやすい気候です。


そんな現在の農村の人口減少による耕作放棄地の増加、そして管理できない放棄地に生えてくる草は牛にとってエサとなる草資源です。

今の農村部の現状は
①畑として使えているところ
②畑としては使えていないが草刈りだけはして荒れるのを防いでいるところ
③草刈りも追いついてないところ
④もうすでに荒れ果てて数年経過したところ
の②が増えてきています。

元々田んぼですが、見る影もありません


放っておいても生えてくる雑草は、牧草とされるイネ科雑草以外でも十分な栄養素を持っていることが研究結果からわかっています。
確かに輸入の穀物を与えた方が高カロリー、高タンパクのエサなので早く成長しよく太ります。それと比べてほぼ草のみでの飼育は肥育としての効率は悪いかもしれません。

しかし、遠くからモノを運んでくることはエネルギーコストがかかります。それに加えて近年、世界的に各地で起こっている干ばつや豪雨などの異常気象や国際情勢の悪化、バイオエタノール需要や投機的な取引による価格高騰などによって今後は安定的な供給すら危ういかもしれません。
これと比べて近隣で生えてくる草を飼料として使う事はエネルギー・コストの節約につながります。そして、草の場合は干ばつなどの影響は受けにくいです。

また牛は動物です。通常だと雑草の草刈りや草を牛舎に運ぶというエネルギーや労力がかかりますが、自らの意思で動き回り、草を食べることで草刈りも同時に行ってくれることになります。そして家畜飼育の宿命である糞尿の処理も同時にその場所で行うことができ、自然の働きによって悪臭をともなくこともなく分解され、そのまま次回の草の肥料にもなります。
こうすることで、地域にある草資源をうまく活用することができます。

また、酪農家さんにとってオスは将来牛乳を搾れる個体ではないのでお肉用として育てられることになります。経済効率の観点から大規模な牧場がある他の地域で肥育されます。この地域では基本的には遠く北海道へ送られることが多いようです。

この「耕作放棄地を牧場として活用する」ことが、下條村だけでなく日本の色々な地域でも取り組むことで、日本の耕作放棄地の問題と輸入飼料の不安要素、そして地域の酪農家さんが生み出す資源としての牛の利用がその地域内で行えることで、それぞれの問題点の解消に加えてその地域に新たな資源(お肉)としての価値が生まれるのではないでしょうか。。

この仕組みの出口に「販売」がありますが、まだまだ取扱量や時期の問題などもあり大手などと協力することは難しいと考えています。中間業者などが入ることによって、「特徴」や「こだわり」も伝わりにくくなっていくと思います。
そこでその生産された地域に、直接こだわりが伝えられるお店ができれば一番良いのではないかと考えています。

今後日本のどの地域でも起こりうる問題について、解決策の1つの方法として提案できるように応援いただけたらと思います。

牛は本来臆病ですが、人に慣れており触らせてくれます。



▼これまでの活動

今年で放牧は3年目になります。

1年目は耕作放棄地を復活させることからのスタートでした。

ナシ園として放置されていて低木から高木まで生い茂っていた樹木を伐採を始めました。その後、切った木を整理し、運び片づけたあと電気柵を張り、牧草の種をまきようやく放牧地として使えるようになりました。

伐採を始めて数日目



ようやく半分ほど



そして伐採が終了しました。


電柵を張ったり、牛舎代わりのパイプハウスを建てたりと準備を進めます。


そして村内の酪農家さんから乳用種のオスを買い入れ、放牧を始めました。
何もかもわからない1年目。牛を飼うのも初めてにもかかわらずいきなりの放牧のスタートでした。
そして、導入した2頭のうち1頭を体調不良で死なせてしまうことになりました。色々な要因が考えられますが、結局の原因はわからずじまいとなり、1頭には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

仲良く一緒にいました。



残りの1頭は無事大きくなり、屠畜場でお肉にしてもらいました。どのような肉質になっているかわからないのもあり自家消費としていろいろな部位を食べ比べ、どのようなお肉になったかを確認しました。手前味噌ですが赤身なのに柔らかく、しっかりとした味があるなど、とても美味しいお肉になっていると確信しました。


2年目の去年は1年目と同様に酪農家さんから2頭を買い入れ、順調に屠畜まで飼育することができました。2頭ということもあり、1年目よりもたくさんの草が必要になりまだ土づくりができていない放牧地の草では足りず、敷地内の別の場所に放牧を行ったり、草を刈って運んだりと本来のコンセプトとは異なりましたが、イネ科雑草だけでなくそのほかの草もたくさん食べて栄養に変えることができることを確認しました。

アオゲイトウやシロザなどイネ科でなくても食べてお肉に変えてくれます。


また、お肉について近隣の飲食店の方などに食べてもらい、評価していただいたところ、味・価格ともに十分皆さんに満足していただけるのではないかという思いを持つことができました。


そこで3年目の今年は現在牛を3頭飼育し、年末の屠畜時には食肉販売業の営業許可を取って正式に販売を行いたいと考えています。

つい先日、3頭目の仔牛がやってきました。

ジャージー種と呼ばれる、茶色の種類です。

今年はこの3頭で頑張っていこうと思います。


▼資金の使い道

・食肉販売所の建設 80万円

・冷蔵庫・冷凍庫などの備品 40万円


▼リターンについて

販売する予定のお肉をいろいろな状態でお返しできればと考えています。

ひき肉やステーキ状のもの、ブロック丸ごと詰め合わせなど、いろいろな状態でのリターンをご用意しました。

また、たまご屋さんとして過去に色々な取り組みを行っています。「卵かけご飯セット」や「かまたまセット」、お醤油やたまご、うどん、と今回のプロジェクトとは直接関係ありませんが、お選びいただける様にしました。



▼実施スケジュール

9月下旬から販売施設の建設開始。

同時に冷蔵庫・冷凍庫などの室内備品の発注。

10月中旬には建物完成。

10月下旬に備品等搬入し、販売所としての施設・設備の準備完了

11月上旬に保健所の点検

11月下旬に食肉販売業の営業許可を認可

12月下旬に牛を屠畜

12月下旬~1月上旬ごろからリターンを順次発送


▼最後に

この取り組みに共感してくださった皆様にご支援いただけると嬉しいです。
また、この情報を拡散していただき、いろいろな方にこのプロジェクトを知っていただける様にしていただけたらと思います。
それぞれの地域で同じような取り組みができれば、地域自らが起こす「地方創生」になると思います。
よろしくお願いします。


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