はじめに・ご挨拶


こんにちは
オリィ研究所、代表の吉藤です。
我々のページをご覧いただきありがとうございます。


みなさんは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病をご存じでしょうか?
難病ALS患者は、病気の進行によって身体が動かなくなり、診断から3~5年には自己呼吸も困難となり、人工呼吸器の装着を迫られます。呼吸器を装着する事で生きることはできますが、手足などの身体能力に加え、発話能力も失う病気です。年間10万人に1人が発症しており、日本には約1万人の患者さんがいる難病です。2014年にはアイスバケツチャレンジが流行り、その後、漫画やドラマでも注目されたのでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

私がこの病気の事を知ったのは2013年で、当時知り合った方が当時まだ全然知られていなかったALSという難病で寝たきりの状態でした。

原因も不明で突然発症し、意識ははっきりしていながら身体をほぼ完全に動かすことができなくなる現代の不治の病、ALS。この出会いによりALS患者さんの為のコミュニケーション支援システムの開発をスタートさせ、2016年に、比較的最後まで動く眼球を使った視線入力による入力方式の特許技術を発明し、意思伝達装置「OriHime eye」として製品化、提供を開始しました。

現在、全国の多くの発話が困難な患者さんにご提供、ご利用いただいています。


(オリィ研究所 OriHime eyeについて:https://orihime.orylab.com/eye/

これにより、ヘルパーの手を借りず、患者さんは視線だけで文字を入力し音声合成で発話する事ができるようになりました。発売当時は45万円でしたが、現在は厚労省の非課税福祉機器の認定も受け、ALSなどの患者さんは購入補助制度を使い1割の負担(4.5万円)で購入する事ができるようになっています。

しかし、ここから発せられる声はあくまで合成音声で、感情も乗らない機械的な音になってしまいます。
私も年間数十名のALS患者さんとお会いしますが、何人もの当事者やご家族から「本人の声で話せないだろうか」「もう主人の声を忘れてしまった」との声が寄せられていました。元々の”自分の声”を話せなくなってしまうというのは、普通に話す事ができる私にはその辛さを想像できませんでしたが、よく考えれば顔などと同じ、”自分の一部”を永久的に失う事でもあったのです。
これは私がALSの方と初めて会った2013年から言われていた事でした。

そこで、友人でもありALS当事者の武藤将胤氏と共に、「本人の声を簡単に残せて、かつ患者さんに大きな費用がかかる事なく、ALS患者の仲間が利用できるサービスを届けられないか」と、ずっと検討を進めてきました。
そしてこのたび東芝デジタルソリューションズさんがご協力くださる事になり、音声合成技術を活用したアプリで人間の声を簡単に作ることのできるサービス「コエステーションTM」と連携し、自身の声の音声合成が簡単に残せて、「OriHime eye」で使用できるサービスの開発の目途が立ちました。

ALSの患者さんが経済的な負担なく自分の声の合成音声を生成し、”自分らしく生きていける”ツール開発のため、今回のプロジェクトを始動致します。


共同実施者 武藤からのメッセージ

こんにちは、WITH ALS代表の武藤将胤です。


この度は当ページをご覧くださり、有難うございます。

私自身、今年の2月に気管切開手術を受け、発話が出来るスピーチカニューレをつけるまでの間、一時的に、声が出せない状態を体験しました。想像以上に、自分の意思が伝わらない、もどかしさや辛さを実感しました。

そして何より、自分の声がもう一度出せた時に、妻や家族、仲間が泣いて喜んでくれた光景を見て、声は自分だけのものではないんだと気付かせてもらいました。
周囲で支えてくれている人のためにも、自分の声でコミュニケーションを続けていきたいと強く思ったのです。

これまでも自分の声に似た合成音声を作る技術自体はいくつか他にもありました。
ただ、どれも簡単に自分でできるものではなく、患者さんに大きな経済的負担がかかってしまう。また、視線入力ソフトでは対応していない事も多い。という課題がありました。

今回のプロジェクトで、テクノロジーの力を掛け合わせ、これまでの課題を解決し、ALSになったとしても、自分の声で、自分らしいコミュニケーションを続けていくことが出来るのだと、1人でも多くの方に未来への希望を届けたいと思います。


このプロジェクトで実現したいこと

この度、オリィ研究所・東芝デジタルソリューションズ・WITH ALSの3社は、「コエステーションTM」×「OriHime eye」を連携させ、病気の進行により自分の声を失ってしまうALS患者がいつまでも自分の声で発話し続けられるサービスを提供します。

自分の声を残す事は進行が進んだALS当事者にとっては切実な願いですが、保険や購入補助制度は適応対象外となってしまうため、これまでは精度の高いものでは数十万円くらい自己負担でかかるものになってしまっているのが現状でした。そのため、声以外にも身体全体で病気の進行が進むALSの方が発話可能な期間に決断できず、後になって後悔してしまうという事が多くありました。
それを、これから声を失うALS患者さんに対し、OriHime eyeと連携させ、患者さんに追加費用の負担が生じる事なく、提供・継続的な利用ができるようにしていきます。

※今回のプロジェクトでは、現在まだ発話ができ、自分の声を残せる方が対象者となります。既に進行が進んでしまった方の声を録音などから復元する事はできかねます。しかし今後も方法を探ってまいりますので、技術発展にご期待ください。
※OriHime eyeの導入には購入補助制度を用いても約5万円の自己負担費用が生じますが、OriHime eyeの導入未決定の方でも、自分の声をあらかじめ残しておく事が可能です。


プロジェクトチーム

■オリィ研究所

代表の吉藤が2005年から掲げている「孤独の解消」をテーマとし、孤独化の要因となる「移動」「対話」「役割」などの課題をテクノロジーで解決し、これからの時代の新たな「社会参加」の実現を目指す孤独解消ベンチャー

Orihime eyeについて

「OriHime eye」とは、2013年にCEO吉藤とCTO椎葉の知り合いだったALS患者さんのコミュニケーションを支援する事から始まった、発話や手足を動かせない状態の患者さんが視線を使って簡単に文字入力、文字の読み上げができる意思伝達装置です。

視線でPCを操作でき、従来の介助者の手を借りることなく自分の意志で文字入力&合成音声での発話が可能の他、細かな絵を描いたり、SNS投稿までできるようになりました。

「OriHime eye」のPC操作モードにより、ALS患者さんが視線だけで描いた絵(windowsのペイントソフトを利用)

また、遠隔分身ロボット「OriHime」(別売)と組み合わせる事により、ベッドで寝たきり状態のまま、「手を上げる」「拍手」「周囲を見渡す」など身体的な表現や、外出、就労も可能となります。

昨年11月には日本財団、ANAと提携し「分身ロボットカフェ DAWN」プロジェクトを実施、難病で外出困難な方々が120cmの分身ロボット「OriHime-D」を操り、ALSの患者さんでも接客ができるという実験を行いました。
ただのコミュニケーション支援に終わらず、誰かの役に立てて“自分らしい“人生を送れるテクノロジー開発を担っています。


■WITH ALS

27歳でALSと診断された、コミュニケーションクリエイターの武藤将胤が立ち上げた、ALSの課題解決を起点に、全ての人が自分らしく挑戦出来るBORDERLESSな社会を創造する団体です。

COMMUNICATION×COLLABORATIONの力を核にして、

BORDERLESS ENTERTAINMENT、EMPOWERMENT TECHNOLOGY、HUMAN CAREの3つの領域で、

活動に取り組んでいます。

http://withals.com/



ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは

2019年現在、有効な治療法が確立されていない指定難病。意識や五感は正常のまま身体が動かなくなり、やがて呼吸障害を引き起こす。延命のためには、人工呼吸器が必要。平均余命は、3〜5年。世界で約35万人、日本には約1万人の患者がいますが、呼吸器を装着して延命を望む人は3割程度、7割の人が延命せず亡くなっているというのが現状です。


■東芝デジタルソリューションズ

東芝グループは、製造業として長年にわたり培ってきた幅広い事業領域の知見や実績と情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、サイバーフィジカルシステムテクノロジー企業として成長することを目指します。東芝デジタルソリューションズ株式会社は、デジタルソリューション事業領域の中核企業としてデジタルトランスフォーメーションを推進し、システムインテグレーションおよびAI・IoTを活用したサービスソリューションを提供します。

東芝グループの経営理念「人と、地球の、明日のために。」のもと、新たなサービスやソリューションの創出と提供を通じ、社会課題を解決し、社会のさらなる発展に貢献していきます。

https://www.toshiba-sol.co.jp/


コエステーションTM説明

「コエステーション™」とは東芝デジタルソリューションズの音声合成技術を活用した、人間の声を人工的に作ることのできるサービスです。身近な人から有名人まで、多種多様な「コエ」の音声合成を利用可能です。テキストから音声コンテンツを生成し、リアルタイムの情報読み上げやナレーション作成など様々な用途に利用できます。

https://coestation.jp/

東芝デジタルソリューションズ 声ステーション事業 プロジェクトリーダー
金子祐紀氏からのメッセージ

こんにちは、東芝デジタルソリューションズでコエステーション事業のプロジェクトリーダーを担当しております金子祐紀です。

コエステーションは、一般人から有名人まで世界中の人の声を集め、それをさまざまなサービスで安心・快適に利用していただき、より豊かなAI・IoT時代を実現することを目的に立ち上げた音声合成の新しいプラットフォームで、エンタメ・ロボット・スマートスピーカー・接客など色々な分野での活用を目指して取り組んでおりますが、3年前の企画構想時から、ALS患者さんのように声を失った方の役にも立ちたいという気持ちがありました。

そんな中、武藤さん、吉藤さんとの出会いにより、このようなプロジェクトにご協力できることを本当にうれしく思っています。

誰でも怪我や病気などで困難を強いられることがあり、それをゼロにすることは難しいですが、今ならテクノロジーの力でその困難を軽減し自分らしく生きることができるということが多々あると思います。

このようなプロジェクトがこれからも拡大し、また多くの人に知っていただいてご活用いただけることを願っています。


資金の使い道

①サービス開発、および継続的な提供費

②患者さんへのPR・動画制作費

③リターン費用

④クラウドファンディング利用手数料


リターンについて

当プロジェクトを応援くださる方を対象に、ささやかですがお礼を用意させていただきました。
人数制限があるものは先着順とさせていただきます。













実施スケジュール

今回、開発としては異色ですが早くお届けしたい患者さんが何人もいる事から、クラウドファンディングで資金が集まり次第すぐに開発を開始し、今年の夏期間中のサービス提供開始を目指して頑張ります。

最後に

一般の方からは、自分の声である必要があるのか?という疑問を頂く事もあります。

たしかに、声だけではなく身体がほとんど動かせなくなる事、命にかかわる呼吸機能の低下などを考えれば優先度は低いと思われるかもしれません。

しかし、呼吸器を装着したあと、“自分らしい“人生を歩み続けられるかどうかは、

ALSの患者さんにとって、前を向いて生きていく上で非常に重要な事なのです。

皆さんも、自分の声を一生失ってしまったら、

大切な人の声がもう二度と聞けなくなったら、

どう思うでしょうか?

どうか想像してみてください。

障がいの有無にかかわらず、

1人1人の声は、その方の大切な個性だと私達は思うのです。 

1人でも多くのALS患者さんの声を救える未来の実現に、どうか皆さんのあたたかなご協力をよろしくお願い致します。


武藤&吉藤 

  • 2019/05/21 03:16

    オリィ研究所、吉藤です。このたびは我々のプロジェクト、ALS SAVE VOICE プロジェクトをご支援くださり、誠にありがとうございます。皆様のご支援のおかげで100%を達成する事ができました。既に開発までの技術的な目途は立っており、秋までにサービスを提供できるように準備してまいりたいと思い...

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