こんにちは!認定NPO法人D×P(ディーピー)の今井紀明です。

D×Pは、不登校・中退経験を持つ10代や、経済的困難・発達障害・外国にルーツを持つなどさまざまな生きづらさを抱えた10代を支えるNPOです。これまで約4,000名の高校生と出会い、つながる場をつくってきました。

12月から3月にかけての年度末。この時期は、”春に卒業する予定なのに、進路が決まっていない”という高校生にとって、大きな不安や焦りに襲われる時期です。

わたしたちがふだん高校生と話しているときは、笑える話や趣味のこと、友人関係やバイト先でのことなど「今」に関する話題が多いです。卒業や進級が近くなる冬は、「未来」に関する焦りと不安が混じった声が増えてきます。

実は通信制高校の進路未決定率は37%。定時制高校は14%で、進路が決まらないまま卒業する生徒がいます(平成29年文部科学省「学校基本調査」)また、当団体の定時制高校数校へのヒアリングによると生徒の約6割ほどが就職希望届を出しているにもかかわらず、実際の進路は就職者は4割にとどまっています。

高卒就職の三者協定により、高校生の就職斡旋は学校の先生が担われています。しかし、どうしても進路に向けて動くことができない生徒を見て「D×Pさん、この生徒と話してもらえませんか?」と先生からご相談をいただくのもこの時期です。

さらに、留年が確定しやすいのも冬の時期。留年が確定したら学校に来なくなってしまい、そのまま中退してしまうというケースもあります。

でも、D×Pでは、先生や地元企業と連携し、ボランティアと一緒にプログラムをつくりながら、1年生のときから「つながり」をつくり、進路をちょっとずつ考えられるきっかけとなるような種をたくさん蒔いてきました。

そして、いよいよ大切な冬の時期を迎えます。
高校生と、わたしたちと一緒に、この冬を乗りこえる仲間になりませんか?


背景は一人ひとり様々ですが、「今」を生きるのに精一杯で、「未来」まで考えるのが難しい10代の姿が見えてきます。

通信・定時制高校には、不登校・中退経験を持っていたり、経済的困難・発達障害・外国にルーツを持つなどそれぞれの生きづらさを持った高校生が多く集まっています。起業やスポーツ・芸能活動をしながら勉強しようと通信・定時制高校に通っている10代もいますが、全日制高校と比較すると多様な事情を持った高校生が多い状況です。

自分で稼がないといけない家庭事情だったり、ある病気を持っていて人には言えずにいたり、いじめなどつらい経験を抱えていたり。それぞれの事情で「今」を生きるのが精一杯な10代にとって、「これから」のことを考えるのはとても難しいことです。


D×Pでは、2012年の創業当初から「人と関わってよかった!」と思えるような関係性をつくる、社会人ボランティアとの対話の授業を実施してきました。高校生と対話する中で、過去の経験から周囲を信用できていなかったり、人と関わるのが難しい高校生も多くいることがわかりました。「大人は嘘つくし、俺らのことなんて大したことないと思ってる」と語った高校生もいました。

そんな高校生と関わるにあたって、わたしたちは、「否定せず関わる」という姿勢を大切にして取り組みをしています。

しかし、「授業」という枠組みではやりづらいこともありました。

90分×全4回の授業では、たくさんの嬉しい瞬間に出会ったり、高校生同士のつながりが生まれたことを感じるような場面に出会いました。また、一人ひとりの困りごとの種を拾うときもありました。でも限られた時間のなかで、次につながるような取り組みや、学校の外の機会につなげるといったアクションを起こすことが難しい状況でした。

授業という枠組み以外の、別の場をつくれないか?と考えるようになりました。


実は、D×Pで2016年度から試験的に1校だけで実施していた取り組みがありました。

それは、「居場所事業」です。

ある定時制高校の学内で、およそ週1回のカフェを開きました。

「閉鎖された食堂の代わりにつくれないか?」と先生が考えてくださったことがきっかけです。地域の飲食店と連携し、おにぎりやサンドイッチを無償で高校生に提供しました。「ご飯をもらいに行く」を口実に訪れる生徒も多くいました。さらに、地域の飲食店の人が学内に訪れたり、ゲストの大人が訪れたり。D×Pがの取り組みを通して地域のさまざまな人が学校に訪れました。

継続的に高校生に関わることで、日々の変化・ささいな笑い話やちょっとした困りごと、そして、ときには深刻な相談を受け取ることもありました。

学校の先生と密に連携し、地域のたくさんの方と関わりながら、「今、学校と地域のなかに居場所がある状態」を一緒につくっていきました。


しかし、去年こんな出来事がありました。

ずっとカフェの常連だった3年生です。毎週カフェに来て、D×Pスタッフの手伝いをしたり、一緒に帰り道を歩いたり、たくさん話していた生徒でした。しかし、カフェの最終日に自分の卒業後の進路が決まっていないことをそっと教えてくれました。最終日ですが、彼の進路に向けてやれるだけのことをしました。

あんなに毎週カフェに来て、あんなに関わっていたのに。
卒業後の進路に向けて、それまでにもやれることは本当はもっとたくさんあったはずです。

彼は最終的に進路先を決めることができましたが、わたしたちにとってはショックな出来事でした。

「今、学校や地域のなかに居場所がある状態」もとても大切です。
でもさらに「未来の居場所がある状態」にもつなげたい。
生徒の「今と未来の居場所をつくる」ために、寄り添うからその先まで行きたいと思いました。

2019年のD×Pのテーマは「寄り添うから、その先まで」。

これまで【授業+居場所事業】の複合サービスを実施していたのは1校だけでしたが、2019年度には一気に7校に増やしました。授業だけでは拾えきれなかった生徒の困りごとを、居場所事業の充実による”定期的な関わり”で拾っていきます。「仕事体験ツアー」を通して、具体的な卒業後のイメージをつくっていきます。

この取組みをはじめてから、こんな事例が生まれました!

Aくんは、進路のことを考え始めたとき、バイトで馴染みのあった接客業や飲食業を考えたそうです。その業種のなかから、3つほど具体的に就職試験をうけようかな?と思う仕事を見つけましたが、給料面や仕事のイメージだけでは決めるきっかけがつかめなかったと言います。

いよいよ就職試験を受けるというころ、居場所事業を行う教室を訪れると、彼の希望する職業についている人と話す機会があったと話していました。話を聞いたり、志望動機について相談したりするなかで、自分が働くイメージも持てたそうです。

Aくんのサポートは、学校の先生から事前にご相談がありました。学校の先生がもっている生徒の具体的な情報と、わたしたちが定期的に話を聞く中で得られる生徒の状態、不安、悩みなどから、進路を決めるきっかけとなる機会をつくっています。

授業で出会ったBさん。初回の授業では、大人の様子を伺うように「この模造紙破ってもいい?」と言っていました。4回の授業の回を重ねるごとに否定的な発言は減り、最後の授業ではボランティアの大人からもらったメッセージカードを鞄の中にしまっていました。今年から始まった居場所事業は、最初から常連。しかし、仕事に関する話になると「働くとか無理。」と話していたそうです。

その後、友人のCさんが仕事体験ツアーに参加することをきっかけに、「Cがいくなら、行ってみようかな?」と一緒に行くことになりました。最近は、コツコツやる仕事が自分には向いていると思うと話し、別の企業にも体験に行きたいと話しています。


①授業: 高校生65名に全4回の対話の授業を行います。
授業で高校生と出会い、「D×Pの人なら自分の話をしてもいいかもしれない」と思えるような最初の関係性を築きます。高校生にとっては、出席日数に関わる授業。人と関わることにハードルのある生徒にもリーチできます。留年が確定したり、クラスのなかにつながりを感じられなくて中退しやすいこの時期、対話の授業を通して最初の関係性をつくっていきます。

②居場所事業:3月までに、全7校・高校生約415名に、各校約7回の居場所を開催します
定期的に高校生と出会える空間を学内につくります。高校生の困りごとの種を拾ったり、進路を考える機会を提供したり、具体的な進路の相談に応じたりしながら、高校生にとっての「今と未来の居場所」をつくります。

③仕事体験ツアー:3月までに、高校生のべ30名が仕事体験ツアーに参加します。
授業や居場所事業で拾うことができた高校生一人ひとりの状態や希望に合わせて、はたらく具体的なイメージを持てる機会を提供します。現在仕事体験ツアーに協力いただける企業は24社。受け入れ企業も増やしていきます。


それでも進路未定状態で卒業したり、不本意で就職してしまう高校生はいると思います。また、進路が決まったあとも仕事が続かない人や卒業後に困ったことが起きた人も必ずいるはずです。

D×Pはこれまで、高校生ひとりひとりが卒業後のつながりをつくっていける状態になることを目指して、授業や居場所をつくって、つながりを醸成してきました。

さらに、

①卒業生も学内の居場所に来ることができる
一部の学校では先生のご好意により、卒業生も学内の居場所に訪れることができるようになっています。1月から3月にかけて、卒業年次の生徒に「またおいでね」と伝えていきます。

②卒業生が学内の居場所&オンラインで相談できる
D×PではLINEなどをつかったオンラインの進路相談事業を行っています。卒業後もオンラインや、学内の居場所(①)で具体的課題を相談できるような機会をつくります。

③卒業生がボランティア交流会に参加できる
D×Pのボランティアは現在約400名。有志が不定期でボランティア限定の交流会を開催しています。(12月はクリスマスパーティを開催!)この交流会に在学中の高校生や卒業生を誘いながら、卒後のつながりをつくります。

こういった3つの取り組みをしていくことで、2020年の春を迎えたいです!

卒業生が事務所に気軽に来れるような企画もしています。

1月〜3月までの以下の実費を募ります。

✔授業:  980,000円(高校生65名/2学年想定)

✔居場所事業:975,000円×7校=6,825,000円(高校生約415名×約全7回)  

✔仕事体験ツアー実施:25,920円(1名あたり実費)×30名=777,600円

合計 8,582,600円
※うち、5,000,000円をクラウドファンディングで募集します!
ネクストゴールは(もちろん)850万円です!


主に取り組みにかかる実費のみを算出しています。管理費や間接費は含まれません。
■含まれるもの:学校に行くまでの旅費交通費・高校生がツアーに参加するための交通費・プログラムで使う消耗品や備品費・カフェで出す軽食費/飲料費・印刷費・高校生に対応するスタッフの人件費のうち、取り組みにかかる費用のみを按分して算出したものを試算しています。

■含まれないもの:運営や管理にかかるものや法人全体に関わる費用全般を除外しています。具体的には、高校生に関わるスタッフの人件費のうち取り組みに直接関わらないもの・バックオフィススタッフの人件費・事務所家賃や水道光熱費・法定福利費等・通信費・保険料・委託金・広報費全般などが除外対象です。継続的・安定的に活動するために管理費は欠かせないものですが、今回は算出対象から外しています。


最後に、D×P代表の今井紀明からメッセージです。

"
D×Pはこれから「若者がいきるセーフティネット」をつくっていきたいと思っています。

生きていくなかでは、ほんとうに様々なことがあります。私たちが関わる生きづらさを抱えた若者も、これを読んでいるあなたにも、困難が訪れるかもしれません。

でも、そんな困難があったとき、運がいい人は「偶然」にも友人がいれば助けられるかもしれない。親や先生や、なんらかのつながりがあればその状況から抜け出せるかもしれません。しかし、「偶然」にも親がいない、もしくは親と話せない環境や友人とのつながりがなく、時に本当にしんどくなって不登校になったり、高校中退したり、進路が決まらない状態で卒業してしまうかもしれません。

「偶然」のつながりを僕たちはつくりたい。

たまたまあの人に救われた。
たまたまあの経験があったから、今ここにいる。

そんなふうに思えるような「偶然」のつながりを、学校のなかに、オンラインのなかに、社会のなかに生み出していきたいです。そして生きるなかで困難があったとしても、「この人にちょっと話してみようかな」「あの人の顔が見たい」と思えるようなつながりが一筋でもあるように。それをつくることができたら、道が開かれることをこれまで学校現場やオンラインの相談の場で目の当たりにすることができました。

わたしたちは、高校生が学校を卒業したあとも人とつながり、ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会をつくりたいと思っています。

どんな境遇にあっても「生きていける」と思えるようなつながりを得られる社会を、これを読んでいるあなたと一緒につくっていきたいです。

D×Pの仲間になりませんか?ご支援、お待ちしています!"


ご留意点

*こちらは、寄付型のクラウドファンディングになっております。リターンは、「高校生がつながりを得られている状態で社会に送り出されることそのもの」となっています。気合いをいれて、年度末の高校生と関わってまいります!また、取り組みのご報告のため、活動報告書のご送付・サポーター限定メールマガジンの配信・限定Facebookグループへのご招待させていただきます。

*こちらのクラウドファンディングが達成したあと、当団体への着金は2020年1月以降となります。そのため、2020年のご寄付として受け付けます。領収証の発行は、2021年1月末(ずいぶん先ですね!)となりますのでご留意ください。

*もし、寄付金控除の目的で、2019年の寄付としての支払いを希望される方は、2019年12月以内に当団体へ直接銀行振込でご寄付をされることをおすすめいたします。info@dreampossibility.com(担当:熊井)までご連絡ください。

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