発達障害について、心理士の目を通して描いた演劇作品『わたしの、領分』を上演し続けるためのプロジェクトです。劇場規模の拡大、地方公演などを行い、より多くのお客様に物語を届けるのが目標です。コンセプトは「触れて、知って、考える」――観客の日常につながる物語を発信します。

プロジェクト本文

▼ごあいさつ

 初めまして、松澤くれはと申します。
 舞台演劇の脚本・演出を中心に活動しています。

 

 

 この度『わたしの、領分』という作品を3月に上演する運びとなりました。
 発達障害について、療育センターの心理士の目を通して描いたものです。

 発達障害が語られる時、当事者の子どもや親御さんの立場からが多い印象を受けます。
 ですが支援する心理士もまた、現場で悩み、葛藤し、苦悩しています。「あまり語られることのなかった視点から、いま私たちの社会が抱える課題を探りたい」10か月の取材でそう強く感じました。

 

▲2015年8月の初演映像

 

『わたしの、領分』は、生きにくさをテーマにした物語です。
「普通」といわれる多くの人も、日常生活で生きにくいと感じることがあるかと思います。
 誰にだって悩みはあるし、対人関係では迷うことばかり。
 割り切れなくて、でも時には白黒つける必要に迫られる。

 

▲療育センターでの、親子と心理士の面談

 

 正常と異常。あちらとそちら。普通か特殊か。正しいか正しくないか。
 区別して、差別して、無理やり境界線を引くのではなく。
 ありのまま。うまくやれない自分を認めて、あいまいなまま、前を向いて生きる。

 

▲自閉症の子どもを持つ母親と、心理士の葛藤

 

 これは作り手の結論や、答えを伝えるような舞台ではありません。
 終わらない物語。それぞれの日常へつながるようなラストシーン。

  舞台を観た人が、それまで遠いと思っていた物語に触れて、知って、考える。
 今まで発達障害や療育に触れてこなかった人が、観終わった後に、初めて疑問を感じたり、新しい考えが浮かんでくる――そんなキッカケになれる作品を目指しました。

 

 2015年の夏にシアター風姿花伝にて上演し、様々なご意見・反響をいただきました。
 想いは確実に届くのだと、実感できた公演でもありました。

 同時に、これで終わるには惜しいという気持ちが残りました。
 舞台は幕が下りればもう観ることができません。
 一度の公演では何もはじまらない。終演後にそう感じたのを覚えています。

  2016年7月、相模原障害者施設殺傷事件が起こりました。

 あれだけの事件にもかかわらず、匿名報道の末に続報も少ないまま時が過ぎゆきます。
 優生思想に基づく許されない犯罪の糾明も、いまの社会の在り方を問いただす機会もないまま、忘れられていくのでしょうか。
 大切なのは社会が変わること。
 差別や偏見のない、どんな個性も自然と受け入れられる社会を築くこと。
 社会が変わるにはまず、そこに暮らす一人ひとりの見方が、変わる必要があります。

 

▲とある事件に巻き込まれた高機能自閉症の青年

 

 演劇にできることは限られているし、社会を劇的に変えることはないかもしれません。
 けれども演劇は、きっと目の前の人とは通じ合える。
 だから『わたしの、領分』の再演を決めました。何度も上演を重ねると心に決めました。

 生きづらくても、それでも。生きていくことを選ぶため。
 この「あいまいな世界」を許容して、今の自分を受け入れて。
 誰かと手を取って、ほんの少しだけ前を向くことは、できないか。

 面白いだけを求めるのではなく、上演する意義のある作品作りを。
 演劇ファンだけでなく、同じ時代を生きる人たちと一緒に物語を共有したい。

  発信し続けて、一人でも多くの「まだ出会っていないあなた」に届けるため。
 どうぞ、お力添えいただければ幸いです。

 

『わたしの、領分』製作委員会 代表・松澤くれは

 

 

 

●松澤くれは・プロフィール

脚本家・演出家。1986年、富山県生まれ。早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。
演劇ユニット<火遊び>代表。
芥川賞作家・中村文則氏『掏摸[スリ]』の舞台化にはじまり、『殺人鬼フジコの衝動』『天帝のはしたなき果実』『くるぐる使い』など、人気小説の舞台版を手がける。
オリジナル作品では「あなたとわたしが[We]に近づく物語」をテーマに、言葉で分かり合おうとしながらも分かり合えないことを受け入れる、人間の生き方を一貫して描く。現実のような生々しい会話劇で、観客の日常につながるラストシーンを目指している。
演劇作品のほか、PV・映画シナリオ、エッセー、演技指導講師など、幅広い活動を行っている。

 

▼このプロジェクトで実現したいこと・資金の使い道

次の2つを実現するため、クラウドファンディングを行います。

 

① 中劇場への進出

『わたしの、領分』と、スピンオフ作品のみを上演する製作委員会を立ち上げました。資本力ほぼゼロからのスタートです。
 演劇を作るのにはお金がかかります。劇場や稽古場レンタル、舞台セット、音響照明機材、搬出入などの経費を支払えば、公演に尽力してくれたキャスト・スタッフに十分な金額のギャランティを払えていないのが現状です。演劇はコストパフォーマンスの点では厳しいジャンルかもしれません。それでも2500年続く表現の素晴らしさを用いて、同じ演目を一度で終わらずに、定期的に行っていきます。「公演が気になっていたけど今回は観に来られなかった」という方のために、次の機会を用意して、劇場にて上演を重ねたいと思います。
 劇場の規模も大きくしていきます。初演のシアター風姿花伝、今回の下北沢・小劇場楽園はともに客席80席・計700人の動員を目指しておりますが、次回以降の公演では150~200席の中規模劇場で7ステージに拡大することが目標です。中期的には客席数400をこえる大劇場への進出も視野に入れております。より多くの人に触れていただくため、客席数と公演規模を大きくし、活発に発信していきたい所存です。

 

② 地方公演の実現

 同時に、東京のみの公演でとどまらず、活動を広げていきたいです。
 大阪、名古屋などの都市部、松澤くれはの故郷・富山での地方公演などを目指し、準備を進めていく予定です。
 まずは①を達成してからとなりますが、次につなげる重要な目標だと考えます。

 
▼リターンについて

◆3,000円 メッセージ入りポストカード

松澤くれはからのお礼のメッセージを添えた公演イラスト(絵・谷川千佳)ポストカードをお送りさせていただきます。

 

◆5,000円 メッセージ入りポストカード、スピンオフ短編小説

メッセージ入りポストカードに加え、松澤くれは書き下ろし「わたしの、領分」スピンオフ短編小説をお送りさせていただきます。

 

◆10,000円 メッセージ入りポストカード、集合写真、上演DVD、パンフレットにお名前掲載

メッセージ入りポストカードに加え、キャスト集合写真と本公演の上演DVD(非売品)をお送りさせていただきます。また、ご来場いただいたお客様にお渡しするパンフレットにお名前を掲載させていただきます。

 

◆30,000円 2名様までご招待、公式サイト及びパンフレットにお名前掲載

2名様まで公演にご招待させていただきます。また、公式サイト(https://watashi-no-ryobun.themedia.jp/)及び、ご来場いただいたお客様にお配りするパンフレットに、お名前または団体名を掲載させていただきます。

 

◆50,000円 2名様までご招待、公式サイト及びパンフレットにお名前掲載、リンクバナーの掲載またはチラシの折り込み、公式ブログでのご紹介

2名様まで公演にご招待させていただき、公式サイト及び、パンフレットに、お名前または団体名を掲載させていただきます。また、公式サイトに支援者様のリンクバナーを掲載、もしくは、パンフレットに支援者様のチラシの折り込みをさせていただきます。加えて、公式ブログにてご紹介をさせていただきます。
※リンクバナーは、画像とURLをご用意ください。
※チラシは、指定日に郵送にてお送りいただきます。
※広告は、演劇に限らず、広く承ります。ただし、公序良俗に反するものはお受けできない場合がございます。

 

▼『わたしの、領分』あらすじ

※ネタバレを含みます。これから観劇予定で、ネタバレを避けたいという方はお気をつけください。

 

 大学院を卒業し、都内の療育センターに配属された心理士・萩野は、発達障害児を中心に面談を行っている。くせのある同僚たちのサポートのもと、訪れるご家族の力になりたいと願うが、現場では自分の未熟さばかり実感する。

「いつか治りますよね?」自閉症を治療可能な「病気」と捉える母親。
「息子を障害者にするつもりか!」普通の子と何ら変わりないと心理士を非難する父親。
「私、何かしましたか?」追いつめられて自分を責めるシングルマザー。

  親たちはわが子を想うゆえの焦りや偏見をもち、萩野はうまく面談を進めることができない。精神的な支えである夫とも、子どもを作ることを巡ってすれ違いの日々が続く。何も解決できないまま、それでも萩野は、目の前の人たちと日々向き合ってゆく。
 萩野は言う。「自閉症は治すべき病気ではなく、支援すべき個性です」特性を持ったまま大人になる子どもたちを、親御さんと一緒に見守りたい。萩野は折れることなく、心理士として奮闘する。 

 ある日。定期面談を終えたはずの青年が、センターにやってくる。勤務先での生活を嬉々として語る彼は、近づいてきた悪意ある人間の影響か、職場で傷害事件を起こしてしまう。報道の過熱により、「自閉症をめぐる問題」へと発展し、センターをも巻き込んだ騒ぎとなる。
 混乱のさなか、センターを訪れる一人の母親がいた。震える手で、果物ナイフを萩野に突きつける。息子の将来の不安にさいなまれ、自分の子が「正常か異常か決めてほしい」と迫る母親。けれども萩野は答えない。極限状態で対峙する2人の前に現れたのは、ずっと萩野がこころに閉じこめてきた[はるか]という女の子だった。

 語られるのは萩野の半生。自閉症スペクトラムの特性をもって生きてきたこと。幼いころ母の笑顔に勇気づけられたこと。流産に安堵した罪悪感のこと。子どもを育てる覚悟のないこと。悩みながら生きるしかないこと。全部があいまいだということ。だから救われることもあること。暗い夜も明けたら朝がくると知ったこと。たくさん抱えてゆっくり前へと進むこと。

「倒れないよう言葉の間に読点いれて、答えのないことを一緒に考えていきたい」
 萩野の思いを聞いた母親は、それから初めて、息子の名前を呼ぶ。

 何かが変わったようで、何も変えられない今日を生き、萩野は明日をむかえる。
 お母さん、わたし、そして娘。
 受け継がれる命のなかで、生き方を模索し続ける。

 

 世界のあいまいさを許容して生きるための――。はるかから、わたしの物語。

 

 

【登場人物】

●療育センター

□萩野/♀   ……26歳。心理士。二年目。やや神経質。
□大井山/♀  ……30歳。心理士。物腰の柔らかい、ゆったりとした性格。
□原/♂    ……35歳。心理士。チーフ。表情の変化に乏しい。
□川上/♀   ……21歳。受付窓口担当の医療事務。快活で、華やかな外見。
□ドクター/♂ ……47歳。精神科医。心理士による面談前の、診断を担当する。

 ●家庭

□夫/♂    ……31歳。萩野の伴侶。

●Aくん(3歳。カナー型自閉症)関係者

□母親/♀   ……29歳。シングルマザー。自身が無自覚の双極性障害を患う。
□セラピスト/♂……28歳。民間の療育塾を主宰。女たらし。 

●Bくん(5歳。アスペルガー症候群/ADHD)関係者

□父親/♂   ……33歳。自閉症に関する理解が浅い。育児は妻に任せきり。
□母親/♀   ……27歳。世間体ばかりを気にして子どもから目をそむける。 

●Cくん(17歳。高機能自閉症)関係者

□Cくん/♂  ……障害者雇用枠を使わず印刷会社に勤務。職場での評判はよい。
□恋人/♀   ……26歳。Cくんに詐欺行為をはたらく、年上の女性同僚。 

●抽象概念

□はるか/♀  ……少女。舞台上に存在し続ける存在。※A・Bくんも演じる。

 

▼公演について

期間:2017年3月27日~4月2日(全9ステージ)

3/28(火)       19:30
3/29(水)       19:30
3/30(木) 15:00  19:30
3/31(金)      19:30
4/1(土)   14:00  18:00
4/2(日)   13:00  17:00

会場:小劇場 楽園
チケット:前売り4,000円/当日4,300円
上演時間:約80分

 

【HP】
https://watashi-no-ryobun.themedia.jp/

【チケット予約】
https://ticket.corich.jp/apply/80312/

【お問い合わせ】
pro.watashi@gmail.com
050-5319-3493(森永)

 

【キャスト】

善知鳥いお、岡村いずみ

江幡朋子、尾﨑菜奈、倉冨尚人、今駒ちひろ、野下真歩、早山可奈子、坂内陽向、宮川智司

柴田淳(ブラックエレベータ)、室田渓人(劇団チャリT企画)、濱田龍司(ペテカン)

 

【スタッフ】

脚本・演出:松澤くれは
舞台監督:吉倉優喜
舞台美術:小林裕介
音響:葉暮呉一郎
照明:タカハシカオリ
小道具:定塚由里香
宣伝美術:イラスト…谷川千佳/デザイン…milieu design
制作:森永たえこ
協力:特定非営利活動法人アートシアター、(株)アイビー・ウィー、ウォーターブルー、(株)エーミュージック、(株)大沢事務所、(株)スチール・ウッド・ガーデン、(有)No.9、(株)パワー・ライズ、火遊び、UTY、リベルタ(五十音順)
製作:「わたしの、領分」製作委員会

 

▼最後に

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
 なかなか言葉では伝わりにくいことが多いかもしれません。
 もし興味があるという方は、観にきていただくだけでも大変なご支援となります。チケット収益と、今回クラウドファンディングで集まった資金で、その次へとつなげていきたいと思っています。
 私たちの小さな挑戦を、どうぞお見守りください。
 すぐに解決しないことに焦らず、小さな歩みを止めないよう頑張ります。

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