▽東日本大震災を経験した人の書いた、鮮烈な作品との出会い

 はじめまして。私は、藤田直哉と申します。一九八三年、札幌生まれの文芸評論家です。

 今回、新しく文芸誌を作る手助けを皆さんにお願いしたく思い、この文章を書いています。

 

 私は、東日本大震災を経験した人たちの言葉を集めた文芸誌を作らなければならないという思いに、何年も悩まされてきました。

 被災地に移住して、自腹で小さな冊子を作り続けるのはどうかと考えていた時期もありました。

 その思いに火をつけたのは、文芸誌の下読み(一次選考)を担当してきて、出会った多くの投稿作品でした。

 中に、東日本大震災を経験した方の書かれた作品がありました。

 鮮烈でした。

 自身の経験や、周囲の人々の体験を繋ぎ合わせて書かれたらしき作品群には、強烈に私の心を掻き乱すものがありました。

 技術的には洗練されていないし、高度でもない。しかし、そこに描き出されている出来事、感情、思考には、私を突き動かす何かがある。〈リアル〉の手触りとしか言いようがないものがある。私は悩みに悩み、「技術的に高度ではない」が「胸を打つ」として、受賞に推しました。

 残念ながらその作品は受賞には至らなかったものの、その鮮烈さは、いつまでも私の心の中に残り続けています。

 当事者ではない私には、想像したり考えたりすることができない内容・言葉がそこにはあった。それに、率直に驚かされました。

 これは、「文学」と呼ばれるべきではないのか。そう呼ぶことで、多くの人間が共有する可能性を作るべきではないのか。その想いを胸に抱いたまま、今に至ります。

▽もっと「共有」させてほしい

 批評家として、私が「当事者の文学」が足りないことに危機感・不足感を覚えたということも、震災経験者の文芸誌を作らなければならないと感じた大きな理由の一つでした。

 私は『東日本大震災後文学論』という書籍の編著を行い、その過程で、震災後に書かれた文学作品や、それに準じる文章を膨大な量、読んできたつもりでした。

 しかし、まだまだ知らないことがたくさんある。共有されていない経験がある。

 そう思い知り、打ちのめされました。

 今、私は、文学の言葉を通じて、被災した人々の経験や、心の奥底に触れたいという、強い衝動に駆られています。

 その衝動の理由は、分かりません。とにかく、触れたい、触れなければならない、と感じるのです。

 被災した人たちの経験を、私たちはまだ、全然共有できていなかったのではないか。その共有がなければ、私たちが、東日本大震災をどのような経験として理解し、今後の未来を考えうるのかについて、重大なズレが生じかねないのではないか。そんな危機感が、私を突き動かしています。

▽なぜ「文学」なのか――未曾有の経験を言葉にする方法を発明するために

 なぜ、文学なのか、と問われるかもしれません。

 答えは、文学は「発明」だからです。

 東日本大震災と、そこから続く経験は、おそらく、人類にとって未曾有のものです。未曾有であるがゆえに、それを語る言葉は、既存の言葉の中にはないのです。

 だから、語るためには、言葉や形式を発明しなくてはならないのです。 

 それは、非常に強い「生みの苦しみ」を伴うものかもしれません。

 同時に、これまでに語られていないことを語るからこそ、読み手も多大な努力をする必要があるかもしれません。

 文学の価値は、新しい何かを言語化し、その認識を共有するための努力にあると言っても過言ではありません。私たち批評家、あるいは文学の愛好者たちは、そのような分かりにくい言葉、複雑な言葉、矛盾や葛藤に満ちた言葉を読むことを通じて、本当に現そうとした何かに接近しようと最大限の努力を払います。

 だから、私たちを信頼して、言葉を発してほしい。

 そして言葉の発明によって、経験の仕方と、共有の方法を創造してほしい。それは、間違いなく、文学としての価値を持っている。私はそう信じ、それに賭けます。

 どうか、力を貸してください。そして、言葉を発したり、読んだり、共有することに、参加してください。

 おそらく、それは、一人の魂だけではなく、集団の経験をも救済しうるものになりうると、私は確信しています。

 

▽どんな固有の経験でも、響きあうことができる

 福島出身の作家、室井光広さんが『あとは野となれ』の中で発したこの言葉を、心に抱え、励みにすることで、私はこの企画を進める勇気を得ました。

 ――他の個人・状況をechoさせないほど特異な個人、顕著な状況は存在しない。

 私なりの言葉に言い換えると、どんな特異な個人と状況についての出来事であれ、決して孤立した出来事ではなく、他の人々、あるいは人類全体の中で響きあうということです。

 どんなに孤立し、表現や理解が困難な事でも、それが人間の経験である限り、必ずどこかの誰かに響きあう。少なくとも、私は、その「響き」を求めて近づいていく。

 そのような響きの連鎖が、やがて、経験を大勢に染み渡らせ、世界を少しずつ変えるかもしれません。

 私は、そのような夢を見ています。

 きっと、これは夢じゃなくできます。あなたのお力を、お貸しいただければ。

 

▽資金の使い道

 良い作品を集め、世に問うという目標を実現するための実費に使わせていただきます。

 具体的には、印刷、デザイン、原稿料、取材費……。

 藤田本人の人件費には、一切使わないつもりです。

 

 

▽リターン

3000円

1)進捗状況のレポートを、随時お送りします。

2)集まった作品を読み、感想をフィードバックするための特設サイトにアクセスしていただきます。」

 

5000円

1)進捗状況のレポートを、随時お送りします。

2)集まった作品を読み、感想をフィードバックするための特設サイトにアクセスしていただきます。

3)完成した冊子に、お名前をクレジットとして掲載します。

 

 

10000円

1)進捗状況のレポートを、随時お送りします。

2)集まった作品を読み、感想をフィードバックするための特設サイトにアクセスしていただきます。

3)完成した冊子に、お名前をクレジットとして掲載します。

4)完成した冊子を、お送りいたします。(お届け予定、2018年3月)

 

30000円

1)進捗状況のレポートを、随時お送りします。

2)集まった作品を読み、感想をフィードバックするための特設サイトにアクセスしていただきます。

3)完成した冊子に、お名前をクレジットとして掲載します。

4)完成した冊子を、お送りいたします。(お届け予定、2018年3月)

5)専用のクローズドFBページで、ディスカッションに参加していただけます。

 

 

100000円

1)進捗状況のレポートを、随時お送りします。

2)集まった作品を読み、感想をフィードバックするための特設サイトにアクセスしていただきます。

3)完成した冊子に、お名前をクレジットとして掲載します。。

4)完成した冊子を、お送りいたします。(お届け予定、2018年3月)

5)専用のクローズドFBページで、ディスカッションに参加していただけます。

6)イベントなどにお招きいただければ、無償で出演いたします。ワークショップやシンポジウムなども、招きに応じて、開催します。

 

300000円

1)進捗状況のレポートを、随時お送りします。

2)集まった作品を読み、感想をフィードバックするための特設サイトにアクセスしていただきます。

3)完成した冊子に、お名前をクレジットとして掲載します。。

4)完成した冊子を、お送りいたします。(お届け予定、2018年3月)

5)専用のクローズドFBページで、ディスカッションに参加していただけます。

6)イベントなどにお招きいただければ、無償で出演いたします。ワークショップやシンポジウムなども、招きに応じて、開催します。

7)編集会議にご参加いただけます。

 

 

  • 2022/01/07 11:00

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2019/05/02 23:06

    『ららほら』創刊号、2019年4月30日に、無事刊行いたしました。出資者の皆様には、既に発送いたしましたので、順次届くかと思います。 営業・広報力がとても脆弱なので、ぜひご紹介などしていただければ幸いです。目指すは、被災地の当事者たちが、自分たちも語ろう、と思ってくださることです。なるべく届く...

  • 2019/04/21 10:13

    お世話になっております。『ららほら』、間もなく完成いたします。現在印刷所さんで刷っていただいている最中です、4月26日に手元に届く予定です。そこから順次発送させていただきます。手作業なので、数日かかる可能性がありますが、ご容赦いただければと思います。皆様の暖かいご支援のおかげで完成できたことを...

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