江戸時代に日本地図のベストセラーとなった『赤水図』。制作した茨城県高萩市の偉人・長久保 赤水(せきすい)の関係資料が国の重要文化財に指定されたことを記念して、『赤水図』の復刻版を制作いたします。今回は特別に、赤水と縁の深い吉田松陰が、東北遊学で辿った足跡を地図上に浮かび上がらせます。

プロジェクト本文

🔶はじめに・会長からの挨拶

始めまして、長久保赤水顕彰会・会長の佐川 春久と申します。

この度、2020年3月19日に我々が愛する“長久保 赤水(ながくぼせきすい)”の関係資料が、国の重要文化財に指定されたことを受けて、これを機にもっと多くの方に茨城・高萩の賢人”長久保 赤水”の偉業を広く国民のみなさんに知っていただきたい、そして長久保赤水顕彰会の活動理念に賛同いただき所属会員の増加につなげていきたい!という想いで今回のプロジェクトを立ち上げさせていただきました。

初めてクラウドファンディングに挑戦させていただくということで、日ごろの固い文章表現が抜けきれませんが、日本の夜明けを導いたといっても過言ではない赤水の業績をまずは知っていただき、このプロジェクトに共感いただければ幸いです。

本日より顕彰会員総出で赤水のPRを行って参りますので、どうぞご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

昨年6月に顕彰会から高萩市役所へ赤水関係資料(299点)を贈呈した時の顕彰会員の写真
真ん中が大部高萩市長。私はその右側。

 

🔶今回のプロジェクトの概要

幕末の頃、吉田松陰は兄への手紙に“『改正日本輿地路程全図(赤水図)』これなくしては不自由故、当地にて相求め申し候”と書いている程、全国のこれだという人物を訪ねる際に長久保赤水がまとめた『赤水図』 を重宝したことが伺い知れます。とりわけ松陰は『東北遊日記』の中で、赤水のことを先生と呼び、東北行脚で最初に訪れた水戸藩の締めくくりに赤水の墓に立ち寄り、墓参したことが記されています。

自ら「飛耳長目(ひじちょうもく=情報収集や観察に優れ、ものごとに精通していること)を実行して、明日に備えよ」 と説いて実践した山鹿流兵学師範・吉田松陰の“行動力”と、街道・航路とともに多くの地名とその距離(=移動時間)が分かる近代的な『赤水図』を制作した儒学者・長久保赤水の“科学性”とを同時に堪能して頂けると考え、松陰の東北遊日記中の全足跡を記載した『赤水図』の原寸大レプリカを制作するプロジェクトを立ち上げました。

赤水がつくった世界地図。1788(天明8)年頃制作されたと言われています。
<いったい何者?江戸の地図男!長久保赤水展>HPより

🔶『赤水図』とは

伊能忠敬も測量時に携帯していた『赤水図』とは、『伊能図』(幕末まで“秘図”に指定されていて庶民は見ることができなかった)から遡ること42年前に初版(安永8年、1779年)が完成して、翌年春に大坂から刊行し、実際の地形に近い日本図に方角と距離が分かるように経緯線と時差を入れ、地図の1寸を10里と記載したものです。

河川や航路、潮汐考証と郡名を追加した第2版は、地名も約6,000に大幅に増やして寛政3年(1791年)に刊行しました。赤水は初版刊行後も間違いの修正や新たな情報を追加しながら版木を14、5回もその都度直して改訂(第2版も4~5回改訂)しており、正しいものを届ける真理を追究する“学者魂”が垣間見えます。

江戸時代に実際に市販されていた『赤水図』は、シーボルト親子の17枚も含めて、6ヵ国44枚が国外に持ち出され、諸外国において日本図の元図として利用されるほどに市中に出回り、庶民のレベルまで浸透していたことが伺えます。
 

🔶今回のプロジェクト品の『赤水図』原寸大レプリカについて

松陰は、嘉永4年(1852年)12月14日冬の江戸を出立して、嘉永5年(1852年)4月5日に全東北を踏破して江戸に帰還し、その詳細な実践記録が『東北遊日記』として残されています。この記録を当時のベストセラーマップ『赤水図』の原寸大レプリカに当てはめてみると、松陰の情報収集能力の凄さが分かってきます。

松陰は、最初の1ヵ月間は水戸藩を中心に水戸学に関係する人物と会っていることから、水戸光圀公が大日本史をまとめる過程で抽出・練磨された実践哲学『水戸学』に憧れを頂いていたことが伺えます。また、水戸藩めぐりの締めくくりとして長久保赤水の墓碑(「飛耳長目の人」と記した水戸前講讀官・赤水長久保翁碑)に参り、その後、磐城上田(植田)から冬の山越えを敢行し、山鹿流兵学開祖の地である会津若松へ向かっていることが分かっています。


🔶完全復刻!「赤水図」原寸大レプリカ

▼表面は、吉田松陰の『東北遊日記』の全軌跡が辿れる『赤水図』
 今回、実際に東北行脚の際に辿った松陰の足跡を『赤水図』(第2版)に記しました。

吉田松陰の東北遊学を再現した『赤水図』原寸大レプリカ、84.6cm×128.8cm


▼裏側は、『改製日本分里図』から『赤水図』初版~5版を掲載
 裏面には、赤水の改訂に改訂を重ねて行く『赤水図』の変遷を通して、学者・赤水の仕事ぶりをご覧頂きたいと思います。

裏面には、6枚の図で『赤水図』の変遷を示しています。

  • ①左上段の図は、改製日本分里図

改製日本分里図84.6cm×134.8cm明和5年(1768)本図が、手描きの赤水図の原図。
隠岐より北西の日本海には竹島と松島が描かれている。

  • ②上段中央の図は、改正日本輿地路程全図の初版

改正日本輿地路程全図 安永8年(1779)初版81.8cm×131cm
10里を1寸とし経緯線が引かれ約4200の地名が記された画期的な刊行日本図

  • ③上段右の図は、改正日本輿地路程全図の第2版。

※今回の返礼品に入れた『絵本りゅうのひかり』は第2版の磐城沖に記載した赤井嶽龍燈の不思議な現象を絵本にしたものである。 改正日本輿地路程全図寛政3年(1791)第2版83cm×128.5cm
初版の形状を修正し、河川や海上航路と潮汐考証部と郡名を記載し地名に至っては約6000に増やしたもの。

  • ④~⑥ 下段の3枚は左から第3版、第4版、第5版と続く。

赤水の死後に刊行されたもので、図の左下にある書肆(しょし、販売されていた書店)が版を追うごとに増えている事から、江戸時代の日本地図としては、異例のベストセラーマップであったことが分かる。第3版以降は、手塗から合羽刷りとなっている。

  •  ④改正日本輿地路程全図第3版、文化8年(1811)85cm×129.7cm
  •  ⑤改正日本輿地路程全図第4版、天保4年(1833)87cm×134.6cm
  •  ⑥改正日本輿地路程全図第5版、天保11年(1840)85.7cm×130.4cm 


長久保赤水および「赤水図」に関する参考映像としては、以下がインターネット上で公開されていますので、赤水の偉業についてご覧になりたい方は、こちらのリンク先をご覧いただければ幸いです。

 〇「出没!アド街ック天国~茨城 高萩~」 (テレビ東京放映) - 平成29年11月4日(土)
 〇「所さんの学校では教えてくれない、そこんトコロ!」 (テレビ東京放映) ‐ 令和元年 9月 6日 (金)
 〇「いばらき通信」 (NHK水戸放映) - 平成30年1月10日(水)


🔶高萩の偉人・長久保 赤水の人物像にせまる!

●農民出身の長久保赤水(せきすい)は、江戸中期に水戸藩の赤浜村、現在の高萩市の人で、当時の最先端の天文学や地理学・農政学等を学んだ儒学者

●水戸藩六代藩主治保(はるもり)公に取り立てられ侍講まで上り詰め、政策提言を行い治保公の藩政を補佐

●長久保赤水は、伊能図より42年前に現在の日本地図に近い改正日本輿地路程全図(赤水図)を完成し翌年刊行

赤水肖像画(雪旦)(高萩市提供) 


「百姓出身の長久保赤水の生い立ち」

赤水は百姓出身とはいえ、生母が読み書きを教え、赤水が9歳の時に亡くなりはしたが、継母が”百姓に学問はいらぬ”という周囲の声をよそに本を読ませ、更に教育熱心な医師の鈴木玄淳の私塾に通わせて、塾の友達との交流で花を咲かせたものです。
この赤水の生い立ちは、顕彰会会員の原康隆氏が制作した『マンガ・長久保赤水の一生』に分かり易く描かれています。

継母による赤水への愛情と教育方針が分かる一コマ

 切磋琢磨しながら交流を深めた赤水の仲間たち

「長久保赤水の業績」

赤水は、“学問というものは、道理法則を窮め、惑いを解き、心を堅める薬なのだ”と言っております。以下に著作の一部をご紹介します。

 〇 中国地図『大清広輿図』の刊行(水戸6代藩主治保の公命で、中国の書籍などから制作)
 〇 中国歴史地図帳『唐土歴代州郡沿革地図』の刊行(日本初の折り畳み式の13図、儒教の教科書。9省に分け、23枚の版木を使って印刷し大流行し、アジア小東洋図には、尖閣諸島付近も付記)
 〇 世界地図『改正地球万国全図』の刊行(地球を北極星と南極星を使って説明し好評をはくす)
 〇『芻蕘談(すうじょうだん)』を執筆(水戸藩政全般の提言書)
 〇 天文の入門書『天象管闚鈔(てんしょうかんきしょう)』を刊行し、付録に星座を書いた円盤が回せる星座早見盤を添付。
 〇『農民疾苦』を執筆(藩主に農民の現状を伝えるためにまとめた農政改革の参考書)
 〇『長久保赤水海防意見』『家訓』『人生訓』の執筆
 〇『大日本史地理志』編纂(この編纂や地図の功績により、明治44年に従四位下が追贈された)


🔶茨城県の北部にある高萩市ってどんな所?

緑豊かな高萩市は、工場群を囲むように春には2基の大きなパラボナアンテナのある「さくら宇宙公園」が桜の名所となっており、夏には小山ダム湖でのカヌーや湖畔でのグランピング、花貫ダム上流の花貫渓谷でのキャンプ、山奥には高萩スカウトフィールド「大和の森」が利用できます。秋の花貫渓谷にある汐見滝つり橋の紅葉は絶景です。

春の桜(市内歯科医師提供)

秋の紅葉(高萩市提供)

「ひよっこ」で使われたバス停がまだ保存されています。

高萩駅前に当会員の皆川敏夫氏を筆頭に顕彰会が一丸となって作り上げた赤水像が出迎えてくれます。 

🔶『赤水図』の実物を見たい方に

観光の合間に、高萩市歴史民俗資料館に立ち寄って頂ければ歴史好きならずとも赤水の生き方や業績に触れることができます。

床には原図の3倍のサイズの『赤水図』が敷かれていて、鳴門の渦潮、那智の滝、火山の噴煙、武蔵野原野をはっきりとご覧頂けます。『赤水図』の細かな改訂版も展示されておりますのでぜひともお越しください。


また、以下の書籍からも赤水が取り組んだ偉業について触れることができます。

◎海田俊一著「流宣図と『赤水図』―江戸時代のベストセラー日本図―」アルス・メディカ発行、2017年刊は詳細な改訂状況が分かります。

◎黒田日出夫、メアリ・エリザベス・ベリ、杉本史子編「地図と絵図の政治文化史」東京大学出版会、2001年刊は、全体が俯瞰できます。

◎小林茂・永用俊彦・鳴海邦匡・臼井公宏・小野寺淳・立石尚之編、協力古河歴史博物館「鎖国時代海を渡った日本図」大阪大学出版会、令和元年版は、海外の状況が分かります。


🔶長久保赤水顕彰会とは

長久保赤水顕彰会は平成4年11月23日(1992年)に設立されました。
赤水の生涯と功績を讃え、広く赤水を知ってもらえる活動に取り組み、長久保片雲氏、横山功氏、横山洸淙氏らの会員と顕彰会とで多くの出版物を発行してまいりました。
詳細は、下記の長久保赤水顕彰会ロゴからホームページをご覧ください。(英語バージョンもあります)


顕彰会による出版書籍

「広がりを見せる活動の輪」

平成30年(2018年)7月2日~8月4日には東京日比谷公会堂脇の領土・主権展示館にて長久保赤水展(いったい何者?江戸の地図男!長久保赤水展)にて開催されました。

記念すべきオープニングセレモニー

内閣府特命担当大臣福井照氏への説明

顕彰会の会員が講師となり、市内の中学校での赤水に関する講義の様子

「顕彰会会長・佐川春久からのお願い」

飛耳長目を唱える2人の巨人のうち、守りの重要性から東北遊学した兵学師範の吉田松陰と、儒学の立場から学問を人の為に使う長久保赤水とが、『赤水図』で繋がっていることを示した今回のプロジェクトで、天文学に基づいた『赤水図』が現代の地図と同様に物流や人の移動欠かせない実用地図であった事と、赤水の人となりをも共感いただいた方にご支援を頂ければ、長久保赤水顕彰会としても望外の喜びであります。

長久保顕彰会は、ウォーキングクラブと協賛し、東京と高萩にて毎年赤水ウォークを実施し、賞金付き感想文募集なども行っており、日本全国の旧家に保存されている『赤水図』が多く見つかれば、旧家サミットも夢ではないと考えていますので、今後とも「学ぼう!赤水を教科書に載せて広げよう世界へ」、「ひよっこ」の次は、大河ドラマ「長久保赤水伝」を実現しよう!を目標に、多くの企画を実施して行きますのでご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。


「顕彰会会長・佐川春久プロフィール」

高萩市役所に38年間勤務。平成22年(2010年)3月 高萩市役所総務部長を最後に定年退職。
平成22年(2010年)10月 高萩市市長公室四英傑専門官 就将館館長などを務め
現在 高萩市教育委員会生涯学習課の臨時職員、平成24年から長久保赤水顕彰会会長、
戸沢政盛(まさもり)公顕彰会会長、高萩郷土史研究会の事務局を務める。


🔶 最後に

幼少期に親・兄妹と死に別れ、継母により大切に育てられた赤水。
幼児教育から高等教育と良き先生と仲間との出会いに育てられ、教育の大切さ・縁の大切さを生かした見本のような人物です。

激動する日本において、常に沈着冷静に将来を見渡し、今すべきことに想いを馳せ、学問の習得・見分を広めることに努めた若き日の修練が、晩年の赤水の躍進・偉業を支えました。

先行きが見通せない困難な時代に、赤水の生き方や働き方に触れ、これからの時代をどう生きるかということに想いを巡らせていただくきっかけになればと考えています。

みなさまからの厚いご支援をよろしくお願い申し上げます。



🔶返礼品のご紹介

◎『絵本 りゅうのひかり』について

今回のレプリカ制作に先立ち『絵本 りゅうのひかり』 が3月末に完成を迎えます。

これは、赤水が実際に体験した磐城沖の赤井嶽龍燈での不思議な出来事をもとにしたストーリーを絵本にしたものです。

帯には『武士の家計簿』 著者の磯田 道史氏(国際日本文化研究センター准教授)に推薦文をいただきました。


◎続いて、特徴のあるリターンをご紹介させていただきます。

▼3千円コース:
〇『赤水図』原寸大レプリカ1冊
〇赤水顕彰会の会員権(1年間)
〇「絵本 りゅうのひかり」1冊

▼5万円コース:
〇『赤水図』原寸大レプリカ5冊
〇長久保赤水に関する講話への参加権 (講師、長久保赤水顕彰会会員による出張講話)

▼10万円コース :
協賛企業、原寸大レプリカの裏面に企業名記載
〇礼状と原寸大レプリカ10冊を返礼品とさせて頂きます。
〇『赤水の「蝦夷之図」と「蝦夷松前図」の制作時期と時代背景』1冊
〇 領土・主権展示館『いったい何者?江戸の地図男!長久保赤水展』パンフレット1冊
〇 長久保赤水生誕300年記念事業実行委員会パンフレット1部
〇『絵本りゅうのひかり」1冊
〇『長久保赤水銅像建立記念ソング』CD1枚

 

🔶支援金の使い道と今後のスケジュール

『赤水図』 復刻版・原寸大レプリカを3,000部制作する費用(約300万)に充当させていただきます。

~今後の日程~

クラウドファンディング   ; 3月29日~6月16日(80日間)
レプリカ印刷期間(調整含む); 6月17日から2.5ヶ月を予定
レプリカの折りと袋詰め   ; 9月上旬から順次作業開始予定
返礼品発送         ; 11月6日(赤水の誕生日)頃の予定

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