初めまして。NPO法人まちづくりLAB理事長の永田充(ながたみつる)です。
NPO法人まちづくりLABは子どもの居場所づくり、学習支援、児童福祉の問題啓発などを行っています。
今回は、個別派遣型支援「ゆうがお塾」についてプロジェクトを立案しました。
▲NPO法人まちづくりLAB理事長 永田充
「ゆうがお塾」とは、子どもの健全な育成と、保護者の子育て負担の軽減を目的とした個別型支援です。
困り感を持つ家庭の保護者や子どもの相談に乗り、一緒に支援計画を考え、その計画に沿った学習支援、生活支援を行っていきます。
▲支援員と一緒に勉強を頑張っています。
「困り感」とは、嫌な思いや苦しい思いをしながらも、それを自分だけではうまく解決できず、どうしてよいのか分からない状態にあるときに、本人自身が抱く感覚です。<佐藤 暁「発達障害のある子どもの困り感に寄り添う支援」より>
現在では、教育・福祉におけるキーワードとなっており、困り感を持つ状況というのは人によって違います。
例)学校が苦手・人付き合いが苦手・感情コントロールが苦手・生活リズムが整えられない・勉強が苦手・家族関係がうまくいかない・発達障害がある
そんな困り感がある子ども・家庭に対し、必要に応じた支援を計画し、実施しています。
私たちは「ゆうがお塾」をより多くの支援を必要としている人たちに広めたいと思っています。
そのために以下の取り組みを行っていきたいと思っています。
① 訪問支援員(大学生)の育成
「ゆうがお塾」の支援は、専門知識のある自立コーディネーターと、実際の支援を行う訪問支援員で行っています。(※詳しくは下記【どんな人が支援しているの?】参照)
そのため、多くの支援を実現するためには、訪問支援員の増員が必要となります。
しかし、訪問支援員は大学生であり、支援には多くの知識が必要なため、ただ人数を増やすだけでなく、研修を行い、支援員として育成しなければなりません。
そのため、講演やワークショップなどの研修会を月1回開催していきたいと思っています。
更に、この研修を受けることで、学生の将来につながる学びにもなります。
▲当法人が過去に企画した勉強会では中学校教諭(上)やTeach For Japan代表の松田さん、特定非営利活動法人 箱崎自由学舎 ESPERANZAの小田さん(下)をお呼びしました。
② 相談しやすい環境づくり
支援を必要としていても、相談する一歩が踏み出せない人も少なくありません。
そのため、私たちは相談を待つだけでなく、学校や地域、企業に出向き、相談を受けに行きたいと思ってます。
③ 理解の促進
支援が必要な人の存在や、それに対する取り組みの理解を進めるため「ゆうがお塾」の報告を兼ねたフォーラムを開催したいと思っています。
対象年齢は小学生から高校生までです。
支援するお子さんは「こんな子!」と一概に言うことはできません。
一人ひとりの事情で、学習が遅れていたり、学習機会に恵まれていないお子さんに対し、本人とご家族のニーズに合った支援を行っていきます。
▲個別支援なので、一人ひとりにあった内容の学習ができます。
派遣型の子ども支援というと、家庭教師などをイメージされるかもしれません。
一般の家庭教師との大きな違いは以下の2点です。
●個別ニーズに合わせた派遣型支援
私たちは支援の最終目標を【自立】に置き、子どもと家族のニーズに合わせ、支援計画を立てて、それに沿った支援を行っていきます。
ニーズの例としては、「生活リズムを整えたい」「勉強の習慣をつけたい」「話し相手が欲しい」などの具体的なものや、子どもに発達障害があり、それに合った支援などの場合があります。
家庭教師とは違い、多様かつ必要なニーズに応えていけます。
●生活を中心においた支援
純粋に学力を上げるだけなら、家庭教師のほうが有効かもしれません。
私たちは勉強は生活の一部であり、ニーズと現状を照らし合わせ、勉強の必要性があれば支援計画に入れていく視点に立っています。
そのため、勉強中心の家庭教師とは違い、生活の相談に乗ったり、必要があれば介入を行っていきます。
▲支援員もノートなどを使い、わかりやすいように工夫しています。
私たちの支援は【三者一体の支援体制】を基本としています。
支援は相談・支援計画立案等を担当する『自立コーディネーター』、実際に支援を行う『訪問支援員』、そして『ご本人・ご家族』の三者が一体となって目標達成を目指す体制で行っていきます。
●本人・家族
私たちは問題解決していくのは、当事者である子ども本人や家族であるという視点に立っています。そのため、支援体制に入ってもらい、協力し合っていきます。
●自立コーディネーター
ゆうがお塾の相談員の名称です。支援に関する専門性を持ち、ご本人やご家族、関係機関と、協力・連携し、自立までの道のりを一緒に考えていきます。
●訪問支援員
実際にご本人やご家族に関わる支援員の名称です。基本的に心理や教育を学んでいる大学生で構成されており、ご本人にとっては、少し年上のお兄さん・お姉さんの立場で関わっていきます。
訪問支援員は当法人で用意した研修を受け、必要な知識を持って支援を行います。また、定期的に自立コーディネーターから助言等を受けたり、支援内容を見直したりと連携を行い、専門性を確保した支援を実現します。
▲現在は4人の大学生が訪問支援員として支援を行っています。
いいえ。月謝を頂いてます。
ゆうがお塾の支援を受ける金額として、基本的に1時間1250~1500円頂いています。支援場所によっては、交通費も別途いただきます。
支援対象家庭によって、様々な事情があり、子どもが自分で稼いで支払う場合等もありますので、金額には幅を作っています。支援開始前に、支援家庭には金額の説明をし、了承いただいた上で支援を行っています。
有料で行う理由として、以下の3点があります。
①本人・家族に真剣になってもらうため
②私たちの責任感の向上のため
③専門職としての距離感の確保のため
そして、なにより私たちが資金不足により活動できなくなっては、必要な支援を届けられなくなるという本末転倒な状況にもなりかねません。しかしながら、 お金のない貧困家庭の子どもの支援もどうにか実現したく、そちらの面では、まだ方法を考えている状態です。
▲ 子どもたちに合った教材の購入にもお金がかかります。
「平成27年版 子供・若者白書(内閣府)」によると『 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする小学生・中学生』は6.5%とされています。
これは35人のクラスの中には2~3人いるということです。
この子達は学校や家庭で適切な支援を受けることができているのでしょうか。
同書によると、ここ数年では家庭内暴力が増えており、特に中学生の家庭内暴力が急増しています。また、いじめや不登校も、未だに減少していません。
これは子どもたちが安心できる居場所、認めてもらえる居場所の減少が影響しています。子どもが安心して自分自身を表出できないため、口に出せない感情を、いわゆる問題行動で表出することになるのです。
多様化・複雑化する時代、子どもを取り巻く環境を大人が理解するのは難しく、専門知識が必要な場面も増えてきています。核家族が進み、更に共働き家庭やひとり親家庭が増えている現在、もはやお父さん・お母さんだけで十分な子育てができなくなっています。
今必要なのは学力重視の学習支援ではなく、個別ニーズに対応し、子どもの理解者となる「ゆうがお塾」だと私たちは考えます。
▲勉強だけでなく、たまに散歩をしながら学校のことや将来のことを支援員と話すことも多くあります。
●「子どもの支援を考える青年会」(研修)の開催
会場費(12ヶ月):40,000
講師費(12ヶ月):70,000
●個別相談会
交通費:20,000
パンフレット:20,000
☆合計:150,000
4月~:個別相談会開催
8月:夏キャンプ開催
9月:フォーラム開催
毎月1回「子どもの支援を考える青年会」(研修)開催
NPO法人まちづくりLABとして、私たちが実現するのは、すべての子どもが安心して遊び、学び、成長し、愛される未来です。
そして、「ゆうがお塾」が目指すのは、すべての子どもにチャンスがある未来です。
夕顔という花の花言葉は【逆境を克服する】です。子どもがどんな環境にあっても、自分たちなりのチャンスをつかめる社会の実現のために、私たちは、まずは一人ずつ確実にサポートしていきたいと思っています。
私は4年間、児童相談所の一時保護所で児童指導員として働いてきました。そこで、虐待・非行・家庭内暴力・貧困など様々な生活背景を持った子どもたちと出会ってきました。
メディアでもこのような子どもの問題が取り上げられるようになり、これを引き起こしている「困った子ども・困った親」の存在が徐々に知られるようになりました。
しかし、その「困った」というのは周囲がそう感じるからではなく、「当事者である子どもや家族が困っている」からという本質は見落とされがちです。
確かに、向上心がない人もいるかと思います。ですが、そうなるには、それなりの環境や理由が存在しています。
多くの子どもや家族は、それぞれのかたちで、現状より「よくなりたい」と思っています。その想いと現実の狭間で困り、苦しんでいるのが児童福祉の根本の問題です。
私たちは、そのような子どもや親の力になりたく、個別派遣型支援「ゆうがお塾」を2014年10月より実践してきました。現在まで7名の子どもの支援を行っています。
そしてこの度、この支援をより多くの人に知ってもらうことにより、より多くの子どもたちに支援を届けたいと決心し、プロジェクトを開始しました。
当法人は、19~25歳のスタッフで運営しています。
若いながらも学びと経験を活かし、日々活動しています。
▲ スタッフの集合写真(2015/11/8開催 クリスマスチャリティライブFUKUOKA2015)
2015年11月8日に開催し、100名以上の来場があった『クリスマスチャリティライブFUKUOKA2015』は西日本新聞にも取り上げられ、スタッフみんなで大喜びしました。
▲西日本新聞 2015/11/3掲載
日々、活動の質の向上と拡大を目指し、会議を繰り返し、協力して前に進んでいます。
▲会議の様子
人の人生に関わる活動なために、毎回、会議は緊張感があり、真剣そのものですが、ただ真面目なだけでなく、スタッフ一同仲良く楽しんで活動しています。
▲ 会議や活動のあとにご飯に行くことも多く、和やかな雰囲気の中活動しています。
でも、一番、スタッフが生き生きしているのは子どもたちと一緒にいる時かもしれません。これからも子どもたちの未来に貢献できるよう精一杯精進していきます!
▲当法人の「フリースペース つばさ」は多くの子どもたちの居場所になっています
ぜひ私たちの活動をご覧下さい!
【Facebook】 https://www.facebook.com/machidukurilab/
【Instagram】 MACHIDUKURILAB
【Blog】 http://machilab.org/category/staff/
最後に
私たちは支援者として、家族にとっては『良き子育てのパートナー』、子どもにとっては『良き自立のパートナー』を目指しております。
ぜひ、皆様には、私たちにとっての『良き支援のパートナー』となっていただきたいです。