● まちなか油田プロジェクト!バイオディーゼル燃料でエネルギーの地産地消 

 今回のプロジェクトは、飲食店などの事業所や家庭から出る使用済みの食用油を集め、軽油の代わりに使えるバイオディーゼル燃料を精製するというものです。

 

近年、豪雨や台風による被害が毎年のように起こり、多くの方が気候変動を実感していることと思います。

 

私の住む高島市でも今年の台風21号で大きな被害が出た地域もあります。

 

そのため、地球温暖化などの環境問題について何かしなければと感じている人も増えてきているのではないでしょうか?

 

そして、その方法の一つとして“再生可能エネルギーの利用”があることは多くの方がご存知だと思います。

 

今回のプロジェクトで精製するバイオディーゼル燃料も再生可能エネルギーのひとつで、使用時に排出するCO2を食用油の原料となる植物が光合成によって吸収することでゼロカウント(CO2の総量は増えない)できるエネルギーです。


 

また、アトピーやぜんそくの原因と言われている硫黄酸化物や黒煙の発生が非常に少ないクリーンなエネルギーです。

 

そんなクリーンなエネルギーが普段料理で使うてんぷら油から作れるんです。

 

なので、家庭や飲食店から出るてんぷら油を回収し燃料にリサイクルすることで、石油の油田にかわる、まちなかのバイオディーゼルの油田を掘り当てよう!というのが今回のプロジェクトです。

 

 

● 高島市にある小さなガス屋の大きな挑戦

 今回のプロジェクトの起案者の有限会社橋本燃料 専務取締役 橋本翔太です。

 

 私どもの会社は滋賀県高島市今津町を中心に主にLPガスや灯油といった燃料の販売と関連燃焼機器や住宅設備機器の販売・施工を行っています。

 

創業は1953年で最初は薪や加工炭の販売からスタートしました。

 

ちょうどその頃から、家庭でLPガスが使用され始め、当社も1958年からLPガスの販売を開始しました。

 

以後、LPガスをはじめとした生活に欠かせないエネルギーの供給を通して、お客様の暮らしに寄り添い、生活にぬくもりをお届けするサポートをしてきました。

 

そして現在、地球温暖化などの環境問題が避けては通れない課題として、私たちに与えられています。

 

弊社も化石燃料を販売する会社として、この問題に対して真摯に向き合っていかなければなりません。

 

そこで、高効率ガス給湯器などの省エネ機器の販売促進をはじめ、太陽熱温水器を活用した給湯システムの導入など、家庭での省エネ・創エネを推進していきたいと考えております。

 

さらに、そこから一歩進んだ環境活動として、地域内で見過ごされてきた廃食用油という資源を活用したバイオディーゼル燃料の製造を通して、「エネルギーの地産地消」の取り組みも推進していきたいと考えています。

 

そして、持続可能な循環型の地域をつくり、「そんな活動をしている高島市ってなんだか面白そう!」と思ってもらって、UターンやIターンしてくれる人が増え、たかしまがさらにおもしろいまちになっていく好循環が生まれればと思っています。


 

プロジェクトにかける思い

私がこのプロジェクトを通して実現したいことは大きく分けて2つあります。


1つは、先ほども書きましたが、「エネルギーの地産地消」をこの高島市で行うこと。


もう1つは、家業であるガス屋を“アップデート”すること。


・エネルギーの地産地消

まず1つ目の「エネルギーの地産地消」について。


簡単に説明すると、地域にある資源を有効利用してエネルギーを生み出し、それをその地域内で利用することです。


現状、エネルギーというと化石燃料や原子力がメインで、その原料を調達するのに莫大なお金が地域外はもとより、国外に流れていってしまっています。


そこで、地域にある再生可能エネルギーなどの資源を有効利用して「エネルギーの地産地消」をすることで、地域外に流れていたお金を地域内で回すことができ、それによって経済を好循環させて、本当の意味で地域内を豊かにすることができます。


また、再生可能エネルギーですので、環境に対する負荷も少なくなります。


さらに、地域でエネルギーを生み出すことができていれば、災害時に非常用発電などの必要最低限の電力をまかなうこともできます。


冒頭でも書いたように、高島市でも最近は毎年のように台風などで停電が起きており、非常用発電設備は防災を考える上でも必要不可欠になってくると思います。


現在、滋賀県では“しがエネルギービジョン~原発に依存しない新しいエネルギー社会の実現に向けて~”と題して、省エネや創エネ、エネルギーの効率的な利用の推進をはかっています。


高島市は県内でも比較的自然が多く残る土地で、


環境保護や観光資源としても、この豊かな自然を守り残していくことは重要で 、また、敦賀などの原発から25~50km圏内に入るので、エネルギーの地産地消といった動きは今後、必ず求められてくると思います。


なので、「エネルギーの地産地消」のように外部に依存しない自立した地域をつくることは、そこに住む住民の安心にもつながるはずです。


話をバイオディーゼルに戻すと、バイオディーゼルの原料は地域から出る廃食油でそれを軽油の代わりとして地域の建設会社さんの重機に使ったり、農家さんのトラクターに使ったりすれば、今まで軽油の購入費用として地域外に出ていたお金が地域で回るようになります。


もちろん、バイオディーゼルでディーゼル発電機を動かすこともできるので、非常時の電力をまかなうこともできます。


ここで、バイオディーゼルがほかの再生可能エネルギーと大きく違うところは、住民の皆さんの協力が無くてはならないと言うところです。


太陽光や風力などはその設備を建ててしまえば後は勝手に発電してしまいますが、バイオディーゼルは原料となる廃食油を常に住民の皆さんや地域の飲食店さんから提供してもらわなければなりません。


ここに、私がバイオディーゼルをやる大きな意味があります。


太陽光や風力などのように人手がかからないことはとても大きなメリットですが、やはりそれでは私も含めて一般市民レベルでは「エネルギーの地産地消」をしているという実感を感じることが難しいのではないかと思ったのです。


その点で、バイオディーゼルは継続して廃食油を集めて回収するというとてもアナログな方法でないと成り立たないエネルギーです。


ですが、だからこそ住民の皆さんとのつながりが生まれ、地域が一丸となって地域のエネルギーを支えている実感を得ることができるんじゃないかと思ったのです。


そうやって、一人ひとりが生活の中で実際に行動しないと、本当の意味でエネルギー問題や環境問題は良い方向には進んでいかないと思っています。


また、そうやって行動した経験が、次に新しいことを始めるときの自信となり、どんどん新しくて面白いことを仕掛けていける地域になればいいなと思っています。


そして、そこに惹かれてUターン・Iターンしてくれる人が増え、「この地域が好きで暮らしている。」という幸福度の高い人口が増えれば、さらなる好循環がこのたかしまに起こるんじゃないかなと。


この先、高島市に限らず日本全体で人口は確実に減っていきますが、生まれ育ったこのたかしまが、人口が減って疲弊していくまちではなく、人口が減っても元気なまちにしたいと思っています。


・ガス屋の“アップデート”

次に、ガス屋の“アップデート”について。


現在、私は橋本燃料の三代目として実家で働いています。


“家業を継ぐ”というと「自分のやりたいことを諦めて、仕方なく継いでいる。」という風なネガティブなイメージを抱く人も多いと思います。


ですが、私はそのようなネガティブな理由では家業を継いだわけではありません。


学生時代は「跡取りだからと言って絶対に家業を継がなければならないことはない。自分の人生なんだから、やりたいことを自由にやらせてもらう。」と、考えていました。


そんなふうに思っていた大学3年の時に、東日本大震災が起き、そこで日本のエネルギー問題が大きく取り沙汰され、私も深く考えるきっかけとなりました。


ここで関心を持ったこと自体が燃料屋に生まれた影響を受けていたかも知れませんが、そうでなくても関心を持った人も日本中にたくさんいたと思います。


そういった流れの中で、確かに大手企業なんかは再生可能エネルギーの利用促進というような方向で動いていましたが、実際の私たちの生活の中ではやはり他人事になってしまいがちだと感じました。


なので、もっと暮らしに身近なところから一人ひとりにアプローチをかけていって、実際の生活の中で考えてもらうようにしていかなければ、本当の意味でエネルギー問題は良い方向には向かっていかないんじゃないかと考えるようになりました。


そう考えたときに、実家の燃料屋はLPガスというエネルギーを通して地域の各家庭と密接な関係があり、私のこの想いを実現させていくのにうってつけの仕事だと思い、家業を継ぐことを決めました。


なので、自分のやりたいことをやるためにポジティブに家業を継ぎました。


しかし、ガス屋を継いで直面したのは、当然と言えば当然なことですが、ガス業界は結局ガス(=化石燃料)の増量を目指しているという現実です。


そうでなければ業界は成り立たないので決して否定はしませんが、でも自分はやはりガス(=化石燃料)はできる限り減らしていく方向に進むのがベストだと思っています。


だからこそ、私たちのような暮らしに身近な“まちのガス屋”が本気でガス(=化石燃料)の減量を提案していくことをしないと、日本全体で本当の意味でガス(=化石燃料)の減量は実現しないと思いました。


ここで問題なのが、ガス屋がガスを減らすと当然売り上げが落ちてしまうということです。


なので、ガス減量を本気で進めていくためにはガスに代わる武器が必要になってきます。


そこで私が選んだのが、バイオディーゼルでした。


ガス以外の経営の柱となり、かつ、エネルギーの問題について考えるきっかけを与えられ、さらに、既存の事業から展開しやすい再生可能エネルギーだったことが決め手でした。


これからの時代に求められるガス屋のカタチを自分なりに考えた結果、ガス増量にとらわれることなく本気で省エネを進め、各家庭のエネルギーのベストミックスを提案していけるガス屋、というカタチに行きつき、そんなガス屋に“アップデート”していきたいと思いました。


こんな風に、家業を継いでも自分のやりたいことはできるし、新しいことにもチャレンジできる、ということを証明して、“家業を継ぐ”ということのイメージをポジティブに変換したい。


話を広げると、田舎でもやる気とやり方次第で新しい仕事はつくれる。


むしろ田舎だからこそ都会よりも低めのハードルで新しい挑戦ができるんだ。


というメッセージを伝えたい。

 

特に、若い世代に伝えて、「田舎で働くのもそんなに捨てたものじゃない。」と思ってもらって、将来たかしまに帰ってくるという選択肢を与えることができればと思っています。

 


 

 

バイオディーゼルの魅力

 バイオディーゼル燃料(BioDieselFuel:BDF)は菜種油などを原料とする再生可能なバイオマス燃料です。

 

燃料として利用することによって排出されるCO2を、原料となる植物が光合成によって吸収することで、追加的なCO2を発生しない“カーボンニュートラル”という特性があり、地球温暖化対策に有効な手段とされています。

 

また、使用済みの食用油を排水に流してしまうと水質汚濁の原因にもなります。

 

例えば、大さじ一杯の食用油を台所から流したとすると、それをきれいな水に浄化するのにおよそ3,000Lの水(満水の浴槽10杯分)が必要になります。

 

ですので、滋賀県においてはびわ湖の水質保全という観点でも、廃食油の回収には大きな意味があります。

 

滋賀県では1977年に大発生したびわ湖の赤潮を機に、家庭から回収した廃食油を原料とした粉石けんを使おうという「せっけん運動」がおこりました。

 

 

 当時の廃食油回収の様子。

 

 今回、このせっけん運動を主導していた滋賀県環境生活協同組合(環境生協)から事業を継承した「NPO法人 碧いびわ湖」さんにご協力いただき、リターン品の“台所用液体せっけんゆう”と“粉せっけんびわ湖”をご用意しました。

 

 

このように環境負荷の少ないクリーンなエネルギーであるバイオディーゼル燃料ですが、既存のディーゼルエンジン車に特段の改造を施すことなくそのまま使用できます。

 

また、自動車等の燃料としてだけでなく、発電やコージェネレーションシステムへの利用も可能で、地域から出る廃食油でバイオディーゼルを製造できれば、災害時等の非常用電力を自給でき防災面での活用も期待できます。



 

 

バイオディーゼル に関心を持つようになったきっかけ

 再生可能エネルギーと一口に言っても、太陽光や風力、水力、地熱、木質バイオマスなど多くの選択肢があります。

 

いまの日本では太陽光発電が一番メジャーで、再生可能エネルギーや自然エネルギーと言われて、真っ先に思い浮かぶのが太陽光発電ではないかと思います。


そんな中で、なぜバイオディーゼルなのか?


きっかけは、同じ滋賀県でバイオディーゼル事業をされている油藤商事株式会社の青山裕史さんの講演を聞かせていただいたことです。

 

油藤商事さんも弊社と同じくLPガス・灯油の販売、ガソリンスタンド業をされており、15年も前からこのバイオディーゼル事業を始められています。

 

 

 油藤商事さんのバイオディーゼル精製プラント。

 

ガソリンスタンドにバイオディーゼル専用の給油スタンドを設置して給油しておられます。

 

 

 家庭からの回収風景。

 

個人的に持ち込まれたり、自治会も協力して自治会館などに回収BOXを設置し、地域一体となって廃食油の回収に取り組まれています。

 

事業所からの回収風景。

 

社員食堂などから出る廃食油を回収し、精製したバイオディーゼル燃料をその事業所が所有するトラックなどに使用する、という循環が生まれています。

 

同業でこのようにバイオディーゼル事業を確立されている方の話を聞き、ビジネスモデルとしてより現実的に自社に落とし込むイメージができたことが最大のきっかけでした。

 



 

バイオディーゼル燃料の精製方法

家庭や事業所から出る廃食油を回収し、精製プラントでバイオディーゼル燃料に精製します。

 

今回、事業を始めるにあたって油藤商事株式会社の青山裕史さんへお話をうかがいに行った時、ちょうど中古の精製装置が1つ余っており、それを格安で譲っていただけることとなりました。

 


 

こちらがその中古の精製装置です。

 

そんなご縁もあり、油藤商事さんの全面的なバックアップの元、今年の11月13日、精製プラントの設置を行いました。

 

このような感じで設置が完了し、ただ今、絶賛廃食油募集中です!!


 

ここで簡単ですが、バイオディーゼル燃料の精製方法を説明したいと思います。

 

まず、集めた廃食油にメタノールと水酸化カリウム(苛性カリ)を混合した溶液を加えて、60℃程度に温めながら混ぜ合わせます。

 

そうすると、バイオディーゼル燃料の正体である脂肪酸メチルエステルと、不要な成分のグリセリンに分離します。

 

一晩静置するとこのグリセリンが下部に沈殿するので取り除きます。

 

その後、60℃程度の温水で脂肪酸メチルエステルを水洗いし、取りきれず残っているグリセリンや他の不純物を取り除きます。

 

この水洗いの水が透明になるまで繰り返し、最後に完全に水分を除去するために加熱して水分を蒸発させます。

 

通常はこれでバイオディーゼル燃料の完成なのですが、今回は青山さんオススメの2つの浄化装置を設置しました!


それがこのイーレップ社製のエリオンドライと、 

 

エリオンクリーナーです!

 

エリオンドライは筒状の本体の中に特殊な専用の浄化メディア(細かい粒状の物質)が入っており、その中に燃料を通すことで、簡単に言うとろ過のような形で、不純物を除去します。

 

そして、エリオンドライを通った後の燃料を、今度はエリオンクリーナーでさらに浄化します。

 

エリオンクリーナーは1万ボルトの高電圧をかけ、静電気の力で普通のフィルターでは除去しきれない超微細な不純物まで除去することができます。

 

燃料中の不純物がエンジントラブルの主な原因なので、ここまでするとかなり高純度の燃料が出来上がるので、エンジントラブルも起きにくくなります。

 

 

 

このようにして精製したバイオディーゼル燃料を地域で走るトラックやバス、建設機械、農業機械、ディーゼル発電などの燃料として利用してもらいます。

 

“地域”から出る資源を有効活用し、“地域”で使うことで、“地域”でお金を回しながらエネルギーの地産地消を推進していきたいと考えています。


 

● 支援金の使いみち

 

廃食油回収専用のトラック購入費用(中古・約100万円)にあてさせていただきます。

 

 

 

● 実行スケジュール

 

2018年11月13日製造プラント設置完了

2019年3月頃まで社有車にて実証実験

2019年4月より本格販売開始

 


● お問い合わせ先

 

有限会社 橋本燃料 専務取締役 橋本 翔太

〒520-1621 滋賀県高島市今津町今津230

TEL:0740-22-2140

FAX :0740-22-2192

E-mail:hasimoto.nenryo@gmail.com

https://www.sho-ta.net/

 

  • 2019/06/08 15:06

    ご報告が遅くなりましたが、使用済み食用油回収車が納車されました!     詳しくはブログに書いてありますのでリンク先の記事をぜひ読んでください! ↓↓↓ 3代目ショータのエネログ     皆様からご支援いただいたありがた〜い支援金を購入費用の一部に充てさせてもらいました。  ...

  • 2019/05/11 06:37

    大変長らくお待たせ致しました。   今回のプロジェクトの支援金の使い道である使用済み食用油の回収専用車がようやく決まりました!   岡山県倉敷市からうちに嫁いできてくれるボンゴトラックです!     ほんとはパワーゲート付きが良かったんですが、その条件...

  • 2019/03/29 16:14

    リターン品を順次発送しています!   ただ、オイルポットの入荷が遅れておりまして、オイルポットが含まれるリターンを購入された皆さまには、もうしばらくお待ち頂かなければなりません。   申し訳ありませんが、よろしくお願い致します!