アルベルゴ・ディフーゾ(地域分散型ホテル)日本版を鎌倉で!

 コロナ感染症禍で先行きの見えない中、奮闘を続けているものの甚大な影響を受けている業界のひとつが観光業、中でも宿泊業といえるでしょう。また、ついで飲食業、さらに続いて小売業といわれています。

 私たちは、ここ鎌倉で、大町子供心を呼び起こす ゲストハウス『大町ジャンクション』を、御成町世界中のお母さんのレシピを日替わりで提供するカフェ『ワンダーキッチン』を、また御成通り商店街の中に古き佳きものを今の生活に活かすセレクトショップ『ディープ・ブルー・フィクション』を運営しており、これらの店舗も、当然のことながらその影響をモロに受けました。

 まさに3カ月間というもの、ほぼお客様はゼロで、先行きの回復も見込めないまま、それでもスタッフの雇用は守りつつ、鎌倉という希有な観光地の底力や回復力を信じて、何とかやってまいりました。

 何よりも、日本の一大産業のひとつである観光業がこのまま廃れる一方とも思えず、また国内需要の高まりも日々実感していますので、近いうちに必ずや往事の賑わいがこの界隈に戻ってくるものと思っています。特に鎌倉は、海も山もあり、自然に恵まれ、東京近郊からは電車でわずか1時間とアクセスもよくメディアはもちろん、映画やTVドラマ、小説、歌などにも度々登場しては、人々を魅了して来ました。

 そんな中、鎌倉の人気観光スポットの集中する長谷地域でも一等地といえる長谷駅前30秒ほどのロケーションに位置するこの築80年の古民家、旧・長谷旅館で元・有名イタリアン『SYMPOSION』という抜群のDNAを持つ物件の存在を知り、オーナーにご相談をもちかけました。コロナ禍の影響で、次の借り手となる方々が手を引いてしまったこともあり、思案中だったオーナーは快く、私たちのアイデアに共感してくださり、ともにこのSYMPOSIONの名を残し、新しい長谷の魅力となるべき場づくりを進めていくことになりました。こうして、SYMPOSION Locanda プロジェクトはスタートしました。

 このプロジェクトの主体となる私たち合同会社彗星商会は、鎌倉市を中心に湘南地域にて、飲食、小売、簡易宿所等の場づくりを通して、この地域に特有の価値観・方法論を大切にしつつ、新しい地域創生の在り方を提案し、湘南および鎌倉ブランドの下、「既存土地建物の有効再利用」「新時代の雇用環境の創出」「災害時の地域貢献」といった課題に取り組みつつ、鎌倉という歴史的にも立地的にも希有な磁場を持つ土地柄を活かし、これからの新時代を牽引する『日本版アルベルゴ・ディフーゾ(地域分散型ホテル)』を構築しようと画策しています。アルベルゴ・ディフーゾとはそもそも、イタリアの農村部を発祥とするツーリズムの概念で、通常の大きなホテルに備わっている「泊」「食」「宴」「集」「勤」「遊」などの各要素を一カ所にまとめようとせず、個々を独立したものとして機能させつつ地域・区域全体に分散させ、エリアそのものを魅力的な旅の目的地として育み、訪問者を誘致することを目指した持続可能な地方創生の取り組みです。

 成熟した旅の価値を知る大人たちや若い旅人たちを中心に、また昨今の密を避けたい旅のスタイルなどに照らし、ホテルよりもそうした小規模な、選択肢を多くもつ分散型のアコモデーション(宿泊施設)の方が湘南地域や鎌倉で、より必要とされていることを経験から確信しています。また、すでに鎌倉には多くの素晴らしい食の魅力が詰まった個人店が散在して、満天の星の輝きを放っています。これらが大きな枠組みで再構築されたとしたら、この鎌倉という関東有数の観光地に、きっと新しい魅力が付加され、さらに行きたい場所としての価値が増すに違いないと思うのです。

 その目的の実現のため、魅力的な既存建物を探し、オーナーに相談をしたり、不動産投資家や異業種の企業の皆様、CVCなどに企画を持ち込んだりしながら、ひとつずつ、街のコンテンツ・セッティングとしてのさまざまなプロジェクトを立ち上げようとしています。それは、完成予想図のない、とても壮大な計画ですし、時間とともに広がって行く夢のある歩みです。その歩みの一行程を、私たちとともに歩みませんか?

 私が初めてこのコンセプトを胸に抱いたのは かれこれ14 年前奇しくも同じ長谷の地に、今のワンダーキッチンの前身となる隠れ家古民家カフェ『ワンダーキッチン』をオープンした直後のことです。その後、現在までの間に延べ 15 軒以上の店舗や宿を開業し、一時期は8軒を同時に運営し、アルベルゴ・ディフーゾの基礎を築きつつありました。ただ、その後、投資家の撤退や事業分割、事業譲渡、買い戻しなどを経て、現在の4軒に至っています。さらにコロナ禍です…投資家も今は皆、観光業への投資には懐疑的ですし、いろいろな意味で困難な時期であることは間違いありません。それでも、さまざまな要因に鑑みて、今こそがプロジェクト再開の絶好のタイミングと捉えており、ひとつずつ拠点を整えていくことで、地域の雇用・移住・観光の促進をすべて叶える、この地域完結型のビジネスネットワークの形を次世代の若者に残したいと切望しています。

そうした計画の一部として、この旧・長谷旅館の古民家を鎌倉でも珍しいオーベルジュ(料理付き宿所)として完成させ、この秋のグランドオープンを図りたい意向です。

皆さんのご支援・ご協力とともに、この壮大なプロジェクトを一歩ずつ進めていきたいと願っています。

どうぞ、よろしくお願い致します。


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