刃物店のあるいわきの暮らしを守りたい

はじめまして。平三町目にある佐々木刃物店の四代目、佐々木崇志(たかし)と申します。いわき市内で金物・刃物を扱う数少ない個人商店の跡取りとして、刃物文化を引き継ぎ、刃物の魅力を皆さんにお伝えする場を新たに作っていくため、FAAVO磐城国のクラウドファンドにチャレンジ致しました。よろしくお願いいたします。


まず、佐々木刃物店について紹介させてください。佐々木刃物店は大正15年に創業された刃物店です。創業時より平に店を構え、生活に必要不可欠な庖丁、園芸用のナタや剪定ばさみ、爪切りなど、身の回りの刃物全般の販売、メンテナンスを行ってきました。大変ありがたいことに、今年で創業94年になります。

平にある店舗には、いろいろな方がやってきます。最近庖丁が切れなくなった、植木用のハサミを砥いで欲しいという一般の方もいれば、プロの料理人の方々がいらっしゃって、こういう食材を使いたい、こんな庖丁はないかと、店舗で庖丁の扱い方や商品について意見を交わすこともよくあります。

また最近では、平にある店舗を飛び出し、週末を中心に市内の大型商業施設に出向き、出張刃物砥ぎや庖丁砥ぎ教室などを通じて、いわきの皆さんに刃物に慣れ親しんでいただく場づくりも行ってきました。こうした機会を通じ、刃物店は、刃物を通じて人と人とが出会う場でもあるのだと、改めて強く感じるようになりました。

刃物店というのは、暮らしに必要な「刃物」を通じて人と人が交わり、風土に根づいた文化を支えていく場所なのだと思います。そこで、このたび、いわきの文化を支え、コミュニティを形づくっていけるような刃物店を続けていくため、古くなった機材の買い替えと、店内の改装を目指したクラウドファンディングに挑戦いたします。

<All-in方式>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。


もくじ

  ・佐々木刃物店の役割
  ・家業を継ぐ者としての思い
  ・新たなチャレンジ
  ・みなさんへの返礼品について


佐々木刃物店の役割

大正15年、現在の店舗より少し南側の本町通りに面した場所で、佐々木刃物店は創業されました。その後、幾度かの移転を経ながらもずっと平で営業を続け、現在に至ります。

刃物の専門店として、お客さまとのコミュニケーションを第一に考え、お客さまの右利き・左利きなど身体的特徴、動きのクセや扱う食材、ライフスタイルなどまで総合的に判断し、お客さまに最も適した刃物を選び、最適な状態に砥ぎあげて提供するというスタイルで、地域のみなさまにご愛顧いただいてきました。

<お客さまのライフスタイルなどをじっくり伺い、商品を提案しています>

<全国から庖丁を取り寄せ、その人にぴったり合う1本を提案>


お魚を捌く庖丁ひとつとっても、一般の方とお魚屋さんでは、販売する庖丁は当然違うものになりますし、同じ「出刃庖丁」を販売する場合でも、お客さまが扱う魚の種類、捌き方、お客さまの庖丁の扱い方のクセなどによって、刃の長さ、刃の厚みの違う庖丁を提案していきます。

また、これは特に園芸用の刃物に言えることですが、地域によって合う刃物と合わない刃物もあります。例えば、園芸用に使うナタは土佐(高知県)から仕入れています。いわきと土佐は、黒潮の影響を受けた温暖な気候であり植生が似ているからです。逆に、新潟の三条など冬が寒く雪深い地域で製造されているものはおすすめしません。

<作業場での庖丁研ぎ。様々な砥石を使い分けています>


<本刃付けをした庖丁(右)は、命が吹き込まれたように輝きが出てきます>


庖丁砥ぎも欠かせない要素です。買ったばかりの庖丁の大半は「本刃付け」と言う最終的な砥ぎをしていないので、どれほど高価な庖丁でも切れ味が良くないことがあります。庖丁は、砥いで初めて庖丁になるということです。

有名な産地の庖丁を買ったはいいけど、砥がずに使ってしまい「切れないなあ」と感じている方も結構いらっしゃいますので、店舗でご購入いただく包丁に関しましては、全て当店で本刃付けし、切れ味のいい状態でお渡ししております。

また、刃物を形成する鋼材に応じ、複数の粗さの砥石を使い研ぎ上げ、切れ味をつけていきます。また、ご要望によっては、切る食材にあわせ、切れ味の調整をしたり、切る手元を美しく見せるため、見た目を綺麗に砥ぎあげる砥ぎ方をすることもあります。

このように、お客さまに最適な庖丁を最適な状態でお渡しするには、お客さまとの密なコミュニケーションが欠かせません。庖丁は、食べることや暮らすことに直結する道具ですので、その切れ味ひとつで、生活の質が微妙に変わってしまうものです。その意味で、刃物店は「刃医者」でなければならないと思っています。

<通りに面していたころの外観>

家業を継ぐ者としての思い

父からは店を継いでほしいと言われることはありませんでしたが、刃物屋の息子として育ち、いつしかいずれは家業を継ぐものだと自ら考えるようになりました。高校卒業後は父と同じように東京・日本橋の木屋で10年間修行を積み、その後地元に戻り、家業を継いでから2年が経ちました。

店には、いろいろな方がいらっしゃいます。そこで耳にする会話から、料理人の皆さんの料理に対する思い、暮らしをよりよいものにしようというお客さまの思いに触れてきました。次第に、刃物店の仕事は、刃物と通じて、いわきという地域の暮らしを豊かにする役割があるのではないか、と感じるようにもなりました。

例えば、ピーマンは、よく切れる庖丁で切ったほうが苦味が出ません。刃物次第で食材の魅力を膨らませることができるということです。苦いことで子どもたちに敬遠されがちなピーマンですが、庖丁がきっかけで子どもたちに食べてもらえたら、刃物店は、きっと子どもたちの健康づくりに役に立てるはずです。

<量販店での出前庖丁研ぎ>


また、いわきには、新鮮な魚がたくさん水揚げされます。もし、その魚に不向きな庖丁を使っていたら、捌くのも大変ですし、それがきっかけで、魚から離れてしまう人もいるはずです。その意味で、よりよい庖丁を提案できれば、私たちは魚食の普及や水産振興のお役に立てるかもしれません。

少しずつ仕事を任されるようになり、父の姿も見えるようになりました。ニーズを聞き取るために飲食店に直接伺って話を聞いたり、小さな困りごとにも耳を傾け、丁寧に説明しようとする父の姿に、改めて刃物店の役割を学んだ気がします。同時に刃物店という場を、これからも盛り立てていかなければと思うようにもなりました。

また、庖丁砥ぎ教室や、出前授業などを通じて、一般の人たちにも、庖丁の魅力や使い方を丁寧にお伝えすることで、まだまだ掘り起こせるニーズがあるなと感じますし、伝える場さえあれば、まだまだ若い世代の人たちにも興味を持ってもらえると感じています。そういう「場づくり」もまた、私の代に取り組むべき仕事だと思っています。

<父の姿を見続け、家業への思いを強く意識するように>

地域に開かれた刃物店へ

一方、私たちの砥ぎに用いる機材は、耐用年数をゆうに超え、老朽化が目立ってきました。ごまかしつつ使っている機材もあり、更新をしなければこれからも地域の「刃医者」として、皆さまの暮らしを支えていくのが困難になります。

そこで今回、クラウドファンディングにチャレンジし、みなさまからいただいたご支援で、まずは砥ぎに必要な機材をリニューアルした上で、多様な人たちが気軽に来店できるような、地域に開かれた工房にしたいと思っております。こんな使い方ができそうだ、こんな刃物店にしてほしい、みなさんからのアイデアも頂戴しながら、長く愛される刃物店にしていきたいと思います。

刃物店を継ぐということは、技術や知恵を次の代に引き継ぐということばかりでなく、これからも、地域の皆さんの暮らしを、食を支えるということであり、重圧を感じることもありますが、次世代を見据え、いわきならではの「刃物文化」を守り、ここからさらに育てていくためにも、ぜひ今回のチャレンジに、お力をお貸しください。

<いわきの暮らしを支えてきた工房>

<代々受け継いで来た看板>

ご支援いただいたみなさまへの返礼品

ご支援いただいたみなさまへの返礼品は、刃物そのものをお届けするよりも、刃物を砥ぐことに重きを置いて設定させていただきました。刃物は「使う」ものであると同時に「付き合う」ものであるという当店の想いから、このような形の返礼品にさせていただきました。

具体的な返礼品は、このページの右側に一覧表示されております。どうぞご覧いただき、気になったものがあれば、ぜひご支援をよろしくお願いいたします。

  • 2021/03/22 12:34

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2020/11/19 10:05

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2020/10/30 18:47

    期日までは後1日ございますが、明日から3日間店舗外での仕事になり、時間・体力的にも投稿が難しいと思いますので、先立ってご支援いただきました皆様へ簡単にはなりますが御礼を投稿させていただきます。この度は当店のクラウドファンディングへご支援いただきまして誠にありがとうございました。この取り組みを始...

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