はじめに・ご挨拶
  • 地から湧く湯に人々がそっと掬われる場所「地獄温泉 青風荘.」は源泉の湯につかるという全国にでも稀にみる湯船をもち江戸時代から200年以上に渡り、湯治場として人々の痛みや苦しみに寄り添ってまいりました。古より滾々と湧き続ける源泉を目当てに、近隣や全国から心身の癒しを求めていらっしゃるお客様が絶えることがありませんでした。
  • この地には、フタをして止めようとしても止められない「ライジングエナジー」が満ち溢れていて、そのほんの一部が大自然から湧き出る温泉となり、多くの恵みをもたらしてきました。私たちは「湯治」という文化にのせて、そのエネルギーの橋渡し役を長きにわたって続けてきました。湯治という〈大自然に浴することで大地からの力をいただき、自分の内側から湧き上がるものにより心身を整える〉という文化に磨きをかけます。そして、新たな歴史を編み上げていくに相応しい場で、多様文化や背景を持つ方々を受け入れ、その文化やエネルギーを求める世界中の人たちの目的地になるというビジョンを掲げ、それを目指し、痛みや苦しみに寄り添うことはもちろん、わくわくするような体験、心満たされる時空(とき)を作り上げてまいります。この信念を掲げ、兄弟3人とその家族、そして、志を同じくする従業員とともに新しい形の家族経営を模索し、これから先200年続く湯治場として挑戦を重ねていく所存です。

  • 有限会社地獄温泉清風荘 地獄の3兄弟の紹介
  • 代表取締役社長 河津 誠 58歳 独身 経営全般を見ながらも長らくシェフとして地獄温泉の食を支える
    取締役副社長  河津 謙二 57歳         経理・総務全般を担当
  • 取締役専務   河津 進 55歳 総料理長として地獄温泉の味を守り続ける。ミシュラン三ツ星「京都 菊乃井」で修業


地獄の3兄弟

※熊本地震

  • 2016年4月の熊本地震、その2か月後には大雨で大規模な土石流が施設を襲い、敷地の7割が土砂で埋まり地獄温泉は休業を余儀なくされました。少しでも早い再開をと、つるはしとシャベルで震災の被害に立ち向かうも、その2か月後の梅雨の大雨で裏山の崩壊が起き、大規模な土石流が施設を襲いました。明治時代からの佇まいを備えた建物をはじめ8割が壊滅的な被害を受け、地獄温泉の長い歴史が止まってしまいました。それでも奇跡的に最小限の被害にとどまった名物「すずめの湯」が生き残り、多くの方から愛されるこのお湯を守り続ければ地獄温泉の再生は必ず成し遂げられる、私たちの心は地獄温泉の復活へとベクトルを定めました。被災直後には、落胆する私たちを多くのボランティアの皆様が応援してくださり、瀕死の状態を「0」にまで引き戻していただきました。それから、励ましのメッセージや温泉を待ち望む声、多くの方の力をいただきながら、湯治場としての新たな200年の歴史を作るべく、絵を描いてまいりました。しかし、山間部のインフラの復旧は遅れに遅れ、震災後2年間は土石に埋もれたまま無情な時を過ごすしかなく、廃業も頭をよぎる苦しい時を過ごしました。インフラ復旧の遅れは、再生を図るために必要な建設会社の参入に二の足を踏ませ、ようやく決まった業者が事業継続の困難さに協力を辞退することも続き、復旧は困難を極めました。
  • それでも、壊された建物の基礎部分から創業当時の先達たちの苦労や苦心の跡が見つかり、今では考えられないほどの労力と情熱をかけた戦いの目的は何だったのか?どんな思いで宿を建てたのか?など、壊滅的な被害を受けた今、先人たちの築いたルーツを解くカギが地震によって与えられたのだと腹をくくり、彼らの思いを知る作業を繰り返しました。そして、日々、復旧に臨む中でわかったことは、温泉が観光や遊興といった遊びの目的でない時代に、金もうけにもならない慈善事業のようなものに財産をなげうってまで挑戦した理由でした。彼らは、大地の中から湧き出る「ライジングエナジー」が人々の傷を癒す力を持つことを理解していて、人々の痛みを取り去るためにも「長期間、湯治をする」ができる施設をこの地に建てようと思ったに違いない、ということです。


熊本震災地震後の土石流、建物の屋根近くまで埋まっている

※地獄温泉へのメインアクセス道の復旧が発災の4年後

この4年という長い月日を耐える力は、先人たちの思いを知ることと、今、窮地に立つ私たちの思いが、200年の時を越えて一致して得られたものであり、道路も重機もボランティアもいない時代の先人たちがここを開くことが出来たのだから、今を生きる私達に出来ないはずはないという結論を導き出してくれました。さらに、私たちの目標は復旧・復興だけでなく、新たな災害の被災者のためにこの経験を活かしきる、ということに定まりました。ですから、どうしても復興しなければなりません。なにがなんでも。湯治の文化をさらに発展させ、多くの人が立場も性別も関係なく集う場所をライジングエナジーと共に再生させる。

被災後の空撮写真

私たちの提供するものは、どんな人も拒まない、よりフリーな温泉なのです。その象徴的なものが「湯浴み着」です。「湯浴み着」を着て浸かる男女混浴の「すずめの湯」は、究極のストレスフリーな温泉です。限りなくフリーな入浴方法は本物のリラックスを生み出します。私たちは、こんな思いを込めて新しい「湯浴み着」を作り、もっともっとフリーで快適な新しい「湯治」を作り上げたいと思っています。

湯浴み着

※地獄温泉の紹介

阿蘇の五岳のうちの一つ、烏帽子岳の中腹に位置します。標高750mの大自然の中にあります。
国立公園の特別地域であり、新規参入で開発することを禁じられている地域です。記録に残るところから数えて217年の間、湯治宿を営んでいます。山林を含め約3万坪の敷地の中に、それぞれ泉質の違う自然湧出の源泉を3ヶ所(1か所は復旧を断念)保有しており、その中でも足元湧出のにごり湯である「すずめの湯」は、地下で源泉に天然の冷泉が混じりあい人が入ることが出来る適温で湧き湯舟となる全国でも希少な温泉として多くのファンに親しまれています。宿は、本館、曲水舎、離れとあり、ロビー・レストラン棟を中心に各施設が点在する分棟型で、歴史のある古い本館・曲水舎と被災後に新築した建物とが新旧を織りなし、日本の古い伝統と、そこに基づいた新しい考え方の建物が混在する稀有な空間が、非日常へと誘ってくれます。新築の建物は「ライジングエナジー」をお届けするために必要なお客様自身の心を開く状況を導くように設計され、その穏やかで優しい建物と大自然の雄大な景色が混じりあい、痛みと苦しみを和らげていきます。

※すずめの湯

地獄温泉の代名詞「すずめの湯」はまさに奇跡の湯。一般的に高温で湧く火山性の温泉は源泉に浸かることは出来ません。しかし、この「すずめの湯」は地下で冷泉と混じりあい入浴可能な38~45℃で湧いてくるのです。温泉はその成分もさることながら、新鮮さも重要とされています。空気に触れ酸化した肌(シミやしわの原因)を元に戻す力(還元力)、「すずめの湯」は空気に触れる前に人の肌に触れる、まさに還元力100%のお湯なのです。泉質は単純酸性硫黄温泉、㏗2.6のお湯は皮膚病に効くとされています。さらにお湯に含まれる硫黄成分は肌に浸透し抗アレルギー作用があるとされ、リュウマチやアトピーに効果があると言われます。また新設した「冷泉」は「ぬるめの湯」「あつめの湯」と交代浴ができ、「すずめの湯」に新たな魅力を加えています。源泉そのものに入る「すずめの湯」はその場所自体が泉源で、温泉とともに火山性ガス(硫化水素ガス)が発生しています。このガスは空気より重く濃度が濃くなると危険なガスです。その為に囲いや仕切りを設けることが出来ないため昔から混浴でした。特に女性が入れない、入りずらいとの声は以前より多くいただいていましたが、震災を機に多くの皆様にゆっくりとこの奇跡の湯を堪能して頂くために着衣入浴としています。


すずめの湯

※元の湯
すずめの湯と同様に根強いファンが多かったのが「元の湯」。強酸性単純温泉。
大きな梁と石造りの浴槽が印象的な本館にあった内湯温泉でした。元の湯も震災に遭いましたが、場所を変えて元の湯の浴槽に使っていた石をそのまま使用。元の湯の木も含めこれから先の100年に耐えうる大きな梁を使い、昔ながらの木組みの伝統工法で作られた元の湯は、年を経る毎により良い雰囲気となることでしょう。また、以前の元の湯にはなかったシャワーなども設置してより今風の快適なお風呂となっております。広大な元地獄源泉から湧き出すお湯は、何か所もある熱源に触れ、谷に集まり、複雑な泉質となって痛みや傷を和らげます。天然ゆえに湯守にとっては大変手のかかるお湯ですが、何物にも代えがたこうのうを備えてたえずわきつづけています。


元の湯

※たまごの湯

仇討の湯の脱衣場があったあたりに新しく建てられたのは「たまごの湯」。強酸性単純温泉。
仇討の湯の源泉名「たまご地獄」から名前を取って「たまごの湯」と名付けました。
たまごの湯のコンセプトは元の湯とは異なり、震災にも土砂災害にも耐えられるRC構造で造られています。もし今後土砂災害があったとしても、たまごの湯が防護壁となり元の湯を始めとする地獄温泉の敷地を守るという役目も兼ねています。近代的な見た目ですが、中に入ると木材をふんだんに使った柔らかな雰囲気が印象的なお風呂です。また、たまごの湯から見える阿蘇の景色、特に夕景は絶景です。
目の前が災害によって開けたからこそ気付けた絶景を生かした「たまごの湯」をお楽しみください。また、展望露天風呂として震災にも生き残った「仇討の湯」も復活していますので昔の雰囲気を知っている人には懐かしいお風呂です。

たまごの湯                       


  • ②このプロジェクトで実現したいこと
  • ※活気のある熊本をもう一度取り戻すために、被害の大きかった南阿蘇村にある老舗温泉が、地域の創造的復興のけん引役として役目を果たし古くから続けてきた湯治という癒しの文化を新世代へと届けるために、変化することを恐れず挑戦し続ける場所でありたい。

離れ棟

離れ棟の内観


※奇跡の温泉を誰もが気兼ねなく楽しんでいただく為に「湯浴み着」を制作して、もっともっと垣根を取っ払って多様な人たちと多様な文化を想像したい。この「湯浴み着」ひとつで温泉の楽しみ方、ましてや社会と人間がもっとフリーに生きるための変化を生み出して貰いたい。

  • 世界がボーダレスとなり多様な文化や人々が入り乱れ交わる時代に、その象徴的な場所として世界的にも希少な、「滾々足元湧き上がり」温泉の「すずめの湯」の考え方を多くの方にしってもらう。「湯浴み着」は地獄温泉の基本コンセプト「Rising Energy」-地の底から絶え間なく湧き上がるエネルギー、そのエネルギーに触れ自身の内から湧き上がるエネルギーを感じるーを体感して貰うためのツールとして制作するのですが、それはきっかけに過ぎず、そこから多様性を求める深い考え方に導きたい。だから、この湯浴みは単なる衣装ではなく多くの人の心を、癒しとともに少しずつ変えていくツールになると考えます。


湯浴み着



※誰でも受け入れる究極の「すずめの湯」を国内はもちろん、世界中の人々に知ってもらいたい。


③プロジェクトをやろうと思った理由

 2年ほどかけて開発してきたオリジナルの湯浴み着が今年春に完成しレンタルを開始。最初は混浴のすずめの湯に入るためのツールでしかなかったが、それだけではない反応を多くの方にいただきました。そこで理解できたのが「すずめの湯」に湯浴み着で入ることは、今まで多くの多様な人々を受け入れてきた地獄温泉の給与区の姿だと気づきました。また、災害や新型コロナウィルスなどで世界中の人々が傷つき痛みを抱える中で、多様性をうたう「すずめの湯」が世界中の方を分け隔てなくお迎えすることですずめの湯の「湯浴み着」を通して社会変革への大きな役割を果たせると思いました。

④これまでの活動


“すずめの湯”は足元からお湯が湧く源泉に入って頂く温泉です。ただ火山性の温泉(通常は高温)でほとんど何もせず(加水や時間をかけて温度を下げる)そのままの状態で入れる温泉は大変珍しく、その成分(単純酸性硫黄温泉)の効果と相まって奇跡の湯と呼ばれています。また、源泉を分けたり壁で仕切ること(火山性の硫化水素ガスが発生していて仕切ってしまうと危険であるため)ができないため、昔から混浴スタイルで続いてきました。ただ以前より女性のお客様からは入れない・入りずらいというお声をいただいてきたこともあり、震災後の再開にあたって一番にこの問題を解決するにはどうしたらよいかを考えました。最終的に男女区別なく着衣での入浴という結論に至りました。

  • ただし、日本人にとって温泉は裸で入るものというが一般的(特に男性)で、湯浴み着や水着を持参するという考えがほぼないと思われたので、こちらで湯浴み着を用意しておかなければならない必要性に迫られ、日帰り入浴のお客様には一旦販売用の簡易湯浴み着を用意しました。男性用トランクス(600円)女性用ワンピース(1100円)。これは他の温泉施設(混浴施設)で販売されている価格と変わりませんが、特に女性にとっては入湯料+湯浴み着代で高額となる為、利用して頂く機会が損失されていました。さらに私どもは旅館で宿泊のお客様に対し、部屋着やアメニティー同様、地獄温泉を満喫していただくためには湯浴み着を準備しておかなければなりません。販売用の簡易湯浴み着では客単価が上がってしまい対応は難しく、レンタル用の湯浴み着が必ず必要になります。以上が、オリジナル湯浴み着を開発作成することとなった経緯です。

  • 着衣入浴を導入したことにより、敬遠するお客様(特に男性)も若干いらっしゃいましたが、女性の方々からは強い支持を得て、利用される性別や年齢層も大きく変わり、外国の方々、ご家族で利用の方々からは大変喜ばれています。このスタイルは着実に定着するものと思われます。
  • 日本では他にも多くの混浴施設が存在します。そのどれもが質の良い温泉です。地獄温泉と同じように混浴でなければならない理由があり、特に女性にとっては利用しずらいものがあります。もちろん多くの場所で湯浴み着(女性用)が用意されていますが、仕方なく着用するというレベルです。温泉愛好家の皆様から素敵な湯浴み着があったらとの要望も多く寄せられています。もっと前向きに楽しんで着衣入浴を楽しんでもらうために私共の取り組みが広がれば新たな世界にも通用する湯治文化が生まれることでしょう。


  • ⑤資金の使い道
  • ※コロナ禍で落ち込んだ温泉の広告宣伝費として使いたい
  • ※地獄温泉の認知を国内外に広める為、また新たな湯治文化を創り出すため、オリジナルの湯浴み着を開発したい。

※応援コメント‼ 温泉家 北出恭子

この“国宝級の温泉”を絶対に絶やしてはいけない。熊本地震の痛々しい爪跡を目の当たりにし、何とか復興の力になりたい!と強く誓った瞬間を今でも鮮明に覚えています。地獄温泉は、泉温、湧出量、泉質などすべてが絶妙なバランスで生み出される奇跡の湯。しかも、誕生したばかりの源泉の息づかいや声を五感で楽しむことができる日本を代表する名湯です。幾度の困難にも負けず、いつも笑顔で前進し続ける河津一家の姿は、まるでブクブクと元気に湧く源泉のよう。これからも地獄温泉ファンの1人として、ずっとずっと応援し続けます!!

温泉家 北出恭子

最後に

長い間歴史を繋いできた地獄温泉、熊本地震によってその歴史が止まってしまいました。進めようとも進められない月日を過ごす中で、ここ地獄温泉を真摯に見つめなおす時間を得、地獄温泉とはどんなところか?人々は何を求めにここ地獄温泉に来るのか?地獄温泉の歴史を繋ぎ、この温泉を今後守り続けていく為にはどうすればいいのか?等々。

古来温泉は人々を癒す力があり、それゆえ神聖なものと考えられていました。古い温泉には神社やお寺が隣接しています。それゆえ温泉の歴史をたどると最初は着衣入浴でした。戦後高度成長時代に間違った方向に行ってしまった温泉の利用方法を元に戻し、温泉の持つ力をしっかりと体験していただくための一つのツールの開発にお手伝いをいただけたならば幸いです。

九州では湯治の衰退によって本当に良い温泉がなくなっていると聞きます。日本の温泉・湯治文化を未来へ繋いでいきましょう。

※地獄温泉施設情報
〒869-1404
熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽2327
TEL:0967-67-0005 入浴時間:10時~17時
http://jigoku-onsen.co.jp/onsen/



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