港町唯一の鮮魚店を守り続ける
合同会社はまからの専務を勤めております、阿部峻久と申します。いわき市北部の港町、久之浜で今年の2月から「はま水」という魚屋を経営しています。コロナ禍においても地域の皆さんに美味しい商品を届けるため、新しい加工場を作りたいと考えています。今回はそのための支援を募るべく、クラウドファンディングにチャレンジいたしました。よろしくお願いいたします。
はま水は、今年の2月に、福島県屈指の港町である久之浜港の近くにオープンしました。久之浜港は、築地市場でも「常磐もの」として高い評価を受けている新鮮な魚介類を取り扱うことで知られています。しかし、東日本大震災で甚大な被害を受け、元々あった魚の加工場や小売店の多くが廃業、久之浜町内で魚を買える場所は無くなってしまいました。
なんとかこの港町に、漁師と地域の人たちをつなげる場を作ろうと、2018年12月、地元の漁師なども加わって「合同会社はまから」を立ち上げ、さらに今年2月、復興商業施設「浜風きらら」のテナントを借り、鮮魚店「はま水」がオープンしました。
オープン以降、久之浜唯一の魚屋として、獲れたての鮮魚や、地元のお母さんたちの協力で製造された加工品の販売、食育プログラムやイベントの企画などを行ってきました。ようやく地元の水産業復興の旗印を掲げることができた・・・そう思った矢先に、新型コロナウイルスの感染が流行し、当初予定していた事業は、今なお足止め状態になっています。
現在、会社を上げて「ウイズコロナ」の店づくりを模索中です。具体的には、スタッフ同士、お客様同士で「密」な状態になるのを防ぐため、新たに加工場を新設したいと考えています。コロナウイルスの感染拡大を防ぎつつ、これまで以上においしい商品をお届けできるよう、ぜひ私たちのプロジェクトにご協力ください。
<All-in方式>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
もくじ
・久之浜漁港の紹介
・開業の思い
・新たなチャレンジ
・みなさんへの返礼品について
福島県屈指の港町、久之浜
久之浜港は、いわき市最北端の漁港であり、天然の良港として知られています。小型の底引き網船が多数所属しており、常磐もの筆頭であるヒラメ、ヤナギガレイ、メヒカリなど多種多様な魚が水揚げされています。港町だけあって、サンマのポーポー焼きやホッキ飯など、地元ならではの食文化も強く根づいています。
しかしながら、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受け、漁港や魚市場などの施設は壊滅状態となり、鮮魚店や加工会社の多くが廃業を余儀なくされました。原発事故の影響も続いていて、現在も「試験操業」という、制限された形での漁を余儀なくされています。久之浜は、いわば福島県の漁業の課題が凝縮しているような土地でもあると感じます。
最大の課題が漁師の減少です。担い手が減ってしまったら、かつてのような姿を取り戻すことはさらに難しくなってしまいます。漁業の担い手を増やすためには、魚の値段が安定し、漁師という仕事が金銭的に成り立つ状況を作ることが重要です。漁業は稼げる。そう思ってもらえる状況を作ることが課題解決につながると考えてきました。
そういった想いのもとに、合同会社「はまから」が発足しました。まずは漁師という仕事の魅力を発信しようと、食育プログラムや、漁船の体験乗船、市場での販売イベントなどを企画してきました。
そして、今年2月、浜風きららのテナントの中に、念願の鮮魚店「はま水」をオープンさせることができました。日常的に魚を購入でき、市民と漁師が交わる場が何より必要だと感じたからです。このお店がオープンするときにもクラウドファンディングを活用し、380万円という大変大きなご支援をみなさまから頂戴しました。
ところが、2月のオープン直後から、全国的に新型コロナウイルスが流行しました。テイクアウトメニューや宅配などにも活路を見出してきましたが、まだ経営的に安定していない時期でもあり、店づくりは大変な困難を抱えることになりました。現在、私が中心となって組織を立て直し、コロナ禍に負けない店づくり・体制づくりに尽力しているところです。
生産者を支えたい
私個人は、これまで10年以上、「(公社)いわき産学官ネットワーク協会」の職員として、主に製造業に関わる皆さんに、地域連携を促すさまざまな取り組みを進めてきました。震災後からは、風評被害に苦しむ地元の農家を応援すべく、農産品のブランド化事業などにも関わってきました。地元の中小企業をサポートすることが、私の仕事でした。
そこで感じてきたのが、いわきの一次産業の底力です。特に漁業は、原発事故の影響でマイナスのイメージもありますが、ポテンシャルはとても高く、品質の高さもさることながら、観光資源も豊富です。私は宮城の出身で福島の生まれではないのですが、だからこそ、いわきの魅力を余計に強く感じますし、知れば知るほど、ポテンシャルの高い地域だと感じてきました。
合同会社はまからが立ち上げられたときには、私はまだ産学官ネットワークに籍を置いていて、あくまで経営や体制づくりのアドバイスを行うという立場で関わってきました。自分自身、あまり表に立っていくタイプではなく、脇役というか、影のほうで組織を支えるような仕事が好きでしたし、自分にも向いていると思ってきました。
しかし、立ち上げたばかりの店が窮地に立つ中で、そのような中途半端な姿勢では久之浜の水産業に深くコミットすることはできないと考え、今年3月末、産学官ネットワークを退職し、店づくりに奔走してきました。いまは自分が前に出て行こうと覚悟を決め、今回のFAAVO磐城国のクラウドファンディングに参加しております。
この数ヶ月間、改めて自分がこの会社でやりたいことを考え直しました。そこで見つかったのは、やはり「鮮魚店」としてこの土地に根付いていきたい、ということでした。鮮魚店は、おいしい魚を日常的に提供する場であるだけでなく、文化である場所であり、人が交わる場所であり、漁師と消費者が出会う場所だと思うからです。久之浜には、鮮魚店が必要です。
ヒラメ、アナゴ、ヤナギダコ、生しらす、白魚、カナガシラ、コモンカスぺ。魅力的な様々な資源があります。四季に応じて品揃えが変わります。旬の時期には、安くて美味しい魚が安定して店に並びますし、珍しい魚が水揚げされることもよくあります。
はま水は、すぐそばの港から買い付けており、他店に比べて流通コストも低く抑えられます。つまり安くて新鮮です。加工品も、漁師の母ちゃんたちからアドバイスをもらっていて、味付けにはかなり自信があります。つい先月も、あなごを使った新しい商品「手焼き真穴子」も完成し、全国から注文が相次ぐなど、反響も上々です。なんとかこの加工を伸ばして行きたいと思っています。
新しい加工場を作るためのチャレンジ
そこで必要なのが、新しい加工場です。これまでの加工場は、テナント内にしつらえたものだったため、売り場からは見えやすいのですが、面積が狭く、加工を進めるときには、何人もの人が入ることになり、明らかに過密な状態になってしまいます。食品衛生上、大きな窓を作ることも難しく、コロナ禍においては使いにくい加工場になってしまいました。
今回、店の外、徒歩30秒ほどの敷地に、プレハブタイプの加工場を新設したいと考えています。すでに運搬も済んでいますが、さらにここから工事が必要であり、保健所の要件をクリアしなければなりません。今回のクラウドファンディングでは、そうした内装工事や設備の費用として使わせていただく予定です。
正直なところ、課題はたくさんあります。しかし、何かできるんじゃないかとも思っています。漁師の皆さんや、地域のお母さんたちの経験と知恵はものすごいものがあり、1日に2品は商品開発できるくらい、加工品やお惣菜のレシピが集まってきました。加工場ができれば、日々細やかに加工し、旬の食材をみなさまに提供できるようになります。
鮮魚はもちろんのこと、その鮮魚を使ったきめ細やかな加工品を作る体制を整えるため、ぜひこの加工場新設プロジェクトを成功させたいと思っております。リターンには、旬の海産物や加工品を用意しました。久之浜に鮮魚店を残すためのプロジェクトです。ぜひご協力を、よろしくお願いいたします。
ご支援いただいたみなさまへの返礼品
ご支援いただいたみなさまへの返礼品は、私たちの加工品を中心に、様々なものを取り揃えました。また、さわきや酒店の永山さんにもご協力いただき、お酒のセットも作ることができ、いわきらしいリターンになっているかと思います。
ご不明な点などありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。みなさんからのご支援や応援を力に、これからも、港町唯一の魚屋を、守り続けたいと思います。
【企業・ひと・技 応援ファンドとは?】
いわき市、いわき産学官ネットワーク、いわき信用組合、いわき商工会議所などが連携し、次世代に継承していく技術やサービス、商品を持つ事業者や、新型コロナウイルスを乗り越えるための新しいビジネスモデルを構築し、市民の安全・安心に取り組む事業者をサポートするために企画されたものです。新しい時代に、残したい・伝えたい。そんな企業を、ぜひ、みんなの力で支えましょう。応援よろしくお願いいたします。(事務局・いわき商工会議所 創業・承継委員会)
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